どこだ…
どこだ…!!
レイコは何処にいる!!!
友樹を!
我の愛し子を攫い奪ったレイコは何処にいる!!
大猿は走った。
縄張りから遠く離れ少女を探しに走った。
ザザ、と木々が大猿が走るたびに触れ大きく揺れる。
大猿はもう目も見えなくなっていた。
耳も聞こえなくなっていた。
喋れなくなっていた。
足が動き難くなっていた。
ずっと、ずっと食べず少年を待っていたから体が弱り力が衰えてしまったのだ。
それでも、上手く走れない足を懸命に動かし、匂いだけを頼りに長い長い道を走っていた。
生まれ育った町を離れずっとずっと離れた場所へ走る。
レイコを求め、友樹を求め…
レイコから友樹を救う為に走った。
―――そして、大猿は少女を見つけた。
見つけた!!
見つけたぞ!!レイコ!!!
許さない!絶対許すものか…!!!返せ!友樹を返せ!!!レイコ!!!
全てを失った大猿は全てを奪おうとレイコに手を伸ばした。
仕返しに全てをレイコから奪った。
目も、耳も、声も、足も全て。
ぼやける景色のなか、1人の少女が倒れていた。
――――!!
大猿は信じられない物を見るように己の目を疑った。
とも、き…?
倒れていたのは――――
小春だった。
大猿の大きな瞳から涙が1粒落ちる。
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