(41 / 158) 浦原娘主 (041)

「真由美サーン!お父様のお帰りですよ〜!」


喜助は帰ってくる早々愛娘の真由美を抱き締めようと腕を大きく開けて駆け寄る。
だが喜助が見たのは…


「阿近くん、こんな風でいいの?」

「あ、はい。それからコレをこうして…」

「じゃぁこうすれば…」

「なるほど…流石局長の娘さんですね!気付かなかった…」

「そんな…阿近くんが助けてくれたお陰だよ」

「そ、そんなことないですよ」


愛娘に必要以上に近づきベタベタ触って花が飛び散る笑みを向けられて鼻を伸ばす餓鬼の姿だった。(喜助フィルターON)
実際は真由美が阿近に手伝ってもらって何かの実験をしていただけで、鼻の下を伸ばしているわけではなく照れているだけなのだ。


「マユリ様!出来ました!」

「どれ…ほう。初めてにしてはいい出来じゃないカ。」

「阿近くんに助けてもたいましたけど」

「それでも中々なものだネ。将来が楽しみだヨ」


今度はマユリのとこへ向かい出来たものを見せる。
その出来栄えを褒められ頭を撫でられ、真由美は照れた笑みをマユリに向ける。



「ひよ里サァァァァァン!!!!あれどうなってるんスか!!?何でマユリさんに懐いてるんスか!!?何でソファから降りてるんスかぁぁぁぁぁ!!!??」

「うっさい!!知りたかったら本人に聞けや!ヴォケ!!」



呆然と立ちすくめていた喜助は丁度側にいたひよ里にすがり付く。
しかしひよ里に冷たくあしらわれた。


「ひよ里サンはアタシが真由美サンに嫌われても良いって言うんですか!!?どんだけ鬼畜なんスか!!!」

「あーもー!!鬱陶しいやっちゃな!!!!」

「ひよ里サンは真由美サンが変な男に騙されて泣いてもいいんスか!!?変な男に惚れられてストーカーされて泣いてもいいって言うんスか!!?」

「何でそんな話しになってんねん!!」


ひよ里は『もうやってられんわ!』と娘である真由美を呼ぶ。
真由美は名前を呼ばれ振り返る。
振り返ると父が号泣していた。


「お、お父様!!?」


急いで駆けつけると抱きつかれ胸に顔を埋められた。


「真由美サン酷いッス!アタシが用事で居ないのをいい事に浮気するだなんて酷いッス!!!」

「え、お父様…なに言って…」

「それも浮気相手は餓鬼んちょとドS白玉だなんて!!アタシじゃ不満だったんすか!!?」

「え…えぇ?」


意味が分からないことを言い出す父親に戸惑う真由美。
真由美は横にいたひよ里に目線を送るがひよ里は首を振って肩をすくめる。
どうしようかと喜助の頭を撫でながら考えていると行き成り浮遊感が真由美を襲う。


「わっ!」

「真由美サン!!?」

「まったく、君は駄々っ子かネ?」


真由美を抱き上げたのはマユリだった。


「マユリさん!!アタシの真由美サンを返してください!!!」

「駄目だネ。真由美には次の事を教えなくてはならないのでね、後にし給え」

「教えるって…何教えてるんスか!!」

「学ばせるために連れてきたのではないのかネ?」

「違いますよ!!真由美サンにそんなの必要ありません!!だから…」

「ふむ…だが真由美には素質がある。色々覚えればもっと他にも実験が出来るのだが…」


喜助とマユリが争っている間真由美はマユリに降ろされ阿近と二人を見ていた。
だが中々言い合いは終わらなく、仕方ないので真由美は阿近の手を引いて喜助が用意したソファに座り、ジュースを二人で飲んでいた。
ひよ里もその中に混ざってサボっていた。

結局マユリが勝ち真由美はマユリ、阿近の二人に挟まれ目を輝かせて実験を手伝っていた。

喜助は一日中泣いていて、誰も慰めてくれなかったという…

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