鷹臣は広い庭を走り続ける。
そんな鷹臣の前に、一人の男が立ちふさがった。
「ちょいと待ちな、兄ちゃん」
立ち塞がったのは四天王の一人である南戸粋だった。
鷹臣は南戸の登場に足を止め、腰に差さっている木刀を抜く。
剣を構える鷹臣に南戸は薄っすらと笑った。
「おいおいこりゃあ…どえらい男前の兄ちゃんじゃねえか?まあ、俺ほどでもないが…」
「おやまあ…驚いた…男性器が喋ってる…え?なに?今時の男性器って喋るの?」
顔が整っている鷹臣を見て南戸は負けじとイケメン発言をするが、それに興味がない鷹臣に遮られる。
見知らぬ男にまで男性器と言われ、南戸は額に青筋を立て口端をひくりとさせながらも我慢する。
そんな南戸をよそに鷹臣は後退する。
それを見て南戸は逃げられる前にと木刀を振りかざし、その木刀を鷹臣は簡単に受け止めた。
「おい…何逃げようとしてんだ?」
「だって男性器がモロに出してる変態と一緒にいたくないでしょ、普通…そりゃ俺も男だから一日何回かは男性器を見るけど流石にここまであからさまに男性器をデカデカと出されるとちょっと引くっていうか…気持ち悪い」
「てめ…ッ!!男性器男性器と!!俺のどこらへんが男性器だゴラ!!」
「存在全てが」
「貴様ァァ!!!」
先ほどから男性器男性器と連発する鷹臣に南戸はキレた。
仲間にも言われてはきたが、敵に言われる筋合いはない。
そもそも積りに積もった我慢が限界を超えたのだろう。
南戸はギリギリと受け止める鷹臣の木刀を跳ね返す。
その反動で鷹臣の木刀を持つ腕が横へと流れ、その開いた大きな隙に付け込み、鷹臣の胸元にある皿を一突きで割ろうとした。
だが鷹臣は懐にある皿を割ろうと突きつけられる木刀を見下ろしながら素早く流れた木刀の持ち方を変え、皿に突きかけている南戸の木刀の鎬(しのぎ)の部分を突き、軌道を無理矢理変更させた。
それは一瞬の出来事だった。
南戸は目を丸くさせ、そんな南戸を相変わらず冷静な目で見下ろし、鷹臣は木刀をそのまま開いている手に持ち返し思いっきり振り下ろした。
殺気に気付いた南戸は咄嗟に避けたおかげで何とか直撃は免れる。
(こいつ…速い…!!)
見た目的に土方や近藤達よりはのんびりとしている鷹臣を南戸は今の今まで勘違いしていた。
のほほんとしている鷹臣は意外と素早く、隙がありそうでない。
木刀を利き手へと持ち返す鷹臣を見ながら南戸は次をどう動こうかと考えていた。
だが…瞬きをしている合間に視界にいた鷹臣が一瞬にして距離を縮ませ目の前に迫っていた。
「なッ―――ぐ、!!」
鷹臣を認識したのと同時に腹部に激痛が走る。
南戸の腹部を鷹臣が木刀の柄頭で突いたのだ。
殴られたような痛さに南戸は息を詰まらせる。
だが、そんな南戸をよそに鷹臣はそのまま木刀の柄頭を首に突きつけようとした。
それに南戸は苦し気にしながらも避ける――が、鷹臣はしゃがみ南戸の足を払い倒れる南戸の腹部に再び柄頭を突き立てようとした。
それをまた南戸はギリギリに避ける。
「てめェ…何柄頭で攻撃してんだ!!刀の使い方知らねえのか!?」
咳き込み腹を抑えながら鷹臣を睨みつける。
睨んでくる南戸に鷹臣は困ったように眉を下げ木刀を見た。
「いや、知ってるんだけどさ…こうでもしないと君たちを殺してしまいそうなんだよね」
「はあ?なんだそりゃ…」
「だって、僕手加減知らないんだよ……切っ先じゃ確実に急所ついちゃうから、下手したら殺しちゃうし…」
