舞台は大江戸ドームに変わり、騒動を聞きつけたマスコミが駆けつけていた。
その一人である花野アナは己の武器であるマイクを握りカメラをまっすぐ見つめ、リポートを始める。
「えー、凶悪な巨大犬は現在あのように大江戸ドームの上に逃げ込んでいます。なお、本日ドームで行われる予定だった"エイリアンズ対ヤクザーズ戦"は中止になるもようで、ファンも激怒して…あれ、ファンじゃねえなあれ……―――ちなみに試合が中止になった試合の莫大な損害は全てあの巨大犬の飼い主が負担することに―――ぐほァ…!」
偶然にも今日、このドームで野球の試合が始まるはずだったのだが化け物の出現でそれも中止となり、ファンが激怒している姿をカメラが治めようとしたのだが、暴れている二人をカメラに映すもその二人はただ喧嘩しているだけだった。
『土方死ねエエエ!!』『お前が死ねエエエ!!』という会話からファンではない事が伺える。
若干どこかで見たことある制服なのはスルーをし、花野アナは中止になった賠償金の行方を話そうとした。
だがその途中、後ろから突然突撃してきた二台の源チャリによって阻まれる。
「冗談じゃねえぞ!!これ以上暴れられてたまるかアアアア!!」
「キャバクラで貯めたお金が!!パパに買ってもらった家がパーになるウウウウ!!!」
その原チャリとは、銀時と雪、阿音と百音だった。
神楽は銀時の声と姿に思わず手を緩めてしまい、夜兎の力でギリギリ抑えられていた定春が屋根からこちらに向かってくるのが見えた。
源チャリを降りながら逃げ惑う野次馬をよそに4人はこちらにまっすぐ向かってくる定春を見上げていた。
「いい?私達があの子の覚醒を解く呪文を唱え終わるまで少しの間時間を稼いで…1分……1分でいいわ」
こうなったら銀時達でも方法はなく、頼みなのはこの(自称)美人(自称)巫女のみ。
元飼い主らしい彼女たちのいう事を聞くしかなかった。
木刀へ手を伸ばすとそれを遠目でも見えた神楽が大声で銀時を呼ぶ。
「銀ちゃーーん!!!定春を…っ!定春をいじめないで!!定春苦しんでるヨ!!助けてって言ってたヨ!!」
「…ッ」
「手加減なんかしちゃ駄目よ、殺す気でいきなさい…じゃないと―――死ぬわよ」
定春を一番に可愛がっているのは神楽だ。
定春が暴走して化け物のような姿になっても神楽はしっぽを掴んで止めるだけで生まれ持った力でねじ伏せることはしなかった。
世話はみんなでしているが、三人の中で定春の事が誰よりも好きなのは神楽であり定春が懐いているのは神楽である。
銀時も少なからず定春との思い出もあり、そして神楽の悲痛な叫びにどうしても木刀をグッと握ることはできなかった。
阿音の言葉は銀時が一番知っている。
この5人の中で唯一戦争を経験し、経験値も高い。
だから今の定春がどれほど危険な存在なのかも本能で気づいている。
しかしだからと言って神楽の想いを踏みにじってまで定春を止めたいとは不思議と思わなかった。
そうこうしているうちに降りてきた定春が襲い掛かり、4人は咄嗟に避ける。
「む…無理無理無理イイイ!!!こんなもん1分どころか10秒ももつかアアア!!!」
4人は避けたため無事だが、4人がいた地面は一度の攻撃でえぐれていた。
そんな破壊力を持つ足にビンタでもされれば人なんてひとたまりもないだろう。
攻撃力の高さに銀時と雪は一斉に顔の血という血を引かせ、無理だと阿音達に伝えようとした。
だが、『なあオイ!!』と振り返った先にいた阿音達はよくわからない音程で笛(それもリコーダー)を吹き、よくわからない踊りを踊っていた。
「――って聞いてねえし!!」
「何あの人たち!!ほんとに勝手な姉妹!!」
「オイイイ!!!それちゃんと呪文唱えてんのか!?ものっそい適当に見えんだけど!!」
