朽木家に着き通された部屋には真由美とトキしか居なかった。
真由美はしゃんとして真っ直ぐ前を見つめていた。
トキは隅に控え真由美を見つめるしか出来なかった。
「真由美…」
「銀嶺様…お忙しいところ、申し訳ありません」
「…よい、気にするな。」
真由美は銀嶺に頭を下げようとするが銀嶺に止められる。
銀嶺は真由美の顔を見て眉をひそめる。
きっとまだ無表情なのだろう。
真由美は前に手をつき頭を下げる。
「今回ここに来たのは…喜助殿のことか?」
「……はい。話しに聞くとお父様は大罪を犯し、追放されたと…しかし失踪したとも聞きます。銀嶺様は死神でいらっしゃるのでどういった罪なのかお聞きしているかと思い来ました」
「……………」
銀嶺はただ真由美を見つめるだけだった。
真由美も頭を下げたままでしばらく沈黙が続く…
「真由美よ、それを知って何とする。」
「………何も。」
「何も…か…」
ふと銀嶺は微笑む。
真由美は頭を上げることはなかった。
「頭を上げよ」
「…はい」
「お前の父、喜助殿は五番隊隊長をはじめとする8名の死神に虚化の実験をしたと聞かされておる。その為追放とされた…だが何者かによって姿を消した」
「……その何者かが夜一様…」
「!!…知っていたのか……」
銀嶺は真由美を気遣い夜一の名を出さなかったのだろう。
だがあの死神に会い、真由美は知ってしまっていた。
「先ほどこちらに来る前に中央四十六室に来るよう言われ、その時に夜一様のことを聞きました」
「中央四十六室が…?」
「はい。ですが私は何も知らぬゆえにお引取りを願いましたが…」
「……真由美」
真由美は冷笑を浮かべてている。
「お父様が大犯罪を犯したと世間で言われているのです。今更中央四十六室の申し出を断ったとて大して変わりはしません」
「…………」
銀嶺は真由美の言葉を聞き、ゆっくりと目を閉じる。
「私は既に浦原家二十五代目当主でございます。中央四十六室を怖がっていたら浦原家は私の代で終わってしまいましょう。」
「お嬢様!?何を…」
「トキ、もう決めたの…私はお父様の跡を継ぎます」
トキは何も言えずにいた。
銀嶺は黙って聞いていたが目を開け、真っ直ぐ真由美を見つめる。
「なら、五大貴族に入れ」
「…それはお父様が蹴ったのでは…」
「いや、まだ保留になっておる。」
「……入れるのでしょうか…」
「わしが何とかしよう。とにかく、今は貴族としての地位を得て味方を作るのがいいじゃろうな…」
「味方…」
「…無理にとは言わん。味方を作っておいた方が何かあったときどうにか出来るからの。まぁ、少なからず朽木家、蜂家は真由美の味方じゃ」
「銀嶺様…ありがとうございます」
真由美は銀嶺に頭を下げた。
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