土方も沖田も鷹臣も誤解したまま姿を消し、雪は唖然としていた。
「ど、どうするんですか!!!これ絶対みんなに知られますよ!?」
「いいんじゃね?お前につく悪い虫がつかないで済むしよ」
「何馬鹿な事言ってんですか!!いいですか!?土方さん達が知ったって事は近藤さんも知る事になるんですよ!?」
「だから何だよ…あのゴリラが知ろうと関係ないだろうが」
「関係あるんです!!絶対あのゴリラ姉上に言いますもん!!!絶対姉上に『おめでとう!お妙さん!これで俺達は伯父伯母になったね!!!』とか言いますもん!!」
「あ゙…」
銀時はこの騒動ですっかり地球の最終兵器…お妙を忘れていた。
土方や沖田、更には鷹臣がこの事を知ったという事はあいつはら確実にゴリラにチクる。
腹いせにゴリラを通して地球の最終兵器にチクる。
そして、銀時は劇場版・完結篇を待たずして死ぬのだ。
雪によってあの最終兵器の存在を思い出し、銀時はこれでもかと顔の血の気を引かせた。
可哀想と思うぐらい真っ青になる銀時に雪は怒りも収まり息をつき子供を見下ろす。
「本当、どうするんですかこの子…銀さんが死んだらこの子、親がいなくなるんですよ…」
「あの、お雪さん…だからさ、誤解だっていってるじゃん…俺、この子と血、繋がってないって言ってるじゃん…」
「まあ銀さんが死んだら志村家に養子に出して私と姉上、神楽ちゃんで育てるからいいですけど……そうなったらあのゴリラが父親面して入り浸りそうだなぁ…やだなぁ…」
「ねーねーあのさぁ、ねー…聞いて?ちょっと取り合えずもっかい最初から話し合おう?銀さんちょっともう何だか分からなくなってきたから…雪ちゃんが確実に俺を子持ち化させて告白をなかったことにしようとしてるから…むしろ俺という存在を消そうとしてるからさ…ちょっと銀さん混乱してんだよね…ね、休憩しようか…ね?ね?」
雪の中ですでに赤子は銀時の子供だと思い込んでおり、そして同時に銀時死亡を確実とし、未来のプランを立てる。
銀時が死ねばこの子の親はあの捨てた母親だけとなる。
だがどんな事情があれ、預けたのではなく子を捨てた母親にこの子を返す気など更々なく関わってしまい、親が銀時ならば施設などもってのほか。
そうなれば銀時が居なくなった後、この子の親は自分達がなればいいと結論付けた。
籍は志村家に入れればいいし、銀時がいなくなった後も万事屋を経営し、神楽も志村家で住めば全て丸く収まる。
雪やお妙、神楽だけではなくきっとお登勢達もこの子を可愛がってくれるだろう。
そう将来のプランを立てていると…
「あら、銀さんに雪ちゃんじゃない」
「「…ッ!!!」」
噂をすればなんとやら…地球の最終兵器が来ました。
雪と銀時は先ほどまで話題にしていたというのもあり、そして子供の件もあり、びくりと肩を揺らし声をかけてきたお妙に振り返る。
お妙は相変わらず綺麗な微笑みを浮かべたまま銀時を見た後雪へ目をやり、最後に雪の腕にいる赤子を見た。
一瞬赤子を見た瞬間表情という表情がなくなったお妙だが、仕事柄笑顔を貼りつけるのは得意なのかすぐににっこりといつもの微笑みへと張り替え銀時に向けた。
「子守のお仕事ですか?」
「そ、そうなんだよ!!母親が疲れたとかなんとかで一時的に預かってくれって!!ストレス発散させにパチンコ行くからって!!!ほんと!最近の母親はなってねえよなぁ!!な!!雪!!」
「へ!?は、はい!!そ、そうなんですよ姉上!!この子のお母さん万事屋に来てすぐに預かってくれって言って出ていって!!だからミルクとか哺乳瓶とかなくって今買って帰るところなんですよー!!ね!!銀さん!!」
「まあ、そうだったの…無責任な母親もいるものねェ…お二人とも、ご苦労様です」