「話しかけんなアアア!!もう一回最初からやり直しだろーがアア!!」
「「えええええ!!?」」
「やべ…出だしなんだっけな、忘れた……ナンマイダ…違うな…」
普通、適当にしか見えない踊りと笛を見せられれば突っ込み族ではない人だって突っ込みたくなるというもの。
2人の突っ込みに(自称)儀式をしていた阿音はキレた。
それも話しかけられ出だしを忘れたという。
2人はもう呆れるしかなかったが、呆然と突っ立っていると背後に気配と獣の唸り声を聞きハッとさせ2人は後ろを振り返る。
そこにはやっぱり定春がいた。
定春は突っ立っている二人を食べようとしているのか大きな口を更に大きく開けていた。
「「うおおおお!!!」」
もう2人は考えるよりも体が動いていた。
というよりかは考えるよりも直感を頼りにしていた方が早いのだろう。
2人は両側へと別れ定春の牙から難を逃れたのだが、転がって避けていた雪に向かって定春が突進してくる。
止まった雪は起き上がる暇もなく、定春との距離はすぐそこまできていた。
「ッ―――きゃあああ!!!」
「雪ーーーッ!!!」
ドームの上から起き上がる暇もない雪とそんな雪に突進してくる定春、そして上からでも聞こえる雪の悲鳴に神楽は叫んだ。
駆けつけようとしたその時――雪と定春の間に銀時がいた。
雪の危機に銀時が駆けつけてくれたようで、振り下ろされた定春の腕を銀時は木刀一本で受け止めていた。
「さだはるぅぅぅ!!!おいたも大概に―――」
「!―――ッ銀ちゃんやめてーーー!!!」
「…―――!」
確かに定春も万事屋の一員である。
銀時・雪・神楽・定春…もう今の万事屋は誰一人として欠けたら万事屋ではない。
開いた穴は容易に塞がらない。
銀時にとって雪も、神楽も、定春もいつの間にか大切な存在となっていた。
だから凶暴化して自分達を襲うとも決して手を上げようとはしなかった。
どちらも大切だから、どちらも悲しませたくなくて、どちらにも苦しい思いをさせたくはなかったから…銀時は木刀を抜かなかった。
しかしそれも限度というものがある。
襲われそうになるのを暴れているのが家族だからと見逃せるわけがなかった。
それに襲われているのも、家族ならなおの事。
人は、心を鬼にしなければならない時がある。
それが今なのだろう。
迷っていた銀時は心を鬼にし定春に木刀を向けようとした。
だが、もう一人の家族…神楽の声も銀時に届いた。
泣き出しそうな声。
必死な声。
悲しげな声…その声を聞いた瞬間、目の前の化け物の風貌の定春がいつもの愛らしい定春の姿に変わった。
しかし、それが銀時に大きな隙を生んでしまう。
「ッ――銀さん!!!」
目の前を邪魔する銀時を腕一本で薙ぎ払い吹き飛ばす。
標的を雪から銀時に変えたらしい定春はそのまま倒れる銀時へと歩み寄り、痛みに耐えながら銀時は立ちあがった。
ぬめりとした何かが額から頬へ流れ、そして口の中が鉄の味がするのを感じ、銀時は血が出ているのに気付く。
しかし意識を失った定春が待ってくれるわけでもなく…銀時に向かって定春は前足を振り下ろそうとした。
「!!―――あぶな…っ」
銀時はその気配に避けた。
…が、避けさ先にはいまだによくわからない踊りと笛を吹く姉妹がいた。
避けた先までは気づけなかった銀時は姉妹を避ける事も出来ず姉妹に衝突してしまう。
「ちょっとオオオ!!!また呪文が途中で……」
雪達がひきつけてくれていたから儀式は上手くいっていた。
だがまた銀時達の邪魔に合い、いい加減キレかかっていた阿音は声を荒げたが……銀時の方を見て文句を言おうとしたその口を閉ざした。
阿音が黙ってしまう光景があったのだろう。
その光景とは―――リコーダーの端と端を加える銀時と百音の姿だった。
