(97 / 274) 原作沿い (97)

突っ込みどころ満載ですが、全てご都合主義だと思い諦めてください。(遠い目)
ちょっとどころか全面的に裸と破廉恥注意です。

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水城は風呂好きというわけではないが、長風呂派だった。
銭湯の掃除をする代わりに入らせてもらう時は息子もいたし流石に長風呂はしなかったが、久々に遠慮なく長風呂に入れるとルンルン気分だった。


「わっ!誰もいない!貸し切りみたい!」


時間帯的に空いている時間なのか女湯の扉を開ければそこには誰一人いなかった。
籠も全部空っぽで水城はなんだか貸し切りのようで嬉しくなり機嫌が良くなる。
この傷だらけの体をマジマジと見られるのは慣れているものの、だからと言って全ての視線を無視をできるわけではない。
先ほどもすれ違った人たちがギョッと水城の顔を見ていたのだ。
体にも切り傷や銃弾の跡や縫い傷など多く、不快に思われるかもしれないと心配していた。
下手をすれば温泉に入れなくなってしまう可能性だってあった。
誰もいない脱衣所で適当な籠に着物を脱ぎ裸になって早速温泉に入る。
ルンルン気分だった水城だったが、ガラリと扉を開けた先にある光景に――――固まった。


「…………」

「「「……………」」」


水城は無言で固まった。
そして相手もまた固まった。
水城は一度扉を閉め、軽く浴衣を着てからもう一度脱衣所を出る。


(……うん…女湯って…書いてるね…)


暖簾を見れば赤い生地に白い文字で『女湯』と書かれていたのを確認し、その少し離れている男湯の暖簾も確認する。
確認した後再び脱衣所へ入り浴衣のまま扉を開ければ…先ほどと同じ光景が広がっていた。


「………」


水城は5人分の視線とバッチリ合いながら主に坊主頭の男を見て呟いた。


「……変態クソ野郎かよ」


…と。
その呟きは小さかったが、静まり返ってるその場にいる全員の耳には届くには十分だった。
舌打ちをしながら扉を閉める水城に坊主頭が立ち上がり引き留める。


「ちょっと待ったあああ!!ちょっ、まっ、待て!!ちょっと待って!!違う!違うから!!行くなら行くでいいけど誤解を解いてから行ってぇ!!!」


坊主頭の声は水城に届いたのか、閉じられた扉を再び開けて戻ってきた。
しかしその顔は軽蔑の眼差しを(主に坊主頭に)向け、殺さんばかりの殺意をも(主に坊主頭に)向ける。
その軽蔑と殺意の眼差しに坊主頭と毛深い男はゾクリと凍り付くような寒気を感じたという。


「誤解ってなに?誤解もなにもあんたらが変態だっていうのは今の状況を見れば分かると思うけど??」

「だから!違うって言ってんだろ!!俺らは変態じゃねえ!!」


水城の目の前に現れた光景とは―――女湯に仲間の男共全員が入っているという全く笑えない光景だった。
水城は『アシリパさんとインカラマッと一緒じゃなくてよかった…』と思いながら坊主頭もとい白石の主張にゴミを見るような目で見つめた。


「あ゙ぁ゙?女湯に入ってる時点で変態なんだよクソが…チカパシ以外全員明日から私とアシリパさんとインカラマッに近づくんじゃねえぞ…話しかけるのもなしだからな」

「それ酷くない!?」

「クソ変態共と一緒に旅をしてやってる時点で慈悲深いだろうが…変態に慈悲はない」


水城は吉平と千景、そして一行の年齢の子供に欲情し汚い棒を突っ込んだ山賊という変態を経験しており、特に変態に厳しかった。
そこで辺見や姉畑は??という突っ込みがあると思うが、彼らは水城の中では変態は変態でも許せる範囲の変態である。
その基準は水城しか分からないが、白石は唾を吐く勢いで罵る水城に慌てて言い訳…ではなく事情を話す。


「こ、ここは混浴だぞ!!俺らが入ってもおかしくねえだろ!!」


『な!!お前ら!!』と水城の怒りに口を閉じて…というよりは白石を生贄にしていた彼らは頷いた。
水城は白石の言葉に怪訝そうに眉を顰める。


「女々しく言い訳してんじゃねえぞ…お前の小さいチンポへし折んぞゴラ」

「ひい!やめて!!チンポだって生きてるのよっ!!」


グッと何かを握り締める仕草をする水城に白石は股間を庇いしゃがむ。
想像したのか、とばっちりにチカパシも股間を抑え、谷垣は青い顔をし水城から目を反らす。
キロランケは信じない水城に苦笑いを浮かべ、尾形は無反応。
だが二人とも水城の体を凝視していた。
水城は軽く着付けしているためいつもサラシで潰している豊満な胸の谷間が大胆に見えており、普段体の線を隠すため厚着しているのもあって浴衣一枚だけ身を包んで体の線が出ているその姿はとても扇情的だった。
『浴衣プレイもいいな』と水城に聞こえないようにポツリと呟いた尾形にキロランケが同意するように頷く。


