沈黙が痛いほど流れていたその空間に高杉の笑い声が響く。
「し、晋さま…?」
「クッ…ははは!!俺が千早と恋人同士か!!……相変わらず、お前は面白いな、清花…」
「??」
突然笑い出した事に雪は混乱する。
高杉と千早は客とお気に入りという間柄だった。
雪は幼い頃、女の牢獄と言われる吉原に売られた。
それは父が亡くなり姉妹を引き取った遠い親戚の男の妻が雪を売ったのだ。
親戚の男は雪にベタ惚れしていたらしく、雪にとられるのを危惧した妻が雪を吉原に売った。
そして抵抗も空しく雪は遊女の禿となった。
その遊女が、千早である。
千早はとても美しい女性で、とても優しかった。
すぐに千早には心を開いた雪は彼女から様々な色の事を学んだ。
遊女になる前に雪は高杉と出会い、高杉と千早の仲睦まじい姿を見て勝手に恋仲と勘違いしていた。
高杉から『俺と千早は恋人じゃないぞ?』と聞かされ、雪は口をポカーンと開ける。
そんな雪を見て高杉はクツクツと喉を鳴らして笑った。
「だ、だって…晋さま、いつも姐さまを指名していたじゃないですか!それに…一緒にいる時だって姐さまにべったりくっついていたりくっつかれていたりしてたし…なんか姐さまが晋さまと会う時の雰囲気が他のお客さんを相手にする時と全然違うし!!あ、あれで付き合ってないとか嘘です!」
「いや、付き合ってねえよ……千早を指名していたのは情報交換のためだ」
「……情報交換…?」
いつも見る高杉と千早はくっついていた。
自分と寝るようになってからはそれはなくなったが、やはり頭の中で高杉と千早は恋人同士、というのがインプットされていてそれを書き換えることはできなかった。
高杉は疑う雪に『情報交換』と述べたが、雪はその意味が理解できず首を傾げる。
そんな雪に高杉は『そういやお前には隠していたな…』と思い出したように自分の素性を雪に教えた。
雪は高杉が桂や銀時と同じ攘夷戦争で戦っていた侍であり、彼等と旧友であり幼馴染だと知り、更には過激派攘夷浪士を纏めているとも知り雪は開いた口が閉じれなかった。
そして不意に祭りの時の記憶がよみがえる。
「も、もしかして…あの祭りの時銀さんが手を怪我して帰ってきたのって…」
「あ?あれは俺がやったな、そういや…」
『ま、斬ったっていうよりあいつが俺の刀を掴んだから切れただけだがな』と付け足す高杉に雪は頭を抱える。
(だからか!!だから銀さん私に『高杉』って名前を言ったのか!!)
どういう会話をしたかは分からないが、あの時、銀時は高杉と雪の関係を疑っていた。
今でも何も言わないという事は疑いは少しは晴れているという事だが、あの時の行動を思い出し納得する。
そして続けて雪は思い出し、高杉へ顔を上げた。
「あの…晋さま…」
「ん?」
「岡田似蔵って人、知ってます?」
「ああ、あいつも鬼兵隊の一人だ」
「……………」
はあ、と雪は溜息をついた。
隠し子騒動で岡田と会った時、岡田がどうも意味の分からない行動や発言をし、そして隠していた『清花』という遊女の時の名前を知っているのに疑問を持っていたが…高杉の返答で全て理解する。
高杉は雪の本当の名前を知らない。
だから雪を『清花』と呼んでいたのだろう。
それは責めることではないが…厄介な人と仲間らしい高杉に雪は溜息をまたついた。
「晋さま…晋さまはなぜ江戸にいるんですか?」
「何度言わせるつもりだ?…俺は――」
「それは建前ですよね?…というよりかは私はオマケでしょう?…ここに来た本当の理由は何ですか」
雪の問いに高杉は目を見張る。
確かに、雪は建前でもありオマケだ。
それを見越され驚きはしたが、すぐに気持ちを切り替え高杉は雪に伸ばしていた手で煙管を取り煙を吐き出す。
言うか言わずか迷っている様子だった。
「…言いたくないのなら言わなくても構いません…でも…私は、もう…」
「清花」
「…!」
「清花…お前、銀時が好きなのか?」
「んな――ッ!?」
『会えない』、と続けられる前に高杉に声をかけられ雪は少しずつ俯いていく顔を上げる。
