(74 / 158) 浦原娘主 (074)

私は十一番隊の邪魔をしないように戦い、戦闘が終わった後治療に取り掛かった。


「…おい」

「はい」


治療もあと少しだというところで剣ちゃんに声をかけられる。
私は振り向かず治療を続ける。


「お前が始解した直後虚の動きが鈍くなった気がするが…何をした」

「……………」


多分、剣ちゃんだけじゃないだろう。
やちるちゃんも他の二人もこちらを見ている。
皆それは感じ取ったらしい。
流石戦闘民族。と褒め言葉とは到底思えない事を考えていた。

剣ちゃんからの霊圧が重くて重くて…
怒っているのが丸分かりだった。


「どういう事だ」

「私の斬魄刀は始解すると敵と判断した者の動きを鈍らせる効果があるのです。それのせいでしょう…」

「香り、ねぇ…僕はそんな香り感じなかったけど…あ、でも甘い香りはしたかも」

「それです。敵だと私が判断しない限りその香りを嗅いでも何の変化もございません。」

「へぇ…それ匂いで敵の動きを鈍らせその隙にってわけだね」


弓親様が関心したように頷く。
私は剣ちゃんの霊圧が少し和らいだことに気付き安心する。
するとやちるちゃんに抱きつかれる。


「真由美ちんってばすごーい!卑怯だね!」

「…それって褒めてないと思うよ、やちるちゃん…」


私はやちるちゃんに呆れながらも拒絶されなくてよかったと息をつく。
しかし別に敵への香りは効果をなくすことも出来るんだけどね、と言えなかった。
言ったら剣ちゃんがキレそうだったからだ。
どんだけ戦いたいんですか!と怒りたいぜ…
やちるちゃんが私の背中に引っ付いていたとき、今まで黙っていた一角様が口を開いた。


「あ!お前あの時の天才の片割れ!!!」


私を指さして叫ぶ。


「ちょっと一角、人を指差すのは失礼じゃない?っていうかあの時の天才ってなにさ」

「あの時って…入隊試験のときだよ!!俺実技の時に呼ばれて戦ってたけどよ、こいつ一歩も動かず死神を気絶させてた。」


あぁ、あったね…そんなん。
あの時のおかげで藍染に勧誘されてんのかな…


「あいつも副隊長に次ぐって言われてて結構強いはずなんだが…」

「ほう…そんなに強いのか」


あ、火がついた。と思うのと殺気を感じ患者を持ち上げてその場を離れるのは同時だった。
私がいたところには剣ちゃんの斬魄刀が沈んでいた。


「あ、あ、あぶ…あぶな…危ないでしょう!!何考えてるんですか!!」

「あ?強ぇなら戦いてぇだろ?」

(そんなんあんただけや!!!)私は四番隊です!戦うなんて到底出来ません!」

「さっきしてただろうが!!」

「さっきは仕方なくです!というか弓親様達も私が雑魚に必死に戦ってたの見てたでしょう!」


弓親様達は行き成り話を振られても動じていなかった。


「でも楽々って感じだったよね。」

「だよな。俺達に大物を戦わせて本人は楽してたよな。」


私は援護してくれない二人に唖然とする。
自分よりも大きく思い患者を上に上げたまま剣ちゃんの攻撃から逃げる。
患者が寝ていててよかった…


「もういい加減に、して、ください!!!」


私はいい加減に逃げ回るのも疲れ、桜ちゃんを盾に剣ちゃんの斬魄刀を受け止めた。
片腕はしっかり患者を掴む。
だが私は子供の姿で患者は大人。
しかも十一番隊だからごついったらありゃしない。
だから完全に手足が地面についている。
ゆっくりと患者を降ろす。


「≪咲き乱れろ 姫桜≫!」


私は剣ちゃんの斬魄刀を受けながら始解をする。
いつも通り花を散らせるが敵を鈍らせる匂いは出さない。
甘い香りだけがその場を包み込む。
剣ちゃんは始解した私から距離を置く。


「あ、この匂い…」

「甘い匂い…これか。」


二人は相変わらず観戦する。
お前ら見てねぇで助けろ!と言いたくても言えない状態だった。


「ハッ!やっとその気に…」


「≪森羅万象・一章!!≫」


私は地面に桜ちゃんを突き刺し魔方陣のようなものが現れる。
やるきになったと勘違いした剣ちゃんには悪いけれど私基本疲れることはしたくないのである。
四番隊なので治療で疲れるのは仕方ないと諦めているのだが、戦いで疲れたくない。
疲れるなら研究で疲れたい。
なので私は姫桜の治療の一つを使いその場にいる者全てを癒す。


「なっ…!?」

「傷が…」


その対象は敵味方関係ないのだが今敵はいないので使っても構わないだろう。


「…これが、姫桜の能力…」

「の、一部です。これは治療の中で一番簡単なもの。敵も味方も治療するという無差別なものです。」


弓親様の呟きに私は説明を付け加える。
剣ちゃんは黙ったままだ。


「……気がそれた、帰るぞ。」

「え、な……」


そのまま私をまた脇にかかえ尸魂界に帰る。


「あの、だから…なんで私を脇に抱えるんですか!!?」

「良かったね!真由美ちん、剣ちゃんに気に入られたね!」


どこがー!?と叫ぶ前に私は気を失う。
多分極度のストレスと緊張のせいだと剣ちゃんを恨んだ。

****************

目を覚ましたのは丁度帰ってきたときで、既に日がくれていて、私は休憩時間をオーバーしていた。
急いで隊舎へ向かい隊長と副隊長に謝罪する。
理由を言うと副隊長は心配そうに見てくる。
隊長は『では仕方ありませんね…』と苦笑いを浮かべ許してくれた。
というか、十一番隊だからしょうがないって…

その後私が度々剣ちゃんとやちるちゃんに誘拐され、隊長と副隊長に平謝りするのが度々見かけられた。

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