集まり、という事で普段顔を合わせない貴族が多く部屋に入ってくる。
京楽家の次男である春水もその一人で、友人の姿を見た彼は浮竹の元へ駆け寄る。
「ちょっと浮竹、聞いたかい?」
「京楽…挨拶もなしになんだ?」
というか珍しいな、お前が来るだなんて。とからかう浮竹に京楽は頭をかきながら目をそらす。
「それがさぁ親父にポーイって投げ込まれちゃってねぇ。真央霊術院の再来さ……ってそんな事はいいんだけどあの噂聞いたかい?」
「噂?」
「ほら、追放されたという浦原喜助殿のお譲ちゃんの噂…」
「あぁ、その話しなら聞いたことがあるよ。」
さすがの京楽も大きな声で言えなかったのか小声で話す。
それにつられ浮竹も小声になってしまう。
「なんでも中央四十六室の申し出を断ったとか…」
「そうなんだよねぇ…それで中央四十六室のおじいちゃん達怒っちゃってんだってさ。」
「まだ幼いんだろ?何で周りも止めなかったんだ」
「さぁ…でも邪険にしているって話しも聞かないしねぇ…逆に愛されてるらしいよ、その子」
浮竹は優しく子供好きなのでまだ幼い当主の危険な行動を諌めなかった周りの者に対して眉を顰める。
京楽はそんな浮竹に苦笑いを浮かべる。
「でもさ、十二番隊にも出入りしてたらしいし、何か知ってるって思ったんだろうねぇ、中央四十六室は。」
「…子供が何を知っているというんだ…あんな実験、子供には酷すぎるだろうに…」
浮竹はまだ見ぬ子供を哀れみる。
「あぁ、でもその時浦原家の敷地内に一歩でも入ったら容赦しないと言ったぐらい気丈な子だろうから案外平気かもよ?」
「平気って…」
「それに迎えに行った死神が恐怖で震えていたってのも聞いた。」
「……お前の情報網ってどうなってんだ…?」
浮竹は呆れた顔を浮かべ京楽を見るが本人は曖昧な笑顔を浮かべるだけで何も答えない。
「なんにしても、そのお嬢さんは今日、悪い意味で周りの視線にさらされるんだろうねぇ…」
「そうだな…」
「流魂街出身の貴族、ってだけで噂の的なのに父親は犯罪を犯し追放。そして中央四十六室の申し出の断り…どうなるんだろうねぇ…」
「お前、楽しんでないか?」
「まさか。」
浮竹の言葉に京楽は肩をすくめる。
そんな京楽に浮竹は溜息を吐く。
暫らく二人は会話を楽しんでいたが急にザワザワと周りが騒ぎ始めた。
その原因はどうやら噂の的になっている浦原家当主が到着したらしい。
「あらら、来ちゃったんだ…来ないと思ってたよ」
「来なくてはならなかったんだろうな…」
二人はジッと扉を見つめる。
二人だけではなく、周りの貴族たちも扉に釘付けである。
扉はキイと音を立てゆっくりと開かれる
出てきたのはまだ幼い女の子。
綺麗な着物を着ていて、貴族だけに着けることを許されていない牽星箝を左に付けていた。
その姿は流魂街出身だという事を忘れるほどの美しさだった。
その上手を引いているのは四大貴族の朽木家次期当主である朽木白哉である。
注目するなというの方が難しいのだ。
二人は周りの目線をもろともせず自分達の席に着いた。
犯罪者の汚名の人間を出しているとしても浦原家は四大貴族に次ぐ上級貴族だというのは変わりないのか、同じように四大貴族に次ぐ位を持つ霞大路家の向かいに座る。
それによってどよめきが生まれるが朽木白哉の睨み一つで収まり、目線も和らいだ。
その後白哉と浦原家当主は会話が弾み、度々笑い声が聞こえる。
****************
「いやー…あんなに美人さんだったとはねぇ…浦原くんが溺愛するのもわかるよ。」
「あぁ、だが張り詰めた空気の中よく笑顔でいられるものだ」
「肝が据わってるねぇ」
