(7 / 18) 17話 (7)

その夜。
小春は手が濡れないようにお風呂を入り手を怪我している小春の代わりに夏目が2人分の布団を敷く。
毛玉には寝ている間落ちないよう空のティッシュケースの上の部分だけを切ってその中にタオルを敷き詰めてベットを作った。
その間小春の手の中にいても、そして移動させるため夏目の手の中にいても大人しくしており、つい先程眠りについたばかりだった。


「…っ」


夏目と小春も布団に入り、斑が安全地帯の小春の布団に入る。
三人は明日に向け目を瞑って眠りにつこうとした。
しかしうつらうつらとしていた夏目は隣から小さな震えた声に目を覚ます。
瞼を開きその声の方へ顔を向ければそこには小春がいた。


「小春…?どうした?」


丁度背を向けていたため体ごと振り返れば小春が辛そうな表情を浮かべており、夏目は目を見張りながら上半身を起こした。


「手、いたい…」

「手…?」


小春の顔には脂汗が滲んでおり、手が痛いと言って手を少し布団から出す。
その手は微かに震えており、それは妖への恐怖からではなく痛みからだった。
痛みの辛さから眉を顰め夏目は苦しむ妹に布団を捲り近づく。


「阿呆め…それは毒のせいだ」

「毒…?」


小春の布団を捲ってやり手をギュッと握ったまま固まっている小春の手へと夏目は手を伸ばそうとした。
しかし夏目と小春に挟まれている斑が目を瞑りながら呟き、手を伸ばしかけていた夏目は小春から斑へと視線を落とす。
起きていた斑は静かに目を開き続ける。


「妖には人にとって良くない物も多い…あのモジャだってこうして毒を持っている。回復するためお前達の力を吸い取ってやろうとついて来たんだろう…心を許しすぎるといつか大怪我をするぞ」


斑の言葉が酷く夏目と小春の心に落ちてきた。
確かに今回の小春の怪我は夏目が助けた事によって始まり小春が毛玉を捕まえようとしていたため負った傷だった。
それに関しては夏目も小春も何も言い返せず、とにかく今は出来るだけ小春の痛みを緩和させようと夏目は小春の布団に入り小春の後ろから包むように横になる。


「おに、ちゃん…?」

「大丈夫…俺がずっとついててやるから…」


後ろから抱きしめる兄に小春はズキズキと来る痛みに耐えて瞑っていた瞳を開き後ろへ顔を振り返る。
夏目は不思議そうに見上げる小春に安心できるよう小さく笑みを向けてやり、片腕を小春の頭の下へ差し入れ腕枕をする。
腕枕をしている手の上に怪我をしている方の手を乗せ、その上をもう片手で包んでやる。
傷が痛まない程度に優しく包帯の上で擦ってやれば痛みは変わらないが、小春は何だか痛みが和らいだ気がした。


「ありがとう、お兄ちゃん…おやすみなさい」

「ああ…おやすみ、小春」


夏目も明日は学校があるため夜通しとはいかないが小春が寝付くまで出来るだけ撫でてやろうと思った。
何だか痛みも和らいだような小春は夏目のぬくもりに安心しゆっくりと瞼を閉じていき、痛みで邪魔され眠れなかったのかすぐに寝息を立てる。
その寝息を聞きながら夏目も小春の手を優しく撫でてやりながら眠りについていった。
斑も自業自得とはいえ小春が心配だったのか2人が眠ったのを見届けると空っぽの夏目の布団へ移動し布団にもぐりこみ布団の中で丸まって目を閉じた。


「…………」


2人の様子を毛玉はジッと見つめていた。

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