松平片栗虎はやった。
あいつはやりやがった。
片栗虎はまっちゃん砲のスイッチを押したのだ。
そのおかげで砲弾が起動し、それが目にも分かるため雪達は焦っていた。
「ちょ、あれ…あれ、撃とうとしてない?なんか撃とうとしてない!?」
「嘘だろオイ!!仮にも皇子だぞオイイイイ!!!」
「あ、そういえば今日だった。栗子ちゃんの誕生日会。そりゃ撃つわな、あのおっさんなら」
「そんな理由!?そんな理由で殺されそうになってんの!?私達!!!」
キュイイ、と高い起動の音は離れている雪達の耳にも届いていた。
焦りを見せるのは雪達だけで鷹臣はどこまで言っても冷静そのものである。
そんな鷹臣の思い出したような言葉に雪は娘のパーティー以下な事も含め今現在ピンチすぎて涙目で突っ込んだ。
しかしその瞬間…
「それ私の酢昆布ネエエエエエ!!!」
エイリアンの核に取り込まれていたはずの神楽が叫びながら銀時を殴り出てきた。
飛び出すように出てきた2人に星海坊主は目を丸くさせた。
「ったく…食い意地が張ったガキだ……親の顔が見てみてえな、オイ」
「俺も見てみてえよ。お前のような無茶苦茶な男の親の顔を」
「男は下の毛が生えたらもうてめえでてめえを育てていくもんだ。」
「ちげえねェ」
本当に娘を取り戻した銀時に星海坊主は驚きが隠せなかった。
だが銀時の憎まれ口にふと笑い、返すように星海坊主も憎まれ口を叩いた。
お互い顔を見合いニヤリと笑い…
「さて、そろそろ?」
「終いにしようか。」
神楽も取戻し、あとすることと言えば1つである。
銀時と星海坊主はグッと握り慣れた己の武器を持つ手の力を強め、そして…
「いくぜ!!お父さアアアん!!」
「誰がお父さんだアアア!!!」
2人同時にエイリアンの核に武器を突き刺した。
その瞬間二つの衝撃に核は一度の攻撃で息絶える。
爆発音と共に下を這いでいたエイリアンの触手の動きが鈍くなり、それに気づいた近藤は今がチャンスだと無線で片栗虎を止めに入る。
「とっつァァァァん!!!砲撃を止めろーーー!!」
≪『泊める』…?ふざけるな栗子はまだ17だぞ!!鷹臣が連れてきた彼氏候補かなんだか知らねえが彼氏なんぞ作ってみろ!!外泊するに違いねえよ!!俺ァ外泊なんざ許さねえぞ!!全力で邪魔してやる!!俺の持つ権力全てを使い果たしてでも彼氏候補の奴等の息の根を止めてやんよオオオ!!!≫
「『泊める』じゃなくて『止める』!!あんた娘のことしか考えてねえのか!!」
≪うるせええなああ!!どうせもう今さら中止できねえんだろ!!鷹臣以外早く逃げろオオ!!おっさん知らないからな!!おっさんは一切責任はとりません!!≫
だが、娘の事で頭が一杯な片栗虎は今更止める気はなかった。
過保護すぎて近藤の『止める』を『泊める』と聞き間違えるほど今の片栗虎は娘の彼氏候補で頭が一杯だった。
そんな片栗虎の言葉を聞きながらも当の当事者の1人である鷹臣はやっぱり笑っていた。
「あっはは、おやっさんマジ切れ。」
「笑ってる場合ですか!?っていうかどこに突っ込んでるの!?」
止まる事も、止める気もない片栗虎の暴走に雪は焦った。
しかしそれは雪だけではなく、鷹臣以外のその場の全員が同じく焦っていた。
エイリアンへの危機は去った。
だがまだ危機は全て去ってはおらず、今度は警察機関に殺されそうになっていた。
あと数秒で砲弾が発射し、雪達は全員塵も残らないだろう。
姉上の事が頭に過り、そして走馬灯が雪の脳裏に過る。
「酢昆布返せエエエエエ!!!」
「か、神楽ちゃん!?」
『あ、死ぬ』、と少しだけ覚悟した雪だったが、銀時が『上へあがれ』と言う言葉を遮るような神楽の叫び声にハッと我に返る。
神楽へ振り返れば何故か酢昆布と連呼しながら蹴り飛ばした銀時の上に上乗りし殴っているのが見えた。
