調べた結果、ハム子は最近ある天人が多いクラブに入り浸っていたと聞き、三人もそこへ向かった。
クラブなだけに音楽も煩く、雪は耳が壊れるんじゃないかと思った。
まあそこは育ちの違いだろう。
もし雪がハム子のようになったら…いや、なる前に姉の妙に半殺しにされてしまうだろうから真面目になってしまうのは仕方のない事である。
「え〜?知らねえよ、こんな女」
「この店に遊びに来てた言うてたヨ?」
「んなこと言われてもねぇ、お嬢ちゃん…地球人の顔なんて見分けつかねえんだよ。名前とかは?」
「えっと………ハ、ハム子」
「嘘つくんじゃねえ!!明らかに今つけただろ!!そんな投げやりな名前つける親いるかアアア!!」
二日酔いの銀時はやる気なしのためか神楽がやる気をだし率先して調べてくれている。
…が、名前も知らない神楽には限界があった。
カウンターを叩くバーテンに雪はため息をつく。
「銀さん、神楽ちゃんに任せてたら永遠に仕事終わりませんよ?」
「…もういいんだよ……どうせどっかの男の家に転がり込んでんだろ、あのバカ娘…アホらしくてやってられるかよ…ハム買って帰りゃあのおっさんも誤魔化せるだろ。」
「誤魔化せるわけねえだろ!!あんたどれだけハムで引っ張るつもりだ!!」
「悪いんだけど二日酔いで調子悪いんだよ…適当にやっといて、雪ちゃん。」
「あ!ちょっと!銀さん!!」
何とか銀時のやる気を起こさせようと思ったが、二日酔いには誰にも勝てないのか適当な事を言うだけだった。
更にグチグチ小言を言う雪に嫌気がさしたように銀時はトイレへと逃げ出した。
雪は追いかけようとするも後ろから誰かとぶつかってしまう。
「あ…すみません…」
振り返ればそこには人型の天人がいた。
メガネをかけ長い髪を後ろへ流しており、どこかその辺のごろつきとは違う雰囲気を感じさせていた。
ギロリと睨まれ雪は息を呑んだ。
「小娘、どこに目ぇつけて歩いてるんだ?」
「…!!」
天人は目つきをそのままに雪に手を伸ばす。
雪は思わず後ずさったが、天人は雪に因縁をつけるわけでもなく、肩にくっついていたゴミを取ってくれただけだった。
「肩にゴミなんざ乗せてよく恥ずかしげもなく歩けるな…少しは身だしなみに気を配りやがれ」
「は、はあ…すみません…」
そう言って天人は雪など目もくれずどこかへ消えた。
その背を見送りながら雪は言い方はアレだが、とりあえずゴミを取ってくれたし絡まれなかったからマシか、と考え無理やり自分を納得させる。
「雪ー」
しかし何か引っかかっていたがその引っかかりが分からず首を傾げていると背後から神楽が声をかけ、振り返ると神楽と、その横にはハムのような男が立っていた。
「えっと…神楽ちゃん?」
「もう面倒くさいからこれで誤魔化すことにしたヨ」
「…どいつもこいつも仕事を何だと思ってんだちくしょう……」
神楽はハム子の手がかりを知ってる人間ではなく、ハム子の代わりの人間を連れてきた。
銀時は二日酔い、神楽は(多分)飽きた。
雪は頭が痛くなってきたような気がしてきた。
「大体これで誤魔化せるわけないでしょ!!ハム子じゃなくてハム男じゃない!!」
「チッ…ハムなんかどれ食ったって同じじゃねーか、クソが」
「何!?反抗期!?」
誤魔化せたとしてもそもそも性別違うから!、と雪はツッコんだ。
しかし珍しくも神楽が舌打ちを打ち、まだ16歳の雪は娘が反抗期になった気分を味わった。
神楽も神楽でこのような空気は慣れておらずイライラが溜まっているらしく、銀時が帰ってきたら銀時に仕事をやらせて神楽の機嫌取りをしよう、と決意した瞬間…ハム男が突然倒れた。
「ハム男ー!!」
「オイイイ!!駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねえよ!!」
「ハム男ー!!あんなに飲むからヨー!!」
神楽は突然倒れた駄キャラことハム男にヒロインのように駆け寄り、うつ伏せに倒れたハム男を仰向けにした。
仰向けにしたハム男の表情を見て雪はハッとする。
(この人…酔っぱらってるんじゃない…)
ハム男の表情は銀時やら雪の周りのダメな大人たちのように酔っ払いの表情ではなかった。
ハム男の目はうつろで、薄暗くても顔色が悪いのがよくわかり、うっすらと開けられている口からはよだれが出ていた。
それはどう見ても…
「あー、もういいからいいから!あと俺やるから!お客さんはあっち行ってて!」
雪が予想を出す前にバーテンが駆けつけ、倒れたハム男の肩を抱き運ぶ。
「ったくしょうがねえなぁ、どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ!」
「しゃぶしゃぶ?」
「ハイレグアルか?」
