アカガネは小春の髪の毛を懐に入れ、斑もいつまでも抱いていられないと小春の髪の毛を貰った。
どこに仕舞うんだ?と夏目は見ていると斑はなんと小春の髪の毛を口に含み食べてしまった。
それに慌てて止めさせようとしても斑の胃の中に入る方が早かった。
斑曰く『食べた方がより効果が出る』らしい。
しかしアカガネは食べることはなかったので夏目から疑いの目で見られることは確実である。
その後、家に戻った小春達は3人で会話に花を咲かせていた。
夕食はカレーを3人で作っていたが…小春は人生で初めて包丁というものを握ったため鋭い刃に緊張してガッチガチになりぎこちない切り方に見てられなくなり怪我する前にと夏目が取り上げる。
結局小春は白米を炊くのとお皿を出す事とサラダを作る事としかしておらず、白米とサラダは兄と田沼に教えられながら作った。
途中からは斑がつまみ食いしそうになったのでその番として小春は斑を抱いてただ兄達の背を見ていただけに終わった。
「それで、小春ちゃんの中からアサギっていう妖かしを出す方法はないんだな?」
「ああ…」
「アサギの希望を叶えるしかないな…気持ちが消化されれば体から剥がれていくだろう……全く…低級なら頭突き一発ですむというのに…」
「ニャンコ先生、小春に頭突きしたら怒るからな?」
以前燕が小春に憑いた時も頭突きして放せたのでその効力は知っている。
しかしその頭突きは陶器だからか、とても痛い。
夏目も喧嘩になったときたまに食らうのでそれは十分分かっているので斑を止める。
小春は『あ…なんか見覚えあるような…ないような…』と燕の時の事を思い出し無意識に額へ手を伸ばす。
「まあ、揉めたってしょうがないだろ…さっさと済ませるぞ小春。」
「え?あ、はい!」
「出来れば小春を巻き込まないで欲しかったが…で、まずは何をするんだ?」
「そうだな……じゃあまずは楽器作りだな!」
「「まずそこから!?」」
夏目も小春もまさか楽器を作るところから始めるとは思って居なかったようで揃って声を上げた。
アカガネの言葉が聞こえない田沼だが斑の翻訳に田沼も『そこから!?』と同じ突っ込みを入れる。
結局探すにしても今日はすでに日が傾いており、時間がなくて明日になった。
夜。
小春は窓から外を見ていた。
「眠れないのか?」
小春は女の子だからと田沼と夏目の隣の部屋を使わしてもらっている。
しかし小春は中々眠れずついに起き上がって窓を開けて外を見つめていた。
すると小春の布団で眠っていた斑が目を覚まし外を見る小春のもとに歩み寄る。
斑に声を掛けられた小春は小さく笑った。
「眠らなければ明日が辛いぞ?明日はハードな一日になりそうだからな……夏目が。」
小春には働かせないつもりでいる夏目に斑は『このシスコンが』と何度目になるか分からないツッコミを入れた。
「うん…でも……ずっと外を見れるわけじゃないから……アサギさんが離れたら自分の目で朝だったり昼だったり夜だったり…色々な空や風景を見れなくなるから…目に焼きつきたくて…」
「…………」
斑から外へ目を戻した小春に斑は口を閉じノソノソと小春の膝に乗り、膝の上に乗った斑に小春は微笑を浮かべ優しく斑を撫でる。
「ねえ、ニャンコ先生」
「なんだ」
「お兄ちゃん、お願いね?」
「………」
「守ってあげて……私の分まで守って…」
「…………」
膝の上で座る斑を包み込むようにして抱きしめる。
斑は小春の言葉に目を伏せ『ああ』と小さな声で呟いた。
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