阿音はその場で立ち尽くし、銀時の危機に駆けつけていた足を止め阿音同様立ち尽くす。
まるでその姿は合コンでポッキーゲームしている男女のようである。
『ちょっとあんたら何してんの!?』という阿音の言葉に二人は何か言っているのだが、お互いの口がリコーダーで繋がているため『ピーピー』しか聞こえない。
ピーピーうるさい二人に阿音は怪訝としながらも『もしかしてあんたら抜けないの?』と言ってみる。
その言葉に二人は勢いよく阿音を指さし更にピーピーうるさく鳴いた。
『それどっちのピーよ。どっちなのよ。』と更に怪訝とさせる阿音に今まで黙り込んでいた雪が動く。
銀時の危機に駆けつけようとしていた雪だったが、阿音同様2人を見て立ち止まり黙り込み眼鏡を反射させ無表情だった。
雪は二人を見てまるで石のように固まっていたが、奇妙な生き物の翻訳に必死だった阿音を押しのけ銀時の胸元を掴んだ。
「坂田てめエエエ!!散々人には『惚れてる』だの『俺には雪だけだ』だの『雪は俺の嫁』だの『神楽の母ちゃん』だの抜かしておいてこの非常時に合コンみてえに初対面の巫女とポッキーゲームかゴラアアア!!お前やっぱりからかってただけかゴルァアア!!!巫女か!?やっぱ巫女がいいのか!?そんなに巫女がいいんかゴラアアア!!」
「こわッ!お雪さんあんたこわッ!!人格変わってるんだけど!?」
雪の怒りは全て銀時に向けられた。
この状況から愛だの恋だのはおかしく、事故だというのは普段の雪ならすぐに分かっただろう。
だが、何故かポッキーゲーム(仮)を見た瞬間何かがプツンと切れた音がした。
その瞬間目の前が真っ赤に染まり、雪は気づいたら銀時の胸元を掴んでいたのだ。
その姿はまさに姉そのもの。
銀時は胸元を掴まれ凄まれゆすられながら雪に志村家の血を感じたという。
というよりかは妙の血、ではあるが。
阿音は突然豹変した雪に驚きが隠せなかった。
阿音から見た雪は大人しく地味で巨乳の少女だという印象しかない。
顔は姉のお妙が江戸一番の美女と言われているのもあり悪くはないが、何分綺麗な姉の影に隠れてしまっていて気づかない者も多い。
しかし影に隠れている分、店のお客にも彼女のファンも多い。
その多くが女遊びをしつくした女のプロ達である。
あらかた色々な女たちと遊び、目利きができている客は磨けば輝く宝石を見出すことも簡単だった。
ただ彼らからしたら雪は雪で完成型らしく、あれこれアドバイスと言う名の余計なお世話などは一切していない。
知り合いでもなければファンクラブを結成して入っているわけではない雪の客たちにとってそれは暗黙の了解だった。
むしろ彼らにとって常識だった。
彼らは言う…地味だからこそ、いいのだ!――と。
だから化粧も薄くて申し訳ない程度しかしておらず、着物もなんとなく地味側寄り。
周りのキャバ嬢に比べれば輝きがないが、コアな客はそんな雪と喋っていると落ち着くと言ってくれていた。
その中には大金を落としてくれる客もいたため店長も無理やり雪を派手にすることはなかった。
そんな清楚だ何だと言われている雪の顔が鬼と化したのだ。
驚くのも無理はないというもの。
『何とか言えやアアアア』と喋れないのに気づかない雪の暴走は続く。
銀時ほどではないが、百音もガクガクと揺さぶられていたのだが、その百音がピーピー鳴きながら阿音と雪の背後を指さした。
雪は銀時を揺さぶるのに夢中で気づいていなかったが阿音は妹の様子に気づき後ろを振り返る。
そこにはこちらに向かって大きく口を開けている定春が立っていた。
阿音は思わず悲鳴を上げ、阿音の悲鳴にやっと我に返った雪も後ろを向き阿音同様悲鳴を上げた。
