※ひとりエッチ注意。
※やんわりですが、淫語注意。
※キャラの独自設定注意。
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水城は扉に鍵を掛け、ふてくされ顔をそのままにベッドにダイブする。
安いベッドなのか、ギシギシと悲鳴を立て水城を受け止める。
「おとのしんのばか…」
うつ伏せとなりシーツに顔を埋めながら水城はここにいない鯉登に向けて悪態を吐く。
冷たいシーツに少し酔いも醒めたのか、少しずつ正気になっていく。
「あーー!もう!馬鹿は私だ!!絶対に縁を切るって決めたのに酒を呑んだだけで絆されてっ!」
じたばたと手足を振り回して暴れる度にベッドが音を立てる。
それを聞きながら水城は深い溜息を吐きながら顔を横へずらし、カーテンが引かれていない窓から外に目をやる。
街灯も何もない場所だから外からは月の光が差し込み薄暗く部屋を照らしていた。
壁側のベッドに横になっているため距離的に夜空はあまり見えない。
「はあ…坊…
母、あなたに会いたいわ…」
最後に愛息子を腕に抱いた日からどれほど経ったのか…もう考えるのも嫌になる。
幼馴染のため、相棒のためとは言え、やはり愛する息子とこうも長い間触れられないのは辛いところがある。
早く金塊を見つけて、梅子をアメリカに送って、寅次との約束を果たして、しがらみを全て失くして、残りの人生を全て息子のために使いたい。
駄目な母親だった分、ちゃんと息子を愛する母親になりたかった。
入れ墨が集まってきているが、全て揃ったからと言って金塊が手に入る確信があるわけではない。
アシリパだけではなく金塊を求める人間が一人でも解読できなければ金塊など無いに等しいのだ。
せめて息子が物心つく前に金塊を見つけ、母としての役目を全うしたいと思う。
息子を思い出しているとホームシックに陥ってしまうため、水城は頭を振ってナーバスとなっていく感情を追い出す。
「…もう寝よう…」
息子を思い出していても目の前に息子がいるわけでもなく。
水城はもう寝ようと体を起こし上着を脱ぐ。
「サラシ…新しいの買わなきゃ…」
いつもなら少しふっくらとしている胸が見えるのだが、サラシを破られてしまったため豊満な胸が隠れることなく水城の目に写る。
サラシの替えはまだ買っておらず、胸を潰したくてもできなかった。
そのせいでシャツが小さく感じ、サラシとは違う苦しさがあった。
(なんか…今なら谷垣みたいにボタンを弾くこと出来そう…)
胸に視線をやればボタンが頑張っているのが見える。
いや…むしろボタンに通されている糸とボタンホールが可哀想なことになっていた。
水城の今の服は元々胸を潰した状態を前提に着ているため、胸が解放されれば必然とそうなる。
一瞬それを見て谷垣を思い出しながら水城はシャツのボタンを何個か外す。
ボタンを外す…いや、悲鳴を上げていた糸とボタンホールを開放すると水城はホッと息を吐く。
(ああ、そういえば…お乳、出さなきゃ…)
息子と離れていても体は子供に乳を与えるために作り変えられている。
溜まるものを吐き出さなければ張って痛いため水城はいつものように胸を揉もうと胸に触れる。
しかし…
「あっ…ん、」
自分の甘い声に水城は驚き慌てて手を放す。
自分の手を見つめながら水城は目を丸くし首を傾げる。
(今の……え、待って…私…感じてた?)
