「直ちに治療を開始。ただし周りの警戒を怠るな!」
「「「はっ!」」」
俺は虚に傷を負わされ挙句の果てに逃げられた。
立っていられなくなるほどの傷を負わされ、副隊長として情けなくなりいっその事このまま死にたいぐらいだ。
「ぐっ…」
「!何を…安静になさってください!!」
俺はまだ間に合うと思い碌に立てない体に鞭打って立とうとする。
だが傷は大分深いため体が言う事を聞かない。
俺は誰かに肩を押されゆっくり倒される。
「お、前は…」
「喋らないでください。いま治療をいたしますので暫らく辛抱です」
そいつの顔を見るが目が霞んでよく見えなかった。
しばらくして俺は気絶した…
****************
真由美は部下達に的確に指示し六番隊全員無事に尸魂界へと連れて帰ることが出来た。
六番隊の中には副隊長の阿散井恋次がいた。
副隊長さえ深い傷を負わせられるほどの虚がいたのかと思うとぞっとした。
自分一人なら何とか生き残る自身はあるが部下、そして怪我人を守りきれる自信がなかった。
なので部下達に警戒を劣らせないよう命令した。
連れ帰った後が大変だった。
副隊長以外は集中治療室で治療を受け、真由美たち第二上級救護班はてんてこ舞いだった。
全ての治療を終えたのは朝だった。
一日寝ずに治療してくれた部下達を休ませる。
「皆様、ご苦労でした。もう休んでも構いませんよ」
真由美の言葉で皆ホッと息をつく。
皆それぞれ真由美に声をかけ部屋を出て行く。
しかし、暫らくすると廊下を走る音が近づいてくる。
「恋次!」
急にドアが開き真由美は振り返る。
入ってきた人物は阿散井に一目散に近寄る。
真由美など目に入っていないようだった。
「あの…」
阿散井に気を取られていた少女に真由美は声をかける。
少女はたった今気付いたようでハッと顔を上げる。
「ここは病室です。少し静かに願いたいのですが…」
「あ…すまぬ…」
「阿散井副隊長は無事、峠を越えました。今は眠っておりますのでご安心ください」
「そうか…」
本当に心配していたのだろう。
その少女は真由美の言葉に安心したようにホッと息を付く。
真由美はそんな少女を見て微笑を向ける。
「私はもう座を外しますのでこちらに座ってくださって構いません」
真由美は少女に椅子を差し出す。
「すまぬ…」
少女の声を真由美は聞きながら部屋を出る。
****************
「真由美」
「白哉様」
廊下を歩いていると前に白哉が立っていた。
白哉は真由美を見つめる。
「阿散井副隊長は無事でございます。すでに傷は完治に近い状態です。勿論、他の方も同じく」
「そうか…」
真由美はホッとした顔の白哉を見て笑ってしまう。
行き成り笑い出した真由美に白哉は訝しそうに首を傾げる。
「申し訳ありません…白哉様ったら相変わらず不器用なのですね」
「…真由美」
クスクスと笑が収まらない真由美に白哉は拗ねるように目を細める。
それを見て真由美は笑みを深める。
因みに、真由美から見る白哉の表情は少し無愛想だが表情豊からしい。
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