「真由美ちーん!!あーそーぼー!!」
廊下をドタドタと走り、此処に飛び込んできたのはやちるちゃんだった。
「やちるちゃん?何で…」
「私が言っておいた。」
砕蜂様が夜一様の膝に座っている私の頭を撫でる。
夜一様に『遊んで来い』と言われやちるちゃんは私の手を引いて走りだす。
ちゃんと手加減してくれているらしく、前見た瞬間移動ではなかった。
「おやつ食べよ!おやつ!!」
「え?どこで?」
当然私はお金なんて物はこの世界に来てから持っていないし、触った事もない。
なんというお姫様。と思っているが欲しいと思うのはお父様とトキ達が買って来てしまうので仕方ないのだ。
前に初めてのお使い的なことしたいと言ったらなんか大事件のように止められた。
どんだけ過保護なんだあの人達…
「レイレイのとこー!」
「れ、レイレイ?」
誰それ、という前に私はやちるに抱えられやちるのスピードが早まる。
どうやら早くおやつが食べたいらしい。
****************
着いた先は扉に大きく"六"と書いてある扉。
私は入りにくいオーラを出している扉に後ろに下がるがやちるは私の手を取ってズンズンと勝手に中に入っていく。
「ね、ねぇ、やちるちゃん。勝手に入ったらまずいんじゃ…」
「大丈夫だよ!レイレイは優しいから!」
いや、だからレイレイってだれ。
中国人?
「おぉ、やちる。来たか」
現れたのは髭を蓄え長髪のカッコイイおじいさんだった。
「ん?その子は…?」
「あ、私は…」
「あたしの友達の真由美ちんだよー!」
「真由美……あぁ、喜助殿の…」
「父を、ごぞんじなのですか?」
私は首を傾げ、レイレイという可愛い名前のおじいさんを見つめる。
おじいさんは私の頭を撫で、抱き上げる。
「わしはな、朽木銀嶺という。」
「はぁ…くちきさま…ですか…」
レイレイはどうやらあだ名らしい。
私の反応を見て銀嶺様は首を傾げる。
それに私も首を傾げる。
「真由美ちんはねぇ、何も知らないんだよ!」
そうだね、私も悪いよね…
自分で調べようとしない私も悪いよね…
でもその言い方はちょっと…
まるで私が非常識みたいじゃない…
常識すら知らないから何も言えないんだけど…
「何も…?五大貴族の事もか…?」
「ごだい、きぞく…?」
私がさらに首を傾げるので銀嶺様はさらに驚いた顔をした。
このまま突っ立ってるのも何だから、と銀嶺様は部屋に入れてくれた。
銀嶺様のお部屋の机には大量のお菓子が置いてあった。
どうやらよくやちるちゃんがお菓子を貰いにくるらしい。
そして何故か私は抱き上げられたまま移動し、銀嶺様の膝に座られる。
…なぜ、ここの人達は私を抱き上げるのだろうか。
そして何故座るとき私を膝に乗せるんだ。
皆子供好きなのか?
「ふむ…噂は本当だったようじゃな…」
「噂とはなんですか?」
私を見ながら呟く銀嶺様。
噂と聞いて、まったく分からない私は真後ろにいる銀嶺様を見上げる。
銀嶺様は私の頭を撫でる。
「お主の父、喜助殿が大層可愛がり外との接触を禁じている、という噂だ。」
「……………」
当たっている…ものすっごく当たっている。
でも恥ずかしいから何か弁解を言わきゃ駄目だけど当たってる分何も言えない。
黙っていた私を見て噂が本当だと知った銀嶺様は苦笑いし、私の頭を撫で続ける。
そろそろ禿げそうになるんだが…
「なんならわしが教えてやろうか?」
「え…」
「このまま常識知らずでは可哀相だからの…」
「ですが…ご迷惑ですし…父におしえてもらいますから…」
「わしが、教えたいんじゃ。それに同じ貴族同士、遠慮はいらん。」
え、貴族同士だから遠慮はいるんじゃ…と思うが『それに女子の孫も欲しかったしのう』と言う銀嶺様の目線に負けて私は折れてしまった。
とりあえず、今日は常識中の常識を少し教えてもらったがやちるちゃんが我慢できなかったのか、私に引っ付いたので授業?はまた後日となった。
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