一方、雪達は…
「………まいったな…おい…」
雪達の家にあるテレビは定春が巨大化して壊れてしまったため、一階にあるお登勢のお店にあるテレビでニュースを見ていた。
神楽は定春と一緒にいると言って屋根の上へ姿を消し、お登勢のお店には雪と銀時の2人がいた。
銀時は放送されモザイクだらけの画面に顔を覆い嘆いた。
雪は俯く銀時を励まそうと声をかけようとしたのだが…
「全国ネットでチャック全開してたとはよォ…」
「そこかよ」
雪が心配した別のところを心配していた。
励まそうとした雪だったが静かに突っ込むことにチェンジする。
しかし異物を露出してしまった落ち込みは半端なく、雪は伸ばしかけていた手を銀時の背に置き優しく撫でてやる。
「銀さん、元気出してください」
「だってよぉ…雪…俺の息子…雪に見せる前にテレビの前で公開プレイしちまったんだぜ?それに落ち込まずして何を落ち込めってんだ?」
「いや何言ってんの!?普通に別に落ち込むところあるでしょうが!というか銀さん程度の息子さん見ても誰も気にしませんよ」
「はあ!?何言っちゃってんのはそっちなんだけど!?俺の息子を俺程度とか何言っちゃっての!?お前俺の息子の本気見たことあんのかよ!!ねえだろうが!!ああ!ないさ!!残念ながらな!!俺の息子の本気本当マジ凄いから!!みんな褒め称えて俺の息子を見て五体投地するレベルだから!!」
「はいはい分かりました分かりましたすごいですねー」
「なんだその適当感!!信じてねえな!!何だったら俺の息子の本気試してみっか!?お前ならすぐ息子本気になっから!!1秒で本気になれっから!!」
「はいはい、信じてます信じてます。あと試しません。」
「んだよ!何お前銀さんの息子さん見ても慌てないし平気です!みたいな涼しい顔してんだよ!!お前本当は顔真っ赤なんだろ!?お前処女だから親父の息子さんすら見たことねえもんなー!」
「……………」
「ほら見ろ!本当の事言われて返す言葉もないってか!?」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
自分の息子は大したことないと言われ男のプライドが粉々になった銀時は苛立ちをそのままに八つ当たりをするかのように高々と息子がどれほど高性能なのかを雪に伝えようとした。
『まあ!万年処女の雪には息子を理解しようなんていうのが無理なんだけどな!!』と逃げセリフのように追加する銀時だったが、そんな必死な銀時から雪は静かに目をそらす反応を見せた。
それは必至すぎる銀時から見たら言い当てられて返す言葉もなく拗ねたのだと捉えられたのだが…目をそらし無言を貫く雪の姿に銀時は悪い予感のフラグがビンビンに立っていた。
だんだんと不安になってきたのか銀時は雪の機嫌取りをするかのように怖々と声をかける。
「…む…無言は…当てられて腹がたったから…だよな?雪ちゃん?」
「……………」
「す、拗ねてるんだよな?」
「……………」
「無言は…肯定だって、古来から言われてだな…」
「……………」
「……まさか…だよな?」
「…当たってはいます」
「!、だよな!そうだよな!!俺の雪がそんな阿婆擦れなんか…」
「………父親のは、見たことはありません」
「――――え、父親、"のは"、?」
「…父親のは」
「………父親…?」
「…父親」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
そっぽを向いている雪は傍から見たら拗ねているようには見えなくもないが、その表情が気恥ずかしさとか拗ねているからとかではなく…気まずげだったのを銀時は見た。
冷や汗も額から頬に流れ、それを見た銀時は必死に自分で否定していた。
銀時だけではなく雪は近所の人からも『穢れを知らず育ちのいいお嬢さん』だった。
穢れの知らない、は言い過ぎではあるものの、その立ち振る舞いは武家の娘だったこともありそれなりに姿勢も正しく凛としているし、銀時の真似ばかりをして下ネタを連発する神楽を『こら!!女の子でしょ!!』と叱る姿はまさに母。
良妻賢母という名前は雪のためにある!!、と恐妻を持つ旦那様や結婚に夢見る独身男性達はそう言い切っているほど雪のイメージは良い。
…眼鏡で突っ込みで地味なのを除けば。(ボソッ
だから下世話な話が好きな酔っぱらいはよく雪含む話題の女性達の処女非処女で盛り上がる事もあった。
勿論銀時は夢見る男として雪に関しては処女押しだ。
あの子の最初の男として希望したいし、そんな初めての経験で怖がるあの子を優しく大人の男の余裕でリードしてやりたいというのも希望したい。
行為や強い快楽に怖いと泣き出す可愛いあの子を優しくしたい。
怖いけど…銀さんと一緒になりたい…と涙で潤んだ目で見つめられながら言われたい抱き付かれたい頼りにされたい。
ドッキングした時の痛みに思わず『い、いたいっ』と声が零れるあの子を抱きしめ『大丈夫か?』と優しくそして甘く耳元でささやきサラサラな黒髪の頭を撫でてやり、『だ、大丈夫、です…っ銀さん…う、動いてくださいっ!』と言われ、しかしお前が大事なんだよアピールしながらやめる気は更々ないけどお前が嫌なら今日はやめようとか言って『いやです…っ銀さんがほしいっ』と懇願されたい!!
