服を畳むのも終わり、雪と銀時は買い物に出かけていた。
勿論手と手は繋がっている。
サイフの中は潤っており、まとめ買いが出来そうで雪の機嫌もよし、そして雪が機嫌がいいから銀時も機嫌もよし…で周りから見ても二人は幸せそうにしていた。
「でもまさか通帳にあんなに入ってたなんて知りませんでしたよ…頑張ったんですね、銀さんも神楽ちゃんも」
家にある通帳を見たら相変わらず真っ白だった。
予想はしていたが雪は銀時に『あんたはブレないな』と零すと銀時が『雪、俺、頑張った』と何故か片言で仕事はしたと伝えた。
じゃあなんで落書き帳なんだ、と続けば銀時は銀行に行っていないからと答える。
万事屋の報酬は手渡し多い。
普段は雪か銀時が報酬を貰うのだが、雪がいる場合銀時ではパクって趣味に使うため主に雪が報酬を頂いていた。
雪は払う物払って銀行に行ってお金を通帳に入れていたが、銀時はそれすら億劫で家にお金を置いてた。
それを知って雪は速攻銀行にお金を持って向かった。
勿論今日使うお金は抜いてある。
意外に溜まっていたのが分かり、『やればできるじゃないですか!』と銀時と神楽がちゃんと働いていたのが見えて雪の機嫌がいいのだ。
しかし褒められて機嫌のいい銀時を見ながら『じゃあなんで普段やらないんだろう』という言葉は飲み込んだ。
銀時は拗ねると色々面倒臭いのだ。
とりあえず、2人はやれるのにやらないタイプだと知った雪は今後どう尻を叩ていて働かせるかを考える。
「まあ…ぼうっとしてるのもアレだったからな…俺も神楽も体動かしてた方が気が紛れてたんだよ」
しかし銀時の言葉に雪は考えるのを止める。
銀時を見れば真っすぐ前を向いていた。
それは普通なのだが、その目は遠く、その時を思い出しているようだった。
雪自身もあの時は一杯一杯で家事も仕事も何もかも普段のようにはいかなかった。
だからこそ普段と変わらないその横顔が切なく見え、雪は銀時の手を放す。
手を放す雪に銀時は雪へ目を向けたが、銀時のその目は不安そうに雪を見つめていた。
まるで親に見捨てられそうになる子の目をする銀時に雪は笑みを浮かべて安心させた後、手を繋ぐのではなく腕を組む。
それに銀時は微かに目を見張る。
ちょっぴり驚いた表情を浮かべる銀時に雪は照れ笑いを浮かべた。
その照れ笑いに銀時もホッとさせ安堵の笑みを浮かべる。
その一部始終を見ていた周りの知り合いは『銀さん…!良かったね!!』と感涙を流したとか。
買い物はやっぱり大荷物になった。
足りない物を買ったり、これからの貧乏生活を考え買い溜めできる物は多く買ったりとしていると大量になったのだ。
雪は自分の両手にいつも以上の買い物袋がぶら下がっており、さらに銀時の腕に自分以上の買い物袋がぶら下がっているのを見て銀時がついてきてくれてよかった、と思う。
それも自分は比較的軽く、銀時の方は重いのを持っているのに気づけば銀時への想いが深まるばかりだった。
しかしそれは普段もそうなのだが、やはり彼への想いが自覚しているのと無自覚のでは違うようだ。
2人とも両手が塞がっているので手も腕も組めないし繋げないのでそこは寂しいが、それでも銀時と二人でこうして並んで歩けるというだけでも雪は幸せだった。
昨日までは彼に会う事も出来なかったのだから余計に。
「あっ!旦那ー!お雪ちゃーん!」
今日の夕飯なに?、と銀時と今日の夕飯の話をしていると後ろから声をかけられ、雪と銀時は振り返る。
振り返るとそこには山崎がいた。
地味ーズ仲間である山崎に雪は嬉しそうに笑って荷物を持ちながら手を振った。
山崎も雪の姿に嬉しそうに駆け寄る。
「2人とも姐さんに許してもらったんだ!お雪ちゃん、よかったね!」
「ありがとうございます、山崎さん…真選組の人達にも迷惑をかけてしまってすみません…今度何かお礼をさせてください」
歌舞伎町の知り合い達を心配させてしまったのもあり、さらに真選組にも迷惑をかけてしまった。
局長、副長、隊長二人を巻き込んでしまったのだ。
彼等に謝れば、彼らは『自分たちが勝手にした事だ』と言ってくれた。
でもやはり迷惑をかけたのだからと改めて何かお礼をしようと頭を下げる雪に山崎はあわあわと手を振って雪の頭を上げさせる。
その横には黙り込む銀時がいた。