顔を上げれば発せられた高杉の言葉に雪は目をこれでもかとまん丸にして顔をボンッと赤く染めた。
「な、なな…!な、なに言ってるんですか!晋さま!!変な冗談はやめてくださいよ!!な、なんで私が…あ、あんな…ぐーたらするしか能がなくて糖尿病に片足突っ込んでて人を嫁扱いして神楽ちゃんがいるのに飲んで朝帰りして稼いだお金をすぐパチンコなんかに使うマダオなんか…す、好きになるわけが……ない、です、よ…っ」
顔中が熱いと感じ、雪は余計に焦る。
何照れてるんだ!!と自分に叱り、銀時の駄目なところを述べるが中々顔の熱さは引いてくれない。
確かに、銀時は黙っているとそれなりにかっこいい。
そう、黙ってさえいれば、の話だ。
時折結野アナのテレビを真剣に見ているその顔はとてもかっこいいなぁ〜とか思わなくもないが、それでも、だ。
それでも…相手は銀時である。
あのマダオ代表の長谷川の次にマダオな男で、糖尿病になりかけ医者に注意もされながらもそれを聞き入れようともせず自分の欲のまま甘いものを食べ、付き合ってもいないのに(告白はしたけど)すでに付き合いも婚約も結婚もすっ飛ばして熟練夫婦の嫁扱いし、一人で依頼に行かせて報酬が手渡しの場合すぐにその金でパチンコで摩ったり飲み代に使ったりする男である。
それでも彼は彼なりにいいところはあるが……奴は銀時である。(大事なry)
「や、やめてくださいよ!そんな事…っ」
赤くなった頬を隠すように両手で頬を覆いむっとさせて否定する雪を見て高杉は…
「―――そうか」
そう言いながら煙管を戻し雪を抱き上げながら立ち上がる。
突然抱き上げられた雪は目を丸くさせ、落とされないように反射的に高杉に縋りつく。
「し、晋さま…?」
「銀時にお前を…俺の花を預けていた気でいたが…どうやら横からかっ攫われたようだな…」
「え?え?な、なにが、ですか?」
「…そのまま自覚してくれるなよ、清花…」
「?」
雪の反応で雪の気持ちを知った高杉は雪を抱き上げたままこの部屋と繋がっている一室に向かう。
襖を開ければそこにはこの店のもう一つの顔―――遊郭のような役割を持っており、雪の目の前には大き目の布団が敷かれていた。
その傍に明かりが灯り、薄暗く作られている一室を怪しく照らす。
まるで遊郭のようだと雪は思っているとその布団に静かに降ろされた。
布団に降ろされ雪は目を見張って高杉を見上げる。
目を瞬かせて今の状況を呑み込めていない雪に高杉は目を細めて笑い、3年前と同じく小さな体を上から覆い被る。
伊達に8年も遊女になっていたわけではない雪は高杉の体に覆い被られどうして布団が敷いてあり覆い被ってくるのか…ようやく理解した。
雪はその瞬間焦りを見せ起き上がろうとするも高杉に手を掴まれ布団に縫い付けられる。
グッグッ、と力を入れるも刀を使う侍の力と、鍛えても所詮は女の雪では力の差で勝てなかった。
「し、晋さま…じょう、だん…ですよね…?」
「冗談…だと思うか?この俺がそんなつまらんことを言う男だとでも?」
高杉と体を重ねたのは初めてではない。
だけどそれは遊女と客という関係だからだ。
あの頃ならばそれがなくても体を重ねていただろうが、今の雪は清花という遊女ではなく…志村雪というただの一人の少女。
万事屋で働いてぐーたら上司と暴食同僚と巨大な犬と共に仕事をこなす、ただの少女なのだ。
もう体は売っていないため体を重ねようとする高杉を拒絶した。
「ッ―――や、めてください…!私は、もう遊女じゃないです!!」
「だからなんだ?俺はお前を抱きたい―――ただそれだけだ」
「――ッ」
高杉の言葉に雪は息が止まったように感じた。
ショックだったのだ。
高杉のその言葉に。
涙を浮かべる雪のその雫を高杉は目に口づけをするように舐めとった。
もはや彼は雪の心を望んでいない。
今はまだ体さえ手に入ればいいと考えていた。
愛撫する彼に雪はまた瞳から涙が零れ、頬を伝った。
「し、晋さま…?」