「す、杉元…白石の言う事は本当だ…ここの温泉は混浴らしい」

「はあ?谷垣…あんたも何言って………はあ、谷垣さぁ…インカラマッがいるのに白石の口車に乗ってさぁ……上がったらインカラマッに謝りなぁ???怖いなら私も一緒に謝ってあげるからさ」

「(やさしい…)―――ち、違う!!俺は変態ではない!!」

「そうだねぇ、谷垣は変態じゃなくてドスケベマタギだもんねぇ??」


『なんで主犯が俺になってんの!?』やら『俺の時と扱い違くない!?』やら喚いている坊主頭がいるが水城はガン無視した。
『ど、どすけべ…』と罵りなのか褒めているのか貶しているのか分からない水城の言葉に谷垣は顔を赤くし手で顔を覆った。
水城はそんな谷垣を見て『谷垣、そういうとこだぞ』と思う。
谷垣は失敗し、今度はキロランケが助け船を出してくれた。


「まあまあ杉元…俺らもお前が来るまで信じてなかったんだが…本当にここは混浴らしいぞ?入る前に女将さんと話しててな、そう言っていたから間違いはない」

「そ、そうだ!!杉元も見ただろ!!入り口に混浴風呂って板が立てかけてあったのを!!」

「はあ?見てないけど」


キロランケと白石の言葉に水城は首を傾げながら記憶を探る。
入ってくる時入り口を見たがそんな板は掛かっていなかった。
男湯と女湯という暖簾のみが掛かっていたし注意書きもなかった。


「……本当に立てかけてあったの?」

「本当だって!女湯と男湯の間の壁に『当旅館は混浴風呂です』って書かれてた板が!!」


『な!な!!そうだよな!!』と主犯にされかけている白石は必死に仲間に同意を求める。
全員が頷いたのを見て水城は半信半疑でいながら確認するためにもう一度脱衣所を出た。
外に出るとそこには丁度仲居さんがいた。


「あらお客様…温泉、どうでした?うちの旅館の温泉は美容にもいいんですよ」


水城の顔のキズや胸元のキズを見ても動じず、その仲居は水城に声を掛けた。
その仲居は受付をしてくれた人で、受付の時に傷があるのを知っていた。
とはいえ普段見ないほどの傷跡に驚くことは驚くが、そこはプロである。
脱衣所から出たのを見て声を掛けてくれたが、水城はそれどころではなかった。


「それ…」


水城は仲居の手の中にあるソレを指さす。
仲居はソレを指さされ首を傾げたが、水城の肌や髪を見て温泉を入ってないと気づき『ああ』と何かを察して説明してくれた。


「もしかして中に男性がいましたか?」

「え?え、ええ…」

「申し訳ありません、説明しておけばよかったですね…実は当旅館は混浴になっておりまして…いつもはここに看板を立てかけてあるんですが板が老朽化していたようで割れてしまって…新しいのと取り換えていたんです」


白石達が入ったときはまだ板が割れてなかったが、入った後に板に限界が訪れ割れたようである。
張り紙をしなかったのは新しい板がすぐに見つかると思ったからだとか。
いやそこはすぐ見つかっても張り紙を張ろうよ、と思いつつ水城は仲居の説明に顔を手で覆って天を仰いだ。
仲居と会話を終え水城はふらついた足で白石達がいる風呂場へと向かった。
そして扉を開け、水城は腰を90度曲げて謝罪する。


「すみませんでした、私の勘違いでした」


また罵られるのかと思いきや行き成り謝罪され白石達は驚く。
水城は仲居から聞いた話を白石達に伝えたうえでもう一度謝罪する。


「んも〜!早とちりにもほどがあるぅ〜〜!」

「いや、お前に関したら自業自得だからな??」

「お、おふぅ…」


キロランケ達は『それなら仕方ない』と許してくれたが、主犯にされかけた白石はプリプリ怒っていた。
が、水城に跳ね返される。
そこは日頃の行いなため誰も庇ってはくれなかった。
水城は今度アシリパとインカラマッ含む全員にご飯を奢るという約束をした後脱衣所に戻っていく。
ガラッと音を立てて静かに閉め奥へ引っ込んだ水城に尾形以外のその場にいる全員が安堵の息を吐いた。


「あっっぶねええ…あのままだったら変態にされかねなかったな…」

「杉元は変態に厳しいからな」

「それ普通じゃないのか??」

「とにかく………杉元ってエロイ体してんだな…」


『いつもは服を着こんでるから分からなかったが…』と呟く白石の言葉にその場にいる全員が口を閉ざしたまま頷いた。
インカラマッといい雰囲気の谷垣でさえ顔を赤くし頷いた。
無言で頷く男連中を見て尾形は鼻で笑う。