あの甘い声は確かに吉平や尾形との"行為"で出てしまう声だった。
水城は戸惑う。
今まで胸を揉んでいて声を零すことがないとは言い切れないが、ここまで甘い声は初めてだった。
そこで水城は自分の体の変化に気づく。
(体が熱い…)
さっきまで気づかなかったが、体が熱く気怠さを感じ水城はまた首を傾げる。
一瞬風邪かと思ったが、どうも風邪にしては違うような気がした。
風邪の熱っぽさというよりは……"そういう気分"に近い。
(久々にお酒を飲んだからかしら…それとも……音之進と再会してしまったから…)
身体の火照りはどう考えても行為を求めている女だった。
とはいえ欲が溜まっている理由が思い付かない。
尾形と再会してからは定期的に尾形と体を重ねて欲求不満も解消されていたし、保護されてからも一目がある病室で一人遊びする気すら起きなかった。
なのにこの体は突然体が火照り男を求め始めているような気がした。
それを水城は酒が入ったからだと思い、そして、もう話すこともないだろうと思っていた鯉登と再会したからだろうと思う。
いつもは息子のために刺激物は遠ざけていたが、勧められる酒を断れずにいるうちに酒が回って酔っぱらってしまった。
酔っぱらってしまい、奥にしまい込んだ欲が出てきたのかと思う。
それに鯉登との再会で、彼が一段と男らしく成長しているのを見て女の自分が出てきてしまったのか、とも。
(…まさか、ね…)
水城は嫌な予感がしてそっとズボンに手を入れて下半身に触れる。
下半身に触れた瞬間、身体に甘い刺激が走りビクリと体が跳ねた。
「あ…っ」
水城は再び自分の口から出される甘い声にズボンから手を抜き取る。
手を見れば指先が少し濡れていた。
水城はそれを見て器用にも顔を赤くしながら青くさせる。
顔を赤くさせているのは火照り、顔を青くさせているのはたかが酒や想い人との再会くらいで欲情した自分の浅ましさ。
水城は暫く口をハクハクとさせ自分の痴態に血の気を引かせていた。
自分は今まで一人遊びはそれほどしたことがないため、淡白な方だと思っていたから余計にショックだった。
「……」
自分が欲情していると自覚してしまえば身体は正直なもので、そういう気分にしかならなかった。
幸いにもこの部屋には自分一人。
一人遊びしても鯉登には気づかれないはず。
(まさか月島軍曹の部屋割りに助けられるとは…ここにアシリパさんやインカラマッがいなくてよかったのか…よくなかったのか…)
同性同士が同室になるのは当たり前で、この旅の中に同性の女性がいないことに安心していいのか、いつも同室のアシリパさんがいないことに寂しさを覚えればいいのか…水城は複雑な表情を浮かべる。
しかしその間も水城の体の火照りは増すばかりで、水城は気恥ずかしさもあって服を脱がず前を開け、再びズボンに手を入れる。
「っ、」
下半身に触れれば先ほどより濡れていた。
それもあってすんなり指を受け入れ、水城は唇を噛んで甘い声を押さえる。
胸にも触れるが、お乳が出ないよう気を付けながら触れるため少し物足りなさを感じる。
鯉登が傍の部屋にいる、と思うとそれが興奮材料となりいつもより感度が増している気がした。
はっ、と熱い息を吐き出しながら水城は身体を横向きに変えて水音も立てないよう気を付け、顔をマクラに埋めながら一人遊びをする。
「―――ッ」
何度か弄れば、火照っていた体は簡単に果てた。
はあはあ、と息を吐き出しながら水城は少しぼうっとする。
しかし、まだ自分の体の火照りが消えていない事に気づく。
(おかしい…こんなに体が火照ったの…初めて、かも……本当にどうしちゃったんだろう…)
火照りが消えるどころか、まだ増すばかりで水城は自分の体の変化に戸惑う。
熱にうなされる頭では考えても答えは出ない。
火照る体を収めるためもう一度1人遊びをする。
しかし…
(うぅ…全然火照りが収まらない…どうしよう…)
二度目もあっけなく果てたが、体の火照りは収まらない。
吉平や尾形との行為だってここまで体の火照りはなかった。
そのため水城は自分の体に異常があるのではないかと不安に思う。
そして水城はのそりと起き上がり…
「月島軍曹…起きてる?」
水城は服を整えて部屋を出て月島に助けを求めた。
月島に抱いてもらおうとかではなく、ただ助けて欲しかった。
1人で遊んでも止まらない欲に怖くなったのだ。
夜中だし月島の部屋には谷垣が寝ており、何よりも恥ずかしさもあってコンコンと遠慮がちにドアをノックし、小声で月島を呼ぶ。
