夜一サンから聞いた時は耳を疑った。
「夜一サン、それ本気言ってます?」
「あぁ、本気で言っておる。」
「…アタシは仕事が…」
「そんなもの他に任せておけばよい。さっさとゆけ」
「………………」
アタシは隊長である夜一サンに逆らえないから山賊が出たという区域に向かう嵌めになった。
(なんでアタシが…この仕事は新人の仕事でしょうに…というかコレ、アタシの仕事じゃないでしょう…)
文句を言いつつも逆らえないのが縦社会。
悲しいかな。
アタシはその縦社会の中に立っていたりする。
数人の新人と同僚を連れ泣く泣く行くのであった。
****************
正直、舐めていた。
なんで虚でもないのに、と。
だが
これは余りにも
惨すぎる
「う、浦原三席…」
後輩の声に我に返ったアタシは早速生存者を探すよう命令する。
死神達は、特に新人たちは恐々と生存者を見て回る。
新人はまだこんな惨い有様に慣れていないのだろう。
可哀想だがこれも経験。
これに慣れないと死神として生きていけずこの死体と同じ結末になる。
アタシも夏なのに何故か寒く息を白くさせながら生存者を探す為この原因不明の寒さにも警戒しつつ、動く。
見て回っても生存者は見られない。
山賊らしき者とそうでない者が入り乱れ探すのも困難だ。
しかもところどころに氷で何かを閉じ込めてあり、その中に赤いのが見える。
多分コレは血だ。
中を見ようとしても鉄のように堅くて壊すことは不可能だった。
そしてこんな芸当が出来るのは斬魄刀しかない。
山賊の中に斬魄刀が使える者がいるのだろうか…
「ギャァァァ!!!!!」
「!! 何だ!?」
この悲鳴は後輩のモノだろう。
アタシは急いでその者の元へ向かう。
もしかしたら山賊が再度来たのかもしれない…!!
「これは…!」
アタシが見たのはさっきも見た氷の塊と赤い血、そしてその中には一緒に来ていた死神だった。
誰がやったのだろうか…
まだこの近くにいるのだろうか…
アタシは後輩だった死神を見向きもせず回りを警戒する。
いつまで悲観に浸っているわけもできないのだ。
此処は戦場と一緒。
呆けていたら殺される。
「ッヒギャアアアアア!!!!」
「キャアアアア!!!!」
「ギャアアアアアアア!!!!!」
次々と上がる後輩の悲鳴。
悲鳴が上がる前に皆を集めようとするのも邪魔され仲間を守れない。
「くそっ!なんなんだ!!」
アタシは仲間を守れない苛立ちと正体が分からない苛立ちで悪態をついてしまう。
だが次の瞬間殺気を感じ、後ろに飛び避ける。
「な!?…子供!?」
現れたのは一人の子供。
その子供は全身血だらけにして自分の身長より大きい刀を地面に叩きつけていた。
避けなければアタシが割れた地面のようになっていたであろう。
子供は地面にめり込んでいた刃を上げズルズルと引きずりながらコチラにゆっくりと近づいてくる。
しかしその瞬間急にいなくなる。
背後に気配を感じアタシは紅姫を抜き子供の刀を止める。
あと少し遅かったらアタシの首は斬られていたでしょう。
「瞬歩!?……ッ!!!」
子供が消えたのは瞬歩その物の動きだった。
死神ではない子供が使えることに驚愕しているその間も子供はアタシに切りかかってくる為、考えるのを後にする。
そしてその子供の持つ刀が冷気を纏い地面へ向かって思いっきり刀を刺す。
アタシは咄嗟に高く飛び屋根の上に避難する。
数秒前にアタシがいた場所には周りの氷と同じように氷が出来ていた。
子供はワタシを見つめ首を傾げ、氷とアタシを交互に見る。
アタシはその隙を見逃さず素早く子供の後ろにつき首に一発軽く入れる。
気絶し、身体が前へ地面に倒れる前に片手で支える。
そして抱きかかえとりあえず夜一サンの所へ連れて行くことにした。
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