「お礼なんていいよ!姐さんがお雪ちゃんの事溺愛してるの分かってたし!!それにしてもお雪ちゃんと旦那が認められてよかった!!―――あ、…あー…でも、ちょっとお願いがあるかも…」
「お願い?」
山崎は慌てるも思い出したような声を零し、雪は首を傾げる。
『お願い』に首を傾げる雪に山崎は『そう、お願い』と言って頷きある封筒を取り出す。
「これ、届けようとして万事屋に向かってたんだよ」
「これは?」
「結婚式の招待状」
「結婚式?」
「うん」
「誰の?」
「局長の」
「…………山崎さん…いくらストーカーの狂言とはいえ…これはちょっとやりすぎでは…」
手荷物を下ろして雪はその差し出された封筒を受け取った。
白いその封筒には手渡し前提だったからか、封がしていなかった。
開けて見て見ればそこには結婚の招待状が三枚入っていた。
しかも山崎曰くその結婚式の主役は…近藤だという。
雪は近藤の相手をすぐ姉と思い、相変わらずストーカー行為をしている近藤に対して、そしてそれを止めず式場も用意する真選組に冷たい目を向ける。
恩人だろうがなんだろうがこれとそれとは別である。
そんな絶対零度な目線に山崎は誤解だと首を思いっきり振った。
「ち、違うって!!これは本物の招待状!……実は局長、ちょっと前にゴリラと見合いしてね…その見合い相手のゴリラに見初められちゃって…で、結婚することに…」
「どう転んだらゴリラと見合いして結婚に至るんですか」
「いや、相手はゴリラなんだけど、ゴリラじゃないんだよ…なんでも相手のゴリラは地球と折り合いの悪い猩猩星の王女らしくてさ…まあいわば政略結婚なんだよね…」
「え!?…そ、そんな……そんなの…じゃあ……―――やっと姉上への陰湿なストーカーがなくなるんですね!!」
「ちょっ、お雪ちゃん!?なに嬉しそうにしてるの!?なんでそこで喜ぶの!?違うよ!?そこは同情すべき場所だよね!?」
「あ、じゃあついでに鷹臣さんもそこの星に婿入りしちゃえばいいんじゃないかな?兄弟そろって向こうに婿入りすれば両者の星はもっと仲も深まるだろうし!」
「やめてください、ほんとうにやめてください…今でも鷹臣さんマジギレしてて暴走気味なのに自分もゴリラと結婚させられるってなったら地球滅ぶんで、本当にやめてください」
近藤の結婚相手は人間ではなくゴリラらしい。
招待状を見れば確かに近藤とその王女の名前が書かれていた。
雪は山崎の言葉に目を見張った…ように見えながらもやっと姉のストーカーが消えてくれると大喜びしていた。
しかもついでに自分のストーカーをも消そうとし、そんな雪に山崎は腰を90度折り頭を下げて懇願した。
確かにこの姉妹には今回の事をチャラにしても余り過ぎるほどの迷惑をかけているのだが…今回は冗談抜きにこっちも必死なのだ。
近藤がどんな醜女を妻に選ぼが真選組は歓迎しよう。
本当なら見た目もいい方がいいが、それでもゴリラよりはマシだ。
だから山崎は必死だった。
「旦那!お雪ちゃん!!お願いだ!!局長の結婚式をどうにか阻止してほしい!!」
人目があろうとゴリラを姐と呼ぶのと比べれば痛くもかゆくもない。
山崎は頭を下げ、そんな山崎に雪は困ったように銀時を見た。
銀時は相変わらず死んだ魚の目をして山崎を見下ろしており肩をすくめてみせる。
「んなこと言ったって俺らが暴れてもしょうがねえと思うけどな?」
「いやいや!旦那が暴れるからいいんですって!!だって俺達真選組が暴れたら国際問題になるし、片栗虎のおやっさんが目を光らせてるから真選組は派手に動けないんだ!!もう旦那達に頼むことしかできないんですよ!!」
深々と頭を下げる山崎に周りはジロジロと見る。
それもそうだろう、山崎の服は真選組の制服なのだ。
警察が民間人に頭を下げるのを見て驚かない人はいない。
「頼むんならあいつに頼めばいいだろ…あいつも流石に今回は邪険にはしねえと思うけどな…今回一番迷惑かけたのあいつだし」
「姐さんにはすでに断られてまして…」
まだ銀時と神楽が動き出す前に一度妙に懇願したらしいが、断られたらしい。
銀時は溜息をつき、雪に『行くぞ』と言って歩き出してしまった。
雪はそんな銀時に驚き『ぎ、銀さん!?』と声を掛けるも銀時は知らぬ存ぜぬを突き通し立ち止まることなく歩き続ける。
置いていかれた雪は山崎に謝り慌てて荷物を持ち直して銀時を追いかける。
置いて行かれた山崎は分かっていたが、肩を落とした。
勿論手と手は繋がっている。
