暗闇の中、少年は蹲って泣いていた。
クスン、クスン、と涙を流し嫌だ嫌だと泣いていた。
父親からの虐待ともとれる訓練と期待。
小さな体には到底耐え切れない日々を送っていた。
そんな丸まって泣いている少年の背中に小さな手がそっと触れる。
―――しょうとさま
少女の声に少年は涙を止めず顔を上げて見る。
逆光で顔が見れなかったが、少女は笑っているように少年は思った。
―――だいじょうぶ
―――だいじょうぶです
―――しょうとさまはつよくなります
―――だから、だいじょうぶ
何を証拠に、と少年ながらに思った。
しかし、少女に言われるとどこか力が湧いてくる気がした。
少年は無意識に少女に手を伸ばした。
少女はその手を取り、少年を抱きしめる。
自分の胸で泣く少年の白と赤の髪を撫でながら少女は囁く。
つよくなってね、しょうとさま
おとうさまのようにつよくなるの
そうでなければわたしはもうそとにはでれない
あなたがつよくなって、わたしのかべとなってくれないといけないの
それがわたしがここにいるりゆう
それがわたしがゆいいつあらがえること
少年は少女の声が聞こえなかった。
だから少女に縋れるのだろう。
2 / 13
← | 目次 | 表紙 | →
しおりを挟む