銀時と土方の悲鳴が響く中、雪達は蔵の中に避難していた。
どうしてか人間追いつめられると密室に入りたがるらしい。
「やられた…今度こそやられた…」
「しめたぜ!これで副長の座は俺のもんだィ!」
「言ってる場合かァ!!」
蔵に逃げた雪のところにまで銀時と土方の悲鳴が届いていた。
大の男が悲鳴を上げるなと思う者はここにはいない。
侍だって怖いものは怖いのだ。
頭を抱える雪を挟み神楽と沖田は雪の隣に座る。
銀時達がやられた(と思われる)という事は次は自分達の番なのだ。
頭抱えずして何を抱えればいいのだろうか。
今雪は早く朝になれと願うばかりだったが、土方が犠牲になったため沖田の黒い発言も突っ込むのを忘れない。
沖田は雪の突っ込みなどよそに灯りを求めて周りを物色する。
するとロウソクはなかったが、蚊取り線香があり、沖田はその蚊取り線香に火をつけた。
蚊取り線香の匂いが蔵の中に広がっていく。
「何なのあれ…なんであんなんいるわけ!?」
「雪ー銀ちゃん死んじゃったアルか?ねえ死んじゃったアルか?」
幽霊なんてテレビでしかない娯楽の存在だと思っていた。
それが目の前にはっきりと肉眼でも見れた上に自分たちを襲ってくる霊に雪は怯えていた。
その横で神楽は銀時が死んだのかと心配そうに雪に聞く。
その中で少しずつ焼かれていく蚊取り線香の先をジッと見つめる沖田がポツリと呟いた。
「実は前に土方さんを亡き者にするため外法で妖魔を呼び出そうとしたことがあったんでィ……ありゃあもしかしたらそん時の…」
「あんたどれだけ腹の中まっ黒なんですか!!?」
「元凶はお前アルか!!おのれ銀ちゃんの仇ィィ!!」
「あー!もう!!狭いのにやめてよ!!なんであんた達会うといっつも…、」
沖田の呟きに雪はここ一番に突っ込んだ。
沖田のいう事が本当かは知らないし、本当に妖魔を呼び出せたかは知らないし、土方に何の恨みがあるかも知らないが妖魔を呼び出すのは少し…いや、物凄くやりすぎである。
むしろそこまで憎くてよくここまで一緒にいられたな、と雪は沖田を褒めてやりたい。
銀時の仇を見つけた神楽がキッと沖田を睨んでつかみかかり、それに沖田も応戦する。
自分の背後で喧嘩が始まり雪は叱るように声を上げたのだが、ふと気配を感じた雪は蔵の扉へと視線を向けた。
そこには―――赤い着物を着た女がこちらをジッと見つめていたのだ。
「キ、キャアアアアア!!!」
一瞬時が止まったが雪は悲鳴を上げる。
もう何度悲鳴を上げたか分からないが、恐怖に悲鳴を上げた。
雪の悲鳴に喧嘩していた沖田と神楽が動きを止め、不思議そうな目で雪を見た。
雪は『で、出たーー!!』と叫びながら膝を立てて後ろに下がり、神楽と沖田の間に戻る。
「す、すすすんません!!とりあえずすんません!!!マジすんません!!!」
悲鳴を上げて自分達の間に入ってきたかと思えば雪は突然頭を下げ土下座をしはじめる。
ここには三人しかいないはずなのに何かに謝る雪に沖田と神楽はやはり不思議そうな目で見つめていた。
謝っていた雪は起き上がりポカーンとさせる沖田と神楽を睨む。
「てめえらも謝れ馬鹿野郎ォ!!」
そして普段でない力で神楽と沖田の髪を掴み一緒に土下座をし始めた。
「人間心から頭を下げればどんな奴にも心通じんだよ馬鹿野郎!!――あの!本当!!靴の裏も舐めますんで!勘弁してよマジでエエ!!」
雪は土下座をしているつもりなのだが…どう見ても沖田と神楽の頭を地面に叩き付けているにしか見えない。
2人は何故か抵抗なく雪にされるがままで、そんな2人に疑問に思うよりも雪はまず目の前の幽霊に謝って謝り倒して帰ってもらおうとしていた。
それで帰ってくれるかは不明だがとにかく人生謝るのも大事だと頭を下げ続ける。
『私なんて食べても美味しくないよ!!私なんて食べても美味しくないよ!!』、と何度も呟きながら頭を下げていた雪だったが、静まり返っているのに気付き恐る恐る顔を上げる。
「え…?」
顔を上げれば本当は幽霊の女が恨めしそうにこちらを見下ろしているはずだった。
