(4 / 5) キャラクターはシルエットだけで読者に見分けがつくように描き分けよう (4)
酒を仰ぎ酔った銀時は雪の肩を抱き寄せあれよこれよとまるで漫画の編集者のような事を言い出しダメ出しをし始めた。
『チームは集団だからこそ個性が必要なんだよ。』から『モヒカンにするとか、でかい武器を持ってるとか、キャノンとかタンクとかシ○ア専用とか』とか言い出す始末。
結果、さっちゃんは無言で眼鏡を取り自ら眼鏡を破壊することになる。


「これで文句ないでしょ?これで気がすんだ?そうやって私を弄って楽しんでるんだろうけど…私"M"だから!私も楽しんでるから!!私が"M"であなたが"S"で他にはもう何もいらないじゃない?」

「あー…悪いな…どっちかっつーと俺も"M"だ。」

「?」


眼鏡を外したさっちゃんは、視力が弱い。
いや、眼鏡をかけているから視力が弱いのは当たり前なのだが…同じ眼鏡族の雪よりも悪いのだ。
眼鏡を外したさっちゃんは人物が判別できないほど視力が弱い。
正直生きているものと無機物も見分けがつかないのだ。
今も銀時と間違え長谷川に語り掛けていた。
声で多少の違和感を感じたらしいさっちゃんは目を凝らしじっと長谷川を睨むように見つめる。
だが、そんなさっちゃんの髪を誰かが掴む。


「ゴルアアア!!小娘エエエ!!さっきから黙って聞いてりゃいきなり出てきてヒロイン面かアア!?ここはそんな甘い世界じゃねえんだよ!!てめえ、何話かしらねえけどな!アタイはてめえが出てくるはるか前から働いてんだよオオ!!このアニメのヒロインはアタイなんだよオオオ!!」

「全く猫耳を役立ててないオバさんが黙りなさいよ!!その耳がね私についていれば『忍者・眼鏡・猫耳』の"萌え三種の神器"が揃うのよオオ!」

「このギャップがいいんだろうが!猫耳なのにオバさんっていう!!」

「いい加減にしなさい!!二人とも!!こんな所神楽ちゃんがもし見たらどんな気持ちになると思っているの!?―――まあ、因みに?私が銀さんとの付き合いが一番長いアルけどねぇ?」

「あれ…姉上?もしかして姉上も狙ってる?ヒロインの座、狙ってる?」


さっちゃんの髪を掴んだのはキャサリンだった。
今まで黙って見ていたが堪忍袋の緒が切れたようで手を出してきた。
キャサリンの片言がもうすっかりなくなった突っ込みはもう雪はするのを諦めた。
というか女のドロドロなヒロイン争い突入にすべてを諦めたのだ。
とはいえ突っ込み族として弱弱しくだが突っ込みは入れさせてはもらうが。
お妙と銀時は水と油の関係なのにヒロインを狙っている姉に怪訝とさせると、雪の視線の意味を察したらしいお妙がにっこりと笑いながら『だってヒロインになった方が近くで銀さんの監視ができて暗殺もできて一石二鳥じゃない』と言い、雪は顔を引き攣らせながら『あ、そうですか』と言うのが精一杯だった。
そんな三人に新たな人物が入ってきた。


「ちょっと待ってください。真のヒロインはこのサイトの夢主であるお雪様では?」

「ちょっとオオオ!!たまさんンンン!!?やめて!やめてよたまさんンンン!!!火に油を注がないでよたまさんンンンン!!!私巻き込まれたくないんだけどたまさんンンン!!!」

「ご安心ください、お雪様…お雪様の代わりに私が参戦しますので」

「いやいやいや!!何も安心できないから!全然安心できないから!!安心の要素ひとつもないから!不安要素しかないから!!」

「真のヒロイン…そう、それはお雪様のようなお方こそふさわしいのです…お雪様のように周りの男を次々と落としていき落としたことに満足して放置プレイと言う名の放棄を平然とやり遂げ相手となる男性キャラのみに照れを発動させるも天然という設定を生み出し鈍感さも忘れず相手の感情に気づいているけど気づかないふりをして裏で嘲笑い掌でコロコロと転がし楽しんでいる方こそが真のヒロインとなるのです」

「違う!全然違うから!!なんでそうなったの!?ねえ、なんでそんな解釈が生まれたの!?何を見てそう思い立ったの!?そんな悪女ヒロインいらないから!!ギャグマンガにはいらないから!!!後で源内さんのところに行って一回その情報デリートしようか!!!ついて行ってあげるから!!修理中ずっと手を握っててあげるから!!!」


たまが何故か雪代理でヒロイン争いに参加しはじめ、雪は必死で三人の輪に入るたまを引き離そうとした。
だがカラクリであるたまの力に雪が勝てるわけがなく、一ミリたりとも足の位置が変わっていない。
根負けしたのか雪は諦めてお登勢に助けを求め、『お登勢さーん!!』という雪の情けない声にお登勢はため息をつきながらたまを止めた。
お登勢の『たま、お止めってば』という声でたまは止まり、業務に戻っていくたまを見送りながら雪は安堵の息をつき銀時の隣へと戻っていく。


「なに『自分は別格』ですみてえな顔してんだニャンボワザァ!!キャラ的に言えばお前が1番薄いくせによォニャンボワザァ!!」


さっちゃんと言い争っていたキャサリンが標的をさっちゃんからお妙に変え、更にはキャラ作りなのか…片言をやめたと思えば変な語尾がついてきていた。
そしてそれはキャサリンだけではなく、さっちゃんも同じらしくキャサリンに掴まれ荒れた髪を直しながらさっちゃんはキャサリンを見て鼻で笑う。


「濃ければいいってもんじゃないわよ?あなた顔が濃すぎるニンニン!」

「なにイイ!!?」

「それからあなた!銀さんと付き合いが長いからって調子に乗るなよメガネビーム!!」


銀時の隣に戻った雪の目の前では女の醜い争いが繰り広げられていた。
雪も同じ女だが、酔っていないからか参加しようとも思わない。
正直に言って『誰でもいいよ。てめえら以外だったら』とかは思っている。
と言いつつもシスコンのためか『でもこの中だったら姉上かな…』とも思っていた。


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