(60 / 158) 浦原娘主 (060)

私が白哉様と婚約して早数年。
今までの影口が増えた。
人の噂も75日との事ですぐ飽きるだろうと思ったがそうでもなかった。
貴族と言うのは暇なんだな、と思ったね。
だが流魂街の者が貴族になり五大貴族になったのも気に食わないが朽木家の次期当主である朽木白哉の婚約者になったのだ。
不満も溜まるだろう。
私が白哉様との婚約を断った理由。
それは私への不満が朽木家にも向けられることだ。
今まで迷惑をかけたのに更に迷惑をかけることをしたくなかったのだ。



「白哉様…申し訳ありません…」

「真由美が何も気にする事はない」


白哉様はお優しい方だからそう言ってくださる。
婚約してから白哉様はよく浦原家に来てくれる。
仕事であまり来れないがコチラを気にしてくれて手紙も頻繁に受け取る。
白哉様は私を膝の上に乗せるのが好きだ。
婚約する前…いえ私が白哉様と知り合ったときから私を膝の上に乗せていた。
だからなんだ、と言われればそれまでだが…
正直言って私は幼児から少女になった。
ちょっと絵的に辛いところがあるんじゃないでしょうかね…


訓練はあれから欠かさずしている。
基本集中力や力のコントロールなので怪我もしないから怪しまれることはない。
でも最近は椿ちゃんと接点を持とうとするから気を抜くと吐血する。
トキにはバレてしまったけど皆に言わないように言っているから心配はないと思う。


「けほ…」

「!真由美、大丈夫か?」


今もつい気を抜いてしまって咳が出た。
その度にトキも白哉様も大げさにする。
今だって背中を擦って布団を用意させようとした。
流石に止めたがこんなところは昔とかわらっていなかった。


「本当に大丈夫なのか?」

「もう、白哉様ったら…昔から大げさなんですから…今はもう血も吐くこともなくただ咳が出るだけです」


白哉様はまだ納得いかないという顔をして私を見る。
よっぽどあの血を吐き出した私が頭に残っているのだろう。
私もあの苦しみは忘れられない。
最近もそれに近い苦しみが私を襲い不安で一杯だ。
だが安全とは言えないが前のように大量の血を吐くこともないので、少しずつ椿ちゃんを制御できていると思うとこの苦しみも我慢できる。


「最近、寝ていないと聞いている…無理をしているのではないか?」

「それは……」


正直言って私は無理をしている。
早く死神になりたくて、お父様と同じ死神になってお父様と同じ職につきたい…
でも椿ちゃんは最強という名を持つだけあって中々上手くいかないのだ。
この前も無理が祟って気絶した。
幸い数分で目を覚め大騒ぎにならなかったがそれ以来椿ちゃん達は私の様子を見て訓練をするようになった。


「やはりな…倒れてはいないな?」

「……………」

「真由美…」


白哉様の勘は侮れない。
というか考えればすぐ分かるのだがそうじゃなくてもこの方はすぐに気付く。
私は覗き込んでくる白哉様の目線を避けるように目をそむける。


「何をしているのかは聞かぬ。…だが…あまり無理はするな…心配するこっちの身にもなってくれ」

「……はい」


私は渋々頷く。
それを見た白哉様はあまり信じた顔はしていなかったがとりあえず納得してくれたらしく、これ以上何も言わなかった。

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