本当なら今頃銀時達のように闇に葬り去られていたはずだった。
しかし…そこには誰もいなかった。
そう、そこには雪以外意識のあるものは誰も、いなかった。
雪の両側で夜兎族娘と問題児が気を失って倒れていた。
雪はあの後蔵から出て隊の人達が眠ってる部屋へと急いだ。
いつの間にかいなくなっていた幽霊を気にしつつ急いで向かい倒れた人達を見ていく。
その人達は全員ある生き物に噛まれたような痕があり、雪はこれで確信が持てた。
そして雪は頼りになるであろう銀時と土方を探し、協力してもらおうとした。
逃げた道を戻っていると、丁度池がある場所で銀時を見つけ、雪が駆けよればそこには銀時のほかに土方と…赤い着物の女が倒れていた。
「銀さん!大丈夫ですか!?」
「あ?ああ、一応な…おめえさ、おめえらさ、なんで逃げたよ…なんで銀さん置いて逃げたんだよ…」
「ご、ごめんなさい…私もちょっと流石に怖くて…」
「あのな、怖いのはみんな一緒なんだよ。いや、銀さんは別に怖くなかったけどね?別に平気だったけど?ほら、こいつがさ怖がってるみたいだから一緒になって怖がってやればこいつの恐怖も半減するかなって思って?だから俺は別に怖がってなかったからね?」
「はあ!?何言ってだ!!どう見てもてめえが怖がってたんだろ!!雪!俺じゃねえからな!!俺は怖がってねえからな!!こいつだけ情けない姿見せるのが可哀想かと思って合わせてやったまでだから!!俺じゃねえからな!!」
「あーはいはい分かりました分かりました。」
雪が駆け寄ってくるのが見て銀時はあからさまにホッとさせた。
しかし自分を置いて逃げようとしたのを思い出し、駆け寄ってきた雪の肩に手を置き『こらっ』と軽く叱る。
確かに置いて行ってしまったのは申し訳なく思う雪だが、銀時と土方の後ろに幽霊がいれば誰だって逃げ出すだろう。
ここ最近周辺がその幽霊以上の恐怖を仰ぐ連中ばかりなのは置いといて。
どうしてか自分に『怖くないから!』と言いだす2人に適当に頷き、雪は気を失っている幽霊の元へ向かう。
『お、おい雪…』と2人の戸惑いの声など無視して雪はその幽霊の口元へ手をかざした。
手には微かな空気が触れる。
「やっぱり…この幽霊…っていうかこの人、生きてます」
「「はあ!?生きてる!?」」
雪の言葉に2人は目を丸くさせた。
雪は隊の人達を見て確信を持ったのだ。
幽霊は実は幽霊ではなく実体があるのだと。
しかも人間ではなく、天人である、と。
雪は驚く2人に『はい』と頷いてつづけた。
「多分…ですが……この人、蚊みたいな天人じゃないですか?」
「かァ!?蚊って…あの蚊か?」
「はい」
「もしもその蚊の天人だとしても…どうしてこんなところで騒動起こす真似すんわけだ?一応こいつら警察だから捕まえてくださいって言ってるようなもんだろ」
銀時の問いに雪は困ったように笑い『それは本人ではないと分かりません』と答えるしかなかった。
雪はただ幽霊の正体を知っただけでその内情までは知らないのだから当たり前だった。
幽霊じゃないと分かった2人は表には出さず内心安堵どころではないだろう。
土方は落ち着き始めたのか銀時の失礼な言い方にムッとさせながら『一応は余計だ』と静かに突っ込んだ。
雪はいつもの彼らに戻り目を細めて笑う。
何だかんだ馬鹿にし合いながらも雪から見て彼らはとてもよく似ている。
だからこうして張り合うのかもしれない。
「さて、と…この人どうしましょう…」
「そりゃぁ…」
「お前、アレだろ?」
「あれ?」
しゃがんでいたが雪は立ち上がり2人に問う。
土方はここの副長だし、一番被害を被ったのは何よりこの2人なのだ。
いい大人が子供達の前で幽霊が怖いとバラしてしまったのだから。
雪の問いに土方と銀時はチラリとお互いを横目で見る。
しかし長い間目線を合わすのは彼らにとって苦行に等しいのかすぐに視線を外し、真っ直ぐ雪の傍に横たわって気を失っている天人の女を見下ろし、そして…
「「吊るす。」」
そう声を揃え言い切った。
雪は声が揃った銀時と土方に思わず吹き出してしまう。