寝ているのならこんな小さな声では聞こえないだろうが、人に聞かれたくない恥ずかしさから声も抑え気味である。
あまりノックし声を掛ければ周りが音で起きるかもしれないし、酔い潰れた谷垣が起きてしまうかもしれないと思い水城は一度のノックと声掛けで終わらせ月島が起きるのを待つ。
しかし月島が起きる気配はなく水城は不安が強くなる。
(どうしよう…こんな火照ったまま一夜を明かさなきゃいけないのかなぁ…っていうか…これ…明日まで収まってるのかなぁ…)
身体の火照りを解消するには、やはり行為だろう。
しかし尾形は裏切りアシリパを水城から掻っ攫って別行動。
後腐れなさそうな白石もアシリパの傍にいて別行動。
協力してくれそうな牛山は土方達の裏切りによって決別。
まだ仲間だった頃のキロランケも事情を話せば協力はしてくれそうだが、裏切り云々よりも以前に水城は家庭持ちと火遊びする趣味はない。
谷垣は酔いつぶれているし、キロランケと同じ理由で頼れない。
かと言って月島とは鯉登がいるため気まずいどころか修羅場になりかねない。
しかしだからと言ってその辺の男は流石に水城も考えられなかった。
いくら愛情のない行為しか知らないとはいえ、吉平と尾形での行為でお腹いっぱいである。
水城はとにかく鯉登に気づかれずこの火照りをどうにかしたい一心だった。
そのため、頼れるのは月島しかおらず、しかしその月島は起きてきてくれない。
『もうその辺の男を捕まえるしかないか…』ともどかしさから道を外しかけていると…目の前の扉が開かれ、月島が出てきた。
起きてくれた月島が水城には暗闇に一筋の光に見えた。
「…どうした?」
先ほどまで眠っていたのか、眠たそうにさせながら水城に問う。
月島にとって水城を弟のように可愛がっていたのと同じく、水城も月島を兄のように慕っていた。
そんな頼れる月島の姿を見て安堵したのか、ジワリと涙が浮かび思わず抱き着いた。
「月島軍曹ぉ〜っ!」
突然起こされ扉を開けてみれば抱き着かれ、月島は驚き眠気も吹き飛んだ。
突撃に近い抱擁だったが、軍人のプライドにかけて月島は倒れるのを踏みとどまった。
「ど、どうした?」
水城らしくない行動に月島は思わず戸惑った声を零してしまう。
抱き止めようにも後で上官に気づかれたら面倒くさい事になることは目に見えているので月島は両手を上げて水城に触れないようにしている。
所謂、私は痴漢していませんよポーズだ。
そんな月島に気づかず、水城はうるうると目を潤わせながら必死に月島に縋る。
「な、んか…身体が熱くて…」
「身体が熱い?風邪でも引いたか?」
身体が熱いと聞き誰もが思い付くのは風邪だろう。
水城も恥ずかしくてはっきり言わなかったのも悪いが、いくら男らしくしていても中身は乙女である…許してほしい。
しかしそうは言ってられないのも確かにあり、恥ずかしさに月島の顔が見られずそっと目を逸らしながらポツリと呟く。
「…その……"あっち"の、意味で…身体が熱くて…」
「"あっち"?」
「だ、だから……せ…性、的な…い、意味で…」
ぽつぽつと小さく呟く声だったが、更に少しずつ声の音量を弱める。
顔を背け気まずげに話す水城の言葉に月島は固まった。
固まる月島に『そりゃそうなりますよねー』と申し訳なく思いつつ、縋る様に見る。
「助けてください…」
水城の切なそうな声に月島は内心頭を抱える。
そして水城に触れなくてよかったと心底思う。
「……鯉登少尉は谷垣達の部屋で寝ている…そっちへ行け…俺は絶対に協力しないからな…」
助けを求めてくる水城をどうにかして助けてやりたい気持ちは一応はある。
切なそうに囁く女を安心させたいという男心は一応ある。
だが、その後訪れるであろう修羅場を思えばそんな親切心と下心なんて粉々に粉砕されてしまう。
"そういう意味"で眠れないのであれば、自分よりも適任がいるではないか。
月島はそう呟き拒むように水城から顔を背ける。
勘違いしている月島の言葉に水城はキョトンとさせたが顔を赤くし、ガシリと月島の肩を掴んだ。
「いや違うから!!そういう意味で駆け込んできたわけじゃないから!!やめて!?音之進を推してくるのやめて!?」
「だが興奮して眠れないのだろう?なら発散させて寝ればいいじゃないか…鯉登少尉なら喜んで協力してくれると思うぞ…まあ、鯉登少尉は童貞だから雰囲気を出せるかは別だが」
「そうだけども!違うから!月島軍曹ならなんか解決方法あるかなって思っただけだから!!!そんな助言求めてないから!!―――って…ちょっと待って…今なんて言った??」
「『鯉登少尉なら喜んで協力してくれる』か?」