お妙の登場に雪も銀時も喧嘩は一時休戦となった。
銀時はこの赤子の父親じゃないのに殺されたくもないし、雪も銀時はどうでもいいがまだ赤ん坊の父親を奪いたくはなかった。
理由はどうあれ2人の心は一致していた。
お妙は笑顔を貼りつけたままだったため何を思い何を感じたかは分からない。
だがどうやら表向きは納得してくれたようで、納得したお妙に銀時は『じゃ、じゃあ…俺らもう戻らなきゃいけねェから』と言って即刻この悪魔の前から消えたいと思い背を向けた。
雪も姉に頭を下げた後銀時に続こうとしたのだが…お妙はそんな2人を引き留める。
「ちょっと待って、銀さん、雪ちゃん……あの、すみません、あずきバーとバーゲンダッシュ二つください」
「い、いーって!!ちょっと!?お構いなく…!!」
「そ、そうですよ!!それに今仕事中だし神楽ちゃん待ってるし神楽ちゃんだけのけ者にしたら神楽ちゃん拗ねちゃうし!!いいですよ姉上!」
「あら、それもそうね…神楽ちゃんだけのけ者にするのは可哀想だわ…じゃあバーゲンダッシュ三つで。」
「はあ?んなもんねーよ、そんな高けェアイス」
「あんだろ?コンビニに」
「か、買ってきます…」
銀時と雪を引き留めた妙は近くにあった駄菓子屋でアイスを購入しようとした。
しかしあずきバーはともかくバーゲンダッシュなど高いアイスが裏道にある老舗に置いてあるわけがなく、だらけた店主にお妙は店主の頭を鷲掴み机に叩きつけた。
店主はお妙に負け、コンビニに買いに向かう。
勿論、店主のおごりで。
銀時はお構いなくと首を振り断ろうとしてもお妙もお妙で聞く耳を持っておらず、仕方なく銀時は雪の腕を掴み逃走を図ろうとした。
しかし…
「本当!!いいから!じゃっ!!」
「え!?あっ!銀さん!待て!!」
「すまんお妙!!今仕事中だからーーーっ!!」
「待って!銀さん!!待って……って、言ってんだろーがアアアア!!!」
「んな――ッ!?」
雪の腕をとって逃げようとする銀時にお妙は引き留めようとした。
しかしこれ以上いれば何をどう誤解され殺されるか分かったものではないと銀時は振り切ろうと足を止めずに走る。
止まりもせず愛する妹の腕を堂々と掴む銀時にイラッときたのかお妙はあずきバーを袋から出し銀時に向かって投げた。
その殺気に銀時はハッとさせ咄嗟にしゃがんで避けたのだが―――そのしゃがんだ先に猿飛あやめがいた。
あずきバーを顔面で受け止め顔全体にあずきが掛かってしまい、その場は重い沈黙が落ちる。
「あ…」
「さ、さっちゃんさん…」
「おい大丈夫か」
「…………」
お妙も流石に罰が悪そうにし、立ち尽くすさっちゃんに銀時が声をかけた。
しかしさっちゃんは立ち尽くしたまま銀時の声にも反応せず、じっと雪の腕にいる赤子を見つめていた。
そしてさっちゃんはハッとさせ、絶望感漂う表情を浮かべた。
「そう、なんだ……そうだったんだ……あなた達やっぱりそういう関係だったんだ…」
さっちゃんのその表情、そしてその顔に雪と銀時は悪い予感が過りデジャウを感じた。
このパターンはあれだな前にもあったな、と2人の心は同じことを呟いた。
そんな雪達をよそにさっちゃんは涙を浮かべる。
「……馬鹿みたい…私……何も知らないで…1人で……まるでピエロだわ…そうやって私の気持ちもて遊んで楽しんでたんだ…っもう2人はとっくに子供をこさえる間柄だったのに…!!」
「…猿飛さん何言ってるの?雪ちゃんと銀さんの間に子供?いくら夢でも幻影でもそんな悪夢にしかならない夢見ないでくれる?いえ、見てもいいの。見てもいいのよ?でもね現実と夢を一緒にしないでくれる?その現実も夢も一緒くたにした思考で私の雪ちゃんに当たらないでくれる?その足りない頭かち割るわよ?」