どうしてか人間追いつめられると密室に入りたがるらしい。
「やられた…今度こそやられた…」
「しめたぜ!これで副長の座は俺のもんだィ!」
「言ってる場合かァ!!」
蔵に逃げた雪のところにまで銀時と土方の悲鳴が届いていた。
大の男が悲鳴を上げるなと思う者はここにはいない。
侍だって怖いものは怖いのだ。
頭を抱える雪を挟み神楽と沖田は雪の隣に座る。
銀時達がやられた(と思われる)という事は次は自分達の番なのだ。
頭抱えずして何を抱えればいいのだろうか。
今雪は早く朝になれと願うばかりだったが、土方が犠牲になったため沖田の黒い発言も突っ込むのを忘れない。
沖田は雪の突っ込みなどよそに灯りを求めて周りを物色する。
するとロウソクはなかったが、蚊取り線香があり、沖田はその蚊取り線香に火をつけた。
蚊取り線香の匂いが蔵の中に広がっていく。
「何なのあれ…なんであんなんいるわけ!?」
「雪ー銀ちゃん死んじゃったアルか?ねえ死んじゃったアルか?」
幽霊なんてテレビでしかない娯楽の存在だと思っていた。
それが目の前にはっきりと肉眼でも見れた上に自分たちを襲ってくる霊に雪は怯えていた。
その横で神楽は銀時が死んだのかと心配そうに雪に聞く。
その中で少しずつ焼かれていく蚊取り線香の先をジッと見つめる沖田がポツリと呟いた。
「実は前に土方さんを亡き者にするため外法で妖魔を呼び出そうとしたことがあったんでィ……ありゃあもしかしたらそん時の…」
「あんたどれだけ腹の中まっ黒なんですか!!?」
「元凶はお前アルか!!おのれ銀ちゃんの仇ィィ!!」
「あー!もう!!狭いのにやめてよ!!なんであんた達会うといっつも…、」
沖田の呟きに雪はここ一番に突っ込んだ。
沖田のいう事が本当かは知らないし、本当に妖魔を呼び出せたかは知らないし、土方に何の恨みがあるかも知らないが妖魔を呼び出すのは少し…いや、物凄くやりすぎである。
むしろそこまで憎くてよくここまで一緒にいられたな、と雪は沖田を褒めてやりたい。
銀時の仇を見つけた神楽がキッと沖田を睨んでつかみかかり、それに沖田も応戦する。
自分の背後で喧嘩が始まり雪は叱るように声を上げたのだが、ふと気配を感じた雪は蔵の扉へと視線を向けた。
そこには―――赤い着物を着た女がこちらをジッと見つめていたのだ。
「キ、キャアアアアア!!!」
一瞬時が止まったが雪は悲鳴を上げる。
もう何度悲鳴を上げたか分からないが、恐怖に悲鳴を上げた。
雪の悲鳴に喧嘩していた沖田と神楽が動きを止め、不思議そうな目で雪を見た。
雪は『で、出たーー!!』と叫びながら膝を立てて後ろに下がり、神楽と沖田の間に戻る。
「す、すすすんません!!とりあえずすんません!!!マジすんません!!!」
悲鳴を上げて自分達の間に入ってきたかと思えば雪は突然頭を下げ土下座をしはじめる。
ここには三人しかいないはずなのに何かに謝る雪に沖田と神楽はやはり不思議そうな目で見つめていた。
謝っていた雪は起き上がりポカーンとさせる沖田と神楽を睨む。
「てめえらも謝れ馬鹿野郎ォ!!」
そして普段でない力で神楽と沖田の髪を掴み一緒に土下座をし始めた。
「人間心から頭を下げればどんな奴にも心通じんだよ馬鹿野郎!!――あの!本当!!靴の裏も舐めますんで!勘弁してよマジでエエ!!」
雪は土下座をしているつもりなのだが…どう見ても沖田と神楽の頭を地面に叩き付けているにしか見えない。
2人は何故か抵抗なく雪にされるがままで、そんな2人に疑問に思うよりも雪はまず目の前の幽霊に謝って謝り倒して帰ってもらおうとしていた。
それで帰ってくれるかは不明だがとにかく人生謝るのも大事だと頭を下げ続ける。
『私なんて食べても美味しくないよ!!私なんて食べても美味しくないよ!!』、と何度も呟きながら頭を下げていた雪だったが、静まり返っているのに気付き恐る恐る顔を上げる。
「え…?」
顔を上げれば本当は幽霊の女が恨めしそうにこちらを見下ろしているはずだった。
本当なら今頃銀時達のように闇に葬り去られていたはずだった。
しかし…そこには誰もいなかった。