「この辺でな、最近新種の麻薬が出回ってんの。なんか相当ヤバイやつらしいからお客さんたちも気をつけなよ」
バーテンはそう言ってハム男をどこかへ連れて行った。
多分裏の方へ連れて行ったのだろう。
手馴れているようだからこの店でもよくハム男のような客がいるのだろう。
こういうところで働いたことがないから雪にはあの男がどうなるかは分からないが、以前働いていたところでは麻薬に手を付けた人間は御役御免となっていた。
あのハム男もそうならなければいいと思いながらも店員は悪い人ではなさそうと勝手に判断し銀時を待つことにした。
「遅いね、銀さん…」
正直麻薬が出回っているお店でゆっくりと待っているのはとてつもなく嫌だった。
しかし肝心の銀時がなかなかトイレから出てこず、雪はチラチラとトイレの方を何度も見る。
「銀ちゃんなら心配ないアル。どうせ今頃昨日食べた物全部リバースして胃酸で喉をやられてのたうちまわってるだけヨ」
「うん、心配だね、それ……っていうか、それもあるけど…なんかこの店嫌な感じがするんだよね…早く出た方がいいと思う…」
「じゃあ私探してくるヨ、――!」
「え…――!」
雪の意見に賛同したのか神楽は銀時を探しに行くと言って立ち上がろうとした。
雪も心配になりトイレを一度見に行こうとした。
男子トイレだが、緊急時だから仕方ない、と言い訳をしながら。
しかし神楽が腰を上げたその時、神楽の頭に銃が突きつけられ雪は固まった。
銃を辿っていけばいかにも、な天人が何人もおりニヤニヤと笑って神楽と雪を見下ろしていた。
「てめえらか、コソコソ嗅ぎ回ってる奴らってのは…」
「な、何なのあんたら…!!」
「とぼけんじゃねえよ、最近ずっと俺達のこと嗅ぎ回ってたじゃねえか」
「そんなに知りたきゃ教えてやるよ宇宙海賊"春雨"の恐ろしさをな!」
天人達は雪達がこの天人達ではなく人探しをしていたというのを勘違いしているようで、雪と神楽も天人と話が食い違い怪訝とさせる。
雪にも銃が向けられたのを見て神楽は自分に向けられている銃を蹴り飛ばし、次に雪に向けられている銃もそのまま蹴り飛ばす。
「!――神楽ちゃんっ!!!」
雪の手を掴んで逃げようとしたが、後ろからの衝撃に意識が薄れていく。
「雪…、っ」
最後に見たのは後ろから白い布で口と鼻を覆われ気を失ったように倒れる雪の姿だった。
その瞬間、
ドクン、と神楽の何かが脈打つ。
クラブなだけに音楽も煩く、雪は耳が壊れるんじゃないかと思った。
まあそこは育ちの違いだろう。
もし雪がハム子のようになったら…いや、なる前に姉の妙に半殺しにされてしまうだろうから真面目になってしまうのは仕方のない事である。
「え〜?知らねえよ、こんな女」
「この店に遊びに来てた言うてたヨ?」
「んなこと言われてもねぇ、お嬢ちゃん…地球人の顔なんて見分けつかねえんだよ。名前とかは?」
「えっと………ハ、ハム子」
「嘘つくんじゃねえ!!明らかに今つけただろ!!そんな投げやりな名前つける親いるかアアア!!」
二日酔いの銀時はやる気なしのためか神楽がやる気をだし率先して調べてくれている。
…が、名前も知らない神楽には限界があった。
カウンターを叩くバーテンに雪はため息をつく。
「銀さん、神楽ちゃんに任せてたら永遠に仕事終わりませんよ?」
「…もういいんだよ……どうせどっかの男の家に転がり込んでんだろ、あのバカ娘…アホらしくてやってられるかよ…ハム買って帰りゃあのおっさんも誤魔化せるだろ。」
「誤魔化せるわけねえだろ!!あんたどれだけハムで引っ張るつもりだ!!」
「悪いんだけど二日酔いで調子悪いんだよ…適当にやっといて、雪ちゃん。」
「あ!ちょっと!銀さん!!」
何とか銀時のやる気を起こさせようと思ったが、二日酔いには誰にも勝てないのか適当な事を言うだけだった。
更にグチグチ小言を言う雪に嫌気がさしたように銀時はトイレへと逃げ出した。
雪は追いかけようとするも後ろから誰かとぶつかってしまう。
「あ…すみません…」
振り返ればそこには人型の天人がいた。
メガネをかけ長い髪を後ろへ流しており、どこかその辺のごろつきとは違う雰囲気を感じさせていた。
ギロリと睨まれ雪は息を呑んだ。
「小娘、どこに目ぇつけて歩いてるんだ?」
「…!!」
天人は目つきをそのままに雪に手を伸ばす。
雪は思わず後ずさったが、天人は雪に因縁をつけるわけでもなく、肩にくっついていたゴミを取ってくれただけだった。
「肩にゴミなんざ乗せてよく恥ずかしげもなく歩けるな…少しは身だしなみに気を配りやがれ」
「は、はあ…すみません…」
そう言って天人は雪など目もくれずどこかへ消えた。
その背を見送りながら雪は言い方はアレだが、とりあえずゴミを取ってくれたし絡まれなかったからマシか、と考え無理やり自分を納得させる。