そんな事されたら銀さんの理性はもうブチ切れ朝まで特急コースである。
朝は朝で初めてのあの子の寝顔を見ながら朝を迎え目を覚まし目と目が合ったあの子が夜の事を思い出し顔を真っ赤にして布団に隠れる姿を見たい。
あまりのかわいらしさに激しくしすぎて体が動かない彼女をデロンデロンに甘やかせて1日中布団の中でイチャラブしたい。
とにかく初心なあの子を俺色に染めたい!!!銀時含む夢見る乙男達はそこまで妄想していた。
それが…
それが、である。
雪からの反応、そして『父親のは』という言葉に銀時のピンク色の妄想は粉々に砕け散っていった。
「……死のう…」
「ちょっ!?何で!?あの会話のどこが自殺する要素があったんですか!?」
「だって…銀さん……処女だってばかり…騙された…お前の私男の人に触れられると顔真っ赤になって体もついでに火照っちゃうんですぅ―という顔に騙された…お前…小悪魔だったんだな…銀さん…天使だとばかり……死のう…」
「………おいアホの坂田、色々突っ込みたいがひとまず歯ァくいしばれ」
天使が悪魔だったと知り銀時の絶望感は物凄かった。
雪の処女を奪ったことへの怒りなど当の昔に通り過ぎ喪失感で埋め尽くされていた。
どこからか紐を取り出し天井に括り付ける銀時に雪は慌てて止めに入ったが、勝手な事ばかり抜かす銀時に雪はキレた。
雪は胸元を掴みグッと拳を握り、そして――――姉譲りの力で銀時をボッコボコにした。
「もう!銀さんったら!妄想もいいですけどちゃんと現実見てくださいよ!私だってもう16歳ですよ!経験の一つや二つや三つや四つや五つや六つや七つくらいあります!!」
「ソ…ソーダネ…ゴメンネ…雪チャン」
結果的に銀時の目を覚ますことに成功した。
殴られ続けた銀時の顔は見るに見れないほど腫れており、(本人曰く)イケメンが台無しになっていた。
とりあえず妄想に囚われていた物には解放された。
というよりは殴られながら『あ…もう処女じゃなくてもいいや…この苦しみから解放されるなら』とか思った。
まあ、結局は銀時にとって雪が処女であろうとなかろうと、傍にいてくれるのならなんでもいいのだろう。
なんだかんだ言って銀時は彼女にベタ惚れなのだから。(と綺麗に纏めようと思う。)
「で、どうすんだい、こんな大事になっちまって…」
「定チャン饅頭モ全然売レネーシ、モウ出テケヨ」
「おーい、誰の許可得て商品化してんだ?」
話しが綺麗にまとまったところで、コントが終わるのを待っていたお登勢が問いかけてきた。
タバコの煙を吐き出しながらの問いに銀時は頭をかく。
勝手に商品化してる化け猫はもう放っておく。
「…まあな、あんたらにも色々迷惑かけちまって…ここらが潮時かもな…マナーも守れねえ奴にペットを飼う資格はねえもんな…」
「銀さん…」
「デモ捨テルニシテモ、アンナ大キナ犬トナルト大変デスヨ」
「捨てる?馬鹿言うな…途中で放り出すくらいなら最初から背負い込んじゃいねえさ。」
どうするかという問いに雪は銀時を見た。
あの家はお登勢の所有物だが、住んでいるのは銀時と神楽。
一応住人として権限があるのは銀時だ。
雪は帰る家があるし、待っている人もいる。
銀時が定春を捨てるという選択肢は考えておらず、捨てる気のない銀時に雪はとりあえずホッとする。
もし広い家を探す、という事ならば自分の家に招き入れるつもりでもいた。
姉のお妙には自分が何とか頼み込めば新しい家の目途が立つまでは何とか一緒に住めるかもしれない…雪は銀時にそう提案しようとした。
しかし、雪が口を開きかけたとき何かの破壊音が響き渡った。
「な、なに…!?」
「今の…定春の声じゃねえか!?」
何かが壊れる音と共に聞き覚えのある声も交じっていた。
それは定春の声のような気がして、定春の傍には神楽もいたため銀時と雪は気になって外に出ようとした。
しかし、取材していたマスコミによってお登勢の玄関前は埋め尽くされ様子を見ようとしても見に行けなかった。
「今回の事は一体どう責任を取られるおつもりなんですか!」
「どうなんですか!!」
「ど、どいてください!!私達こんな事している場合じゃないんですっ!!」
