(54 / 158) 浦原娘主 (054)

集まりは数時間で終了し残るは参加自由の夕食会という名の宴会だけだった。
浮竹と京楽は夕食を参加する為ある小部屋にいた。
窓を開けると桜が舞い散り二人はそれを見ながらお茶をしていた。


「いやぁ〜結構肝っ玉が据わってたねぇ、あの子。」

「そうだな。最後なんて脅していたな」

「それよりあの朽木家の次期当主のあの鼻の下の伸ばしよう見た?」

「鼻の下なんて伸びていたか?」

「伸ばしてたよ〜しょっちゅうあの子の髪を触ったりしてさぁ…アレは惚れてるね。」


嬉しそうに言う京楽に浮竹は首を傾げる。


「俺はそう見えなかったが…」

「鈍いねぇ…だから卯ノ花隊長に想いが届かないんじゃない?」

「な…何を言って…そんな…俺は別に…」

「まぁまぁ、落ち着いてコレでも飲みなさいって……ん?」


あたふたと慌てふためく浮竹を余所に京楽は何かを見つける。


「あれは…」

「どうした、京楽……ん?あれは朽木白哉と浦原真由美じゃないか…」


浮竹は京楽の様子に我に返り自分も窓の外を見る。
二人が見たのは桜を見上げる白哉と噂の的の真由美がいた。
真由美が白哉の前で小走りに走り、白哉がゆっくりと真由美の後を着いて歩いている。
真由美の目線は桜と桜の花びらだが白哉は確実に真由美にロックオンされている。


「ほら見なよ、あの顔の締りのなさ。」

「…そうか?俺は変わらないように見えるが…」

「いやいや。あの無表情の朽木家の坊ちゃんにしてはデレデレしてるって…」


会話は進むが目線は二人に釘付けである。
しかし、二人の会話を聞こうと自然と口は閉じていく。
因みに、京楽たちがいるのは二階。
結構低い為、頑張れば聞こえる距離である。


「白哉様!!すごいですね!桜一色です!!」

「真由美、こけるぞ?」

「大丈夫です!こけたって白哉様がおられますもの!」

「真由美……まったく、お前という者は…」


言い切られた白哉は真由美に苦笑い早足で真由美に近づき抱き上げる。


「び、白哉様!!」

「この方が怪我もない。それに桜も良く見えるであろう?」


白哉は苦笑いを微笑みに変え真由美に向ける。
そして真由美の頬を親指で擦る。



「……な?」

「…これは…俺でも分かる…まさか朽木がな…」

「驚きだよねぇ…あの堅物な坊ちゃんが年下の…しかも自分より大分下の子に惚れるなんて」

「そうだな…」


二人は今だ目線は白哉達にある。


「そういえば、今日砕蜂様がおられなかったですね…」

「…まだ、四楓院夜一に置いて行かれたことを引きずっているんだろう」

「…………」


真由美は無言になり俯く。
白哉は真由美を抱き締める。
そしてどこかを睨みつけ、その場を立ち去る。


****************


「…怖いねぇ…睨まなくたっていいじゃない?」

「あぁ、そうだな…だが、蜂家とも繋がりがあったのだな。」


そうみたいだねぇと生返事の京楽に浮竹は京楽に目線を向ける。


「どうした、何かあるのか?」

「いやねぇ…あの譲ちゃん、これからどうするのかなぁって思ってね」

「お前が気にするとはな…今日あたり雨が降るんじゃないか?」

「酷いなぁ…僕は世界中の女の子の味方なの」


はいはい、とあまり相手にしない浮竹に『本当なのにー』と拗ねたマネをする京楽。
しかし浮竹がお茶をよそったとき、白哉達がいた場所を見つめ、呟く。


「あのお譲ちゃんは只者じゃないなぁって思っただけだけどね…」

「何か言ったか?」

「いんや?何も」


首を傾げて見る浮竹に京楽は笑って誤魔化す。

京楽は見ていた。
白哉がコチラを睨んで去る際に背中を見せたとき、あのお譲ちゃんがこちらを見ていた。

あの子供は大人びている。
ませているのではなく、子供らしからぬ考えを持っているのだろう。
でなければ大人を黙らせることなんて出来ないであろう。
それも脅しという手段を使って。
浦原家を背負う事がそうさせたのか、違うのか分からないが京楽は彼女の将来が楽しみで仕方ない。

京楽は浮竹の入れたお茶を飲みながら笑う。
浮竹はそれを不気味がるがすぐに元の表情に戻った為、気にしなくなった。
そのまま二人は此処で夕食会まで時間をつぶした。

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