それに慌てて雪が神楽を止めようと駆けつけようとしたのだが、それよりも早く星海坊主が神楽を羽交い絞めして止める。
まだ正気を取り戻していないのか、殴っていたのが銀時と気づいていないようである。
「神楽アアア!!しっかりしろ!オイ!駄目だって!出血が…!!」
言葉にならない叫び声を神楽は叫び、星海坊主は力の限り混乱している神楽を羽交い絞めし止める。
意識が定まらずまだ混乱状態で誰が誰なのか分からないのだろう。
どうやって銀時がそんな神楽の意識の底に届かせたかは分からないが、星海坊主は銀時を信じられないと言わんばかりに見つめた。
だが…
「あ、酢昆布だ」
「え。」
神楽は暴れていたのをやめ、父である星海坊主を振り返りそう零した。
しかしその瞬間星海坊主の残り僅かな髪を神楽は容赦なく力いっぱい引き抜いた。
帽子を被っていたはずだが、どうやら暴れる神楽を抑えている途中、神楽に帽子を取られてしまったらしい。
つるんとさせる頭のてっぺんから雪と爺が絶句し口をこれでもかと開けている姿を覗かせていた。
「ギャアアアア!!!何すんのオオオ!!お父さんの大事な昆布がアアア!!!」
「おいイイ!!何食ってんだ!!出せ!ハゲるぞ!!そんなもん食ったらハゲるぞオオオ!!!」
爺と雪はお互い顔を見合わせた。
目と目があい、そしてその数秒の間『わ、我々は何も見なかった事にしよう』と結論づけ、視線をハゲから逸らすが…鷹臣は表情をそのままにジッとピカピカに光るハゲを見下ろしていた。
しかし殴られ気絶していた銀時が目を覚まし父から奪い取ったわずかな酢昆布(違う)を食べている神楽に慌てて吐き出すように体を揺する。
神楽はまだ意識がハッキリしていないのか父から奪った残り少なかった毛を酢昆布と思い込み口に含んだまま放さない。
そんなコントのようなやりとりをしていると松ちゃん砲という砲弾がついに砲撃してきた。
しかし時すでに遅く、気づいたときは目も開けられないほど眩しい光りが雪達を襲う。
雪は光りが視界を覆ったと思った瞬間、何かに包まれる感覚が襲った。
光りは一瞬だった。
だけど雪達にとって、数分、数時間のように長く感じ、治まったのを感じて雪は閉じていた目を開ける。
「た、鷹臣さん!?」
「怪我はないですか、お雪さん…」
目を開ければまず目に移ったのは人の腕だった。
腕を伝って顔を上げれば、そこには端正な顔立ちの男性があり、それは鷹臣だった。
鷹臣は咄嗟に隣にいた雪を覆うように庇ったらしい。
雪はお礼をいいながら起き上がり、ふと周りは焼け焦げているのに自分達の場所だけは無事な事に気づく。
「ぼ、坊主さん…!」
前を見れば雪や銀時達を庇う星海坊主の姿があった。
傘一本で砲撃を防いだ星海坊主に雪は目を丸くする。
「俺も焼きがまわったようだ…」
「いや、髪の毛も焼きまわってるけど…」
「他人を守って…くたばるなんざ……」
考えるよりも身体が動いたのだろう。
銀時の腕の中には娘もいた。
その娘のついでに雪達を守ったやったつもりなのだろう。
だが、エイリアンハンターとして一匹狼で生きてきた星海坊主にとって他人を命をかけて守る日がくるとは思ってもみなかったのだ。
そう零しながら倒れる星海坊主に雪と銀時は慌てたようすで駆け寄った。
「坊主さん!!」
「ハゲ!おい!ハゲ!!」
「ハッ…じゃない!坊主さん!!!」
「―――ハゲエエエ!!!右側だけハゲエエエエ!!!」
がくり、と倒れる星海坊主に雪達は駆け寄り、声をかけるも気を失っているのかピクリとも動かない。
よくみれば黒焦げになっており、どれだけ砲弾の威力が凄まじいかを物語っていた。
雪は銀時に釣られハゲと言いかけながらも星海坊主に声を上げ、銀時は心の底からの声で叫んだ。
「禿坊主が本当の禿になった…」
鷹臣はポツリと呟くが、その失礼な呟きは失礼な銀時の叫びによってかき消されてしまった。
あいつはやりやがった。
