あれから、長い年月がたった。
冬獅郎くんは十番隊の隊長になった。
私はあの後四番隊から十二番隊へ転属となり副隊長となった。
吐血の話しを聞いたマユリさんと白哉様が砕蜂様と共に私を十二番隊に入れさせたのだ。
十二番隊なら虚ではなく研究が主だから危険も避けれると思ったのだろう。
しかも常に側にいさせるためにマユリさんは私を副隊長にした。
ネムに申し訳ないと思ったけどネムはネムでなにやら大満足な顔で私とマユリさんの世話を焼いている。
あれから私は時々血を吐くようになった。
だけど今ではそれは無くなったが当時は大変だった。
なぜか血を吐く毎に白哉様が飛んで来る。
どうやって知ったんだ?と思うほど毎回来る。
砕蜂様も仕事がなければ飛んできてくれる。
なんか過保護度が増したような気がするんだが…
****************
「ルキアが処刑!?何故!?」
「それは…」
副隊長会議でその知らせを知り、終わった後恋次くんに問い詰める。
正直言って私は研究室に篭りっぱなしだったので情報に疎いのだ。
恋次くんがルキアを連行しに言ったようなので根掘り葉掘り聞こうと思う。
白哉様じゃ絶対に聞けないからだ。
あの人意外と頑固なんだよね…
「ルキアのやつ、死神能力の人間への譲渡をしてしまって…」
「人間に…って…」
私は恋次くんを放し俯く。
「何でそんな事を…」
「それは分かりません。でもルキアのことだから何か事情があるかと…」
「恋次くんは、ルキアを信じているのね」
「そりゃぁ…まぁ…」
恋次くんはきっとルキアを助け出そうとしているのだろうと思う。
あんなに仲が良かったのだから納得できるはずがない。
私だってそうだ。
だが私は恋次くんのようにそこまで出来ない。
「真由美様、そろそろ研究室にお戻りください」
側に控えていたネムが声をかける。
私が一人の時は必ずネムが付いてくる。
ネムが忙しい場合阿近くんやら誰かがいるのだ。
一人になりたいときは研究室に篭るしかないのだ…
マユリさんもお父様と同レベル…それ以上に過保護だ…
「あ、そうだ…真由美さん。さっき旅禍が現れたらしいんで気をつけてくださいね。」
「旅禍?」
「はい。まだこちらには来てないらしいんすけど、いつ侵入してくるか分からないので用心しといてください」
「えぇ、わかったわ。ありがとう」
恋次くんはそれだけを言って頭をさげ去っていく。
私は恋次くんを見送った後十二番隊に戻ろうとするが…
ドーーーンッ
「!!なに…!?」
「真由美様!!」
門の方から大きな音がし、少し地面が揺れる。
側にいたネムが私の方へ駆け寄る。
「怪我は…」
「ないわ、というかこけてないんだけど…」
怪我も何も揺れも少しだけだしそれで怪我するって死神としてどうなの…
だけどネムは心配なのか四番隊に私を運ぼうと横抱きにする。
「ちょ、ちょっと!!待って!!大丈夫だから!怪我ないし!!」
「………ではこのまま十二番隊へ向かいます」
どうやら四番隊へ行くのは諦めてくれたようだが心配なのか横抱きをしながら十二番隊へ向かう。
…女の子に横抱きというかお姫様だっこされるとキュンってくるもんだね…
****************
夜遅く、わしは空鶴の元を尋ねる。
尸魂界についた頃から現世での喜助との会話を思い出す。
「夜一サン、もし真由美サンにあったら…」
「安心しろ、真由美に会ったら弁解しといてやる。」
「違うんすよ…もし真由美サンに会ったら一切アタシのこと話さないでほしいんス…」
「なぜじゃ」
「……今頃になってアタシの弁解なんて聞きたくもないだろうし…それに…幸せに暮らしているのにアタシのせいで台無しにしたくないんス…」
「幸せ?……お主がいなにのにあやつが幸せだと思っておるのか?」
「…少なからずトキや砕蜂サン達がいますからね…」
「……まぁ、わしが行くのは死神がおる場所だからの、真由美とは会わないかもしれないが…お主がそう言うのなら致し方ないな」
「ありがとうっす、夜一サン」
喜助はあぁ言っていたが喜助を本当の父親以上に懐いていた真由美が父親がいなくても幸せだと思っているとは考えにくい。
「空鶴、話しがしたいのじゃが…」
「あ?なんだ」
「真由美のことじゃ」
真由美という名前を聞いた瞬間空鶴は表情を険しくした。
わしはそんな空鶴に嫌な予感がする。
「真由美は今どうしておるのじゃ…」
「……真由美は…浦原家二十五代目当主をしている。」
「そうか…」
「だが…今十二番隊の副隊長をしている」
「……………」
浦原を継いでいるというのは予想済みだ。
だが真由美本人からは死神にならないと宣言していたはず。
「…本人から聞いたんだ、間違いねぇ……」
「副隊長…厄介なことになったの…」
真由美が副隊長になっているのが本当ならもしかしたら会ってしまうかもしれんの…
もし会ってしまったら真由美はわしに笑顔を向けてくれるのだろうか…
喜助のことも心配だがやはりこの不安が一番大きい。
「あー…まぁ…大丈夫だろ?捨てたわけじゃねぇって事は本人も分かってるしな…」
「……そうだといいんじゃが…」
わしは励まそうとする空鶴には申し訳ないが落ち込むばかりだ。
真由美を置いて来たのはわしだ。
喜助を救う事だけで精一杯で真由美を置いて行くこと決めた。
正直な話し子供は足手纏いだった。
いくら頭のよい真由美でも平子達を守り真由美も守るのはあの時では困難だと思ったからだ…
「…ってお主…真由美とまた繋がっておったのか?」
「遅いな!…まぁ、な。あの浦原の娘だしよ…それに花鶴射法の開発を手伝ってもらったしな…」
「なに…!?」
「俺もちょっと油断しちまってよ…この計画をポロっともらしちまって…」
「空鶴!真由美になんて事を…このことが漏れれば真由美は……!!」
「わーってるよ!!…だがお前は真由美のキラキラした目を見て断れるか!?出来ねーだろ!?」
空鶴の断言にわしは言い返せなかった。
「……だが、真由美はすげぇ奴だ…俺が悩んでいた場所をすんなり解決しやがる……流石は浦原の娘って思ったぜ…」
「……………」
血が繋がってなくとも蛙の子は蛙、か…
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