「てめェ…ふざけてんのか!!ハンデするほど俺が弱いとでも思ってんなら間違いだって思い知らせてやるよ!!!」
鷹臣の言葉に舐められていると思った南戸は逆上し襲い掛かってきた。
それでも決して隙を見せないところは流石は先祖代々将軍家に仕えてきた名家で四天王の一人を名乗るだけあると鷹臣は振られた木刀を受けるのと同時に後ろに飛んで衝撃を流しながらそう思う。
(困ったなぁ…どうしよう…)
受け流した鷹臣はそのまま足の軸をずらし横へ避け横腹へ柄頭で突こうとした。
その鷹臣の腕を南戸も読み、木刀を鷹臣の腕を切っ先で上から突く。
怒りのままに叩きつけられた鷹臣の腕はボキリと折れ、木刀が地面に落ちる。
腕を折られた鷹臣は目を見張ったが、顔横に向けられた南戸の木刀に気付き、折れていない方の手で顔面に当たる寸前で止める。
「驚いたな…腕、折られちゃったよ」
(こ、こいつ…ッ!痛覚あんのか!?)
鷹臣は腕を折られたというのに痛みなど感じさせないほど冷静だった。
力を入れてギリギリと押しているはずの木刀を腕一本で掴んで止めているのも驚きだが、本来骨が折れればその痛みで次にくる攻撃に気付かない。
気付いたとしてもこうして受け止めることはできないはずなのだ。
それを…鷹臣は折れていない手で木刀を掴んで南戸の木刀を止め、折れた腕を見下ろしていた。
南戸はそれを見て異常だと思った。
そもそも痛みを我慢しているならまだしも、鷹臣の整った顔に一度として痛みを感じたような様子は見受けられなかった。
『おお、すごい、本当に折れてる』、と折れてだらんとさせている腕をブラブラと揺らせ愉快そうに見る鷹臣に南戸はぞっとさせ距離を置く。
離れた南戸など見向きもせず、鷹臣は落ちている己の木刀を手に取り『こんな怪我したのいつぶりだろう』と零した後、困ったように呟く。
「ああ、でも…こんな事兄さんに知られたら怒られちゃうかも…兄さん過保護だからなァ…最悪連れ戻されるかもなァ…まだおさきの花嫁姿見てないんだけど…」
独り言を言う鷹臣の言葉一つ、南戸には理解できなかった。
何の事を言っているのか、分からないのだ。
警戒をしていると鷹臣に『ねえ』と振り返られ、南戸はビクリと肩を揺れそうになった。
しかし剣を習い心をも鍛えた南戸は何とか木刀をグッと握る力を入れて持ち直す。
南戸の感情などよそに鷹臣は困ったような表情をそのままにコテンと小首を傾げて見せる。
「この事内緒にしてね…俺、兄さん達に怒られたくないから」
鷹臣の言葉に南戸は怪訝としながら頷く。
それは無意識だった。
反射的に頷いた南戸に鷹臣は安心したようににっこりと笑い、
「じゃあお礼にぱっと終わらせてあげよう」
そう告げた。
その言葉の意味を理解する前に南戸の視界に鷹臣は消え、同時に首裏に言葉にならないほどの痛みが走った。
その強すぎる痛みに南戸は気を失い、その場にうつ伏せに倒れた。
ドサリと声を出す暇なく気を失い倒れた南戸の傍には鷹臣がいた。
鷹臣は目にも止まらない速さで南戸の背後に回り、戦っている最中見つけた南戸の首の後ろにある皿を叩き割ったのだ。
その衝撃で南戸も気を失ってしまったが、死んでないのならまあOKだろう鷹臣は軽く考える。
しかし鷹臣が今、木刀を持っているその手は…―――
南戸に折られたはずの腕だった。
そんな鷹臣の前に、一人の男が立ちふさがった。