「ギャアアア!!出たアアアアア!!!」
「あ!!あの二人忘れてきたアアア!!」
2人は考えるよりも体が動いた。
後ろでガチンと歯が鳴った音は聞こえたが、それよりも逃げるのに夢中になっていた。
のんびりしていた2人は必死に逃げていたのだが、雪が銀時と百音を置いてきたことに走りながら気づき、阿音も妹を忘れて置いてきたためか二人は後ろへ振り返る。
そこには二人の姿があった。
2人は無事で、雪と阿音同様間一髪逃げてきたようなのだが…
「気持ち悪ゥ!!なんか別の生き物!!」
「でもあれ要は二酸化炭素をお互い交換してるだけで苦しくなる一方ですよ!!―――坂田ざまァ!!!」
「まだ言ってんのあんた!!虫の息なんだよ!?あんたの彼氏既に虫の息なんだよ!!?」
2人を繋げている笛が取れないためお互い顔を向い合せながらも横目で必死に逃げていた。
その姿が正直気持ち悪いの一言である。
しかし彼らは息をするたびに二酸化炭素を交換し合っているため合コンのような艶めかしい空気にはならず、全速疾走しているのもプラスされ窒息寸前だった。
それを見て雪は坂田銀時限定に嘲笑った。
まだ根に持っているらしい雪に阿音はすかさず突っ込むが、銀時に怒り狂っていた雪を見て銀時と雪がそういう関係だと勘違いした阿音の言葉に雪はただ『彼氏じゃねえよ!!』と突っ込むだけで反省はしていない。
「歯ァ食いしばれエエエ!!ホアタアアア!!!」
そんな2人を繋げていた笛をドームの上から飛び降りてきた神楽が踵落としで粉砕し壊した。
お蔭で百音と銀時を繋げていたモノもなくなったが、対価として銀時の歯数本も抜けてしまった。
雪は繋がっていた笛がなくなり自由の身となった事に安堵し、銀時と神楽のもとに駆けつけようと走る。
「歯ァ取れた!!!てめえが歯ァ食いしばれっていうから!!」
「気にするなアル、また生えるヨ」
『生えるか!!』と突っ込む銀時に神楽は相手をするのが面倒くさそうに耳に指を突っ込む。
その仕草はいつも自分がしている仕草だが、こうやって人にやられると無性に腹が立って仕方ない。
そう思いつつも多分直さないだろう銀時を無視し、雪は神楽に駆け寄った。
「神楽ちゃん!流石だよ!すごいよ!やっぱり頼りになるよ!!でもあんな高いところから降りて大丈夫?怪我してない?」
喚く銀時をよそに雪は神楽を褒め称え高いところか飛び降りたことを心配した。
まだ万事屋に帰って来て間もない神楽は以前よりは雪の優しさや愛情を受け入れる事が出来るようになったがまだ気恥ずかしさがあるらしく、『大丈夫ネ』とそっけなく答えてしまう。
神楽のテレに気づいているかは分からないが、雪は怪我一つない神楽に安堵の笑みを浮かべる。
そんなほのぼのとした空気を裂くように、銀時は神楽を挟んだ向かいに立つ雪の両肩に手を置く。
「おい雪てめえ何俺を無視してんだアア!!これ見ろ!この血ィ見ろ!この歯ァ見ろ!!俺の心配もしてください!」
「はあ?ああ、そうですね、すごいですね、抜けてますね、血ィ出てますね、でも大丈夫ですよ、次のシーンでは歯が抜けたことなかったことにされてるんで。というか私に話かけないでいただけませんか?心配されたいのならそこにいらっしゃる坂田さんの大好きな巫女さんにでも優しく看病してもらったらいかがでしょうか?それか看護婦さんでもいいんじゃないでしょうか?あの箪笥の上から三番目の隅っこの服の間に隠してる『桃色ナース淫乱物語〜ドMなナースをモノにしろ〜』のように。」