美味しいネタに群がるマスコミに雪は苛立たせる。
屋根を見ればそこにはいるはずの定春はおらず、定春の傍にいた神楽の姿もなかった。
一瞬雪の脳裏に定春の暴走が浮かび、その暴走に神楽も巻き込まれたと雪は考える。
探そうにもマスコミが群がってしまい前にも進めない状態に。
「皆サン、オ静カニ」
「キャサリンさん…」
「私ガスタジオデ洗イザライ話シマス」
「てめええええええ!!!」
あちらも仕事なのは分かっているが、こちらはペットと娘が一大事な時。
仕事だろうが何だろうが構ってられなかった。
押しのけようとも押し寄せるマスコミの方が強く、力任せにしても怪我などされたらひとたまりもない。
どうしたものかと銀時が思っていると…お登勢の店からキャサリンが出てマスコミの前に出る。
雪はマスコミを一喝してくれるのかと思ったのだが…ただテレビに出たかっただけだった。
しかもスタジオで洗いざらいという名の捏造を話すつもりらしい。
雪の苛立ちもピークと化し、思わずカメラがあるというのも忘れ隣にいるキャサリンの首に手を伸ばした。
「ふざけんな!!何してんだーー!!」
「見テクダサーイ!!コウイウ連中ナンデスー!!撮レテル!?撮レテル!?」
出来る限り苦しむよう首を締め付ける雪にカメラは寄った。
苦しみながらもキャサリンは自分の首を占める雪の手を指さす。
雪はカメラがあろうとなかろうと自分たちを売ろうとするキャサリンの仕打ちに腹立たせ首を絞める力を決して緩まない。
「これじゃ埒があきませんよ!銀さん!!」
「………」
全然前に進まない物事にも、キャサリンにも、揚げ足ばかり取るマスコミにも、雪はイライラしていた。
それが声に出ているのか荒げる声で銀時を見上げると、どこからか笛の音と子守唄のようなものが聞こえた。
その声を聞いているのは自分だけではなく、マスコミやキャサリンも聞こえていた。
しかし不思議なことにマスコミとキャサリンはその声を聞くとうつらうつらとなりその場にいる雪と銀時以外の人は眠り込んでしまった。
倒れるように眠り始める周りに雪は目を見張る。
「わんっ!」
「「…!」」
キャサリンも寝入ってしまったため締め付けていた首を放すとあっけなく地面に倒れる。
唖然としていると愛らしい子犬の声が2人の耳に届き、ハッと我に返る。
その声の方へと視線を向ければそこには銀時に懐いている白い子犬の姿があった。
「うおっ!なんだコイツ…定春…ちっさい定春だ!」
「まあ珍しい、狛子が私達以外の人達に懐くなんて。」
よく見ればその子犬は定春に似ていた。
似ていた、というか、定春を小さいサイズにしたようなそっくり感があった。
それにも驚いていると倒れているマスコミの後ろから女性の声がし、二人はその声に子犬から顔を上げる。
「お初にお目見えするわね…私達美人巫女姉妹阿音&百音…あなた達にあの巨大な犬を預かって頂いた者でございます」
そこには巫女姿の女性が2人が原チャリに乗っていた。
「………まいったな…おい…」
雪達の家にあるテレビは定春が巨大化して壊れてしまったため、一階にあるお登勢のお店にあるテレビでニュースを見ていた。
神楽は定春と一緒にいると言って屋根の上へ姿を消し、お登勢のお店には雪と銀時の2人がいた。
銀時は放送されモザイクだらけの画面に顔を覆い嘆いた。
雪は俯く銀時を励まそうと声をかけようとしたのだが…
「全国ネットでチャック全開してたとはよォ…」
「そこかよ」
雪が心配した別のところを心配していた。
励まそうとした雪だったが静かに突っ込むことにチェンジする。
しかし異物を露出してしまった落ち込みは半端なく、雪は伸ばしかけていた手を銀時の背に置き優しく撫でてやる。
「銀さん、元気出してください」
「だってよぉ…雪…俺の息子…雪に見せる前にテレビの前で公開プレイしちまったんだぜ?それに落ち込まずして何を落ち込めってんだ?」
「いや何言ってんの!?普通に別に落ち込むところあるでしょうが!というか銀さん程度の息子さん見ても誰も気にしませんよ」