サイフの中は潤っており、まとめ買いが出来そうで雪の機嫌もよし、そして雪が機嫌がいいから銀時も機嫌もよし…で周りから見ても二人は幸せそうにしていた。
「でもまさか通帳にあんなに入ってたなんて知りませんでしたよ…頑張ったんですね、銀さんも神楽ちゃんも」
家にある通帳を見たら相変わらず真っ白だった。
予想はしていたが雪は銀時に『あんたはブレないな』と零すと銀時が『雪、俺、頑張った』と何故か片言で仕事はしたと伝えた。
じゃあなんで落書き帳なんだ、と続けば銀時は銀行に行っていないからと答える。
万事屋の報酬は手渡し多い。
普段は雪か銀時が報酬を貰うのだが、雪がいる場合銀時ではパクって趣味に使うため主に雪が報酬を頂いていた。
雪は払う物払って銀行に行ってお金を通帳に入れていたが、銀時はそれすら億劫で家にお金を置いてた。
それを知って雪は速攻銀行にお金を持って向かった。
勿論今日使うお金は抜いてある。
意外に溜まっていたのが分かり、『やればできるじゃないですか!』と銀時と神楽がちゃんと働いていたのが見えて雪の機嫌がいいのだ。
しかし褒められて機嫌のいい銀時を見ながら『じゃあなんで普段やらないんだろう』という言葉は飲み込んだ。
銀時は拗ねると色々面倒臭いのだ。
とりあえず、2人はやれるのにやらないタイプだと知った雪は今後どう尻を叩ていて働かせるかを考える。
「まあ…ぼうっとしてるのもアレだったからな…俺も神楽も体動かしてた方が気が紛れてたんだよ」
しかし銀時の言葉に雪は考えるのを止める。
銀時を見れば真っすぐ前を向いていた。
それは普通なのだが、その目は遠く、その時を思い出しているようだった。
雪自身もあの時は一杯一杯で家事も仕事も何もかも普段のようにはいかなかった。
だからこそ普段と変わらないその横顔が切なく見え、雪は銀時の手を放す。
手を放す雪に銀時は雪へ目を向けたが、銀時のその目は不安そうに雪を見つめていた。
まるで親に見捨てられそうになる子の目をする銀時に雪は笑みを浮かべて安心させた後、手を繋ぐのではなく腕を組む。
それに銀時は微かに目を見張る。
ちょっぴり驚いた表情を浮かべる銀時に雪は照れ笑いを浮かべた。
その照れ笑いに銀時もホッとさせ安堵の笑みを浮かべる。
その一部始終を見ていた周りの知り合いは『銀さん…!良かったね!!』と感涙を流したとか。
買い物はやっぱり大荷物になった。
足りない物を買ったり、これからの貧乏生活を考え買い溜めできる物は多く買ったりとしていると大量になったのだ。
雪は自分の両手にいつも以上の買い物袋がぶら下がっており、さらに銀時の腕に自分以上の買い物袋がぶら下がっているのを見て銀時がついてきてくれてよかった、と思う。
それも自分は比較的軽く、銀時の方は重いのを持っているのに気づけば銀時への想いが深まるばかりだった。
しかしそれは普段もそうなのだが、やはり彼への想いが自覚しているのと無自覚のでは違うようだ。
2人とも両手が塞がっているので手も腕も組めないし繋げないのでそこは寂しいが、それでも銀時と二人でこうして並んで歩けるというだけでも雪は幸せだった。
昨日までは彼に会う事も出来なかったのだから余計に。
「あっ!旦那ー!お雪ちゃーん!」
今日の夕飯なに?、と銀時と今日の夕飯の話をしていると後ろから声をかけられ、雪と銀時は振り返る。
振り返るとそこには山崎がいた。
地味ーズ仲間である山崎に雪は嬉しそうに笑って荷物を持ちながら手を振った。
山崎も雪の姿に嬉しそうに駆け寄る。
「2人とも姐さんに許してもらったんだ!お雪ちゃん、よかったね!」
「ありがとうございます、山崎さん…真選組の人達にも迷惑をかけてしまってすみません…今度何かお礼をさせてください」
歌舞伎町の知り合い達を心配させてしまったのもあり、さらに真選組にも迷惑をかけてしまった。
局長、副長、隊長二人を巻き込んでしまったのだ。
彼等に謝れば、彼らは『自分たちが勝手にした事だ』と言ってくれた。
でもやはり迷惑をかけたのだからと改めて何かお礼をしようと頭を下げる雪に山崎はあわあわと手を振って雪の頭を上げさせる。
その横には黙り込む銀時がいた。
「お礼なんていいよ!姐さんがお雪ちゃんの事溺愛してるの分かってたし!!それにしてもお雪ちゃんと旦那が認められてよかった!!―――あ、…あー…でも、ちょっとお願いがあるかも…」
