(44 / 158) 浦原娘主 (044)

五番隊隊長、平子真子はカランコロンと下駄を鳴らし歩いてくる人間に気付く。


「おっす、おはよーさん」

「あ、おはようッス平子サン」


その人間は十二番隊隊長、浦原喜助だった。
その左右一歩後ろには副隊長のひよ里、副局長であるマユリがいた。
平子は名前を呼ばない喜助に少しけちを付けるが笑って流される。
マユリには名前を読んだことに文句を言われた。


「あ、そういや聞いたか?あの話し。」

「どの話しッスか?」


何かを思い出しそれを切り出そうとした時の事。
ひよ里が平子の足を蹴り、平子は倒れる。


「なんやねんひよ里行き成り!!」

「うちへの挨拶が、まだや!」


ひよ里は顔を引きつかせ、平子の上に飛び乗り髪を引っ張る。
平子もひよ里の顔を押しのけ抵抗する。


「一人にだけ挨拶せぇへんて!どういうことや!!」

「なんでお前に挨拶せなあかんねん!!!」


ひよ里は平子に押し倒され平子の口を引っ張る。


「この口か!この口めか!!」


このやり取りはいつもの事なので喜助は止めもせず苦笑して見ていた。


「どうでもいいが早く帰りたいのだがネ。真由美が待ちくたびれてしまうヨ。」

「マユリサン!!だから!真由美サンに何も教えないでって言ってるじゃありませんか!!!」

「フン。そんな事私の知ったことではないヨ。第一、何故そんなに嫌がるのかネ?」

「真由美サンにはアタシだけ居ればいいんッス!!真由美サンは解剖遊びよりお人形遊びのほうが好きなんス!!」

「それはない。浦原より私の方が好きのように真由美は実験する方が性に合ってるヨ。」

「何スかそれ!絶対アタシの方が真由美サンに愛されてるんス!!!!」

「真由美…?」


マユリと言い合いになっていた喜助はマユリ以外の声がして声がした方へ振り向く。
そこには自分の隊長と十二番隊の副隊長の喧嘩に巻き込まれないようにと喜助の隣に移動した藍染がいた。
藍染は喜助とマユリの目線に申し訳なさそうに苦笑する。


「すみません…その、真由美というのは…まさか噂の…」

「そうっス。真由美サンは噂されてるアタシの可愛い可愛い娘ッスよ?」

「……本当、だったんですね…」

「はい、そうなんです。あまり大声で言えませんけどね」

「まったく…そうやってこそこそしてるより、いい加減に真由美を真央霊術院に入れてさっさと十二番隊に入隊させればいいんだヨ。」

「だってそうしたら真由美サンが虚と戦わなきゃいけないじゃないですか!駄目です!それは駄目なんです!!真由美サンの玉のようなお肌に傷をつけるだなんて…!!!」

「……親馬鹿。」

「何とでも言えばいいッス!!」

「あ、そうだ。浦原隊長、もう耳にされましたか?」

「何をっすか?」


また言い合いを始めだした喜助に藍染はある事を切り出す。


「流魂街での、変死事件についてです。」

「それや!!俺が言いたかったんは。」


『ナイス!惣右介』と親指を立てて藍染を褒める。
笑みを浮かべるがはひよ里の足に蹴られ台無しに。


「変死事件?」

「そや。ここ一ヶ月程流魂街の住人が消える事件が続発しとる。原因は不明や。」

「消える?どこかに居なくなっちゃうってことッスか?」


喜助に平子は呆れる。


「アホか。それだったら蒸発って言うわ。…大体、蒸発だったら原因だったら知るか。そいつの勝手やろ?」


そう言って平子は少し間を置く。


「ちゃうねん、消えるの。服だけ残して跡形もなく」


喜助は平子を見つめ、黙って聞く。


「死んで霊子化するんやったら着とった服も消える。死んだやない…生きたまま人の形を保てんようになって、消滅した。」


そうとしか考えられへん、と平子は言う。
だが喜助は顎に手をやる。


「生きたまま人の形を保てなく…?」


そんな喜助に平子は立ちあがり、謝る。


「すまんな、俺も卯ノ花隊長に言われたことをそのまま言うとるだけや。意味わからへん。」


そしてそのまま振り向き、喜助に背を向ける。


「ともかく、それの原因を調べるために今、九番隊が調査に出とる。」

「そうなんスか…」

「ま、時期にわかるやろ。」


そう言って平子は歩き出す。
喜助も平子の隣に移動し、他の三人も歩き出す。

すでに話題は変わっていた。

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