「クッ…ははは!!俺が千早と恋人同士か!!……相変わらず、お前は面白いな、清花…」
「??」
突然笑い出した事に雪は混乱する。
高杉と千早は客とお気に入りという間柄だった。
雪は幼い頃、女の牢獄と言われる吉原に売られた。
それは父が亡くなり姉妹を引き取った遠い親戚の男の妻が雪を売ったのだ。
親戚の男は雪にベタ惚れしていたらしく、雪にとられるのを危惧した妻が雪を吉原に売った。
そして抵抗も空しく雪は遊女の禿となった。
その遊女が、千早である。
千早はとても美しい女性で、とても優しかった。
すぐに千早には心を開いた雪は彼女から様々な色の事を学んだ。
遊女になる前に雪は高杉と出会い、高杉と千早の仲睦まじい姿を見て勝手に恋仲と勘違いしていた。
高杉から『俺と千早は恋人じゃないぞ?』と聞かされ、雪は口をポカーンと開ける。
そんな雪を見て高杉はクツクツと喉を鳴らして笑った。
「だ、だって…晋さま、いつも姐さまを指名していたじゃないですか!それに…一緒にいる時だって姐さまにべったりくっついていたりくっつかれていたりしてたし…なんか姐さまが晋さまと会う時の雰囲気が他のお客さんを相手にする時と全然違うし!!あ、あれで付き合ってないとか嘘です!」
「いや、付き合ってねえよ……千早を指名していたのは情報交換のためだ」
「……情報交換…?」
いつも見る高杉と千早はくっついていた。
自分と寝るようになってからはそれはなくなったが、やはり頭の中で高杉と千早は恋人同士、というのがインプットされていてそれを書き換えることはできなかった。
高杉は疑う雪に『情報交換』と述べたが、雪はその意味が理解できず首を傾げる。
そんな雪に高杉は『そういやお前には隠していたな…』と思い出したように自分の素性を雪に教えた。
雪は高杉が桂や銀時と同じ攘夷戦争で戦っていた侍であり、彼等と旧友であり幼馴染だと知り、更には過激派攘夷浪士を纏めているとも知り雪は開いた口が閉じれなかった。
そして不意に祭りの時の記憶がよみがえる。
「も、もしかして…あの祭りの時銀さんが手を怪我して帰ってきたのって…」
「あ?あれは俺がやったな、そういや…」
『ま、斬ったっていうよりあいつが俺の刀を掴んだから切れただけだがな』と付け足す高杉に雪は頭を抱える。
(だからか!!だから銀さん私に『高杉』って名前を言ったのか!!)
どういう会話をしたかは分からないが、あの時、銀時は高杉と雪の関係を疑っていた。
今でも何も言わないという事は疑いは少しは晴れているという事だが、あの時の行動を思い出し納得する。
そして続けて雪は思い出し、高杉へ顔を上げた。
「あの…晋さま…」
「ん?」
「岡田似蔵って人、知ってます?」
「ああ、あいつも鬼兵隊の一人だ」
「……………」
はあ、と雪は溜息をついた。
隠し子騒動で岡田と会った時、岡田がどうも意味の分からない行動や発言をし、そして隠していた『清花』という遊女の時の名前を知っているのに疑問を持っていたが…高杉の返答で全て理解する。
高杉は雪の本当の名前を知らない。
だから雪を『清花』と呼んでいたのだろう。
それは責めることではないが…厄介な人と仲間らしい高杉に雪は溜息をまたついた。
「晋さま…晋さまはなぜ江戸にいるんですか?」
「何度言わせるつもりだ?…俺は――」
「それは建前ですよね?…というよりかは私はオマケでしょう?…ここに来た本当の理由は何ですか」
雪の問いに高杉は目を見張る。
確かに、雪は建前でもありオマケだ。
それを見越され驚きはしたが、すぐに気持ちを切り替え高杉は雪に伸ばしていた手で煙管を取り煙を吐き出す。
言うか言わずか迷っている様子だった。
「…言いたくないのなら言わなくても構いません…でも…私は、もう…」
「清花」
「…!」
「清花…お前、銀時が好きなのか?」
「んな――ッ!?」
『会えない』、と続けられる前に高杉に声をかけられ雪は少しずつ俯いていく顔を上げる。
顔を上げれば発せられた高杉の言葉に雪は目をこれでもかとまん丸にして顔をボンッと赤く染めた。
