私が浦原家の当主となり五大貴族になったら今まで見下していた貴族達が媚を売ってきた。
勿論それは表でのことで、私がいないところでは好き勝手言っている。
別に私のことを言われても構わない。
だが浦原家に使える者達やお父様の事を聞くのは辛い。
お父様の部屋はそのまま残している。
しかしトキ達には入らないよう言ってある。
たとえトキ達でも入ってもらいたくないからだ。
お父様の部屋は私が掃除する。
いつでも戻ってこれるように…
あれから私は十二番隊に行ってない。
行ける訳がない。
行ったって皆お父様を疑っているんだもの…マユリさんと阿近くんに白い目で見られるのが怖い…
今日も私はお父様の部屋を掃除して寂しさを紛らす。
「お父様…身体を壊してなきゃいいけどな……あれ、コレなに?」
私は不自然な紐を引っ張る。
すると地下へと続く階段がある。
そのまま進むと一気に視界が明るくなった。
暗闇から明るいところに出た事で私は目をつぶるが直ぐ慣れて目を開ける。
すると二番隊のような地下が広がっていた。
だがまだ造り途中なのか道具やら何かが落ちていた。
「……これは…」
私は唖然と広がる風景を見ていた。
まるっきし二番隊の地下だったからだ。
違うところと言えば草原があり湖があったり休憩所がちゃんと作ってたり…
「…お父様ったら…本当、過保護なんだから…」
私はここを何のために作ったのか分かり今まで我慢していた悲しみが溢れそうになる。
しゃがみ込み地面に片手を付く。
すると視界は歪み、涙が地面を濡らしていく。
「………会いたい…会いたいよ…」
溢れたモノは止められなくて私は声を出して泣き続ける。
連れ出せなかったと言う夜一様の理由は頭では分かっていたが何故私も連れて行ってくれなかったのかと思わざるを得ない
今まで椿ちゃんを制御できるようにと頑張っていたが今はもう修行する気も起きない。
椿ちゃん達も分かっているのか話しかけてもこない。
椿ちゃん達は他の斬魄刀と違い形を持たないので私の影に入っているらしい。
だから話しかけることも可能だと教えてくれた。
流石最強姉妹だな、と思ったよ。
「……椿ちゃん…いる?」
<ここに…>
今まで色々あって忘れかけた自分の斬魄刀に話しかける。
するとすぐに椿ちゃんから返事が来て姿を現す。
「お父様…いなくなっちゃった…」
<………>
「…私、浦原家の当主なっちゃった」
<家臣達がおられます。あの者達は決してあなた様を裏切らない>
「うん…知ってる」
それは分かってる。
トキ達は私を裏切ったりしない。
だけど…
「だけどトキ達とお父様は違う…」
<帝は…お父上様に裏切られたとお思いですか?>
私は椿ちゃんの言葉に固まる。
椿ちゃんは固まった私にこれ以上喋らなかった。
「……そう、だね…例え置いて行きたくて置いて行った訳じゃなくても何で、って思うよ」
<帝…>
「私、当主になってわかった。どんなにお父様に守られてるか、って事が…貴族達の圧力や私腹を肥やす人達…正直いつまでこの威勢を保てるか分からないわ」
<……憎ぅございますか?>
「どっちに?置いて行ったお父様?それとも犯人?」
私は椿ちゃんの言葉を鼻で笑いながら答える。
椿ちゃんは気分を悪くする事なく…と言っても私は椿ちゃんではなく顔を地面を向けているのだから分からないのだが…彼女は決して私に怒るということはしない。
私の忠実な斬魄刀だ。
私の命令に背かず、私の言ったことをやり遂げる。
まるで忠犬かロボットのようだった。
桜ちゃんはまだ表情に出たり、態度に出たりするけれど椿ちゃんはそういうのがない。
だからたまに椿ちゃんが怖くなる。
「……椿ちゃん、桜ちゃん」
<はい。>
≪はい…≫
桜ちゃんも呼べば椿ちゃん同様すぐ姿を現れてくれる。
私は広々と広がる地下を見渡す。
「……ここ、完成させようか…」
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