「雪ー」
しかし何か引っかかっていたがその引っかかりが分からず首を傾げていると背後から神楽が声をかけ、振り返ると神楽と、その横にはハムのような男が立っていた。
「えっと…神楽ちゃん?」
「もう面倒くさいからこれで誤魔化すことにしたヨ」
「…どいつもこいつも仕事を何だと思ってんだちくしょう……」
神楽はハム子の手がかりを知ってる人間ではなく、ハム子の代わりの人間を連れてきた。
銀時は二日酔い、神楽は(多分)飽きた。
雪は頭が痛くなってきたような気がしてきた。
「大体これで誤魔化せるわけないでしょ!!ハム子じゃなくてハム男じゃない!!」
「チッ…ハムなんかどれ食ったって同じじゃねーか、クソが」
「何!?反抗期!?」
誤魔化せたとしてもそもそも性別違うから!、と雪はツッコんだ。
しかし珍しくも神楽が舌打ちを打ち、まだ16歳の雪は娘が反抗期になった気分を味わった。
神楽も神楽でこのような空気は慣れておらずイライラが溜まっているらしく、銀時が帰ってきたら銀時に仕事をやらせて神楽の機嫌取りをしよう、と決意した瞬間…ハム男が突然倒れた。
「ハム男ー!!」
「オイイイ!!駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねえよ!!」
「ハム男ー!!あんなに飲むからヨー!!」
神楽は突然倒れた駄キャラことハム男にヒロインのように駆け寄り、うつ伏せに倒れたハム男を仰向けにした。
仰向けにしたハム男の表情を見て雪はハッとする。
(この人…酔っぱらってるんじゃない…)
ハム男の表情は銀時やら雪の周りのダメな大人たちのように酔っ払いの表情ではなかった。
ハム男の目はうつろで、薄暗くても顔色が悪いのがよくわかり、うっすらと開けられている口からはよだれが出ていた。
それはどう見ても…
「あー、もういいからいいから!あと俺やるから!お客さんはあっち行ってて!」
雪が予想を出す前にバーテンが駆けつけ、倒れたハム男の肩を抱き運ぶ。
「ったくしょうがねえなぁ、どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ!」
「しゃぶしゃぶ?」
「ハイレグアルか?」
「この辺でな、最近新種の麻薬が出回ってんの。なんか相当ヤバイやつらしいからお客さんたちも気をつけなよ」
バーテンはそう言ってハム男をどこかへ連れて行った。
多分裏の方へ連れて行ったのだろう。
手馴れているようだからこの店でもよくハム男のような客がいるのだろう。
こういうところで働いたことがないから雪にはあの男がどうなるかは分からないが、以前働いていたところでは麻薬に手を付けた人間は御役御免となっていた。
あのハム男もそうならなければいいと思いながらも店員は悪い人ではなさそうと勝手に判断し銀時を待つことにした。
「遅いね、銀さん…」
正直麻薬が出回っているお店でゆっくりと待っているのはとてつもなく嫌だった。
しかし肝心の銀時がなかなかトイレから出てこず、雪はチラチラとトイレの方を何度も見る。
「銀ちゃんなら心配ないアル。どうせ今頃昨日食べた物全部リバースして胃酸で喉をやられてのたうちまわってるだけヨ」
「うん、心配だね、それ……っていうか、それもあるけど…なんかこの店嫌な感じがするんだよね…早く出た方がいいと思う…」
「じゃあ私探してくるヨ、――!」
「え…――!」
雪の意見に賛同したのか神楽は銀時を探しに行くと言って立ち上がろうとした。
雪も心配になりトイレを一度見に行こうとした。
男子トイレだが、緊急時だから仕方ない、と言い訳をしながら。
しかし神楽が腰を上げたその時、神楽の頭に銃が突きつけられ雪は固まった。
銃を辿っていけばいかにも、な天人が何人もおりニヤニヤと笑って神楽と雪を見下ろしていた。
「てめえらか、コソコソ嗅ぎ回ってる奴らってのは…」
「な、何なのあんたら…!!」
「とぼけんじゃねえよ、最近ずっと俺達のこと嗅ぎ回ってたじゃねえか」
「そんなに知りたきゃ教えてやるよ宇宙海賊"春雨"の恐ろしさをな!」
天人達は雪達がこの天人達ではなく人探しをしていたというのを勘違いしているようで、雪と神楽も天人と話が食い違い怪訝とさせる。
雪にも銃が向けられたのを見て神楽は自分に向けられている銃を蹴り飛ばし、次に雪に向けられている銃もそのまま蹴り飛ばす。
「!――神楽ちゃんっ!!!」
雪の手を掴んで逃げようとしたが、後ろからの衝撃に意識が薄れていく。
「雪…、っ」
最後に見たのは後ろから白い布で口と鼻を覆われ気を失ったように倒れる雪の姿だった。
その瞬間、
ドクン、と神楽の何かが脈打つ。
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