(98 / 158) 浦原娘主 (098)

一護は目が覚める。


「目が覚めたようじゃの」

「夜一さん!……そうか夜一さんが助けてくれたのか…ありがとな」


声がし、目を向けると夜一がこちらに向かってきていた。


「なに、あれだけの傷で死ななかった己の生命力に感謝するんだな」


一護は剣八とやりあった記憶が蘇る。
だが何かを思い出したかのように飛び上がる。
しかし傷はまだ塞がっていなかったのか巻かれた包帯に血が滲み、痛みに絶える。


「馬鹿者!!動く奴があるか!!自分の怪我の程度がわかっとらんのか!?」

「チャドが危ねぇんだ!助けにいかねぇと…っ!」

「あぁ!!駄目です!!」


一護は立ち上がろうとする。
だが聞き覚えのない声がし、一護の肩を押し、寝かせる。


「あーあ…傷が開いちゃいました…」

「…おめぇ、あのときの…」


一護に真由美は苦笑いをして包帯を解いていく。
そして慣れた手つきで治療を始める。


「一護、真由美に感謝するのじゃぞ?剣八と戦って瀕死だったお主を助けたのは真由美じゃからの」

「そうだったのか…えっと…」

「私の事は真由美と呼んでください」

「そうか…真由美、ありがとよ」


いいえ、と天使の微笑みを向ける真由美に照れくさそうに一護は頬をかく。
四番隊に居た頃の癖は中々直らなかった。


「チャドなら大丈夫じゃ。井上も、石田もな。」

「え…」

「戦った相手が良かった。傷は負ったが生きておる。井上と石田なぞ上手く敵をかわして殆ど無傷じゃ」


一護はホッと息をつく。
だが夜一はあるものを出す。
それは虚のような形の仮面。
真由美は治療をしながらその不気味な仮面を見つめる。
どうやらその仮面のお陰で一護は助かったようだ。


「驚いたぞ?お主がまだこれを持ち歩いておったとは…」


だが驚いているのは一護の方だった。
それは花太郎に捨てられた物らしく、それを聞いた夜一は顔色を変える。


(捨てたのに戻ってくる仮面…なんか生前の子供の頃に流行った捨てても捨てても戻ってくる呪われた人形みたい…)


真由美は怖くなり、一護の服を掴む。
そんな真由美に気付いてないのか一護は夜一の剣幕に怯えていた。

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