今日も今日とて私はお父様と同じ布団で寝る。
銀嶺様や白哉様の話しばかりするのでお父様は不機嫌になってしまい、機嫌を直すのが大変だった。
お風呂も一緒に入り、何を教えてもらったかをお父様に話す。
そのときのお父様は寂しそうな顔をする。
だから私は『死神にならないから安心してね!』と笑顔で言うとお父様は涙を流し抱き締める。
布団に入り、話しを聞いたり話したり。
私は段々瞼が落ちていく。
****************
私は気付いたら立っていた。
一瞬夢か?と思ったがここには見覚えがあった。
「ここは…桜ちゃん?」
≪ここに。≫
姫桜は主である私に呼ばれると直ぐに現れてくれた。
「ここって桜ちゃんの世界だよね…何か用なら言ってくれればいいのに」
≪しかし真由美様の貴重なお時間を邪魔を出来ませんので…≫
「それで寝るのをまってたの?気がながいのね、桜ちゃんは。」
私は目の前に立つ桜色の髪と血のように赤い瞳を持つ美しい女性を見つめる。
いつ見ても美人さんだ。
ここは私の精神世界らしい。
いや、正確に言うと桜ちゃんの精神世界だ。
波の音がする。
海のようなものが永遠と広がる。
動くと波紋が広がり、不思議と濡れないし沈まない。
空は真っ青で晴天だ。
桜の木などないのに桜の花びらが舞っている。
不思議な世界。
桜ちゃんは海の中から現れたというのに濡れていなかった。
≪真由美様にお願いがございます。≫
「なに?」
精神世界を見渡していた私に桜ちゃんは話しかける。
少し切羽詰まっている表情だった。
≪姉を…私のお姉さまをお救いしてほしいのです。≫
「おねえさん?」
桜ちゃんの姉と言えば夜一様達と話していたとき聞いたっきりだった。
何か事情があり、彼女がとても悲しそうだったから聞くに聞けなかった。
聞いてもきっと私は力になれない。
私はただ霊圧があるだけで何も出来ないから。
「でも救うって言っても私なにも出来ないよ?」
≪それでいいのです。貴女様はただ、お姉さまを呼んでくださればよいのです。≫
「呼ぶ…?」
桜ちゃんはそう言って黙ったまま私を見つめる。
「ひめ…つばき」
<ここに>
「え…うわ!!」
姫椿の名前を言った瞬間視界は真っ赤に染まる。
そして返事がして後ろへと振り向くと桜ちゃんより美人な女の人が居た。
というか見下してたの間違いだ。
****************
≪嗚呼…お姉さま…お姉さま…!!≫
<桜、よくやってくれたの…>
≪どんなにお姉さまに会いたかったか!どんなに…≫
<分かっておる。妾もそなたに会いたかったぞ>
桜ちゃんは姫椿に抱きつく。
姫椿も桜ちゃんを抱き返し、長い間は慣れていた空白を埋めるようだった。
私はそれを見てるしかなかった。
間に入ってしまうのは余りにも可哀想だから。
すると姫椿は私に目を向け、桜ちゃんを離し、ゆっくりと歩き始める。
<桜、この方が…>
≪はい、このお方こそ私達の主で在らせられる真由美様でございます≫
そうかこの方が…と呟き私の前で止まり跪く。
私はそれに驚き、また一歩下がってしまう。
桜ちゃんに目をやっても微笑んでいるだけ。
<妾は姫椿。妾は貴女様を主と認め、全てを差し上げましょう。どうか、妾の名をお呼びくださいな>
「姫椿…」
<もう一度、妾を…>
「姫椿」
<もう一度>
「姫椿。」
催促され名前を呼ぶと姫椿は涙を流す。
涙を流す姿も美しく、私はただ見とれるだけだった。
<あぁ…このときをどんなに待ちわびたか…この瞬間をどんなに待ちわびたか!!>
「あの…」
<帝
(みかど)、どうか妾も桜のようにお好きにお呼びください。>
「え!!?…そんな、恐れ多い…っていうか帝って…大げさじゃ…」
帝と言い出す姫椿に私はアワアワと慌てだす。
むしろこっちがお好きに呼んでください、だ。
姫椿の姿は本当に美しい。
こんな美しい人生前でもこちらに来ても見たことがなかった。
全ての人間が見惚れる美貌だ。
下手に出る私に姫椿は微笑む。
その笑みだけで惚れそうだった。
<いいえ、貴女様はそれ以上の存在でございます。妾を此処まで屈服させておりますもの>
「屈服って何もしてないけど…」
<帝、貴女様は妾の名を呼ぶ事が妾を屈服させた証拠なのです>
「??」
余計わかんなくなり首をかしげ、姫椿を見る。
姫椿は微笑み続ける。
<主になるであろう人間に妾の名は毒なのです。>
「ど、毒!?」
<はい。妾の名は妾の力が強すぎるために重く呼びたくとも口が動かないのです。そして妾の名を呼ぼうとする度に知らず知らす毒に侵され死に到る。だから妾を使える者は少なかった。>
「じゃぁ…私も毒に…?」
名前を呼べたけど心配なものは心配だ。
不安に思っていたら桜ちゃんがクスクスと上品に笑う。
この姉妹は本当に美人さんで羨ましい。
<これ、桜。帝に失礼じゃぞ>
≪申し訳ありませんでした、真由美様。しかし、貴女様はお姉さまの毒に侵されることはありません。≫
「え?そうなの?」
≪はい。私は少し驚いております。≫
「何で?」
≪過去少ない主を持っておりますが貴女様のように最初から言えたものは居ませんでしたから。流石は私達の主様でございます。≫
<そう。妾の名を呼ぶ事で帝は妾を屈服させた。……だから、どうか妾にも名を。桜のように呼ばれとうございます>
絶世の美女にお願いされて断れる人間はいるか?いいや、居ない。
「つ、椿…ちゃん…」
私は椿ちゃんのお願いに負けてしまった。
椿ちゃんは呼ばれた瞬間微笑が満面の笑みになり私は顔を赤くする。
それを美人姉妹はクスクスと鈴を転がすような綺麗な笑いをして余計恥ずかしい。
<さぁ、帝。妾と共に行きましょう。共に朽ちるまで妾は貴女をお守りいたします。>
そういって椿ちゃんは私の前に手を出す。
私は椿ちゃんの手にそっと触れる。
―――その瞬間
「!!? ぐっ!ゲホ、ゲホ!!」
<帝!!>
≪真由美様!!?≫
私の口から血が大量に出た。
苦しくて
痛くて
血が止まらない
私は激痛を感じ、手についた大量の血を見ながら意識を失う
遠くで桜ちゃんと椿ちゃんの声が聞こえた。
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