近藤は土方と銀時が回収し、雪が敷いた布団に寝かせた。
気を失っているだけで、容態は隊の人達と同じく貧血。
うなされる姿もまったく同じだった。
「これはあれだ、昔泣かした女の幻覚でも見たんだろ」
「近藤さんは女に泣かされても泣かしたことはねえ」
「じゃああれだ…おめえが泣かした女が嫌がらせしに来てんだ」
「そんな質の悪い女を相手にした覚えはねえ」
「そんじゃああれだ、こいつの弟が泣かした女の怨念だろ」
「鷹臣のストーカーは鷹臣しか見てねえから近藤さんを恨む理由はねえし、鷹臣がそれを許すはずがねえ」
「へー…じゃあ、何?」
「そんなん知るか!!」
うなされる近藤をみんなで囲みながら銀時は思い当たりそうな事を上げ始める。
最優候補は土方か鷹臣だが、どっちもバッサリ切られてしまう。
うなされる近藤に止めをさそうとしてヘッドロックを掛けている沖田を見ながら銀時は適当に投げやり気味に問いかけた。
返ってきたのは怒りの声だったが、土方はすぐに気を取り直しため息1つ零す。
「ただこの屋敷に得体の知れねえモンがいるのは確かだ。」
「やっぱり幽霊ですか?」
「あ?俺ァな、幽霊なんて非科学的なモンは信じねえ…ムー大陸はあると信じてるがな。」
そう土方が呟けば、やはり思いつくのは噂になっていた幽霊の女。
雪が幽霊だろうかと銀時に問いかければ銀時は鼻をほじりながら『信じねえ』の一点張りだった。
鼻をほじっていた手を神楽の頭に乗せ撫でるように鼻くそを付けた後銀時は立ち上がり、つられたように神楽と雪も立ち上がる。
「アホらし…付き合いきれねえや……おめえら帰るぞ。」
「……………」
「……………」
ため息をつきながら銀時は帰ろうと立ち上がる。
そして雪と神楽も立ち上がる。
それはそうであろう。
何故なら、銀時が雪と神楽の手を繋いでいるのだから。
「あの…銀さん…何ですかこれ…」
手を繋がれたため銀時が立ち上がれば雪と神楽も立ち上がるしかなく、繋がった手を見つめながら雪が小さく問えば何故か『何だコラ』と逆に怒られてしまった。
「てめえらが怖いだろうと思って気ィ使ってやってんだろうが!」
「銀ちゃんの手汗ばんでて気持ち悪いアル。」
「は、はあ?何言って…」
「あ、赤い着物の女。」
帰るにしろ手を繋いで帰る理由が全くもって分からない。
銀時曰く手を繋いでいるのは雪と神楽が怖がるだろうかららしいが、雪と神楽は正直言って平気だった。
まあ確かに幽霊は怖いが、手を繋いで帰るほど雪と神楽は怯えてはいない。
神楽がポツリと呟けば焦ったように反論する銀時だったが、ふと沖田が不意打ちをかければ銀時は一瞬にして押入れの襖を突き抜け隠れようとした。
しかし突き抜けたため穴が開いてあり隠れきれていない。
「………何やってるんですか、銀さん」
「………いや…あの…ムー大陸の入り口が…」
「……………」
「……………」
「……………」
冷たい目で雪は銀時を見た。
尻しか見えないが、一直線に押入れの中に突っ込んだ銀時に雪は冷たい声で一応問いかける。
銀時は雪の問いにおずおずと顔を上げ、ポツリと言い訳を零すが、それでも雪と神楽の目は冷たくなる一方である。
「旦那…あんたもしかして幽霊が…」
「な、なんだよ…」
「土方さん、こいつァ…、」
座って見ていた沖田は隠れようとした銀時に視線を送った。
相変わらず変わらない無表情だが、何かを含んだ声色に銀時は言葉を詰まらせる。
沖田は土方に何かを言おうとするもそこにいたはずの土方はおらず、探してみると部屋の大きな壺の中に一生懸命入ろうとしていた。
「………土方さん、何をやってるですかィ」