「もういいわ…もう本当にいい…馬鹿みたい…私本当に馬鹿みたい…!!」
「馬鹿みたいじゃなくて馬鹿だろお前、本当馬鹿だろ」
「どんなに蔑まれてももう何にも気持ち良くないわ!SMプレイはもう終わり!!」
「俺がいつSMプレイをしましたか!」
「―――ッあんた達なんかバンバンバンバン子宝にめぐまれて大家族になればいいのよ!!障子が穴だらけの家に住めばいいのよ!さようなら!!勝手にお幸せに!!―――ってさせるかアアアア!!!」
「えええええ!!?」
「んだよ!こいつ!!もおお!!!1人でドラマやれるよ!!1人で映画撮れるよ!!」
やはりさっちゃんも土方や沖田達と同じく勘違いしていた。
さっちゃんは1人で落ち込み、1人で泣いて、そして1人で乗り突っ込みをした。
もはやそれは突っ込み族がいらないほど鮮やかな手際を見せていた。
傍観をしていた雪だったが突然さっちゃんに蹴りを向けられ雪は目を丸くした。
お妙が妹の危機に妹の腕を掴んで引き寄せ背中に庇う。
それでもさっちゃんはキッと涙目で雪を睨みお妙と雪に向かって襲い掛かった。
「残念だったわね雪さん!女はね子供を産んだ瞬間から女として見てもらえなくなるの!!家族なの!あなたはもう女じゃない!勝手に勝負から脱落していったのよ!お疲れ様!!」
「いや!だから!!勝負ってどの勝負!?私そんな勝負受けた覚えないけど!?っていうか何を勘違いしてるか分からないですけどこの子私と銀さんの子じゃないですから!!子守の子ですから!!」
「だったらあの子をどう説明するつもり!?クリソツじゃない!!天パといい!あの目といい!クリソツじゃない!!」
「ちょっと猿飛さん!!勝手に勘違いして雪ちゃんを汚さないでくれない!?どうしてうちの雪ちゃんがあの駄目侍の子を孕まなきゃいけないの!?」
「あらお妙さん!惚けたって無駄!!あなたも共犯者ってことくらい分かってるんだから!!私…あなたがいるから安心して銀さんのストーカーが出来てたのよ!?あなたが銀さんを毛嫌いしてるの分かってたから横から掻っ攫える隙を見ながら銀さんの生活も見守り写真に収め銀さんの寝顔も直接見てたりして幸せだったの!!なのに…!!なのにどうしてよ!!どうして銀さんを嫌ってるくせに出産を認めたの!?いいえ…いいえ、子供が出来たのは仕方ないわ…私も長期の仕事とかで不在だった事もあったから…それは私の落ち度…それに子供には罪はないわ…だけどね…だけど!!子供を産んだこと認めるならまだしも仲を認めるなんてあなた見損なったわ!!ブレブレね!!あなたのそのキャラブレブレね!!」
「あーもう!!鬱陶しいなこいつ!!ちょっと!ちょっと銀さん!?銀さんが撒いたタネでしょう!?何か言って…」
さっちゃんの攻撃は全て雪を庇っているお妙が交わしてくれていた。
流石地球の最終兵器…流石銀時に『あいつ…どうしてもっと早く生まれてこなかったのかな…そうすりゃあの時の戦力半端なかっただろうに…』と言わせる最終兵器。
敏腕くノ一の攻撃を全て受け止め流していた。
全ては後ろにいる可愛い妹のためであるが、妙はこうなった責任を銀時になすりつけ体よくさっちゃんを押し付けようとした。
だが…振り返った先の鼻をほじって他人事のように突っ立っていた銀時と、後ろにいる目に入れても痛くないほど可愛い妹の腕に抱かれている赤子をお妙は目に写し…
「クリソツじゃねェェかアアア!!!」
銀時を川に投げ捨てた。
ついでに浮き上がった銀時の上に赤子を乗せ、お妙は『ぎ、銀さアアアアん!!』と慌てて川に駆け寄る雪の手を取り銀時をいつも以上に冷たく軽蔑した眼差しで見下ろしていた。
