(84 / 158) 浦原娘主 (084)

そのころ、六番隊では…


「……………」

「も、申し訳ありません…」

「よい…真由美が戻りしだい警護を続けよ」

「は…」

白哉は護衛を下がらせる。

攫ったのは九番隊の副隊長らしいが多分十二番隊のものの仕業だろう。
阿近か、マユリか…
白哉にとってはどちらでもいい。

真由美は実験が好きだ。
だからもし死神になるなら十二番隊になりたいと以前言っていた事を白哉は思い出す。

白哉は目を瞑ったまま真由美を思い浮かぶ。
彼女が幸せならどの隊でも構わない。
どうか、コレで彼女の悩みが一つでも減りますように、と拝む神もいないのに願うしか白哉には出来なかった。


****************


「局長、お客さんですよ」

「何だネ…今新しい暗殺計画を練って…」

「マ、マユリさん…」


毒殺を阿近に却下されたマユリは新たな計画を立てている途中、最も会いたい人の声を聞きマユリは固まる。
マユリは動きを止めゆっくりと振り返る。


「あの…」


真由美は俯いて阿近の服を掴む。
もじもじと中々言葉が出ない。


「……………」

「……………」


お互い言いたいことがあるが言葉が出ない為沈黙が続く。
阿近も修兵も空気を呼んで一言も喋らない。


「………涅、隊長は…お父様のこと…」

「浦原か…あれには困ったものだ…追放されるなら追放されるで準備万端にしてからしてほしいヨ」


私が隊長になってどれだけ苦労したか…と何故か愚痴り始めるマユリに阿近は冷や汗をかく。
修兵は事情が飲み込めないのでこの際無視だが、気分は何の罪のない少女を悪魔に生け贄として捧げた気分だ。


「涅隊長はお父様の追放の理由は知らないの?」

「知っているヨ。だが正直そんな事どうでもいい。隊長の席を渡すなら渡すで言ってほしいものだ。急に言われても困りモノだからネ。」


真由美の心は晴れ晴れとした。
マユリにも、阿近にも嫌われていたと思っていたからだ。
真由美の目には涙が溜まり零れ落ちマユリに抱きつく。
急に泣き出した真由美に男三人は焦る。


「真由美様、これをお使いください」


真由美は聞き覚えのない声に顔を上げる。
そこには黒髪の美女がいた。
しかもミニスカートの…
真由美は唖然とし、その美女、ネムを見つめる。
ネムはハンカチを差し出した状態で動かない。


「ネムさん、真由美さんが驚いているんで自己紹介お願いします」


阿近が助け舟を出さなければ真由美が動かない限りはそのままの状態でいただろう。
ネムは頷き、姿勢を正して真由美を見つめる。


「私は十二番隊副隊長の涅ネムと申します。」

「涅…?」


真由美は不思議そうにネムを見つめ、抱きついているマユリを見る。


「私の娘だヨ」

「娘………娘!?マユリさん結婚してたの!?いつ!?誰と!?」


娘と言われマユリに問いただす。


「せ、正確に言うとだネ、私の義骸技術、義魂技術の粋を集めて作った最高傑作の人造死神だ。」

「え、じゃぁ…結婚してないの…?」

「…なんで残念がるんだネ…」


残念がる真由美にマユリは『因みに、お前の娘でもあるヨ』と告げられる。


「え、どういう事?」

「お前が残して言った資料を元に作ったからネ。ネムは私とお前の娘だヨ」


浦原の悔しがる顔を見れなくて残念だヨ。と本当に悔しがるマユリを余所に真由美はネムを見つめる。
ネムは真由美を見つめ傍に控えていた。


「本当に、あの時の…あの紙に書いたので…」

「はい、私はマユリ様の遺伝子情報を元に血肉が生成されており、その元は真由美様のお考えになられたモノでございます。」

「……阿近くん…」

「いや、なんで俺に助けを求めるんですか………まぁ、ネムさんも局長も嘘をついてませんよ。」


阿近の言葉に真由美はネムを見つめる。


「そっか…あれ、完璧だったんだ……」

「すこし私が手を加えたが完璧に近かったからネ、案外簡単に出来たヨ」


真由美はマユリによくできました的に頭を撫でられ昔を思い出す。
何だか昔を思い出し笑みを浮かべ、マユリに甘えるように顔を埋める。

そんな真由美を見て三人はのほほんとなる。

一人を除いて…

(俺だけ蚊帳の外って……っていうかあの涅隊長のあんな顔始めてみた…気持ち悪っ

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