(30 / 42) 一護夢 (30)

「うっ…うぅ…なんでこんな目に…ぐず…」

「あ!!いたぞ!!旅禍だ!!!捕まえろ!!」

「ひぎゃあああ!!!見つかったあああ!!!いやあああ!!!!こないでぇぇぇぇぇ!!!!」


あかりは一人で走っていた。
周りには誰もいない。
いるのは死神のみ。
あかりの味方が誰もいなかった。

何故か、それは数分前に遡る。



****************



「良いか?瀞霊廷に入ったら決してはぐれるな。隊長格と出会ったら迷わず逃げろ。わし等の目的はルキアの奪還のみ。絶対に無駄な危険を犯してはならん!」


夜一さんが注意しているのも聞かずあかりは気絶しそうなのを気力で耐えていた。


「……………」

「だ、大丈夫?斎藤さん…」

「だい、じょうぶ…」

「えー!!?本当に大丈夫!?顔色悪いよ!!」


織姫が気付き気にかける。
だが笑顔を見せるが大丈夫そうには見えなかった。
しつこく言うがあかりは絶叫系が苦手だ。
ついでに幽霊系も苦手だ。
子供のころから遊園地で父に無理矢理お化け屋敷や絶叫系を乗らされたが全て気絶して終わった。
この花鶴射法の結末も分かっているから余計気絶したくなるのだ。

しかし、人とは残酷なモノで顔色悪いあかりなんてお構いなしに進んでいく。
そして空中に出され、凄いスピードで進んでいく。


(イヤアアアア!!!!なんでこん、こんな…!!コレ作った奴出てこいやあああ!!!!)


空鶴が聞いたら殴られそうな事を思うあかりの手に誰かが重ねる。


「え…」


横を見ると織姫だった。
織姫はあかりの目線に気付くと笑顔を向けてくれる。
あかりは手を握ってもらい少し安心したのか微笑み返す。

隣で一護が皆に責められているとは知らずに。

まぁそれからなんやかんやあって離れ離れになった。
入れたのはいいけど迷子になってしまった、と言うわけだ。



****************



「まちやがれーー!!!」

「待てと言われて待つ馬鹿はいないってばーー!!!」

「ワン!!」


あかりの足では追いつかれる。
というか体力がないため狼陣丸に乗り逃げては隠れるの繰り返しだ。



「もう追ってこないかな…」

「くーん…」

「と、とりあえず隠れよう!戦ったら死ぬ!確実に!!」

「ワン!」

「しー!!…え、俺達は強いって?そりゃぁあんたは強いだろうけどぶっちゃけ私刃物なんて包丁しか持った事ないんだけど…」

「ワン!ワン!」

「うっさいわ!!戦うしか脳のない駄犬め!!」

「いたぞ!!!あそこだ!!!!」

「きゃああああああ!!!」


戦えと煩い狼陣丸と喧嘩したら見つかってしまいあかりはすぐ狼陣丸に乗り逃げる。
逃げる間も喧嘩するのは忘れない。



****************



「檜佐木副隊長!!あれを!!」

「あれは…」


「どいてええええええ!!!」


九番隊の副隊長である檜佐木修兵が隊員に言われ振り向くと前から凄いスピードで走ってくる狼陣丸とそれに乗って逃げるあかりと遭遇する。
狼陣丸は修兵達を飛び越えそのまま着地し、止まる。


「…なんだ…?」

「バカーーーー!!!!」

「!」


修兵は警戒し、斬魄刀を構える。
隊員も同じく。
警戒し、お互い動かず見詰め合う。
だがあかりの声がその場に響く。


「あんた馬鹿でしょ!!頭脳みそ入ってんの!?空なの!?空なのね!!」

「ワン!!ワン!!!」

「それが馬鹿だってんだろうが!!しばくぞ!!」

「ヴーー、ワン!!!」

「おま…お前…私を殺す気か!!!」

「ワン!!」

「死ぬよ!!私死ぬよ!!"死なないから平気だ!お前は死神だろう!?"じゃねぇよ!死ぬよ!普通の人だもの!!死神じゃないんだもの!!」


喧嘩…というか一方的にあかりが怒鳴っているが自分の状況が分かってないらしい。
修兵は表情を険しくし、前に出る。


「おい、お前」

「あ!?なによ!!今忙しいの!あとに…!!」


あかりは修兵を睨みつく。
だが修兵の顔を見て硬直する。


「な…あ、あなた……な、名前は…?」

「あ?俺は九番隊副隊長、檜佐木修兵だ。それがなんだ」

「ひ、さぎ…修兵…って…副隊長……隊長格って……あぁ…バカ!私のバカァ!貧乏くじ引いてどうすんのよ!」

「…あぁ、お前隊長格とは戦うな、と言われたのか…残念だったな。お前は…」

「先手必勝!!狼陣丸!!」

「ワン!!」

「なっ!?」

夜一に言われた通り隊長格に会ったら逃げろを実行したいが狼陣丸が戦う気満々だったので仕方なく戦う事にした。
まずは雑魚を狼の狼陣丸に倒させる。
残ったのは修兵とあかりだけだった。


「てめぇ!!なんて事を…!!」

「先手必勝。こんなに大勢に女の子が戦えるわけないでしょ」

「……ちっ!」


修兵はあかりとの距離を測る。
あかりは腰に繋げてあった斬魄刀を抜きながら始解する。


「≪殺せ、狼陣丸≫…貴方、自分の斬魄刀に勝てるかしら?」

「……何?」


眉を顰める修兵にあかりは目を細め笑う。
そんなあかりに修兵は警戒を強める。


「≪彪洩…――――刈れ、風死≫」

「……っ!!!」

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