「散々私の可愛い雪ちゃんに恋慕したとか抜かしておいて…まさか隠し子がいるだなんて…いいえ、まさかではないわね…やっぱりいたのね、隠し子…最低だわ。見損ないました。もう雪ちゃんに仕事辞めさせますから…行きましょう、雪ちゃん猿飛さん」
姉に手を引かれ雪は川にどんぶらこどんぶらこと流されていく銀時から遠ざかっていく。
いや、銀時はいい。
あの駄目侍は大人だから一人でなんとかなるだろう。
だが、あの赤子はまだ言葉さえ覚えていない小さい子なのだ。
雪は姉の手を振り払おうとするも相手が姉なため本気で振り払えず地球最強の力には勝てずズルズルと引きずられるように歩くしかなかった。
その後ろをさっちゃんが複雑そうな顔で続く。
「えっ、ちょっと…あ、姉上!!赤ちゃん!赤ちゃんがまだ…っていうか姉上赤ちゃん投げた!?川になげたんですか!?」
「大丈夫よ雪ちゃん。いくら私だってね罪もない赤ん坊を川に投げ捨てるものですか…ただ私はあの子のお父上にお返ししただけよ?大丈夫、銀さんの遺伝子を持っているんだもの相当図太くできてるに違いないわ」
「いやいやいや!!確かに言われてみればそうだけど!!あの人病気には弱いけど打撃には強いけれども!!川って…」
「雪ちゃん…もうあんな駄目侍の事なんて忘れなさい。元々あの侍はいなかったの。元々遺伝子的にあの侍は存在していなかったの。あれは幻なのよ。そもそもね、私嫌なのよ雪ちゃんのこの可愛いお口から『銀さん』とか『赤ちゃん』とか出てくると虫唾が走るの。神楽ちゃんやお登勢さんとかならまだギリギリ平気なのよ?百歩譲ってあの犯罪組織もまあ許してあげなくもないわ…でもね、雪ちゃん。あの白髪はダメよ。白髪は駄目なのよ、雪ちゃん…いい?白髪は、駄目。絶対、駄目。」
大通りに出て猿飛と別れた妙と雪は家に向かって歩き出す。
すでに雪は姉の意味の分からない言葉に突っ込む気力すら奪われてしまっていた。
「ど、どうするんですか!!!これ絶対みんなに知られますよ!?」
「いいんじゃね?お前につく悪い虫がつかないで済むしよ」
「何馬鹿な事言ってんですか!!いいですか!?土方さん達が知ったって事は近藤さんも知る事になるんですよ!?」
「だから何だよ…あのゴリラが知ろうと関係ないだろうが」
「関係あるんです!!絶対あのゴリラ姉上に言いますもん!!!絶対姉上に『おめでとう!お妙さん!これで俺達は伯父伯母になったね!!!』とか言いますもん!!」
「あ゙…」
銀時はこの騒動ですっかり地球の最終兵器…お妙を忘れていた。
土方や沖田、更には鷹臣がこの事を知ったという事はあいつはら確実にゴリラにチクる。
腹いせにゴリラを通して地球の最終兵器にチクる。
そして、銀時は劇場版・完結篇を待たずして死ぬのだ。
雪によってあの最終兵器の存在を思い出し、銀時はこれでもかと顔の血の気を引かせた。
可哀想と思うぐらい真っ青になる銀時に雪は怒りも収まり息をつき子供を見下ろす。
「本当、どうするんですかこの子…銀さんが死んだらこの子、親がいなくなるんですよ…」
「あの、お雪さん…だからさ、誤解だっていってるじゃん…俺、この子と血、繋がってないって言ってるじゃん…」
「まあ銀さんが死んだら志村家に養子に出して私と姉上、神楽ちゃんで育てるからいいですけど……そうなったらあのゴリラが父親面して入り浸りそうだなぁ…やだなぁ…」
「ねーねーあのさぁ、ねー…聞いて?ちょっと取り合えずもっかい最初から話し合おう?銀さんちょっともう何だか分からなくなってきたから…雪ちゃんが確実に俺を子持ち化させて告白をなかったことにしようとしてるから…むしろ俺という存在を消そうとしてるからさ…ちょっと銀さん混乱してんだよね…ね、休憩しようか…ね?ね?」
雪の中ですでに赤子は銀時の子供だと思い込んでおり、そして同時に銀時死亡を確実とし、未来のプランを立てる。