片栗虎はまっちゃん砲のスイッチを押したのだ。
そのおかげで砲弾が起動し、それが目にも分かるため雪達は焦っていた。
「ちょ、あれ…あれ、撃とうとしてない?なんか撃とうとしてない!?」
「嘘だろオイ!!仮にも皇子だぞオイイイイ!!!」
「あ、そういえば今日だった。栗子ちゃんの誕生日会。そりゃ撃つわな、あのおっさんなら」
「そんな理由!?そんな理由で殺されそうになってんの!?私達!!!」
キュイイ、と高い起動の音は離れている雪達の耳にも届いていた。
焦りを見せるのは雪達だけで鷹臣はどこまで言っても冷静そのものである。
そんな鷹臣の思い出したような言葉に雪は娘のパーティー以下な事も含め今現在ピンチすぎて涙目で突っ込んだ。
しかしその瞬間…
「それ私の酢昆布ネエエエエエ!!!」
エイリアンの核に取り込まれていたはずの神楽が叫びながら銀時を殴り出てきた。
飛び出すように出てきた2人に星海坊主は目を丸くさせた。
「ったく…食い意地が張ったガキだ……親の顔が見てみてえな、オイ」
「俺も見てみてえよ。お前のような無茶苦茶な男の親の顔を」
「男は下の毛が生えたらもうてめえでてめえを育てていくもんだ。」
「ちげえねェ」
本当に娘を取り戻した銀時に星海坊主は驚きが隠せなかった。
だが銀時の憎まれ口にふと笑い、返すように星海坊主も憎まれ口を叩いた。
お互い顔を見合いニヤリと笑い…
「さて、そろそろ?」
「終いにしようか。」
神楽も取戻し、あとすることと言えば1つである。
銀時と星海坊主はグッと握り慣れた己の武器を持つ手の力を強め、そして…
「いくぜ!!お父さアアアん!!」
「誰がお父さんだアアア!!!」
2人同時にエイリアンの核に武器を突き刺した。
その瞬間二つの衝撃に核は一度の攻撃で息絶える。
爆発音と共に下を這いでいたエイリアンの触手の動きが鈍くなり、それに気づいた近藤は今がチャンスだと無線で片栗虎を止めに入る。
「とっつァァァァん!!!砲撃を止めろーーー!!」
≪『泊める』…?ふざけるな栗子はまだ17だぞ!!鷹臣が連れてきた彼氏候補かなんだか知らねえが彼氏なんぞ作ってみろ!!外泊するに違いねえよ!!俺ァ外泊なんざ許さねえぞ!!全力で邪魔してやる!!俺の持つ権力全てを使い果たしてでも彼氏候補の奴等の息の根を止めてやんよオオオ!!!≫
「『泊める』じゃなくて『止める』!!あんた娘のことしか考えてねえのか!!」
≪うるせええなああ!!どうせもう今さら中止できねえんだろ!!鷹臣以外早く逃げろオオ!!おっさん知らないからな!!おっさんは一切責任はとりません!!≫
だが、娘の事で頭が一杯な片栗虎は今更止める気はなかった。
過保護すぎて近藤の『止める』を『泊める』と聞き間違えるほど今の片栗虎は娘の彼氏候補で頭が一杯だった。
そんな片栗虎の言葉を聞きながらも当の当事者の1人である鷹臣はやっぱり笑っていた。
「あっはは、おやっさんマジ切れ。」
「笑ってる場合ですか!?っていうかどこに突っ込んでるの!?」
止まる事も、止める気もない片栗虎の暴走に雪は焦った。
しかしそれは雪だけではなく、鷹臣以外のその場の全員が同じく焦っていた。
エイリアンへの危機は去った。
だがまだ危機は全て去ってはおらず、今度は警察機関に殺されそうになっていた。
あと数秒で砲弾が発射し、雪達は全員塵も残らないだろう。
姉上の事が頭に過り、そして走馬灯が雪の脳裏に過る。
「酢昆布返せエエエエエ!!!」
「か、神楽ちゃん!?」
『あ、死ぬ』、と少しだけ覚悟した雪だったが、銀時が『上へあがれ』と言う言葉を遮るような神楽の叫び声にハッと我に返る。
神楽へ振り返れば何故か酢昆布と連呼しながら蹴り飛ばした銀時の上に上乗りし殴っているのが見えた。
それに慌てて雪が神楽を止めようと駆けつけようとしたのだが、それよりも早く星海坊主が神楽を羽交い絞めして止める。
