「こ、婚約?私と白哉様が…ですか?」
真由美は行き成りの話に目を丸くするし、銀嶺を見やる。
「うむ…まぁ本気で結婚しろとは言わぬ。真由美が五大貴族になってからと言うもの見合い話しが頻繁に来ると聞いてな、手を打っておいた方が良いと思っただけじゃからな。」
「私もトキには聞いてますが全てお断りしてますし、それに例え形だけとはいえこんな婚約者では白哉様がお可哀想では…」
それに朽木家がお嫌になられるのでは…?と心配そうに銀嶺を見るが、銀嶺は目を細め笑う。
「なに、心配するでない。朽木家は白哉の婚約者が真由美で大喜びしておるわ。それに白哉にも了解を得ておるから安心しろ」
「…ですが白哉様はあの性格ですし…」
「確かに、白哉は当主であるわしが命令したらどんな人間でも婚約すであろうのう…じゃが、真由美に関しては命令せずとも喜んで婚約者するからその辺は気にすることではない。」
どんなに遠まわしに遠慮しているのに銀嶺は引き下がらない。
真由美は気付かれないように溜息をつく。
「急のこと故、少々お時間を頂きたいですが…」
「よい。わしもすぐには了解してくれるとは思っておらんからの」
そう言って銀嶺は真由美の頭を撫で、暫らく会話をした後帰っていく。
帰る際、『いい返事を待っておるぞ』と言うのを忘れずに。
****************
真由美は銀嶺を見送り部屋に戻って一息ついて重い溜息をつく。
「お嬢様…白哉様は申し分ない方ではありませんか…なぜお断りをしたのですか?」
「トキ…私は白哉様にご迷惑をおかけするなんてこと出来ないの」
「お嬢様…」
「……お父様の部屋に行きます。誰にも近づかせないでね」
トキはまだ納得できないという顔をしているが反論も受け入れないのを分かっているのか、頷きその場を立ち去る。
真由美は部屋を出て喜助の部屋の地下へ向かう。
ここ数ヶ月は三人で頑張っている…と言うか真由美はさせてもらえず二人が頑張っているので着々と完成に近づいており、早く完成させたくてウズウズしていた。
家臣達は主人は気丈に振舞っているが本当は父親の事を引きずっている可哀想な主人、と勘違いをしていた。
本当は引きずってはいるが秘密基地を作るのに夢中で悲しんでいないだけだった。
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