「………いや…あの…マヨネーズ王国の入り口が…」
「……………」
「……………」
沖田も雪と神楽と同じ反応を見せた。
むしろ幽霊に怯えて隠れようとする大人たちに子供達は冷めた目で大人2人を見た。
そして三人同時に背を向け大人を置いてどこかへ帰ろとする。
「待て待て待て!!違う!!こいつはそうかもしれんが俺は違うぞっ!!」
「びびってんのはおめえだろ!!お、俺はただ胎内回帰願望があるだけだ!!」
「分かった分かった。ムー大陸でもマヨネーズ王国でもどこでも行けよクソが。」
「「なんだその蔑んだ目は!!」」
少年少女組は霊を信じていないからか、平気だからか、霊に怯える大の男に冷たく当たる。
神楽の言葉に流石に声を揃えて叫ぶ2人だったのだが、雪達が自分達の後ろを見て三人とも全員が目を丸くさせ驚いた表情を2人に見せる。
そんな3人に気づいた銀時と土方は怪訝な表情を浮かべた。
「何だ、おい…」
「フン、驚かそうったって無駄だぜ。同じ手はくうかよ。」
沖田までもが驚いた表情を浮かべており、銀時も土方も3人がまた驚かそうとしているのかと思った。
だからまた失態を犯さないように騙されるものかと思ったのだが…
「ッ―――キャアアアアアア!!!」
雪が悲鳴を上げながらその場から立ち去るように逃げ、同時に沖田と神楽も雪と共に逃げる。
それでも2人は手の込んだ嫌がらせだと思いつつも、3人が見て逃げ出した原因の背後へと振り返った。
そこには―――…銀時が逃げ出し少し空いた襖の間に上からぶら下がる赤い着物を着た女がこちらを見ていた。
「「こ、こんばんわ」」
銀時と土方は赤い着物の女に声を揃えてそう呟く。
一方、逃げ出した雪、神楽、沖田は当てもなく縁側を走っていた。
「み、み、み…っ見ちゃった!!ほんとにいた!!ほんとにいたよ!!」
「銀ちゃーーん!!」
「奴らの事は忘れろ!もう駄目だ!!」
雪は幽霊が本当にいたと叫びながら走り、その横で神楽は銀時の犠牲に泣いていた。
沖田は2人に無情にもそう呟くも、その瞬間後ろから何かが壊れる音が3人の耳に届く。
3人が振り返れば銀時と土方が障子を破りこちらに走ってきているのが見えた。
しかも…
「あっ!銀さん!!土方さん!!切り抜けてきたんだ……って待って!!しょってる!!女しょってるよオイ!!いやあああ!!こっち来るなあああ!!!」
2人の後ろの間に女がチラリと見えているのだから雪達は更に逃げるわけで…
自分達を見て雪が悲鳴を上げながら走る速さを速めた事に銀時と土方は声を上げた。
「おいイイ!!何で逃げんだお前らアアア!!」
「あれっ!?ちょっと待て!!おいなんか後ろ重くねえか!?」
「知らん!!俺は知らんッ!!」
「いーや!乗ってるって!!だって重いもんこれェ!!」
「うっせええな!!自分で確認すればいいだろうがァァ!!」
「お、お前!!ちょっとぐらい見てくれてもいいんじゃねえの!?」
「じゃあこうしよう!!せーので2人同時に振り向く!!」
「お前絶対見ろよ!?裏切るなよ!?絶対見ろよ!!?」
普段仲の悪い2人だが、こういうときだけは仲がいいのか…はたまた仲間だからか……言い合いの末、2人同時に振り向くことに決まった。
土方の提案に銀時はまるで『一緒に走ろうな!?絶対だからな!?』と学生のマラソンで友達と走る子供のような事を言った。
もう切羽詰まっていた。
2人は同時に滑るように立ち止まり、同時に振り返る。
そこには――…
「「こ、こんばんわ」」
赤い着物を着た女が真後ろに浮かんでいた。
2人の悲鳴が夏の夜空に響く。