銀時が死ねばこの子の親はあの捨てた母親だけとなる。
だがどんな事情があれ、預けたのではなく子を捨てた母親にこの子を返す気など更々なく関わってしまい、親が銀時ならば施設などもってのほか。
そうなれば銀時が居なくなった後、この子の親は自分達がなればいいと結論付けた。
籍は志村家に入れればいいし、銀時がいなくなった後も万事屋を経営し、神楽も志村家で住めば全て丸く収まる。
雪やお妙、神楽だけではなくきっとお登勢達もこの子を可愛がってくれるだろう。
そう将来のプランを立てていると…
「あら、銀さんに雪ちゃんじゃない」
「「…ッ!!!」」
噂をすればなんとやら…地球の最終兵器が来ました。
雪と銀時は先ほどまで話題にしていたというのもあり、そして子供の件もあり、びくりと肩を揺らし声をかけてきたお妙に振り返る。
お妙は相変わらず綺麗な微笑みを浮かべたまま銀時を見た後雪へ目をやり、最後に雪の腕にいる赤子を見た。
一瞬赤子を見た瞬間表情という表情がなくなったお妙だが、仕事柄笑顔を貼りつけるのは得意なのかすぐににっこりといつもの微笑みへと張り替え銀時に向けた。
「子守のお仕事ですか?」
「そ、そうなんだよ!!母親が疲れたとかなんとかで一時的に預かってくれって!!ストレス発散させにパチンコ行くからって!!!ほんと!最近の母親はなってねえよなぁ!!な!!雪!!」
「へ!?は、はい!!そ、そうなんですよ姉上!!この子のお母さん万事屋に来てすぐに預かってくれって言って出ていって!!だからミルクとか哺乳瓶とかなくって今買って帰るところなんですよー!!ね!!銀さん!!」
「まあ、そうだったの…無責任な母親もいるものねェ…お二人とも、ご苦労様です」
お妙の登場に雪も銀時も喧嘩は一時休戦となった。
銀時はこの赤子の父親じゃないのに殺されたくもないし、雪も銀時はどうでもいいがまだ赤ん坊の父親を奪いたくはなかった。
理由はどうあれ2人の心は一致していた。
お妙は笑顔を貼りつけたままだったため何を思い何を感じたかは分からない。
だがどうやら表向きは納得してくれたようで、納得したお妙に銀時は『じゃ、じゃあ…俺らもう戻らなきゃいけねェから』と言って即刻この悪魔の前から消えたいと思い背を向けた。
雪も姉に頭を下げた後銀時に続こうとしたのだが…お妙はそんな2人を引き留める。
「ちょっと待って、銀さん、雪ちゃん……あの、すみません、あずきバーとバーゲンダッシュ二つください」
「い、いーって!!ちょっと!?お構いなく…!!」
「そ、そうですよ!!それに今仕事中だし神楽ちゃん待ってるし神楽ちゃんだけのけ者にしたら神楽ちゃん拗ねちゃうし!!いいですよ姉上!」
「あら、それもそうね…神楽ちゃんだけのけ者にするのは可哀想だわ…じゃあバーゲンダッシュ三つで。」
「はあ?んなもんねーよ、そんな高けェアイス」
「あんだろ?コンビニに」
「か、買ってきます…」
銀時と雪を引き留めた妙は近くにあった駄菓子屋でアイスを購入しようとした。
しかしあずきバーはともかくバーゲンダッシュなど高いアイスが裏道にある老舗に置いてあるわけがなく、だらけた店主にお妙は店主の頭を鷲掴み机に叩きつけた。
店主はお妙に負け、コンビニに買いに向かう。
勿論、店主のおごりで。
銀時はお構いなくと首を振り断ろうとしてもお妙もお妙で聞く耳を持っておらず、仕方なく銀時は雪の腕を掴み逃走を図ろうとした。
しかし…
「本当!!いいから!じゃっ!!」
「え!?あっ!銀さん!待て!!」
「すまんお妙!!今仕事中だからーーーっ!!」
「待って!銀さん!!待って……って、言ってんだろーがアアアア!!!」
「んな――ッ!?」
