その頃、真由美はというと…
「これは…?」
「コレは牽星箝という髪飾りだ。」
「けんせいかん…?」
私は真由美に会いに浦原の屋敷へと足を運んだ。
真由美の世話をしているトキが気をきかせてくれて部屋には二人しかいない。
真由美は私から渡された物を首を傾げながら見つめる。
中々箱から出さないから私が牽星箝2個を出し真由美の手に乗せる。
真由美の手はとても柔らかくいつまでも握っていたく思う。
「上流貴族にしか着用を許されない髪飾りだ。真由美も上級貴族の一人だからな、つけておくといい。」
多分、今真由美は自分も貴族という事を思い出したのだろう。
その顔が少し面白くて可愛くて私は微笑む。
そんな私に真由美は恥ずかしそうに頬を赤くし俯いてしまう。
「でも、これは白哉様の牽星箝ではございませんか…」
「よい。私はまだあるから気にするな。」
「…………」
気にするな、と言っても気にしてしまうのが真由美なのだが真由美の為に用意したものなのだからこちらは引く気はない。
「私がお前に上げたいのだ。…貰ってくれるか?」
「白哉様…ありがとうございます」
「つけてやる、貸せ」
「はい」
そう言って私は真由美の前に移動し、髪を結う。
「出来たぞ」
真由美に手鏡を見せる。
牽星箝は頭の左側につけられ右髪が垂れている。
私もたまに付けるがそれと同じようにした。
私の場合右なのだが左右違いのおそろいでいいな…
「わぁ!ありがとうございます!白哉様!」
真由美は手鏡を見るのを止めて私を見て満面の笑みを見せてくれる。
それが嬉しくて私も釣られて笑う。
「お父様に見せるのが楽しみです」
「泣いたりしてな」
「否定が出来ません…」
「…すまん、言っといてなんだが私もだ…」
私達は気まずく口を閉ざしてしまう。
喜助殿は真由美を愛しているのだがその愛情がたまに心配になる。
邪な方向へ行かなければいいが…
義理でも血が繋がっていても真由美の可愛さに手を出さないという保障は…って私は何を言ってるんだ…
最近私も喜助殿と同じ脳内構造してきたようだ…
私はその邪な思いに気付かれないように牽星箝に触れる。
「やはりやめるか…」
「やです!せっかく白哉様に頂いたのに!!私はお父様なんかに負けません!!」
「大丈夫か?」
本当に…真由美は可愛い。
このまま抱き締めてもいいのだが私は喜助殿と違うので耐える。
流石の私でもそんなところを見られ変な噂でも立てられたら部屋から出れない。
何故同い年ではないんだ真由美よ…
だが無理してまた体調が悪くならないか心配だ。
「頑張ります!!」
「あまり無理は…」
「大丈夫です!」
意気込む真由美だが本気で心配になる。
また血を吐かなければいいのだが…
真由美が血を吐き苦しむ姿は見ていて心苦しい。
「あの、何故今コレを?誕生日でも何でもないのに…」
「特別な日だからと言って物をあげるのは禁じられていないだろ?」
「はぁ…そうでうが…」
「それともやはり迷惑だったか?」
「そ、そんな事ありません!!!とても嬉しゅうございます!!」
真由美の慌てようについ噴出してしまう。
からかうと面白いのでついついからかってしまう。
今もつい笑ってしまって真由美がご機嫌斜めになってしまった。
「白哉様!!」
「くく、すまない。…まぁ冗談だが三日後に備えてそれを渡したんだ。」
「三日後?」
「…聞いてないのか?」
「??」
真由美は本気で分からないらしく可愛らしく首を傾げる。
私は少し頭痛がする。
なんせ三日後には…
「三日後には貴族達の集まりがある。」
「え………えぇぇぇ!?お父様からはなんにも…」
「やはりか…」
まぁじい様も分かっていたから私を此処に向かわせたのだろうけど…
私も少し感じ取っていたが…さすがにコレばかりは出なくては…
「きっとお前を出したくないのだろう…だがいくら浦原家の当主である喜助殿でもこればかりはな…」
「えっと…どういうことでしょうか…」
「今回の貴族の集まりは下級貴族から上級貴族、そして五大貴族まで全員出席する。まったく知られていないのなら出す出さないは問題ではないんだ。だがお前は貴族では唯一の流魂街出身だ。」
「……………」
「貴族以外の血を混ぜるのは掟に反している。それを知りながらもお前を養子にした喜助殿はこの尸魂界で有名だ。だからこそお前を出してお前は貴族以上に教養があることを知らしめなくてはならない。」
「………もし、お父様がこのまま私を出さなかったらどうなるのですか?」
「……わからない。だが…このままいくと反感が強くなり浦原家は追い詰められるだろうな。そうなれば今のように自由に動けまい…今でもお前を当主にさせないために貴族達が喜助殿に必死で見合いを勧められていると聞く。」
「……………」
真由美は顔色を変える。
「簡単に言えば顔見せだな。だからお前が出る必要があるんだ。」
「顔見せ…」
不安そうに私の言葉を繰り返す。
私は安心させるように微笑みを真由美に向ける。
「安心しなさい、私もじい様もいる。砕蜂殿も。……認めたくないがあの化け猫もいる。俺達はお前を守ろう」
「白哉様……私は…皆様に愛されているのですね…」
そう言って真由美は泣き出しそうな顔で微笑む。
私はただ真由美を見つめるしかなかった…
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