「ちょいと待ちな、兄ちゃん」
立ち塞がったのは四天王の一人である南戸粋だった。
鷹臣は南戸の登場に足を止め、腰に差さっている木刀を抜く。
剣を構える鷹臣に南戸は薄っすらと笑った。
「おいおいこりゃあ…どえらい男前の兄ちゃんじゃねえか?まあ、俺ほどでもないが…」
「おやまあ…驚いた…男性器が喋ってる…え?なに?今時の男性器って喋るの?」
顔が整っている鷹臣を見て南戸は負けじとイケメン発言をするが、それに興味がない鷹臣に遮られる。
見知らぬ男にまで男性器と言われ、南戸は額に青筋を立て口端をひくりとさせながらも我慢する。
そんな南戸をよそに鷹臣は後退する。
それを見て南戸は逃げられる前にと木刀を振りかざし、その木刀を鷹臣は簡単に受け止めた。
「おい…何逃げようとしてんだ?」
「だって男性器がモロに出してる変態と一緒にいたくないでしょ、普通…そりゃ俺も男だから一日何回かは男性器を見るけど流石にここまであからさまに男性器をデカデカと出されるとちょっと引くっていうか…気持ち悪い」
「てめ…ッ!!男性器男性器と!!俺のどこらへんが男性器だゴラ!!」
「存在全てが」
「貴様ァァ!!!」
先ほどから男性器男性器と連発する鷹臣に南戸はキレた。
仲間にも言われてはきたが、敵に言われる筋合いはない。
そもそも積りに積もった我慢が限界を超えたのだろう。
南戸はギリギリと受け止める鷹臣の木刀を跳ね返す。
その反動で鷹臣の木刀を持つ腕が横へと流れ、その開いた大きな隙に付け込み、鷹臣の胸元にある皿を一突きで割ろうとした。
だが鷹臣は懐にある皿を割ろうと突きつけられる木刀を見下ろしながら素早く流れた木刀の持ち方を変え、皿に突きかけている南戸の木刀の鎬(しのぎ)の部分を突き、軌道を無理矢理変更させた。
それは一瞬の出来事だった。
南戸は目を丸くさせ、そんな南戸を相変わらず冷静な目で見下ろし、鷹臣は木刀をそのまま開いている手に持ち返し思いっきり振り下ろした。
殺気に気付いた南戸は咄嗟に避けたおかげで何とか直撃は免れる。
(こいつ…速い…!!)
見た目的に土方や近藤達よりはのんびりとしている鷹臣を南戸は今の今まで勘違いしていた。
のほほんとしている鷹臣は意外と素早く、隙がありそうでない。
木刀を利き手へと持ち返す鷹臣を見ながら南戸は次をどう動こうかと考えていた。
だが…瞬きをしている合間に視界にいた鷹臣が一瞬にして距離を縮ませ目の前に迫っていた。
「なッ―――ぐ、!!」
鷹臣を認識したのと同時に腹部に激痛が走る。
南戸の腹部を鷹臣が木刀の柄頭で突いたのだ。
殴られたような痛さに南戸は息を詰まらせる。
だが、そんな南戸をよそに鷹臣はそのまま木刀の柄頭を首に突きつけようとした。
それに南戸は苦し気にしながらも避ける――が、鷹臣はしゃがみ南戸の足を払い倒れる南戸の腹部に再び柄頭を突き立てようとした。
それをまた南戸はギリギリに避ける。
「てめェ…何柄頭で攻撃してんだ!!刀の使い方知らねえのか!?」
咳き込み腹を抑えながら鷹臣を睨みつける。
睨んでくる南戸に鷹臣は困ったように眉を下げ木刀を見た。
「いや、知ってるんだけどさ…こうでもしないと君たちを殺してしまいそうなんだよね」
「はあ?なんだそりゃ…」
「だって、僕手加減知らないんだよ……切っ先じゃ確実に急所ついちゃうから、下手したら殺しちゃうし…」
