(76 / 158) 浦原娘主 (076)

「えーー!!真由美ちゃんってシロちゃんと同じ天才って言われてたの!?」

「え、えぇ…」


真由美は困っていた。
何故か初対面から懐く雛森に質問攻めさせられていたからだ。


「え!?君があの?」

「俺達の中でも話題だったんだよな。片方は誰だ!?って…その場にいた奴も何故か分からないっていうし…」

(それは多分白哉様と砕蜂様の圧力だと…)


真由美が苦笑いしつつそう思った。
日番谷が真由美の耳元で喋る。


「なぁ、それってあいつの…」

「多分…」

「……過保護だな…」

「……………」


日番谷の言葉に何も言えず黙ってしまう。


「あ、でもさっきは誰から隠れてたの?」

「えーっと……けん…更木隊長と草鹿副隊長です…」

「はぁ!?なんであの二人から……お前何かやらかしたのか?」


恋次の言葉に尋常じゃないぐらい首を振る。
それを見た恋次は『だよなぁ…そういう風には見えないし…』と呟く。
それにホッとする。


「実は気に入られちゃって…」

「あの人達が気に入るって…凄いな…」

「そうかな…」

「そうだよ。あの草鹿副隊長ならまだ分かるけど更木隊長は…その…悪いけど気に入られるとは思わないし…」


イヅルの歯切れの悪い言い方に本人は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「あいつには言ったのか?」


微妙な空気の中、日番谷は気になる事を真由美に聞く。


「まだ…でも冬獅郎くんが知ってるなら知ってると思うけど…」

「シロちゃん、"あいつ"って誰?」


二人だけで話していると雛森が割り込んでくる。
日番谷はシロちゃん呼びに顔が引きずる。


「だからその呼び方やめろ……あいつって言ったら朽木白哉だ。」

「え、なんでそこに隊長が出てくるんだ?」

「こいつは朽木白哉の元婚約者だぞ?」


拗ねたように言う日番谷に三人は固まる。


「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」」」


化石から解けた三人は一斉に叫ぶ。
真由美は反応が分かっていたのか耳を塞いでいた。
だが日番谷はもろに聞いてしまったのか顔を歪ましている。


「な、ちょ、ま…えぇ!?」

「落ち着いて阿散井くん!」


混乱している恋次をイヅルが抑えて正気にさせる。


「えぇ!?真由美ちゃんって朽木隊長の婚約者だったの!!?」

「元だ、元!」

「あんな無表情の人とよく婚約者になろうとおもったね…」

「実は白哉様から仰ったの。」

「隊長からっすか…!?」


恋次が何故か敬語になっている。


「えぇ、私を守ろうとしてくれて」

「…?どういう事?」

「私の苗字は浦原なの。」


浦原、という言葉にまた度肝を抜かれる三人。


「う、浦原って…五大貴族の!?」

「えぇ。私小さい頃に当主になったから…だから他の貴族に乗っ取られないようにって…白哉様はお優しい方だから…」

「優しいって…」


照れながら話す真由美に恋次は疑惑の目を向ける。
恋次はもし本当に優しいのならルキアを悲しませたりはしないはずなのに…その気持ちで一杯だった。


「もし、隊長がまた婚約しようって言ってきたら受けますか?」

「阿散井くん!?」


恋次は真っ直ぐ真由美を見つめる。
真由美は首を傾げる。
首をかしげ見つめる真由美に恋次は目をそらし頭をかく。


「あー…その…俺の知り合いに隊長の妹がいまして…妹って言っても養子なんですがね?………その、妹が不安がってて…えっと何て言っていいか分かんないんすけど…」


自分でも言っている意味が分からず何と言っていいか迷う恋次。
すでに自分が振った話しに後悔している。
そんな恋次を見て真由美は微笑む。


「妹君のことは聞いております。私への文にそのことも書いておりましたから」

「ふ、文!?」

「えぇ、婚約してから…いいえ知り合ったときから文の交換をしております。」

「それって奥さんがいたときも…?」


イヅルの質問に真由美は頷く。


「奥さんいんのに元婚約者に文の交換するか?普通…」

「ふふ、奥方とも文の交換してました」

「「「「え"!?」」」」

「最初は婚約者ということで負い目を感じておられたようですがね…」


目を伏せる真由美に四人は『そりゃそうだろう…』と心を一つにした。


「あぁ、質問がまだでしたね?…多分、白哉様は私とはもう婚約しないでしょうね…」

「何故?」


恋次の疑問に真由美は笑顔で答える。


「奥方をとても愛しておられるからです。」


清々しい答えと笑顔に四人は何も言えなかった。

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