「はあ!?何言っちゃってんのはそっちなんだけど!?俺の息子を俺程度とか何言っちゃっての!?お前俺の息子の本気見たことあんのかよ!!ねえだろうが!!ああ!ないさ!!残念ながらな!!俺の息子の本気本当マジ凄いから!!みんな褒め称えて俺の息子を見て五体投地するレベルだから!!」
「はいはい分かりました分かりましたすごいですねー」
「なんだその適当感!!信じてねえな!!何だったら俺の息子の本気試してみっか!?お前ならすぐ息子本気になっから!!1秒で本気になれっから!!」
「はいはい、信じてます信じてます。あと試しません。」
「んだよ!何お前銀さんの息子さん見ても慌てないし平気です!みたいな涼しい顔してんだよ!!お前本当は顔真っ赤なんだろ!?お前処女だから親父の息子さんすら見たことねえもんなー!」
「……………」
「ほら見ろ!本当の事言われて返す言葉もないってか!?」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
自分の息子は大したことないと言われ男のプライドが粉々になった銀時は苛立ちをそのままに八つ当たりをするかのように高々と息子がどれほど高性能なのかを雪に伝えようとした。
『まあ!万年処女の雪には息子を理解しようなんていうのが無理なんだけどな!!』と逃げセリフのように追加する銀時だったが、そんな必死な銀時から雪は静かに目をそらす反応を見せた。
それは必至すぎる銀時から見たら言い当てられて返す言葉もなく拗ねたのだと捉えられたのだが…目をそらし無言を貫く雪の姿に銀時は悪い予感のフラグがビンビンに立っていた。
だんだんと不安になってきたのか銀時は雪の機嫌取りをするかのように怖々と声をかける。
「…む…無言は…当てられて腹がたったから…だよな?雪ちゃん?」
「……………」
「す、拗ねてるんだよな?」
「……………」
「無言は…肯定だって、古来から言われてだな…」
「……………」
「……まさか…だよな?」
「…当たってはいます」
「!、だよな!そうだよな!!俺の雪がそんな阿婆擦れなんか…」
「………父親のは、見たことはありません」
「――――え、父親、"のは"、?」
「…父親のは」
「………父親…?」
「…父親」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
そっぽを向いている雪は傍から見たら拗ねているようには見えなくもないが、その表情が気恥ずかしさとか拗ねているからとかではなく…気まずげだったのを銀時は見た。
冷や汗も額から頬に流れ、それを見た銀時は必死に自分で否定していた。
銀時だけではなく雪は近所の人からも『穢れを知らず育ちのいいお嬢さん』だった。
穢れの知らない、は言い過ぎではあるものの、その立ち振る舞いは武家の娘だったこともありそれなりに姿勢も正しく凛としているし、銀時の真似ばかりをして下ネタを連発する神楽を『こら!!女の子でしょ!!』と叱る姿はまさに母。
良妻賢母という名前は雪のためにある!!、と恐妻を持つ旦那様や結婚に夢見る独身男性達はそう言い切っているほど雪のイメージは良い。
…眼鏡で突っ込みで地味なのを除けば。(ボソッ
だから下世話な話が好きな酔っぱらいはよく雪含む話題の女性達の処女非処女で盛り上がる事もあった。
勿論銀時は夢見る男として雪に関しては処女押しだ。
あの子の最初の男として希望したいし、そんな初めての経験で怖がるあの子を優しく大人の男の余裕でリードしてやりたいというのも希望したい。
行為や強い快楽に怖いと泣き出す可愛いあの子を優しくしたい。
怖いけど…銀さんと一緒になりたい…と涙で潤んだ目で見つめられながら言われたい抱き付かれたい頼りにされたい。
ドッキングした時の痛みに思わず『い、いたいっ』と声が零れるあの子を抱きしめ『大丈夫か?』と優しくそして甘く耳元でささやきサラサラな黒髪の頭を撫でてやり、『だ、大丈夫、です…っ銀さん…う、動いてくださいっ!』と言われ、しかしお前が大事なんだよアピールしながらやめる気は更々ないけどお前が嫌なら今日はやめようとか言って『いやです…っ銀さんがほしいっ』と懇願されたい!!