雪の腕をとって逃げようとする銀時にお妙は引き留めようとした。
しかしこれ以上いれば何をどう誤解され殺されるか分かったものではないと銀時は振り切ろうと足を止めずに走る。
止まりもせず愛する妹の腕を堂々と掴む銀時にイラッときたのかお妙はあずきバーを袋から出し銀時に向かって投げた。
その殺気に銀時はハッとさせ咄嗟にしゃがんで避けたのだが―――そのしゃがんだ先に猿飛あやめがいた。
あずきバーを顔面で受け止め顔全体にあずきが掛かってしまい、その場は重い沈黙が落ちる。
「あ…」
「さ、さっちゃんさん…」
「おい大丈夫か」
「…………」
お妙も流石に罰が悪そうにし、立ち尽くすさっちゃんに銀時が声をかけた。
しかしさっちゃんは立ち尽くしたまま銀時の声にも反応せず、じっと雪の腕にいる赤子を見つめていた。
そしてさっちゃんはハッとさせ、絶望感漂う表情を浮かべた。
「そう、なんだ……そうだったんだ……あなた達やっぱりそういう関係だったんだ…」
さっちゃんのその表情、そしてその顔に雪と銀時は悪い予感が過りデジャウを感じた。
このパターンはあれだな前にもあったな、と2人の心は同じことを呟いた。
そんな雪達をよそにさっちゃんは涙を浮かべる。
「……馬鹿みたい…私……何も知らないで…1人で……まるでピエロだわ…そうやって私の気持ちもて遊んで楽しんでたんだ…っもう2人はとっくに子供をこさえる間柄だったのに…!!」
「…猿飛さん何言ってるの?雪ちゃんと銀さんの間に子供?いくら夢でも幻影でもそんな悪夢にしかならない夢見ないでくれる?いえ、見てもいいの。見てもいいのよ?でもね現実と夢を一緒にしないでくれる?その現実も夢も一緒くたにした思考で私の雪ちゃんに当たらないでくれる?その足りない頭かち割るわよ?」
「もういいわ…もう本当にいい…馬鹿みたい…私本当に馬鹿みたい…!!」
「馬鹿みたいじゃなくて馬鹿だろお前、本当馬鹿だろ」
「どんなに蔑まれてももう何にも気持ち良くないわ!SMプレイはもう終わり!!」
「俺がいつSMプレイをしましたか!」
「―――ッあんた達なんかバンバンバンバン子宝にめぐまれて大家族になればいいのよ!!障子が穴だらけの家に住めばいいのよ!さようなら!!勝手にお幸せに!!―――ってさせるかアアアア!!!」
「えええええ!!?」
「んだよ!こいつ!!もおお!!!1人でドラマやれるよ!!1人で映画撮れるよ!!」
やはりさっちゃんも土方や沖田達と同じく勘違いしていた。
さっちゃんは1人で落ち込み、1人で泣いて、そして1人で乗り突っ込みをした。
もはやそれは突っ込み族がいらないほど鮮やかな手際を見せていた。
傍観をしていた雪だったが突然さっちゃんに蹴りを向けられ雪は目を丸くした。
お妙が妹の危機に妹の腕を掴んで引き寄せ背中に庇う。
それでもさっちゃんはキッと涙目で雪を睨みお妙と雪に向かって襲い掛かった。
「残念だったわね雪さん!女はね子供を産んだ瞬間から女として見てもらえなくなるの!!家族なの!あなたはもう女じゃない!勝手に勝負から脱落していったのよ!お疲れ様!!」
「いや!だから!!勝負ってどの勝負!?私そんな勝負受けた覚えないけど!?っていうか何を勘違いしてるか分からないですけどこの子私と銀さんの子じゃないですから!!子守の子ですから!!」
「だったらあの子をどう説明するつもり!?クリソツじゃない!!天パといい!あの目といい!クリソツじゃない!!」
「ちょっと猿飛さん!!勝手に勘違いして雪ちゃんを汚さないでくれない!?どうしてうちの雪ちゃんがあの駄目侍の子を孕まなきゃいけないの!?」