その一人である花野アナは己の武器であるマイクを握りカメラをまっすぐ見つめ、リポートを始める。
「えー、凶悪な巨大犬は現在あのように大江戸ドームの上に逃げ込んでいます。なお、本日ドームで行われる予定だった"エイリアンズ対ヤクザーズ戦"は中止になるもようで、ファンも激怒して…あれ、ファンじゃねえなあれ……―――ちなみに試合が中止になった試合の莫大な損害は全てあの巨大犬の飼い主が負担することに―――ぐほァ…!」
偶然にも今日、このドームで野球の試合が始まるはずだったのだが化け物の出現でそれも中止となり、ファンが激怒している姿をカメラが治めようとしたのだが、暴れている二人をカメラに映すもその二人はただ喧嘩しているだけだった。
『土方死ねエエエ!!』『お前が死ねエエエ!!』という会話からファンではない事が伺える。
若干どこかで見たことある制服なのはスルーをし、花野アナは中止になった賠償金の行方を話そうとした。
だがその途中、後ろから突然突撃してきた二台の源チャリによって阻まれる。
「冗談じゃねえぞ!!これ以上暴れられてたまるかアアアア!!」
「キャバクラで貯めたお金が!!パパに買ってもらった家がパーになるウウウウ!!!」
その原チャリとは、銀時と雪、阿音と百音だった。
神楽は銀時の声と姿に思わず手を緩めてしまい、夜兎の力でギリギリ抑えられていた定春が屋根からこちらに向かってくるのが見えた。
源チャリを降りながら逃げ惑う野次馬をよそに4人はこちらにまっすぐ向かってくる定春を見上げていた。
「いい?私達があの子の覚醒を解く呪文を唱え終わるまで少しの間時間を稼いで…1分……1分でいいわ」
こうなったら銀時達でも方法はなく、頼みなのはこの(自称)美人(自称)巫女のみ。
元飼い主らしい彼女たちのいう事を聞くしかなかった。
木刀へ手を伸ばすとそれを遠目でも見えた神楽が大声で銀時を呼ぶ。
「銀ちゃーーん!!!定春を…っ!定春をいじめないで!!定春苦しんでるヨ!!助けてって言ってたヨ!!」
「…ッ」
「手加減なんかしちゃ駄目よ、殺す気でいきなさい…じゃないと―――死ぬわよ」
定春を一番に可愛がっているのは神楽だ。
定春が暴走して化け物のような姿になっても神楽はしっぽを掴んで止めるだけで生まれ持った力でねじ伏せることはしなかった。
世話はみんなでしているが、三人の中で定春の事が誰よりも好きなのは神楽であり定春が懐いているのは神楽である。
銀時も少なからず定春との思い出もあり、そして神楽の悲痛な叫びにどうしても木刀をグッと握ることはできなかった。
阿音の言葉は銀時が一番知っている。
この5人の中で唯一戦争を経験し、経験値も高い。
だから今の定春がどれほど危険な存在なのかも本能で気づいている。
しかしだからと言って神楽の想いを踏みにじってまで定春を止めたいとは不思議と思わなかった。
そうこうしているうちに降りてきた定春が襲い掛かり、4人は咄嗟に避ける。
「む…無理無理無理イイイ!!!こんなもん1分どころか10秒ももつかアアア!!!」
4人は避けたため無事だが、4人がいた地面は一度の攻撃でえぐれていた。
そんな破壊力を持つ足にビンタでもされれば人なんてひとたまりもないだろう。
攻撃力の高さに銀時と雪は一斉に顔の血という血を引かせ、無理だと阿音達に伝えようとした。
だが、『なあオイ!!』と振り返った先にいた阿音達はよくわからない音程で笛(それもリコーダー)を吹き、よくわからない踊りを踊っていた。
「――って聞いてねえし!!」
「何あの人たち!!ほんとに勝手な姉妹!!」
「オイイイ!!!それちゃんと呪文唱えてんのか!?ものっそい適当に見えんだけど!!」
「話しかけんなアアア!!もう一回最初からやり直しだろーがアア!!」
「「えええええ!!?」」
