注意を逸らすことに成功した神楽は呆気に取られている雪の手を取って立たせる。
背後にいる高杉を警戒しながらとりあえずはここから逃げようとした。
「クソガキィィ!!武市先輩!!そっちっす!!」
「――!!」
顔を蹴られたまた子は上へ向かって声を上げる。
それと同時に雪と神楽にスポットライトが当たり、出て来た攘夷浪士に囲まれた。
屋根の上には一人の男がおり、周りにいる部下に指示を出していた。
「みなさん、殺してはいけませんよ…女子どもを殺めたとあっては侍の名が廃ります…生かして捕らえるのですよ」
「先輩!!ロリコンも大概にするっす!ここまで侵入されておきながら何を生温いことを!」
「ロリコンじゃない、フェミニストです…敵とはいえ女性には優しく接するのがフェミ道というもの」
男…武市は高杉の女である雪はもとより襲撃者である神楽も生かして捕らえろと命じた。
それに侮辱されたまた子は反論するも、雪はまた子から出た『ロリコン』に思わず神楽を背に隠した。
しかし、どちらかと言えば武市の中で、雪もロリコンにはいるのでどちらも美味しいというものには気づいていない。
まったくフェミ道を分かっていない後輩に『やれやれ』と溜息を送っていると、部下の声がし、下へ目を向ける。
そこには庇われていた雪を逆に庇いながら部下を次々に倒していく神楽の姿があった。
「な、何だこの小娘!?」
「やたら強いぞ!」
まだ神楽が夜兎と気づかれていないのか、少女の体で兵たちと戦っているその姿を見て武市は驚きが隠せなかった。
しかしすぐに神楽を視姦―――ではなく、観察をする。
今の神楽は大暴れしており、その傍で雪が大人しくしていた。
何かすると神楽の足手まといか、巻き込まれるので雪は大人しくする…というのを神楽と出会って学んだことである。
銀時なら上手くやれるだろうが、雪の腕ではまだそこまでできないのが現状だった。
「ヅラァァァァ!!どこアルか!?ここに居るんでしょーーッ!!」
神楽はこの船のどこかに桂がいると思っているらしく、声を大にして桂を呼ぶ。
雪もここに桂がいるのかと思い始めたその時、後ろから腕を引っ張られた。
「―――ッ!!」
雪が『あ』、と声を出す間もなく引っ張られ神楽と引き離される。
だが神楽は桂を探しながらも雪に意識を向けていたからか攫われるように引き離される雪に神楽は咄嗟にその雪を連れ去ろうとする輩に銃を向けた。
しかしその傘は跳ね返されてしまう。
その反動で数歩後ろへと下がった神楽はハッとさせ雪を攫った輩を見た。
その輩とは…
「晋さま…」
傍観を続けていた高杉だった。
高杉は浪人たちの間を抜け、桂を探しながら雪を守り尚且つ襲ってくる浪人たちをも相手にしなくてはならない神楽の大きな隙をついて雪を奪還したのだ。
銃を向ける神楽の傘を、高杉は刀を抜き跳ね返したという訳である。
雪は神楽から高杉の腕の中に戻り、体を強張らせる。
やっと逃げれるかもしれない状況が、スタート時点に戻ったのだ。
「お前…!雪を返すネ!!」
銃を向けて声を上げる神楽を、高杉は煩く吠える子犬にしか見えなかった。
夜兎とはいえ高杉にとって神楽は脅威でもないのだろう。
ニタリと笑う高杉に神楽は震える手を押せながら雪を奪った高杉に銃を向け続ける。
高杉は雪の掴んでいた腕を引き寄せ、そのまま肩に手を回す。
「馬鹿を言うな…こいつは俺の女なんだ、返すわけねえだろ?それにコレは元々お前らに貸していたようなもんだからな…どちらかと言えばこちらが返してもらうべきだ…そうだろ、清花」
「………」
そう問われても雪は何も答えない。
今の高杉には何を言っても無駄だと分かっているからだ。
首を振ろうが泣きわめこうが、高杉は有無を言わせない。
だからせめてもの抵抗に目を逸らすことで返事を返す。
雪の答えに高杉は機嫌が悪くなるどころか愉快そうに笑うだけだった。
雪を貸していた、という言葉に神楽はカッとなりギッと高杉を睨む。
「貸してもらった覚えはないネ!!雪は万事屋のもんアル!!銀ちゃんの嫁で、私のマミーネ!!間男のお前にゃ雪なんて勿体ないアル!!だからとっとと雪を離すアル!!雪は銀ちゃんのところに帰るネ!!!」
ここがギャグならば、『誰がマミーだ!』とか『誰が嫁だ!』とか突っ込んでいられたが、今はそんな雰囲気ではない。