まだ正気を取り戻していないのか、殴っていたのが銀時と気づいていないようである。
「神楽アアア!!しっかりしろ!オイ!駄目だって!出血が…!!」
言葉にならない叫び声を神楽は叫び、星海坊主は力の限り混乱している神楽を羽交い絞めし止める。
意識が定まらずまだ混乱状態で誰が誰なのか分からないのだろう。
どうやって銀時がそんな神楽の意識の底に届かせたかは分からないが、星海坊主は銀時を信じられないと言わんばかりに見つめた。
だが…
「あ、酢昆布だ」
「え。」
神楽は暴れていたのをやめ、父である星海坊主を振り返りそう零した。
しかしその瞬間星海坊主の残り僅かな髪を神楽は容赦なく力いっぱい引き抜いた。
帽子を被っていたはずだが、どうやら暴れる神楽を抑えている途中、神楽に帽子を取られてしまったらしい。
つるんとさせる頭のてっぺんから雪と爺が絶句し口をこれでもかと開けている姿を覗かせていた。
「ギャアアアア!!!何すんのオオオ!!お父さんの大事な昆布がアアア!!!」
「おいイイ!!何食ってんだ!!出せ!ハゲるぞ!!そんなもん食ったらハゲるぞオオオ!!!」
爺と雪はお互い顔を見合わせた。
目と目があい、そしてその数秒の間『わ、我々は何も見なかった事にしよう』と結論づけ、視線をハゲから逸らすが…鷹臣は表情をそのままにジッとピカピカに光るハゲを見下ろしていた。
しかし殴られ気絶していた銀時が目を覚まし父から奪い取ったわずかな酢昆布(違う)を食べている神楽に慌てて吐き出すように体を揺する。
神楽はまだ意識がハッキリしていないのか父から奪った残り少なかった毛を酢昆布と思い込み口に含んだまま放さない。
そんなコントのようなやりとりをしていると松ちゃん砲という砲弾がついに砲撃してきた。
しかし時すでに遅く、気づいたときは目も開けられないほど眩しい光りが雪達を襲う。
雪は光りが視界を覆ったと思った瞬間、何かに包まれる感覚が襲った。
光りは一瞬だった。
だけど雪達にとって、数分、数時間のように長く感じ、治まったのを感じて雪は閉じていた目を開ける。
「た、鷹臣さん!?」
「怪我はないですか、お雪さん…」
目を開ければまず目に移ったのは人の腕だった。
腕を伝って顔を上げれば、そこには端正な顔立ちの男性があり、それは鷹臣だった。
鷹臣は咄嗟に隣にいた雪を覆うように庇ったらしい。
雪はお礼をいいながら起き上がり、ふと周りは焼け焦げているのに自分達の場所だけは無事な事に気づく。
「ぼ、坊主さん…!」
前を見れば雪や銀時達を庇う星海坊主の姿があった。
傘一本で砲撃を防いだ星海坊主に雪は目を丸くする。
「俺も焼きがまわったようだ…」
「いや、髪の毛も焼きまわってるけど…」
「他人を守って…くたばるなんざ……」
考えるよりも身体が動いたのだろう。
銀時の腕の中には娘もいた。
その娘のついでに雪達を守ったやったつもりなのだろう。
だが、エイリアンハンターとして一匹狼で生きてきた星海坊主にとって他人を命をかけて守る日がくるとは思ってもみなかったのだ。
そう零しながら倒れる星海坊主に雪と銀時は慌てたようすで駆け寄った。
「坊主さん!!」
「ハゲ!おい!ハゲ!!」
「ハッ…じゃない!坊主さん!!!」
「―――ハゲエエエ!!!右側だけハゲエエエエ!!!」
がくり、と倒れる星海坊主に雪達は駆け寄り、声をかけるも気を失っているのかピクリとも動かない。
よくみれば黒焦げになっており、どれだけ砲弾の威力が凄まじいかを物語っていた。
雪は銀時に釣られハゲと言いかけながらも星海坊主に声を上げ、銀時は心の底からの声で叫んだ。
「禿坊主が本当の禿になった…」
鷹臣はポツリと呟くが、その失礼な呟きは失礼な銀時の叫びによってかき消されてしまった。
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