「あらお妙さん!惚けたって無駄!!あなたも共犯者ってことくらい分かってるんだから!!私…あなたがいるから安心して銀さんのストーカーが出来てたのよ!?あなたが銀さんを毛嫌いしてるの分かってたから横から掻っ攫える隙を見ながら銀さんの生活も見守り写真に収め銀さんの寝顔も直接見てたりして幸せだったの!!なのに…!!なのにどうしてよ!!どうして銀さんを嫌ってるくせに出産を認めたの!?いいえ…いいえ、子供が出来たのは仕方ないわ…私も長期の仕事とかで不在だった事もあったから…それは私の落ち度…それに子供には罪はないわ…だけどね…だけど!!子供を産んだこと認めるならまだしも仲を認めるなんてあなた見損なったわ!!ブレブレね!!あなたのそのキャラブレブレね!!」
「あーもう!!鬱陶しいなこいつ!!ちょっと!ちょっと銀さん!?銀さんが撒いたタネでしょう!?何か言って…」
さっちゃんの攻撃は全て雪を庇っているお妙が交わしてくれていた。
流石地球の最終兵器…流石銀時に『あいつ…どうしてもっと早く生まれてこなかったのかな…そうすりゃあの時の戦力半端なかっただろうに…』と言わせる最終兵器。
敏腕くノ一の攻撃を全て受け止め流していた。
全ては後ろにいる可愛い妹のためであるが、妙はこうなった責任を銀時になすりつけ体よくさっちゃんを押し付けようとした。
だが…振り返った先の鼻をほじって他人事のように突っ立っていた銀時と、後ろにいる目に入れても痛くないほど可愛い妹の腕に抱かれている赤子をお妙は目に写し…
「クリソツじゃねェェかアアア!!!」
銀時を川に投げ捨てた。
ついでに浮き上がった銀時の上に赤子を乗せ、お妙は『ぎ、銀さアアアアん!!』と慌てて川に駆け寄る雪の手を取り銀時をいつも以上に冷たく軽蔑した眼差しで見下ろしていた。
「散々私の可愛い雪ちゃんに恋慕したとか抜かしておいて…まさか隠し子がいるだなんて…いいえ、まさかではないわね…やっぱりいたのね、隠し子…最低だわ。見損ないました。もう雪ちゃんに仕事辞めさせますから…行きましょう、雪ちゃん猿飛さん」
姉に手を引かれ雪は川にどんぶらこどんぶらこと流されていく銀時から遠ざかっていく。
いや、銀時はいい。
あの駄目侍は大人だから一人でなんとかなるだろう。
だが、あの赤子はまだ言葉さえ覚えていない小さい子なのだ。
雪は姉の手を振り払おうとするも相手が姉なため本気で振り払えず地球最強の力には勝てずズルズルと引きずられるように歩くしかなかった。
その後ろをさっちゃんが複雑そうな顔で続く。
「えっ、ちょっと…あ、姉上!!赤ちゃん!赤ちゃんがまだ…っていうか姉上赤ちゃん投げた!?川になげたんですか!?」
「大丈夫よ雪ちゃん。いくら私だってね罪もない赤ん坊を川に投げ捨てるものですか…ただ私はあの子のお父上にお返ししただけよ?大丈夫、銀さんの遺伝子を持っているんだもの相当図太くできてるに違いないわ」
「いやいやいや!!確かに言われてみればそうだけど!!あの人病気には弱いけど打撃には強いけれども!!川って…」
「雪ちゃん…もうあんな駄目侍の事なんて忘れなさい。元々あの侍はいなかったの。元々遺伝子的にあの侍は存在していなかったの。あれは幻なのよ。そもそもね、私嫌なのよ雪ちゃんのこの可愛いお口から『銀さん』とか『赤ちゃん』とか出てくると虫唾が走るの。神楽ちゃんやお登勢さんとかならまだギリギリ平気なのよ?百歩譲ってあの犯罪組織もまあ許してあげなくもないわ…でもね、雪ちゃん。あの白髪はダメよ。白髪は駄目なのよ、雪ちゃん…いい?白髪は、駄目。絶対、駄目。」
大通りに出て猿飛と別れた妙と雪は家に向かって歩き出す。
すでに雪は姉の意味の分からない言葉に突っ込む気力すら奪われてしまっていた。
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