神楽は祭りの時、感じた危機感をよみがえらせていた。
あの時、どうしてか雪の後姿を見て雪が帰ってこないかもしれないと思った。
その恐怖で夜兎として生きてきて二度目の大切な物を失う恐怖を感じた。
母の様に死んでしまうかもしれないという恐怖がないわけではなかったが、それでもその後の雪があまりにも普通だったからその恐怖も忘れていた。
しかし、高杉の腕に捕まっている雪を見て…その恐怖を神楽はよみがえったのだ。
雪を失うかもしれない恐怖、そして得体のしれない高杉への恐怖に神楽は体を震わせながら健気に雪を助けようと銃を向けていた。
しかし…―――発砲の音と共に神楽の肩に激痛が走った。
「神楽ちゃん…ッ!!!」
肩を見れば出血しており、後ろを見ればまた子がこちらに銃を向けているのが見えた。
雪の焦った声に目をやればこちらに手を伸ばしているのが見えたが、高杉に抱きしめられ引き留められていた。
―――雪
神楽は頭の中で雪の名を呼んだ。
彼女は地球に出稼ぎに来て初めて安らぎを与えてくれた人だった。
銀時や自分のように強くはないが、心はとても強い人だった。
だから銀時も自分も彼女を慕った。
そんな雪が目の前にいるのに、雪が手を伸ばしているのに…神楽はその指先すら触れることができない。
伸ばされている手を神楽は取ろうとしたが、また発砲の音がし、今度は足を撃たれた。
思わず倒れた神楽に雪が悲鳴を上げる。
雪は神楽しか見ておらず暴れるも高杉の腕の力は抜くどころか強くなる一方だった。
「神楽ちゃん!!神楽ちゃん!!!」
1人の浪人が倒れた神楽を押さえつけようとしたが、雪の声でハッとさせた神楽に足でけられてしまい失敗に終わる。
動けば痛みが走り、神楽はその痛みを声を上げることで誤魔化す。
「ッ――――ふんぬおおお!!」
女の子らしくないが、それでも痛みは何となく誤魔化せたような気がした。
今、神楽は勢いだけであり、雪を高杉から奪い取るしか頭にない。
高杉に向かって走ろうとする神楽にまた子は銃を放った。
―――雪の目の前で、神楽は撃たれ…地に伏す。
背後にいる高杉を警戒しながらとりあえずはここから逃げようとした。
「クソガキィィ!!武市先輩!!そっちっす!!」
「――!!」
顔を蹴られたまた子は上へ向かって声を上げる。
それと同時に雪と神楽にスポットライトが当たり、出て来た攘夷浪士に囲まれた。
屋根の上には一人の男がおり、周りにいる部下に指示を出していた。
「みなさん、殺してはいけませんよ…女子どもを殺めたとあっては侍の名が廃ります…生かして捕らえるのですよ」
「先輩!!ロリコンも大概にするっす!ここまで侵入されておきながら何を生温いことを!」
「ロリコンじゃない、フェミニストです…敵とはいえ女性には優しく接するのがフェミ道というもの」
男…武市は高杉の女である雪はもとより襲撃者である神楽も生かして捕らえろと命じた。
それに侮辱されたまた子は反論するも、雪はまた子から出た『ロリコン』に思わず神楽を背に隠した。
しかし、どちらかと言えば武市の中で、雪もロリコンにはいるのでどちらも美味しいというものには気づいていない。
まったくフェミ道を分かっていない後輩に『やれやれ』と溜息を送っていると、部下の声がし、下へ目を向ける。
そこには庇われていた雪を逆に庇いながら部下を次々に倒していく神楽の姿があった。
「な、何だこの小娘!?」
「やたら強いぞ!」
まだ神楽が夜兎と気づかれていないのか、少女の体で兵たちと戦っているその姿を見て武市は驚きが隠せなかった。
しかしすぐに神楽を視姦―――ではなく、観察をする。
今の神楽は大暴れしており、その傍で雪が大人しくしていた。
何かすると神楽の足手まといか、巻き込まれるので雪は大人しくする…というのを神楽と出会って学んだことである。
銀時なら上手くやれるだろうが、雪の腕ではまだそこまでできないのが現状だった。
「ヅラァァァァ!!どこアルか!?ここに居るんでしょーーッ!!」
神楽はこの船のどこかに桂がいると思っているらしく、声を大にして桂を呼ぶ。
雪もここに桂がいるのかと思い始めたその時、後ろから腕を引っ張られた。
「―――ッ!!」