二人は関心した目で見ているとある気配を感じ、京楽は自分の席と戻り他の貴族も同じように戻る。
暫らくして山本元柳斎重國が入ってくる。
「皆に知らせがあるのじゃ…知らぬ者はおらぬと思うが浦原家の当主が変わる。」
山本元柳斎はそう言って真由美に目線を向ける。
真由美は皆に顔を見せるように斜めにずれ、座りなおして頭を下げる。
「お初にお目にかかれます。浦原家二十五代目当主の浦原真由美と申します。以後お見知りおきをお願いします」
真由美の挨拶に白哉はただ見つめていた。
顔には少し安堵の色を浮かべている。
浮竹や京楽は子供らしくない滑舌のよさに少し目を丸くする。
山本元柳斎は真由美に頷き話しを進める。
それを聞きながらも貴族たちは真由美に気を行ってしまう。
「浦原家を入れ、四大貴族は五大貴族とする。」
山本元柳斎が突然言い出す事にその場は静かになる。
「な、何をおっしゃっているのですか!」
「その者は流魂街出身!五大貴族になど入れれるわけないでしょう!!」
「これは決定じゃ。朽木家を始めとする四大貴族には了解を得ている」
反対する貴族が次々と声を上げ、山本元柳斎の一声で再び静まり返る。
「だ、だが浦原家は既に犯罪者が出ているではありませんか…そのうえこの者は中央四十六室の申し出を断ったと聞きます。そのような者が五大貴族などとんだ馬鹿げた話しではありませんか?」
一人の貴族が引き下がらず、それにつられた貴族達が再び声を上げる。
「おーおー…怖いねぇ」
「そうだな……ってお前!何で此処にいるんだ。席についたらどうだ」
「そうしたいのは山々なんだけどね、あの人達が僕の席、占領してるんだよね…」
まったく困ったものだよ、と首を振る。
困ったのはお前だ、という言葉を浮竹は飲み込む。
「黙れ」
呆れていた浮竹の耳に静かだが冷たい声が入る。
周りも聞こえたのか静まり返っている。
「貴様等より真由美の方が貴族に相応しい。」
「ど、どこがだね」
「気品・品格・教養…どれをもってもお前達にはないものを兼ね備えている。」
「な…!? 貴様!!たかが次期当主のくせしてなんという無礼なことを…!!」
「本当の事を言ったまでのこと…貴様等は貴族と言う名前で好き勝手やっているではないか。力のないくせに威張るだけでは」
「ぺい!!」
山本の一喝に二人は動きを止めた。
その場は静まり返り山本元柳斎を見つめる。
「これは決定じゃ。言い合いをするなら二人の時にするがよい」
「しかし…」
「浦原家になにか不満が御有りなのですか?」
「…な…べ、別に…」
行き成り入り込んだ真由美に尻込みする。
だが真由美はたじろぐ貴族を射るような眼差しを向ける。
「ですがなにか不満が御有りのようでしたが…」
「いや…わ、私は皆の意見を…言ったまでで…」
「皆様の…皆様が反対ならどうしようもありませんね…」
「そ、そうだろう」
「仕方ありませんね…銀嶺様にご迷惑をおかけすることも出来ませんし山本様も是非にと言ってご無理を聞いてくださったのに…皆様のご意見なら四大貴族様と山本様のご苦労も水の泡となるでしょうね…」
真由美は『まぁ、皆様がそう仰るのならしかたないですね』といい、大量に汗をかく貴族をチラリとも見ず溜息を吐く。
「わ、私は反対などしてはいない!!賛成だ!!」
「そ、そうだな!四大貴族や山本殿の推薦なら反対する理由がない!!」
すると次々と賛成意見が飛び交う。
四大貴族と山本元柳斎の権力様様だ。
その場には既に反対意見のものはいなくなり、別の話しになっていた。
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