突然だが話は少し遡る。
少女の名前は井上奈々。
彼女は小春のクラスの委員長である。
委員長は責任が大きいがそれなりにやりがいもあり、結構彼女にあっている役割だった。
今では小春に声をかけるほどの仲になっていたが、そんな彼女でも最初は小春にあまりいい印象がなかった。
小春は一目見れば誰もが羨み振り返るほどの美少女だった。
―――それと同時に冷たい印象を持つ少女だった。
最初、先生に呼ばれみんなの前に現れたとき、誰もが彼女に見惚れていた。
誰が何を言おうと見事に美少女の彼女はまるで絵画から出てきたかのように美しく愛らしかった。
そして、それと同時に氷のように冷たく見えた。
だから転校生の洗礼のような転校生に群がる場面も、質問攻めもなかった。
彼女はただ自分の席でジッと時を経つのを待っていた。
(なんか…怖い…)
そんな小春を見て井上はそう思った。
笑わない彼女、顔の筋肉をぴくりとも動かさない彼女、誰とも言葉を交わそうとしない彼女。
全てが冷たく自分は他の人とは違うのだと言っているような小春に井上は怖かった。
それは井上だけが思ったことではないようで、井上の友達も美少女大好きな男子達も怖がり誰一人小春に近寄ることはなかった。
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