「なっ!!ちょっ、なん…おま…ッ!!なんでそれを知ってんだ!?置いてあったって言ってもあれすぐに長谷川さんに返したんだけど!?」
「使用して?」
「えっ、いや…あの……」
「使用、して?」
「…うん…あ、いや…なんていうか…借りたっていってもさ、見てもいないから…俺、全然そういうの興味ないし、あれ酔っぱらった長谷川さんが押し付けただけだし、ほら、あの家には神楽いるしさ、教育に悪いだろ?だから隠してただけで…それに……」
「使用…したんでしょ?」
「………はい…」
「…………」
「ちょっとオオオ!!痴話喧嘩してる場合じゃないだろオオオ!!」
肩に手を置かれ銀時の叫びに雪は嫌そうな顔を作る。
その目は冷たく凍るようで、まだ若干誤解している雪に銀時は頭をかきむしった。
銀時は誤解どころか長谷川に借りたAとVが見つかっているのがショックだった。
どんなに第二の誤解を解こうとしても雪には全部まるっとお見通しなため誤魔化しは利かない。
項垂れるように俯く銀時を雪は絶対零度の目で見つめていた。
万事屋の家事は大体雪が担当している。
休みの日は気が向いたら銀時や神楽がやる程度で基本雪に任せっきりだった。
そのため長谷川に借りたAとVは掃除の時何らかの拍子で発見してしまったのだろう。
雪とて男の性(さが)を否定するわけではない。
そもそも男の性欲は仕方のない事だと思っている。
しかしお父さん(またはお兄さん)のAとV、またはエロ雑誌を発見したかの如くショックだったのは覚えている。
かといって責めるのもいくらなんでも銀時に対して酷すぎるとショックを受けながらに元あった場所に封印をして見て見ぬふりをし続けた。
口にも出さずずっとモヤモヤとしたものを抱えながらにいた雪だったが、巫女とポッキーゲーム(仮)事件でプツリと我慢していたものが切れたのだろう。
『不潔です』という雪に銀時は弱弱しく『いや、そうなんだろうけどさ…女のお前らから見たら最低なんだろうけどさ…銀さんってさ、男じゃん?男ってそういう生き物じゃん?男っていう生き物はそういう仕組で出来てるじゃん?』と長々と言い訳を述べていた。
正直AだろうがVだろうが興味の一欠けらもない神楽は痴話喧嘩に挟まれ迷惑そうにしていた。
そんな神楽をよそに阿音は迫る定春に指さし危機が迫っているのを三人に知らせる。
雪達は待ってくれるわけもない定春がこちらに向かってきているのを見て慌ててドームの中に入っていった。
因みに、先ほどから大人しい百音は真っ二つに折れた笛がまだ抜けず四苦八苦していた。
「ちょっ…どうするんですかアアア!!笛も壊れちゃいましたよ!!」
「仕方ないわね…!かくなる上は狛子を覚醒させ対抗させるしかないわ!百音!!」
「ぴぴー!」
ドームの中に入ったのは雪達の逃げ道の先にドームの入り口があったからで、不可抗力である。
唯一止められるであろう儀式も時間を稼ぐどころか儀式に大事な笛が壊れてしまい選択から外れてしまった。
雪達は一般人なため暴走した定春を止める方法は乱暴な事以外見つからない。
まだ解決案はあるようで、阿音は自分の主張するために鳴く小さな定春…狛子を覚醒させようと懐からミルクと、イチゴを取り出す。
阿音がミルクを、百音がイチゴを手にし、その下では走りながら口を開けている狛子がいた。
「オンマカヤシャバザラサトバ!!―――目覚めよ!狛神ーー!!」
「「「…!!」」」
ミルクとイチゴを口に入れた瞬間、狛子の全身が赤く光り始める。
顔つきも愛らしい顔から暴走している定春のように厳つくなり額に角が生えた。
だが…
「ちっさ!!めっちゃちっさ!!」
体はコンパクトのままだった。