そんな事されたら銀さんの理性はもうブチ切れ朝まで特急コースである。
朝は朝で初めてのあの子の寝顔を見ながら朝を迎え目を覚まし目と目が合ったあの子が夜の事を思い出し顔を真っ赤にして布団に隠れる姿を見たい。
あまりのかわいらしさに激しくしすぎて体が動かない彼女をデロンデロンに甘やかせて1日中布団の中でイチャラブしたい。
とにかく初心なあの子を俺色に染めたい!!!銀時含む夢見る乙男達はそこまで妄想していた。
それが…
それが、である。
雪からの反応、そして『父親のは』という言葉に銀時のピンク色の妄想は粉々に砕け散っていった。
「……死のう…」
「ちょっ!?何で!?あの会話のどこが自殺する要素があったんですか!?」
「だって…銀さん……処女だってばかり…騙された…お前の私男の人に触れられると顔真っ赤になって体もついでに火照っちゃうんですぅ―という顔に騙された…お前…小悪魔だったんだな…銀さん…天使だとばかり……死のう…」
「………おいアホの坂田、色々突っ込みたいがひとまず歯ァくいしばれ」
天使が悪魔だったと知り銀時の絶望感は物凄かった。
雪の処女を奪ったことへの怒りなど当の昔に通り過ぎ喪失感で埋め尽くされていた。
どこからか紐を取り出し天井に括り付ける銀時に雪は慌てて止めに入ったが、勝手な事ばかり抜かす銀時に雪はキレた。
雪は胸元を掴みグッと拳を握り、そして――――姉譲りの力で銀時をボッコボコにした。
「もう!銀さんったら!妄想もいいですけどちゃんと現実見てくださいよ!私だってもう16歳ですよ!経験の一つや二つや三つや四つや五つや六つや七つくらいあります!!」
「ソ…ソーダネ…ゴメンネ…雪チャン」
結果的に銀時の目を覚ますことに成功した。
殴られ続けた銀時の顔は見るに見れないほど腫れており、(本人曰く)イケメンが台無しになっていた。
とりあえず妄想に囚われていた物には解放された。
というよりは殴られながら『あ…もう処女じゃなくてもいいや…この苦しみから解放されるなら』とか思った。
まあ、結局は銀時にとって雪が処女であろうとなかろうと、傍にいてくれるのならなんでもいいのだろう。
なんだかんだ言って銀時は彼女にベタ惚れなのだから。(と綺麗に纏めようと思う。)
「で、どうすんだい、こんな大事になっちまって…」
「定チャン饅頭モ全然売レネーシ、モウ出テケヨ」
「おーい、誰の許可得て商品化してんだ?」
話しが綺麗にまとまったところで、コントが終わるのを待っていたお登勢が問いかけてきた。
タバコの煙を吐き出しながらの問いに銀時は頭をかく。
勝手に商品化してる化け猫はもう放っておく。
「…まあな、あんたらにも色々迷惑かけちまって…ここらが潮時かもな…マナーも守れねえ奴にペットを飼う資格はねえもんな…」
「銀さん…」
「デモ捨テルニシテモ、アンナ大キナ犬トナルト大変デスヨ」
「捨てる?馬鹿言うな…途中で放り出すくらいなら最初から背負い込んじゃいねえさ。」
どうするかという問いに雪は銀時を見た。
あの家はお登勢の所有物だが、住んでいるのは銀時と神楽。
一応住人として権限があるのは銀時だ。
雪は帰る家があるし、待っている人もいる。
銀時が定春を捨てるという選択肢は考えておらず、捨てる気のない銀時に雪はとりあえずホッとする。
もし広い家を探す、という事ならば自分の家に招き入れるつもりでもいた。
姉のお妙には自分が何とか頼み込めば新しい家の目途が立つまでは何とか一緒に住めるかもしれない…雪は銀時にそう提案しようとした。
しかし、雪が口を開きかけたとき何かの破壊音が響き渡った。
「な、なに…!?」