雪が『あ』、と声を出す間もなく引っ張られ神楽と引き離される。
だが神楽は桂を探しながらも雪に意識を向けていたからか攫われるように引き離される雪に神楽は咄嗟にその雪を連れ去ろうとする輩に銃を向けた。
しかしその傘は跳ね返されてしまう。
その反動で数歩後ろへと下がった神楽はハッとさせ雪を攫った輩を見た。
その輩とは…
「晋さま…」
傍観を続けていた高杉だった。
高杉は浪人たちの間を抜け、桂を探しながら雪を守り尚且つ襲ってくる浪人たちをも相手にしなくてはならない神楽の大きな隙をついて雪を奪還したのだ。
銃を向ける神楽の傘を、高杉は刀を抜き跳ね返したという訳である。
雪は神楽から高杉の腕の中に戻り、体を強張らせる。
やっと逃げれるかもしれない状況が、スタート時点に戻ったのだ。
「お前…!雪を返すネ!!」
銃を向けて声を上げる神楽を、高杉は煩く吠える子犬にしか見えなかった。
夜兎とはいえ高杉にとって神楽は脅威でもないのだろう。
ニタリと笑う高杉に神楽は震える手を押せながら雪を奪った高杉に銃を向け続ける。
高杉は雪の掴んでいた腕を引き寄せ、そのまま肩に手を回す。
「馬鹿を言うな…こいつは俺の女なんだ、返すわけねえだろ?それにコレは元々お前らに貸していたようなもんだからな…どちらかと言えばこちらが返してもらうべきだ…そうだろ、清花」
「………」
そう問われても雪は何も答えない。
今の高杉には何を言っても無駄だと分かっているからだ。
首を振ろうが泣きわめこうが、高杉は有無を言わせない。
だからせめてもの抵抗に目を逸らすことで返事を返す。
雪の答えに高杉は機嫌が悪くなるどころか愉快そうに笑うだけだった。
雪を貸していた、という言葉に神楽はカッとなりギッと高杉を睨む。
「貸してもらった覚えはないネ!!雪は万事屋のもんアル!!銀ちゃんの嫁で、私のマミーネ!!間男のお前にゃ雪なんて勿体ないアル!!だからとっとと雪を離すアル!!雪は銀ちゃんのところに帰るネ!!!」
ここがギャグならば、『誰がマミーだ!』とか『誰が嫁だ!』とか突っ込んでいられたが、今はそんな雰囲気ではない。
神楽は祭りの時、感じた危機感をよみがえらせていた。
あの時、どうしてか雪の後姿を見て雪が帰ってこないかもしれないと思った。
その恐怖で夜兎として生きてきて二度目の大切な物を失う恐怖を感じた。
母の様に死んでしまうかもしれないという恐怖がないわけではなかったが、それでもその後の雪があまりにも普通だったからその恐怖も忘れていた。
しかし、高杉の腕に捕まっている雪を見て…その恐怖を神楽はよみがえったのだ。
雪を失うかもしれない恐怖、そして得体のしれない高杉への恐怖に神楽は体を震わせながら健気に雪を助けようと銃を向けていた。
しかし…―――発砲の音と共に神楽の肩に激痛が走った。
「神楽ちゃん…ッ!!!」
肩を見れば出血しており、後ろを見ればまた子がこちらに銃を向けているのが見えた。
雪の焦った声に目をやればこちらに手を伸ばしているのが見えたが、高杉に抱きしめられ引き留められていた。
―――雪
神楽は頭の中で雪の名を呼んだ。
彼女は地球に出稼ぎに来て初めて安らぎを与えてくれた人だった。
銀時や自分のように強くはないが、心はとても強い人だった。
だから銀時も自分も彼女を慕った。
そんな雪が目の前にいるのに、雪が手を伸ばしているのに…神楽はその指先すら触れることができない。
伸ばされている手を神楽は取ろうとしたが、また発砲の音がし、今度は足を撃たれた。
思わず倒れた神楽に雪が悲鳴を上げる。
雪は神楽しか見ておらず暴れるも高杉の腕の力は抜くどころか強くなる一方だった。
「神楽ちゃん!!神楽ちゃん!!!」
1人の浪人が倒れた神楽を押さえつけようとしたが、雪の声でハッとさせた神楽に足でけられてしまい失敗に終わる。
動けば痛みが走り、神楽はその痛みを声を上げることで誤魔化す。
「ッ――――ふんぬおおお!!」
女の子らしくないが、それでも痛みは何となく誤魔化せたような気がした。
今、神楽は勢いだけであり、雪を高杉から奪い取るしか頭にない。
高杉に向かって走ろうとする神楽にまた子は銃を放った。
―――雪の目の前で、神楽は撃たれ…地に伏す。
← | back | →
しおりを挟む