まるでその姿は合コンでポッキーゲームしている男女のようである。
『ちょっとあんたら何してんの!?』という阿音の言葉に二人は何か言っているのだが、お互いの口がリコーダーで繋がているため『ピーピー』しか聞こえない。
ピーピーうるさい二人に阿音は怪訝としながらも『もしかしてあんたら抜けないの?』と言ってみる。
その言葉に二人は勢いよく阿音を指さし更にピーピーうるさく鳴いた。
『それどっちのピーよ。どっちなのよ。』と更に怪訝とさせる阿音に今まで黙り込んでいた雪が動く。
銀時の危機に駆けつけようとしていた雪だったが、阿音同様2人を見て立ち止まり黙り込み眼鏡を反射させ無表情だった。
雪は二人を見てまるで石のように固まっていたが、奇妙な生き物の翻訳に必死だった阿音を押しのけ銀時の胸元を掴んだ。
「坂田てめエエエ!!散々人には『惚れてる』だの『俺には雪だけだ』だの『雪は俺の嫁』だの『神楽の母ちゃん』だの抜かしておいてこの非常時に合コンみてえに初対面の巫女とポッキーゲームかゴラアアア!!お前やっぱりからかってただけかゴルァアア!!!巫女か!?やっぱ巫女がいいのか!?そんなに巫女がいいんかゴラアアア!!」
「こわッ!お雪さんあんたこわッ!!人格変わってるんだけど!?」
雪の怒りは全て銀時に向けられた。
この状況から愛だの恋だのはおかしく、事故だというのは普段の雪ならすぐに分かっただろう。
だが、何故かポッキーゲーム(仮)を見た瞬間何かがプツンと切れた音がした。
その瞬間目の前が真っ赤に染まり、雪は気づいたら銀時の胸元を掴んでいたのだ。
その姿はまさに姉そのもの。
銀時は胸元を掴まれ凄まれゆすられながら雪に志村家の血を感じたという。
というよりかは妙の血、ではあるが。
阿音は突然豹変した雪に驚きが隠せなかった。
阿音から見た雪は大人しく地味で巨乳の少女だという印象しかない。
顔は姉のお妙が江戸一番の美女と言われているのもあり悪くはないが、何分綺麗な姉の影に隠れてしまっていて気づかない者も多い。
しかし影に隠れている分、店のお客にも彼女のファンも多い。
その多くが女遊びをしつくした女のプロ達である。
あらかた色々な女たちと遊び、目利きができている客は磨けば輝く宝石を見出すことも簡単だった。
ただ彼らからしたら雪は雪で完成型らしく、あれこれアドバイスと言う名の余計なお世話などは一切していない。
知り合いでもなければファンクラブを結成して入っているわけではない雪の客たちにとってそれは暗黙の了解だった。
むしろ彼らにとって常識だった。
彼らは言う…地味だからこそ、いいのだ!――と。
だから化粧も薄くて申し訳ない程度しかしておらず、着物もなんとなく地味側寄り。
周りのキャバ嬢に比べれば輝きがないが、コアな客はそんな雪と喋っていると落ち着くと言ってくれていた。
その中には大金を落としてくれる客もいたため店長も無理やり雪を派手にすることはなかった。
そんな清楚だ何だと言われている雪の顔が鬼と化したのだ。
驚くのも無理はないというもの。
『何とか言えやアアアア』と喋れないのに気づかない雪の暴走は続く。
銀時ほどではないが、百音もガクガクと揺さぶられていたのだが、その百音がピーピー鳴きながら阿音と雪の背後を指さした。
雪は銀時を揺さぶるのに夢中で気づいていなかったが阿音は妹の様子に気づき後ろを振り返る。
そこにはこちらに向かって大きく口を開けている定春が立っていた。
阿音は思わず悲鳴を上げ、阿音の悲鳴にやっと我に返った雪も後ろを向き阿音同様悲鳴を上げた。
「ギャアアア!!出たアアアアア!!!」