気を失っているだけで、容態は隊の人達と同じく貧血。
うなされる姿もまったく同じだった。
「これはあれだ、昔泣かした女の幻覚でも見たんだろ」
「近藤さんは女に泣かされても泣かしたことはねえ」
「じゃああれだ…おめえが泣かした女が嫌がらせしに来てんだ」
「そんな質の悪い女を相手にした覚えはねえ」
「そんじゃああれだ、こいつの弟が泣かした女の怨念だろ」
「鷹臣のストーカーは鷹臣しか見てねえから近藤さんを恨む理由はねえし、鷹臣がそれを許すはずがねえ」
「へー…じゃあ、何?」
「そんなん知るか!!」
うなされる近藤をみんなで囲みながら銀時は思い当たりそうな事を上げ始める。
最優候補は土方か鷹臣だが、どっちもバッサリ切られてしまう。
うなされる近藤に止めをさそうとしてヘッドロックを掛けている沖田を見ながら銀時は適当に投げやり気味に問いかけた。
返ってきたのは怒りの声だったが、土方はすぐに気を取り直しため息1つ零す。
「ただこの屋敷に得体の知れねえモンがいるのは確かだ。」
「やっぱり幽霊ですか?」
「あ?俺ァな、幽霊なんて非科学的なモンは信じねえ…ムー大陸はあると信じてるがな。」
そう土方が呟けば、やはり思いつくのは噂になっていた幽霊の女。
雪が幽霊だろうかと銀時に問いかければ銀時は鼻をほじりながら『信じねえ』の一点張りだった。
鼻をほじっていた手を神楽の頭に乗せ撫でるように鼻くそを付けた後銀時は立ち上がり、つられたように神楽と雪も立ち上がる。
「アホらし…付き合いきれねえや……おめえら帰るぞ。」
「……………」
「……………」
ため息をつきながら銀時は帰ろうと立ち上がる。
そして雪と神楽も立ち上がる。
それはそうであろう。
何故なら、銀時が雪と神楽の手を繋いでいるのだから。
「あの…銀さん…何ですかこれ…」
手を繋がれたため銀時が立ち上がれば雪と神楽も立ち上がるしかなく、繋がった手を見つめながら雪が小さく問えば何故か『何だコラ』と逆に怒られてしまった。
「てめえらが怖いだろうと思って気ィ使ってやってんだろうが!」
「銀ちゃんの手汗ばんでて気持ち悪いアル。」
「は、はあ?何言って…」
「あ、赤い着物の女。」
帰るにしろ手を繋いで帰る理由が全くもって分からない。
銀時曰く手を繋いでいるのは雪と神楽が怖がるだろうかららしいが、雪と神楽は正直言って平気だった。
まあ確かに幽霊は怖いが、手を繋いで帰るほど雪と神楽は怯えてはいない。
神楽がポツリと呟けば焦ったように反論する銀時だったが、ふと沖田が不意打ちをかければ銀時は一瞬にして押入れの襖を突き抜け隠れようとした。
しかし突き抜けたため穴が開いてあり隠れきれていない。
「………何やってるんですか、銀さん」
「………いや…あの…ムー大陸の入り口が…」
「……………」
「……………」
「……………」
冷たい目で雪は銀時を見た。
尻しか見えないが、一直線に押入れの中に突っ込んだ銀時に雪は冷たい声で一応問いかける。
銀時は雪の問いにおずおずと顔を上げ、ポツリと言い訳を零すが、それでも雪と神楽の目は冷たくなる一方である。
「旦那…あんたもしかして幽霊が…」
「な、なんだよ…」
「土方さん、こいつァ…、」
座って見ていた沖田は隠れようとした銀時に視線を送った。
相変わらず変わらない無表情だが、何かを含んだ声色に銀時は言葉を詰まらせる。
沖田は土方に何かを言おうとするもそこにいたはずの土方はおらず、探してみると部屋の大きな壺の中に一生懸命入ろうとしていた。
「………土方さん、何をやってるですかィ」
「………いや…あの…マヨネーズ王国の入り口が…」
「……………」