「やべ…出だしなんだっけな、忘れた……ナンマイダ…違うな…」
普通、適当にしか見えない踊りと笛を見せられれば突っ込み族ではない人だって突っ込みたくなるというもの。
2人の突っ込みに(自称)儀式をしていた阿音はキレた。
それも話しかけられ出だしを忘れたという。
2人はもう呆れるしかなかったが、呆然と突っ立っていると背後に気配と獣の唸り声を聞きハッとさせ2人は後ろを振り返る。
そこにはやっぱり定春がいた。
定春は突っ立っている二人を食べようとしているのか大きな口を更に大きく開けていた。
「「うおおおお!!!」」
もう2人は考えるよりも体が動いていた。
というよりかは考えるよりも直感を頼りにしていた方が早いのだろう。
2人は両側へと別れ定春の牙から難を逃れたのだが、転がって避けていた雪に向かって定春が突進してくる。
止まった雪は起き上がる暇もなく、定春との距離はすぐそこまできていた。
「ッ―――きゃあああ!!!」
「雪ーーーッ!!!」
ドームの上から起き上がる暇もない雪とそんな雪に突進してくる定春、そして上からでも聞こえる雪の悲鳴に神楽は叫んだ。
駆けつけようとしたその時――雪と定春の間に銀時がいた。
雪の危機に銀時が駆けつけてくれたようで、振り下ろされた定春の腕を銀時は木刀一本で受け止めていた。
「さだはるぅぅぅ!!!おいたも大概に―――」
「!―――ッ銀ちゃんやめてーーー!!!」
「…―――!」
確かに定春も万事屋の一員である。
銀時・雪・神楽・定春…もう今の万事屋は誰一人として欠けたら万事屋ではない。
開いた穴は容易に塞がらない。
銀時にとって雪も、神楽も、定春もいつの間にか大切な存在となっていた。
だから凶暴化して自分達を襲うとも決して手を上げようとはしなかった。
どちらも大切だから、どちらも悲しませたくなくて、どちらにも苦しい思いをさせたくはなかったから…銀時は木刀を抜かなかった。
しかしそれも限度というものがある。
襲われそうになるのを暴れているのが家族だからと見逃せるわけがなかった。
それに襲われているのも、家族ならなおの事。
人は、心を鬼にしなければならない時がある。
それが今なのだろう。
迷っていた銀時は心を鬼にし定春に木刀を向けようとした。
だが、もう一人の家族…神楽の声も銀時に届いた。
泣き出しそうな声。
必死な声。
悲しげな声…その声を聞いた瞬間、目の前の化け物の風貌の定春がいつもの愛らしい定春の姿に変わった。
しかし、それが銀時に大きな隙を生んでしまう。
「ッ――銀さん!!!」
目の前を邪魔する銀時を腕一本で薙ぎ払い吹き飛ばす。
標的を雪から銀時に変えたらしい定春はそのまま倒れる銀時へと歩み寄り、痛みに耐えながら銀時は立ちあがった。
ぬめりとした何かが額から頬へ流れ、そして口の中が鉄の味がするのを感じ、銀時は血が出ているのに気付く。
しかし意識を失った定春が待ってくれるわけでもなく…銀時に向かって定春は前足を振り下ろそうとした。
「!!―――あぶな…っ」
銀時はその気配に避けた。
…が、避けさ先にはいまだによくわからない踊りと笛を吹く姉妹がいた。
避けた先までは気づけなかった銀時は姉妹を避ける事も出来ず姉妹に衝突してしまう。
「ちょっとオオオ!!!また呪文が途中で……」
雪達がひきつけてくれていたから儀式は上手くいっていた。
だがまた銀時達の邪魔に合い、いい加減キレかかっていた阿音は声を荒げたが……銀時の方を見て文句を言おうとしたその口を閉ざした。
阿音が黙ってしまう光景があったのだろう。
その光景とは―――リコーダーの端と端を加える銀時と百音の姿だった。
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