「あ!!あの二人忘れてきたアアア!!」
2人は考えるよりも体が動いた。
後ろでガチンと歯が鳴った音は聞こえたが、それよりも逃げるのに夢中になっていた。
のんびりしていた2人は必死に逃げていたのだが、雪が銀時と百音を置いてきたことに走りながら気づき、阿音も妹を忘れて置いてきたためか二人は後ろへ振り返る。
そこには二人の姿があった。
2人は無事で、雪と阿音同様間一髪逃げてきたようなのだが…
「気持ち悪ゥ!!なんか別の生き物!!」
「でもあれ要は二酸化炭素をお互い交換してるだけで苦しくなる一方ですよ!!―――坂田ざまァ!!!」
「まだ言ってんのあんた!!虫の息なんだよ!?あんたの彼氏既に虫の息なんだよ!!?」
2人を繋げている笛が取れないためお互い顔を向い合せながらも横目で必死に逃げていた。
その姿が正直気持ち悪いの一言である。
しかし彼らは息をするたびに二酸化炭素を交換し合っているため合コンのような艶めかしい空気にはならず、全速疾走しているのもプラスされ窒息寸前だった。
それを見て雪は坂田銀時限定に嘲笑った。
まだ根に持っているらしい雪に阿音はすかさず突っ込むが、銀時に怒り狂っていた雪を見て銀時と雪がそういう関係だと勘違いした阿音の言葉に雪はただ『彼氏じゃねえよ!!』と突っ込むだけで反省はしていない。
「歯ァ食いしばれエエエ!!ホアタアアア!!!」
そんな2人を繋げていた笛をドームの上から飛び降りてきた神楽が踵落としで粉砕し壊した。
お蔭で百音と銀時を繋げていたモノもなくなったが、対価として銀時の歯数本も抜けてしまった。
雪は繋がっていた笛がなくなり自由の身となった事に安堵し、銀時と神楽のもとに駆けつけようと走る。
「歯ァ取れた!!!てめえが歯ァ食いしばれっていうから!!」
「気にするなアル、また生えるヨ」
『生えるか!!』と突っ込む銀時に神楽は相手をするのが面倒くさそうに耳に指を突っ込む。
その仕草はいつも自分がしている仕草だが、こうやって人にやられると無性に腹が立って仕方ない。
そう思いつつも多分直さないだろう銀時を無視し、雪は神楽に駆け寄った。
「神楽ちゃん!流石だよ!すごいよ!やっぱり頼りになるよ!!でもあんな高いところから降りて大丈夫?怪我してない?」
喚く銀時をよそに雪は神楽を褒め称え高いところか飛び降りたことを心配した。
まだ万事屋に帰って来て間もない神楽は以前よりは雪の優しさや愛情を受け入れる事が出来るようになったがまだ気恥ずかしさがあるらしく、『大丈夫ネ』とそっけなく答えてしまう。
神楽のテレに気づいているかは分からないが、雪は怪我一つない神楽に安堵の笑みを浮かべる。
そんなほのぼのとした空気を裂くように、銀時は神楽を挟んだ向かいに立つ雪の両肩に手を置く。
「おい雪てめえ何俺を無視してんだアア!!これ見ろ!この血ィ見ろ!この歯ァ見ろ!!俺の心配もしてください!」
「はあ?ああ、そうですね、すごいですね、抜けてますね、血ィ出てますね、でも大丈夫ですよ、次のシーンでは歯が抜けたことなかったことにされてるんで。というか私に話かけないでいただけませんか?心配されたいのならそこにいらっしゃる坂田さんの大好きな巫女さんにでも優しく看病してもらったらいかがでしょうか?それか看護婦さんでもいいんじゃないでしょうか?あの箪笥の上から三番目の隅っこの服の間に隠してる『桃色ナース淫乱物語〜ドMなナースをモノにしろ〜』のように。」
「なっ!!ちょっ、なん…おま…ッ!!なんでそれを知ってんだ!?置いてあったって言ってもあれすぐに長谷川さんに返したんだけど!?」
「使用して?」