「……………」
沖田も雪と神楽と同じ反応を見せた。
むしろ幽霊に怯えて隠れようとする大人たちに子供達は冷めた目で大人2人を見た。
そして三人同時に背を向け大人を置いてどこかへ帰ろとする。
「待て待て待て!!違う!!こいつはそうかもしれんが俺は違うぞっ!!」
「びびってんのはおめえだろ!!お、俺はただ胎内回帰願望があるだけだ!!」
「分かった分かった。ムー大陸でもマヨネーズ王国でもどこでも行けよクソが。」
「「なんだその蔑んだ目は!!」」
少年少女組は霊を信じていないからか、平気だからか、霊に怯える大の男に冷たく当たる。
神楽の言葉に流石に声を揃えて叫ぶ2人だったのだが、雪達が自分達の後ろを見て三人とも全員が目を丸くさせ驚いた表情を2人に見せる。
そんな3人に気づいた銀時と土方は怪訝な表情を浮かべた。
「何だ、おい…」
「フン、驚かそうったって無駄だぜ。同じ手はくうかよ。」
沖田までもが驚いた表情を浮かべており、銀時も土方も3人がまた驚かそうとしているのかと思った。
だからまた失態を犯さないように騙されるものかと思ったのだが…
「ッ―――キャアアアアアア!!!」
雪が悲鳴を上げながらその場から立ち去るように逃げ、同時に沖田と神楽も雪と共に逃げる。
それでも2人は手の込んだ嫌がらせだと思いつつも、3人が見て逃げ出した原因の背後へと振り返った。
そこには―――…銀時が逃げ出し少し空いた襖の間に上からぶら下がる赤い着物を着た女がこちらを見ていた。
「「こ、こんばんわ」」
銀時と土方は赤い着物の女に声を揃えてそう呟く。
一方、逃げ出した雪、神楽、沖田は当てもなく縁側を走っていた。
「み、み、み…っ見ちゃった!!ほんとにいた!!ほんとにいたよ!!」
「銀ちゃーーん!!」
「奴らの事は忘れろ!もう駄目だ!!」
雪は幽霊が本当にいたと叫びながら走り、その横で神楽は銀時の犠牲に泣いていた。
沖田は2人に無情にもそう呟くも、その瞬間後ろから何かが壊れる音が3人の耳に届く。
3人が振り返れば銀時と土方が障子を破りこちらに走ってきているのが見えた。
しかも…
「あっ!銀さん!!土方さん!!切り抜けてきたんだ……って待って!!しょってる!!女しょってるよオイ!!いやあああ!!こっち来るなあああ!!!」
2人の後ろの間に女がチラリと見えているのだから雪達は更に逃げるわけで…
自分達を見て雪が悲鳴を上げながら走る速さを速めた事に銀時と土方は声を上げた。
「おいイイ!!何で逃げんだお前らアアア!!」
「あれっ!?ちょっと待て!!おいなんか後ろ重くねえか!?」
「知らん!!俺は知らんッ!!」
「いーや!乗ってるって!!だって重いもんこれェ!!」
「うっせええな!!自分で確認すればいいだろうがァァ!!」
「お、お前!!ちょっとぐらい見てくれてもいいんじゃねえの!?」
「じゃあこうしよう!!せーので2人同時に振り向く!!」
「お前絶対見ろよ!?裏切るなよ!?絶対見ろよ!!?」
普段仲の悪い2人だが、こういうときだけは仲がいいのか…はたまた仲間だからか……言い合いの末、2人同時に振り向くことに決まった。
土方の提案に銀時はまるで『一緒に走ろうな!?絶対だからな!?』と学生のマラソンで友達と走る子供のような事を言った。
もう切羽詰まっていた。
2人は同時に滑るように立ち止まり、同時に振り返る。
そこには――…
「「こ、こんばんわ」」
赤い着物を着た女が真後ろに浮かんでいた。
2人の悲鳴が夏の夜空に響く。
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