「お願い?」
山崎は慌てるも思い出したような声を零し、雪は首を傾げる。
『お願い』に首を傾げる雪に山崎は『そう、お願い』と言って頷きある封筒を取り出す。
「これ、届けようとして万事屋に向かってたんだよ」
「これは?」
「結婚式の招待状」
「結婚式?」
「うん」
「誰の?」
「局長の」
「…………山崎さん…いくらストーカーの狂言とはいえ…これはちょっとやりすぎでは…」
手荷物を下ろして雪はその差し出された封筒を受け取った。
白いその封筒には手渡し前提だったからか、封がしていなかった。
開けて見て見ればそこには結婚の招待状が三枚入っていた。
しかも山崎曰くその結婚式の主役は…近藤だという。
雪は近藤の相手をすぐ姉と思い、相変わらずストーカー行為をしている近藤に対して、そしてそれを止めず式場も用意する真選組に冷たい目を向ける。
恩人だろうがなんだろうがこれとそれとは別である。
そんな絶対零度な目線に山崎は誤解だと首を思いっきり振った。
「ち、違うって!!これは本物の招待状!……実は局長、ちょっと前にゴリラと見合いしてね…その見合い相手のゴリラに見初められちゃって…で、結婚することに…」
「どう転んだらゴリラと見合いして結婚に至るんですか」
「いや、相手はゴリラなんだけど、ゴリラじゃないんだよ…なんでも相手のゴリラは地球と折り合いの悪い猩猩星の王女らしくてさ…まあいわば政略結婚なんだよね…」
「え!?…そ、そんな……そんなの…じゃあ……―――やっと姉上への陰湿なストーカーがなくなるんですね!!」
「ちょっ、お雪ちゃん!?なに嬉しそうにしてるの!?なんでそこで喜ぶの!?違うよ!?そこは同情すべき場所だよね!?」
「あ、じゃあついでに鷹臣さんもそこの星に婿入りしちゃえばいいんじゃないかな?兄弟そろって向こうに婿入りすれば両者の星はもっと仲も深まるだろうし!」
「やめてください、ほんとうにやめてください…今でも鷹臣さんマジギレしてて暴走気味なのに自分もゴリラと結婚させられるってなったら地球滅ぶんで、本当にやめてください」
近藤の結婚相手は人間ではなくゴリラらしい。
招待状を見れば確かに近藤とその王女の名前が書かれていた。
雪は山崎の言葉に目を見張った…ように見えながらもやっと姉のストーカーが消えてくれると大喜びしていた。
しかもついでに自分のストーカーをも消そうとし、そんな雪に山崎は腰を90度折り頭を下げて懇願した。
確かにこの姉妹には今回の事をチャラにしても余り過ぎるほどの迷惑をかけているのだが…今回は冗談抜きにこっちも必死なのだ。
近藤がどんな醜女を妻に選ぼが真選組は歓迎しよう。
本当なら見た目もいい方がいいが、それでもゴリラよりはマシだ。
だから山崎は必死だった。
「旦那!お雪ちゃん!!お願いだ!!局長の結婚式をどうにか阻止してほしい!!」
人目があろうとゴリラを姐と呼ぶのと比べれば痛くもかゆくもない。
山崎は頭を下げ、そんな山崎に雪は困ったように銀時を見た。
銀時は相変わらず死んだ魚の目をして山崎を見下ろしており肩をすくめてみせる。
「んなこと言ったって俺らが暴れてもしょうがねえと思うけどな?」
「いやいや!旦那が暴れるからいいんですって!!だって俺達真選組が暴れたら国際問題になるし、片栗虎のおやっさんが目を光らせてるから真選組は派手に動けないんだ!!もう旦那達に頼むことしかできないんですよ!!」
深々と頭を下げる山崎に周りはジロジロと見る。
それもそうだろう、山崎の服は真選組の制服なのだ。
警察が民間人に頭を下げるのを見て驚かない人はいない。
「頼むんならあいつに頼めばいいだろ…あいつも流石に今回は邪険にはしねえと思うけどな…今回一番迷惑かけたのあいつだし」
「姐さんにはすでに断られてまして…」
まだ銀時と神楽が動き出す前に一度妙に懇願したらしいが、断られたらしい。
銀時は溜息をつき、雪に『行くぞ』と言って歩き出してしまった。
雪はそんな銀時に驚き『ぎ、銀さん!?』と声を掛けるも銀時は知らぬ存ぜぬを突き通し立ち止まることなく歩き続ける。
置いていかれた雪は山崎に謝り慌てて荷物を持ち直して銀時を追いかける。
置いて行かれた山崎は分かっていたが、肩を落とした。
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