「えっ、いや…あの……」
「使用、して?」
「…うん…あ、いや…なんていうか…借りたっていってもさ、見てもいないから…俺、全然そういうの興味ないし、あれ酔っぱらった長谷川さんが押し付けただけだし、ほら、あの家には神楽いるしさ、教育に悪いだろ?だから隠してただけで…それに……」
「使用…したんでしょ?」
「………はい…」
「…………」
「ちょっとオオオ!!痴話喧嘩してる場合じゃないだろオオオ!!」
肩に手を置かれ銀時の叫びに雪は嫌そうな顔を作る。
その目は冷たく凍るようで、まだ若干誤解している雪に銀時は頭をかきむしった。
銀時は誤解どころか長谷川に借りたAとVが見つかっているのがショックだった。
どんなに第二の誤解を解こうとしても雪には全部まるっとお見通しなため誤魔化しは利かない。
項垂れるように俯く銀時を雪は絶対零度の目で見つめていた。
万事屋の家事は大体雪が担当している。
休みの日は気が向いたら銀時や神楽がやる程度で基本雪に任せっきりだった。
そのため長谷川に借りたAとVは掃除の時何らかの拍子で発見してしまったのだろう。
雪とて男の性(さが)を否定するわけではない。
そもそも男の性欲は仕方のない事だと思っている。
しかしお父さん(またはお兄さん)のAとV、またはエロ雑誌を発見したかの如くショックだったのは覚えている。
かといって責めるのもいくらなんでも銀時に対して酷すぎるとショックを受けながらに元あった場所に封印をして見て見ぬふりをし続けた。
口にも出さずずっとモヤモヤとしたものを抱えながらにいた雪だったが、巫女とポッキーゲーム(仮)事件でプツリと我慢していたものが切れたのだろう。
『不潔です』という雪に銀時は弱弱しく『いや、そうなんだろうけどさ…女のお前らから見たら最低なんだろうけどさ…銀さんってさ、男じゃん?男ってそういう生き物じゃん?男っていう生き物はそういう仕組で出来てるじゃん?』と長々と言い訳を述べていた。
正直AだろうがVだろうが興味の一欠けらもない神楽は痴話喧嘩に挟まれ迷惑そうにしていた。
そんな神楽をよそに阿音は迫る定春に指さし危機が迫っているのを三人に知らせる。
雪達は待ってくれるわけもない定春がこちらに向かってきているのを見て慌ててドームの中に入っていった。
因みに、先ほどから大人しい百音は真っ二つに折れた笛がまだ抜けず四苦八苦していた。
「ちょっ…どうするんですかアアア!!笛も壊れちゃいましたよ!!」
「仕方ないわね…!かくなる上は狛子を覚醒させ対抗させるしかないわ!百音!!」
「ぴぴー!」
ドームの中に入ったのは雪達の逃げ道の先にドームの入り口があったからで、不可抗力である。
唯一止められるであろう儀式も時間を稼ぐどころか儀式に大事な笛が壊れてしまい選択から外れてしまった。
雪達は一般人なため暴走した定春を止める方法は乱暴な事以外見つからない。
まだ解決案はあるようで、阿音は自分の主張するために鳴く小さな定春…狛子を覚醒させようと懐からミルクと、イチゴを取り出す。
阿音がミルクを、百音がイチゴを手にし、その下では走りながら口を開けている狛子がいた。
「オンマカヤシャバザラサトバ!!―――目覚めよ!狛神ーー!!」
「「「…!!」」」
ミルクとイチゴを口に入れた瞬間、狛子の全身が赤く光り始める。
顔つきも愛らしい顔から暴走している定春のように厳つくなり額に角が生えた。
だが…
「ちっさ!!めっちゃちっさ!!」
体はコンパクトのままだった。
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