「まあ、あれ全部俺のもんだがな」


鼻で笑いながらいつものドヤ顔を見せ髪をかき上げる尾形の言葉に、谷垣とチカパシは熱いはずのお湯に氷点下になるほどの冷たさを感じたという。
ドヤ顔を見せる尾形に、唯一水城と恋仲ではないと知っている白石が妬みからかハンッと笑った。


「まあ??今は??そうかもしれないけど??杉元が尾形ちゃんの物かは別じゃん???今だってオイタして接触禁止令出されてるじゃん??」

「…あ"?」

「お?やるか?お??」


別に水城を巡って争う気はないが、あんなボンキュボンなわがままボディを好き勝手頂いている尾形に白石は妬ましく思う。
いや、別に水城を巡って争う気はないが。(大事なことなのでry)
オイタの内容はともかく、水城直々に行為禁止を言い渡された尾形が何を言うのかと鼻で笑う白石に尾形は睨みつけ、白石も睨み返す。
ただ、キロランケに隠れて睨み返しているので全てが台無しであるが。
とばっちりを受けたキロランケが溜息を吐いたその時…


「なに、喧嘩?」


水城が戻ってきた。
水城の声にチカパシ以外のその場にいた男達がバッと振り返る。
振り返れば浴衣姿だと思っていた水城が立っており、引き返したと思っていた男達は水城の姿に目を丸くする。


「杉元!?なんでここに…」

「なんでって…私もお風呂に入りに来たんだけど…」

「いやでも…てっきり帰ったのかと思ったから…」

「私だってお風呂楽しみたいし…まあ混浴ならしょうがないしね」


お風呂に入る気満々の水城は一応裸をタオルで隠していた。
しかしそのタオルは風呂場に持ち込む用として渡された小さなタオルで、そのタオルを広げ縦にして前を隠しているが、タオルが小さすぎて隠しきれておらず逆に視界の暴力と化していた。
驚く男性陣をよそに水城は自分も入りたかったから入ったと答え洗い場に向かい、体と頭を洗う。
全員『水城の基準が分からない…』と心を一つに思う。
しかしその後ろ姿を谷垣とチカパシ以外が見ていた。
白石は『杉元と思わなければ…うん、イケるわ』と密かにオカズをゲットし、キロランケと尾形はいつものように装いつつ目線は水城へ固定していた。
チカパシは谷垣に目を手で覆われており、谷垣は赤い顔をして目をギュッとつぶって水城を見ないようにしていた。
そういうとこだぞ、谷垣。


「あ、そうだ…チカパシ、もう頭と体洗っちゃった?」


最後に頭を洗い終えた水城は洗い場から離れ湯へと歩み寄り、屈んでチカパシに問う。
チカパシは目の前に現れた女体の体に顔を真っ赤にしながら目を反らし首を振った。
まだ目を瞑っている幼女…もとい谷垣以外の大人たちはキュッと寄せられた見事な谷間に夢中になっていた。
首を振ったチカパシに『よかった』と笑みを浮かべる。


「私が洗ってあげるからさ、おいでよ」

「え"…い、いや…別に…洗わなくても…いい、かな…??」

「え〜?でもせっかく久々のお風呂なんだから綺麗にしなきゃ…女の子にモテないぞ?」


コテンと小首を傾げる水城にチカパシは何も言い返せなかった。
というよりは大人のお姉さんの色香に言い返す余裕はなかった。
頭も洗いポタポタと垂れ、顔に張り付く髪や、濡れて水分をはじくその肌がとても男達の劣情を煽り立てる。
以前のチカパシなら飛び込んでいくのだが、つい最近大人の愛し合う姿を見て一つ大人の階段を上がったチカパシは恥ずかしさを覚えもじもじとさせる。
その姿が可愛くて水城はチカパシに手を伸ばし、彼の頭を撫でる。


「ね?洗わせて?」


年下の男の子を誘惑するイケナイお姉さまパート2である。
優しい声にチカパシは顔を更に真っ赤に染め頷く。
というよりは頷くしか許されなかった気がした。
頷いたチカパシを連れて洗い場に向かう水城を男達は見送り顔を合わせるように固まる。


「ねえ??ちょっと??あの天然記念物どうにかしてくれない???(激おこ)」

「無理だろ…あれは無意識だ」

「なんであんなに近所のイケナイお姉さんなの????もういい加減にしてくれませんか???(激おこプンプン丸)」

「あれで無意識ってところが怖いな…」

「尾形…お前毎日あれでよく理性失くさずにいれるな…」


主に白石(だけが)ぷんすこ怒りながらヒソヒソと話す。
キロランケの言葉に尾形はいつものドヤ顔を見せ、そのドヤ顔に全員が『は、腹立つわぁこいつ…』と心を一つにした。

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