「な、なな…!な、なに言ってるんですか!晋さま!!変な冗談はやめてくださいよ!!な、なんで私が…あ、あんな…ぐーたらするしか能がなくて糖尿病に片足突っ込んでて人を嫁扱いして神楽ちゃんがいるのに飲んで朝帰りして稼いだお金をすぐパチンコなんかに使うマダオなんか…す、好きになるわけが……ない、です、よ…っ」
顔中が熱いと感じ、雪は余計に焦る。
何照れてるんだ!!と自分に叱り、銀時の駄目なところを述べるが中々顔の熱さは引いてくれない。
確かに、銀時は黙っているとそれなりにかっこいい。
そう、黙ってさえいれば、の話だ。
時折結野アナのテレビを真剣に見ているその顔はとてもかっこいいなぁ〜とか思わなくもないが、それでも、だ。
それでも…相手は銀時である。
あのマダオ代表の長谷川の次にマダオな男で、糖尿病になりかけ医者に注意もされながらもそれを聞き入れようともせず自分の欲のまま甘いものを食べ、付き合ってもいないのに(告白はしたけど)すでに付き合いも婚約も結婚もすっ飛ばして熟練夫婦の嫁扱いし、一人で依頼に行かせて報酬が手渡しの場合すぐにその金でパチンコで摩ったり飲み代に使ったりする男である。
それでも彼は彼なりにいいところはあるが……奴は銀時である。(大事なry)
「や、やめてくださいよ!そんな事…っ」
赤くなった頬を隠すように両手で頬を覆いむっとさせて否定する雪を見て高杉は…
「―――そうか」
そう言いながら煙管を戻し雪を抱き上げながら立ち上がる。
突然抱き上げられた雪は目を丸くさせ、落とされないように反射的に高杉に縋りつく。
「し、晋さま…?」
「銀時にお前を…俺の花を預けていた気でいたが…どうやら横からかっ攫われたようだな…」
「え?え?な、なにが、ですか?」
「…そのまま自覚してくれるなよ、清花…」
「?」
雪の反応で雪の気持ちを知った高杉は雪を抱き上げたままこの部屋と繋がっている一室に向かう。
襖を開ければそこにはこの店のもう一つの顔―――遊郭のような役割を持っており、雪の目の前には大き目の布団が敷かれていた。
その傍に明かりが灯り、薄暗く作られている一室を怪しく照らす。
まるで遊郭のようだと雪は思っているとその布団に静かに降ろされた。
布団に降ろされ雪は目を見張って高杉を見上げる。
目を瞬かせて今の状況を呑み込めていない雪に高杉は目を細めて笑い、3年前と同じく小さな体を上から覆い被る。
伊達に8年も遊女になっていたわけではない雪は高杉の体に覆い被られどうして布団が敷いてあり覆い被ってくるのか…ようやく理解した。
雪はその瞬間焦りを見せ起き上がろうとするも高杉に手を掴まれ布団に縫い付けられる。
グッグッ、と力を入れるも刀を使う侍の力と、鍛えても所詮は女の雪では力の差で勝てなかった。
「し、晋さま…じょう、だん…ですよね…?」
「冗談…だと思うか?この俺がそんなつまらんことを言う男だとでも?」
高杉と体を重ねたのは初めてではない。
だけどそれは遊女と客という関係だからだ。
あの頃ならばそれがなくても体を重ねていただろうが、今の雪は清花という遊女ではなく…志村雪というただの一人の少女。
万事屋で働いてぐーたら上司と暴食同僚と巨大な犬と共に仕事をこなす、ただの少女なのだ。
もう体は売っていないため体を重ねようとする高杉を拒絶した。
「ッ―――や、めてください…!私は、もう遊女じゃないです!!」
「だからなんだ?俺はお前を抱きたい―――ただそれだけだ」
「――ッ」
高杉の言葉に雪は息が止まったように感じた。
ショックだったのだ。
高杉のその言葉に。
涙を浮かべる雪のその雫を高杉は目に口づけをするように舐めとった。
もはや彼は雪の心を望んでいない。
今はまだ体さえ手に入ればいいと考えていた。
愛撫する彼に雪はまた瞳から涙が零れ、頬を伝った。
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