「今の…定春の声じゃねえか!?」
何かが壊れる音と共に聞き覚えのある声も交じっていた。
それは定春の声のような気がして、定春の傍には神楽もいたため銀時と雪は気になって外に出ようとした。
しかし、取材していたマスコミによってお登勢の玄関前は埋め尽くされ様子を見ようとしても見に行けなかった。
「今回の事は一体どう責任を取られるおつもりなんですか!」
「どうなんですか!!」
「ど、どいてください!!私達こんな事している場合じゃないんですっ!!」
美味しいネタに群がるマスコミに雪は苛立たせる。
屋根を見ればそこにはいるはずの定春はおらず、定春の傍にいた神楽の姿もなかった。
一瞬雪の脳裏に定春の暴走が浮かび、その暴走に神楽も巻き込まれたと雪は考える。
探そうにもマスコミが群がってしまい前にも進めない状態に。
「皆サン、オ静カニ」
「キャサリンさん…」
「私ガスタジオデ洗イザライ話シマス」
「てめええええええ!!!」
あちらも仕事なのは分かっているが、こちらはペットと娘が一大事な時。
仕事だろうが何だろうが構ってられなかった。
押しのけようとも押し寄せるマスコミの方が強く、力任せにしても怪我などされたらひとたまりもない。
どうしたものかと銀時が思っていると…お登勢の店からキャサリンが出てマスコミの前に出る。
雪はマスコミを一喝してくれるのかと思ったのだが…ただテレビに出たかっただけだった。
しかもスタジオで洗いざらいという名の捏造を話すつもりらしい。
雪の苛立ちもピークと化し、思わずカメラがあるというのも忘れ隣にいるキャサリンの首に手を伸ばした。
「ふざけんな!!何してんだーー!!」
「見テクダサーイ!!コウイウ連中ナンデスー!!撮レテル!?撮レテル!?」
出来る限り苦しむよう首を締め付ける雪にカメラは寄った。
苦しみながらもキャサリンは自分の首を占める雪の手を指さす。
雪はカメラがあろうとなかろうと自分たちを売ろうとするキャサリンの仕打ちに腹立たせ首を絞める力を決して緩まない。
「これじゃ埒があきませんよ!銀さん!!」
「………」
全然前に進まない物事にも、キャサリンにも、揚げ足ばかり取るマスコミにも、雪はイライラしていた。
それが声に出ているのか荒げる声で銀時を見上げると、どこからか笛の音と子守唄のようなものが聞こえた。
その声を聞いているのは自分だけではなく、マスコミやキャサリンも聞こえていた。
しかし不思議なことにマスコミとキャサリンはその声を聞くとうつらうつらとなりその場にいる雪と銀時以外の人は眠り込んでしまった。
倒れるように眠り始める周りに雪は目を見張る。
「わんっ!」
「「…!」」
キャサリンも寝入ってしまったため締め付けていた首を放すとあっけなく地面に倒れる。
唖然としていると愛らしい子犬の声が2人の耳に届き、ハッと我に返る。
その声の方へと視線を向ければそこには銀時に懐いている白い子犬の姿があった。
「うおっ!なんだコイツ…定春…ちっさい定春だ!」
「まあ珍しい、狛子が私達以外の人達に懐くなんて。」
よく見ればその子犬は定春に似ていた。
似ていた、というか、定春を小さいサイズにしたようなそっくり感があった。
それにも驚いていると倒れているマスコミの後ろから女性の声がし、二人はその声に子犬から顔を上げる。
「お初にお目見えするわね…私達美人巫女姉妹阿音&百音…あなた達にあの巨大な犬を預かって頂いた者でございます」
そこには巫女姿の女性が2人が原チャリに乗っていた。
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