そう、そこには雪以外意識のあるものは誰も、いなかった。
雪の両側で夜兎族娘と問題児が気を失って倒れていた。
雪はあの後蔵から出て隊の人達が眠ってる部屋へと急いだ。
いつの間にかいなくなっていた幽霊を気にしつつ急いで向かい倒れた人達を見ていく。
その人達は全員ある生き物に噛まれたような痕があり、雪はこれで確信が持てた。
そして雪は頼りになるであろう銀時と土方を探し、協力してもらおうとした。
逃げた道を戻っていると、丁度池がある場所で銀時を見つけ、雪が駆けよればそこには銀時のほかに土方と…赤い着物の女が倒れていた。
「銀さん!大丈夫ですか!?」
「あ?ああ、一応な…おめえさ、おめえらさ、なんで逃げたよ…なんで銀さん置いて逃げたんだよ…」
「ご、ごめんなさい…私もちょっと流石に怖くて…」
「あのな、怖いのはみんな一緒なんだよ。いや、銀さんは別に怖くなかったけどね?別に平気だったけど?ほら、こいつがさ怖がってるみたいだから一緒になって怖がってやればこいつの恐怖も半減するかなって思って?だから俺は別に怖がってなかったからね?」
「はあ!?何言ってだ!!どう見てもてめえが怖がってたんだろ!!雪!俺じゃねえからな!!俺は怖がってねえからな!!こいつだけ情けない姿見せるのが可哀想かと思って合わせてやったまでだから!!俺じゃねえからな!!」
「あーはいはい分かりました分かりました。」
雪が駆け寄ってくるのが見て銀時はあからさまにホッとさせた。
しかし自分を置いて逃げようとしたのを思い出し、駆け寄ってきた雪の肩に手を置き『こらっ』と軽く叱る。
確かに置いて行ってしまったのは申し訳なく思う雪だが、銀時と土方の後ろに幽霊がいれば誰だって逃げ出すだろう。
ここ最近周辺がその幽霊以上の恐怖を仰ぐ連中ばかりなのは置いといて。
どうしてか自分に『怖くないから!』と言いだす2人に適当に頷き、雪は気を失っている幽霊の元へ向かう。
『お、おい雪…』と2人の戸惑いの声など無視して雪はその幽霊の口元へ手をかざした。
手には微かな空気が触れる。
「やっぱり…この幽霊…っていうかこの人、生きてます」
「「はあ!?生きてる!?」」
雪の言葉に2人は目を丸くさせた。
雪は隊の人達を見て確信を持ったのだ。
幽霊は実は幽霊ではなく実体があるのだと。
しかも人間ではなく、天人である、と。
雪は驚く2人に『はい』と頷いてつづけた。
「多分…ですが……この人、蚊みたいな天人じゃないですか?」
「かァ!?蚊って…あの蚊か?」
「はい」
「もしもその蚊の天人だとしても…どうしてこんなところで騒動起こす真似すんわけだ?一応こいつら警察だから捕まえてくださいって言ってるようなもんだろ」
銀時の問いに雪は困ったように笑い『それは本人ではないと分かりません』と答えるしかなかった。
雪はただ幽霊の正体を知っただけでその内情までは知らないのだから当たり前だった。
幽霊じゃないと分かった2人は表には出さず内心安堵どころではないだろう。
土方は落ち着き始めたのか銀時の失礼な言い方にムッとさせながら『一応は余計だ』と静かに突っ込んだ。
雪はいつもの彼らに戻り目を細めて笑う。
何だかんだ馬鹿にし合いながらも雪から見て彼らはとてもよく似ている。
だからこうして張り合うのかもしれない。
「さて、と…この人どうしましょう…」
「そりゃぁ…」
「お前、アレだろ?」
「あれ?」
しゃがんでいたが雪は立ち上がり2人に問う。
土方はここの副長だし、一番被害を被ったのは何よりこの2人なのだ。
いい大人が子供達の前で幽霊が怖いとバラしてしまったのだから。
雪の問いに土方と銀時はチラリとお互いを横目で見る。
しかし長い間目線を合わすのは彼らにとって苦行に等しいのかすぐに視線を外し、真っ直ぐ雪の傍に横たわって気を失っている天人の女を見下ろし、そして…
「「吊るす。」」
そう声を揃え言い切った。
雪は声が揃った銀時と土方に思わず吹き出してしまう。
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