(48 / 158) 浦原娘主 (048)

嵌められた…それに気付いた時はもうすでに遅かった。
藍染が平子サン達を実験台にして虚の力を発症させてしまった。
アタシはひよ里サンを助けに行き藍染と対立。
しかし逃げられた。

だが今は藍染を追うよりも平子サン達を元に戻すことが先決だ。
鉄裁サンに頼み十二番隊にあるアタシの研究室に運んで貰い崩玉を使い元に戻そうとしたが無駄に終わってしまった。
その後中央四十六室によってアタシと鉄裁サンは捕まってしまった。

****************

追放…その言葉を聞いた瞬間屋敷にいる娘を思わずにはいられなかった。
アタシが追放され、浦原家もなくなれば真由美サンはアタシと一緒に追放となる。
それはいい。
それは別に構わない。
真由美サンも一緒ならどんな辛い事でも乗り越えられる…

だが

真由美サンはいない。
浦原家を潰すわけにはいかないから真由美サンは縛られるだろう…

それが悔しい。

もっと慎重に動いていたらこうはならなかったはずだ

もっと慎重に動いていれば追放は免れなくとも真由美サンと現世で暮らせたはずだった

後悔先に立たず、とはよく言ったものだ


あぁ、でも


大丈夫だ

あの子には夜一サンも砕蜂サンも銀嶺殿も白哉サンもいる。

アタシがいなくとも守ってくれる人がいる

そう思うと少し楽になった。

だが平子サン達は虚として処理される、と聞き頭が真っ白になった。

夜一サンが助けに来てくれてアタシ達は助かったのだが…


「ありがとうッス……夜一サン」


夜一サンは着ていたマントを脱ぎ捨てる。


「礼なんぞいらん。夕べ何故わしにも一声かけんかったのかと、蹴り飛ばすのも後にしといてやる。」


アタシは手首を回し、ふと夜一サンの後ろを見ると虚化した平子サン達がいた。


「8人は此処に運んでおいた。お主が研究中じゃった新しい義骸の試作品ものう…」


夜一サンはひと間あけて顎で平子サン達の方を指す。


「さっさとやってしまえ。今回の事件の話を最初に平子から聞いた瞬間からお主が考えておった最悪の顛末とそれに対する最善の策を」


夜一サンは何もかもお見通しだった。
アタシは平子サン達に時間停止をかけるよう鉄裁サンに頼んだ。


****************


「…喜助」

「はい?」

「真由美を連れて来れなかった…すまんな…」


アタシは夜一サンの言葉に振り返り見つめる。


「………あの子なら…大丈夫ッスよ…」

「だが…」

「あの子は聡明な子ですから…きっと分かってくれます…」

「じゃがまだ子供だぞ…」

「……夜一サン、お願いですからアタシの心をかき回さないでください……」

「喜助…」


不安で潰されないように必死に声を絞り出したアタシに夜一サンはただアタシを見つめていた


「アタシだって心配なんス…不安なんス…もしあの子にこの実験はアタシがやったのだと周りに言われ信じてあの子に嫌われたらって…不安なんス…」

「…………」

「あの子はきっと辛い人生を送ってしまうでしょうね…大罪を犯した娘として一生を生きていかなくてはならないんスから…貴族以外の血を嫌う貴族達に嫌がらせもあるだろうし肩身の狭い思いをさせてしまう…だが…あの子は大丈夫。トキ達だっている。砕蜂サンも朽木家の人達もあの子の味方だ…だからあの子はアタシが居なくても大丈夫。そう思っていないと立ってられないんスよ…だから…」

「もうよい…」


夜一サンは途中でアタシを止める。
見ると夜一サンは眉を顰め泣きそうな顔をしていた。
夜一サンを責めているわけではない。
ただ、口にしないと本当に平常心を保っていられないからだ。

あの子は泣くだろうか

アタシに裏切られたと、捨てられたと憎むだろうか

それともアタシなんて忘れて暮らししまうのだろうか

それでもいい

あの子が幸せならどんなに憎まれても嫌われても構わない。

だが…一つだけ気掛かりがある

藍染が呟いた言葉…


「君には感謝しなくてはならないね。君が大事に育ててくれていたお陰で五体満足で"アレ"をあの方に献上することが出来る」


その時は何言っているのか分からなかったが…
まさか…

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