(68 / 158) 浦原娘主 (068)

「次は実技…」

「そうだな。…大丈夫か?」

「わかんない…」


実技と言っても授業のように生易しくないだろうという事は此処に来ている者全て分かっている。
冬獅郎は少し緊張しているが余裕があるらしく真由美を心配してる。
だが真由美はどんなに最強に近い姫桜を持っていても真由美自信の実力がまだ追いつけていない為に勝てるか不安である。
面接より顔を青くして出番を待つ真由美に冬獅郎は本気で心配する。


実技の相手は先輩方らしい。
つまり死神相手だ。
本気で掛からなければ死にはしないが怪我は免れない。
実技では勝敗は関係ない。
勝てばその分評価も高いが相手の死神は結構上の人間らしいから勝つのは無理な話しだ。
とにかく実力を隊長や死神達に見せればいいらしい。
結構アバウトな審査なんだな、と緊張する真由美は思った。

面接の時の順番で行われ1〜4人まで呼ばれ一斉に戦う。
冬獅郎もすでに終わっていた。
斬魄刀はすでに持っているということが有名のため驚きはしないが姫桜に冬獅郎の斬魄刀は氷雪系最強らしく、それは驚いてしまった。
『最強は桜ちゃんじゃないの?』と聞いたら姫桜と姫椿はどの属性に属さないと言われ混乱する真由美。
首をかしげる主に説明する前に冬獅郎が戻ってきてしまい、姫桜は主の影に引っ込んだ。


(ねぇ、どの属性に属さないってどういうこと?桜ちゃんって鬼道全てが属性なんでしょ?)


影に入ってしまって説明も聞けなかった真由美は声に出さず姫桜に声をかける。
冬獅郎は緊張しているのだろうと勘違いし声をかけることはなかった。


≪私とお姉さまの存在が特殊過ぎる為なのと、その強さから除外されたのです。≫

(どういう事?)

≪つまり、私達は特別な存在なのです。私達を持つ者は待遇がいいんですよ≫


『よかったですね、VIPですよVIP!』と一人で興奮している姫桜に余計混乱する真由美。
首をかしげていると誰かに肩を叩かれる。


「次、お前だぞ」

「え!?」


冬獅郎に言われて前を見ると自分以外が立っていて死神と隊長達の目線独り占めだった。
真由美は慌てて自分の戦う死神の元へ急ぐ。
正対する死神は男だった。
その男は睨んでくる。
真由美は睨まれたって平気のためにケロっとしている。


「君、斬魄刀はどうした。」

「あります」

「あるって…持ってないじゃないか」

「ありますから。」

「……あのね、斬魄刀を持ってないとしっか…」

「待て」


斬魄刀は持っている。
ただ自分の斬魄刀は形を成さないために影が封印時の日本刀代わりなだけである。
しかしそんな事は真由美しか知らないため、斬魄刀を所持していないと思われても仕方がない。
死神に失格を言われる前に誰かが止める。


「砕蜂隊長…」

「この者が持っていと言っているのだ、やらせてやれ。」

「しかし…斬魄刀を持っておられない者を戦わせるなど…」

「…真由美、持っているのだろ?」

「はい」

「なら構わないだろ」


突然砕蜂が割り込み、試合を続行させる。
これでまた注目の的になっていた。
心配そうに見ていた冬獅郎はホッと息をつく。
砕蜂は唯一真由美のもつ斬魄刀を知っているため止めてくれたのだと真由美は砕蜂に感謝する。


「では……始め!」


開始の声を境に真由美の空気は変わる。
表情もキリっと鋭くさせ目の前で構える死神を射抜く。
その変わりように死神はたじろぎ、距離を測る。
少しの間、にらみ合いが続き埒が明かないと思った真由美は片手を前に出す。
それに死神は反応し、警戒を高める。


「咲き乱れろ、姫桜」


真由美が解号を唱えると同時に桜の花びらが舞う。
その花びらに死神は臆し、周りを見渡してしまう。


「蛇血氷」


真由美が何かを呟いた瞬間桜の花びらに気を取られていた死神の足元から数本の尖った氷が飛び出す。

死神は瞬時に避けるがその氷は追ってくる。
既に避けきれず怪我を負っているが気にする余裕がなかった。
真由美は蛇血氷を巧みに操り死神の体力を削り、余裕さえ無くさせる。
しかし、死神も負けておらず炎の渦を作り上げ氷を破壊すしようと試みる。

だが氷は壊れるどころか破壊すら出来ず今もなおしつこく死神を追い続ける。


****************


「あの斬魄刀は…」

「…姫桜か」


たまたま真由美の始解を見た藍染と狛村は真由美の戦いを観戦していた。


「まさか姫桜を持つ者が現れようとは…」

「それも完璧に使いこなせているね」


『相手が遊ばれているよ』と微笑みながら言う藍染に狛村は何も言えなかった。
狛村は真由美が恐ろしく見えている。
最初は朽木の知り合いだという事で注目していたがあの姫桜を所持している、という事でまた違う意味で注目の的になっている。


「これは卯ノ花隊長に取られたね…」


『狙ってたんだけどな』、と呟く藍染の言葉など狛村には届いていなかった。
ただその場から動かず死神を弄ぶかのように氷を動かす無表情の真由美を見つめていた…


****************


その頃、弄ばれている死神は必死に氷から逃げていた。
一見その死神が情けなく見えるが死神の行動を先読みし先回りするので結構きついものである。
しかし先輩のプライドで持ち直し、真由美の後ろに回る。

この瞬間死神は勝利を得たと確信するが斬魄刀が真由美に届く前に場外へ弾き飛ばされる。

壁にぶつかり気絶する死神。
そして真由美は後ろを向き立っているだけ。
急な決着と理解できないものに会場は静まり返る。


「し、勝者…浦原真由美!」


審判の声で皆は我に返りざわめく。
真由美は素早く冬獅郎の元へ戻ってった。


****************


「ただいま」

「お、おかえり…」


冬獅郎は唖然としていたが真由美に声をかけられ我に返る。


「ってお前の斬魄刀って姫桜だったのか」

「うん、言ってなかったっけ?」


聞いてねぇよ!と叫びたかったのをぐっと押さえ頷くだけにした。
『これでまた騒がれるぞ』と冬獅郎はうんざりした顔で真由美に忠告した。


「あ、でも冬獅郎くんも氷雪系最強の斬魄刀を持っているわけだし、私と同じで騒がれるかもね」


笑顔でのほほんと言われ冬獅郎は溜息をつくしかなかった

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