「違う!…な、なんか…ど、童貞って…聞こえたような気がしないでもないんだけど…」
何の根拠もない水城の頼る言葉に『俺は未来の猫型ロボットではないんだが…』と思いながら頷いた。
そんな月島をよそに水城は月島の頷きにサーッと顔を青くさせる。
「う、嘘でしょ…音之進が…童貞…??ええ…嘘でしょそれ…」
ワナワナと体を震わせ顔を青くさせ絶句する水城に月島は内心『言ってはまずかったか』と判断の過ちに舌打ちを打ちそうになった。
しかし、同時に怪訝とさせる。
鯉登は童貞だ。
それは本人も言っていたので間違いないが、鯉登に限っては決して『童貞=モテない』というわけではない。
鯉登の童貞は恋人を深く愛し想った結果であり、その想われている相手である水城は誇らしく思うべきだ。
しかし水城は鯉登が童貞と聞き顔を青ざめ絶句した。
それはいい年して童貞はどうなの、と思っているのかもしれない。
もしかしたら鯉登が童貞だと聞き責任を感じているのかもしれない。
どちらにせよ月島は選択を間違えたらしい。
「杉元…鯉登少尉はお前をずっと想っていたんだ…だから周りから勧められる見合いも出会いも告白も拒み続けてきた…鯉登少尉が童貞なのはお前を想っているからだ」
月島はアシリパ奪還の他にも鯉登と水城を復縁させるよう命じられている。
だから興奮しているのなら丁度いいきっかけだと鯉登に丸投げしようとした。
水城は月島の言葉に青い顔を更に青くさせる。
まるで死人のような顔色に月島は流石に心配になってきた。
「杉元…鯉登少尉を面倒な男だと嫌うか?」
世の中には処女や童貞を嫌う人間もいる。
青臭さよりも初めての行為の気遣いへの面倒くささを嫌ったり、本気にされる事への面倒臭さだったり、様々だ。
月島はふと水城の後ろをチラリと見ながら問う。
人影に気づかない水城は月島の問いに青い顔のまま首を振る。
「音之進を嫌うだなんて……でも…私のせいで誰とも恋が出来なかったと思うと罪悪感を感じてる……音之進だってこれまで好きになった人や好意を持った人だっていたはずなのに…勝手に死んで傍を離れた女なんかに邪魔されて……私はどうしたら音之進に償えるのかしら…」
水城は後ろめたさを感じていた。
音之進の地位や容姿からしてモテないわけがない。
学生のころからもモテて告白されたり手紙を貰ったりとして何度嫉妬したか分からない。
でも鯉登は自分を一途に想ってくれていると分かっていたから余裕でいられた。
だけどそのせいで鯉登の今までの歩む道を狭めてしまったと思うと心苦しく思う。
本当ならもう嫁を貰って将来に向かって妻と共に歩んでも可笑しくない年齢なのだ。
鯉登の立場もあるのに、自分のせいで見合いを断って出世に響いてしまっているのではないかと思い詰めてしまう。
あまりの罪悪感に顔を手で覆うと後ろから肩を掴まれ、強い力で後ろへ振り向かされる。
痛みに眉を顰め誰だと睨もうとしたが、後ろにいた人物に水城は目を丸くし息を呑んだ。
「音之進…」
そこには鯉登がいた。
水城も月島も声を抑えてはいたが、みんな寝静まった時間帯であり安い宿である…小さい声でも聞こえるのだろう。
鯉登に聞かれたかと水城はヒヤリとさせたが、それ以上に自分を見る鯉登の表情に水城は目を丸くした。
鯉登は明らかに怒っている表情を浮かべていた。
怒りを見せる瞳で水城を見下ろし、肩を掴む手もギリギリと強くなる。
「鯉登少尉殿…杉元…一度部屋に戻りましょう……ここで言い争えば他の客に迷惑ですから」
月島は話し声に気づき部屋から出てきた鯉登が水城の後ろにいることに気づいていた。
気づいていたからこそ、先ほどの問いかけをした。
水城の言葉に鯉登が怒りを覚えている理由も分かっており、だからこそ鯉登が何か言う前に先手を打つ。
ここは廊下だ。
水城と月島の会話でさえ聞こえるのだから怒鳴り声を上げればほぼ全員起きるだろう。
そうなれば夜中でも追い出されかねない。
しかも外は雪が積もっておりマイナスの世界だ。
いくら酒が入って体が温かいとはいえマイナスの世界で一夜を明かせというのは避けたい。
壁が薄くてもまだ部屋の方がマシだろうと鯉登と水城の背を押して水城の部屋へ二人を押し込む。
出来れば月島は2人(特に水城)を見捨ててとっとと寝たいのだが、この二人だけではすれ違いどころか面倒臭い方向へとダッシュしそうで放置する方が危険だと判断した。
月島は溜息を吐きながらドアを閉める。
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