「てめェ…ふざけてんのか!!ハンデするほど俺が弱いとでも思ってんなら間違いだって思い知らせてやるよ!!!」
鷹臣の言葉に舐められていると思った南戸は逆上し襲い掛かってきた。
それでも決して隙を見せないところは流石は先祖代々将軍家に仕えてきた名家で四天王の一人を名乗るだけあると鷹臣は振られた木刀を受けるのと同時に後ろに飛んで衝撃を流しながらそう思う。
(困ったなぁ…どうしよう…)
受け流した鷹臣はそのまま足の軸をずらし横へ避け横腹へ柄頭で突こうとした。
その鷹臣の腕を南戸も読み、木刀を鷹臣の腕を切っ先で上から突く。
怒りのままに叩きつけられた鷹臣の腕はボキリと折れ、木刀が地面に落ちる。
腕を折られた鷹臣は目を見張ったが、顔横に向けられた南戸の木刀に気付き、折れていない方の手で顔面に当たる寸前で止める。
「驚いたな…腕、折られちゃったよ」
(こ、こいつ…ッ!痛覚あんのか!?)
鷹臣は腕を折られたというのに痛みなど感じさせないほど冷静だった。
力を入れてギリギリと押しているはずの木刀を腕一本で掴んで止めているのも驚きだが、本来骨が折れればその痛みで次にくる攻撃に気付かない。
気付いたとしてもこうして受け止めることはできないはずなのだ。
それを…鷹臣は折れていない手で木刀を掴んで南戸の木刀を止め、折れた腕を見下ろしていた。
南戸はそれを見て異常だと思った。
そもそも痛みを我慢しているならまだしも、鷹臣の整った顔に一度として痛みを感じたような様子は見受けられなかった。
『おお、すごい、本当に折れてる』、と折れてだらんとさせている腕をブラブラと揺らせ愉快そうに見る鷹臣に南戸はぞっとさせ距離を置く。
離れた南戸など見向きもせず、鷹臣は落ちている己の木刀を手に取り『こんな怪我したのいつぶりだろう』と零した後、困ったように呟く。
「ああ、でも…こんな事兄さんに知られたら怒られちゃうかも…兄さん過保護だからなァ…最悪連れ戻されるかもなァ…まだおさきの花嫁姿見てないんだけど…」
独り言を言う鷹臣の言葉一つ、南戸には理解できなかった。
何の事を言っているのか、分からないのだ。
警戒をしていると鷹臣に『ねえ』と振り返られ、南戸はビクリと肩を揺れそうになった。
しかし剣を習い心をも鍛えた南戸は何とか木刀をグッと握る力を入れて持ち直す。
南戸の感情などよそに鷹臣は困ったような表情をそのままにコテンと小首を傾げて見せる。
「この事内緒にしてね…俺、兄さん達に怒られたくないから」
鷹臣の言葉に南戸は怪訝としながら頷く。
それは無意識だった。
反射的に頷いた南戸に鷹臣は安心したようににっこりと笑い、
「じゃあお礼にぱっと終わらせてあげよう」
そう告げた。
その言葉の意味を理解する前に南戸の視界に鷹臣は消え、同時に首裏に言葉にならないほどの痛みが走った。
その強すぎる痛みに南戸は気を失い、その場にうつ伏せに倒れた。
ドサリと声を出す暇なく気を失い倒れた南戸の傍には鷹臣がいた。
鷹臣は目にも止まらない速さで南戸の背後に回り、戦っている最中見つけた南戸の首の後ろにある皿を叩き割ったのだ。
その衝撃で南戸も気を失ってしまったが、死んでないのならまあOKだろう鷹臣は軽く考える。
しかし鷹臣が今、木刀を持っているその手は…―――
南戸に折られたはずの腕だった。
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