私は今、銀嶺様のお屋敷に居ます。
私も毎日お父様についていくことは出来ないし、させるつもりもありません。
それに銀嶺様にはお仕事があるのでお帰りが早い時だけ、という約束でお勉強のために銀嶺様のお屋敷にお邪魔させていただいております。
お嬢様教育にも、丁寧口調にも慣れてきた私は常識を学ぼうと銀嶺様に学ばしてもらっています。
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「ぎんれいさま」
「おぉ、真由美か。」
丁度銀嶺様のお屋敷に向かっている途中、帰宅途中だった銀嶺様にお会いした。
私はトキと手を繋いで歩いていたので銀嶺様が代わり、トキはそのまま私を銀嶺様に預けた後頭を下げて屋敷へと帰る。
銀嶺様は私を抱き上げ、そのまま屋敷へと向かう。
「どうだ、喜助殿は元気にしておるか?」
「はい。お父さまは元気でやっております。」
「そうか。」
「今日も私を仕事場に連れて行く気満々でした」
「ハハハ、相変わらずじゃな、真由美の父上は」
「はい、相変わらずです。」
他愛のない話しをしていると屋敷に到着する。
浦原家とは違う造りの屋敷と園庭が私は好きだ。
浦原家の園庭も好きだが朽木家の園庭も好き。
それをいうとお父様は悲しむから言わないから言わないけど。
銀嶺様に言うと銀嶺様は喜んでいた。
その庭園を見ながら廊下を歩いていると男の子が木刀を振っていた。
「おぉ、白哉。頑張っておるようじゃな。」
「じい様!」
銀嶺様はその男の子に声をかけると男の子は振り向き銀嶺様を見て笑顔になる。
次に私と目が合う。
「じい様、この子供は…」
「あぁ、この子は浦原家の愛娘であらせられる」
「この子が、あの…」
あの…という男の子にどの?と聞く勇気は私にはなかった。
予想はつくけど、だからこそ聞きたくない。
私は銀嶺様に降ろしてもらい、その男の子の前に出て挨拶をする。
「お初におめにかかれます。私は浦原家とうしゅ、浦原喜助の娘、浦原真由美ともうします。いごお見知りおきをおねがいします。」
「私は朽木白哉だ。……あの喜助殿のお子にしてはしっかり…あ、いや、なんでも…」
「ふふふ、お父さまの事は夜一さまにお聞きしておりますから気にしないでください、白哉さま」
「あの化け猫に?」
「ばけねこ?」
化け猫、とは何だろうと私は首を傾げる。
すると白哉様は慌てて『何でもない、気にするな』と言った。
「ハハハ!白哉よ、子供に気を使わすとはまだまだじゃな!」
私と白哉様とのやり取りを見ていた銀嶺様は笑い出し、白哉様をからかう。
白哉様は少し居心地悪そうにする。
それから世間話しをして学ぶ時間が来て白哉様と別れる。
今日の勉強は死神のこと。
お父さまも夜一様も砕蜂様も銀嶺様もやちるちゃんも死神らしい。
お父さまの働く場所は二番隊というのも初めて知った。
お昼時、今日はお父様が仕事なので銀嶺様のご好意に甘えて一緒に食べることになった。
朽木家の食事も美味しいので好きです、と言えば銀嶺様も白哉様も喜んでくれた。
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銀嶺様は私用で出て行ってしまい、私にゆっくりしていきなさい、と言ってくださる。
白哉様は私の相手を頼まれ、申し訳ないと言うと笑顔で『私ももっと話したかったから丁度よかった』と言って頭を撫でてくれた。
「なに、真由美は喜助殿の仕事を知らなかったのか?」
「そうなんです。お父さまったら必要ないっておっしゃって屋敷中のしょもつも隠してしまって…」
「それはやりすぎでは…」
「私もそう思います。将来けっこんできるかも不安です…」
「結婚…真由美は気が早いな…」
「そうでしょうか…私はきぞくですもの…もしそうなるべきであれば、私はとつぎます。それがいかなる相手でも。」
「真由美…」
少々しっかりしすぎる私に白哉様は悲しそうな顔をする。
「もし嫌だったら私かじい様に言え。」
「え…」
「朽木家を舐めるなよ?浦原家には劣るがそんじょそこらの貴族より力はあるんだ。お前を助けれる。」
「白哉さまったら…」
「ム。その顔は…信じてないな?」
「とんでもございません!信じております!」
どうだか…と不機嫌になりフイっと顔を背けてしまった。
そんな白哉様に私は焦り、白哉様の顔を覗き見る。
すると白哉様は口元を押さえ笑いを抑えていた。
それにぽかーん、と口を開けて呆けていると白哉様はその私の顔に耐えられないのか声を出して笑いだした。
「び、白哉さま!」
今度は私が脹れる番だった。
「すまん、すまん。真由美が可愛くてつい、な」
「可愛いではなく、面白い、でしょう!」
「くっ…そんなに怒るな…ふふ…」
白哉様はまだ笑っておられる。
私はそれが嫌でつーんと白哉様に背中を見せる。
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