すでに日も傾きはじめ、近くのスーパーへと2人は向かった。
中に入れば冷房の冷たい風が雪と銀時を歓迎してくれ、銀時が『俺ずっとここにいるわ』と冗談を言えば雪は『何馬鹿なこと言ってるですか』と笑う。
まだ2人の距離が微妙だが、雪が少しだけ警戒を解いてくれたことに嬉しく思いながらも銀時はカートを牽き、雪はカゴをカートに乗せる。
『今日は何しましょう』と雪が銀時に問えば銀時からは『ケーキ』と返され雪は『やっぱカレーにしましょうかね』と無視しながらカレーの材料をカゴに入れていく。
無視された銀時は『………カレーにチョコ入れて』と小さく呟けば雪は苦笑いを浮かべ『はいはい』とチョコをカゴに入れてくれた。
それから他の食材を入れ、雪と銀時は会計を済ませ買った物を袋に入れていく。
「結構重くなりましたね…」
じゃがいもやらニンジンやらその他にも重たい物を買ったからか、三つになった荷物の内二つを持ちながら雪はそう零す。
そんな雪に銀時は雪の手にある一つの荷物を持ってやり、荷物を二つ持ってくれる銀時に雪が慌てて『あ、ありがとうございます…』と気恥ずかしそうにお礼を呟く。
お礼を呟く雪に銀時は何故か雪に肘を向け、肘を向けられた雪は銀時を見上げ首を傾げた。
「えっと…」
「腕組んで歩こうや」
「ええ!?」
肘を向けられ雪はどういう意味なのか考えた。
しかし銀時が何が言いたいのか汲み取ることができなかった雪は銀時の言葉に驚きが隠せない。
腕を組もうと言われて驚く雪に銀時は更に笑って『ほら』と雪に催促する。
雪はそんな銀時に困ったように眉を下げる。
「な、なんで…」
「銀さんへのごほーび。」
「ご、ご褒美って…」
「荷物重いし、甘い物一つに絞って我慢したし、神楽の酢昆布も入れてやったし……これぐらいご褒美してくれてもよくね? 」
「で、でも…う、腕組むの…こ、恋人同士がするもので……」
「だから腕を組もうって言ってんの」
「ま、まだ恋人同士じゃありません!」
「似たようなもんだろ?どっちかってーと熟年夫婦だろ、俺ら」
「〜〜〜ッ」
確かに、万事屋にいるときの自分は世間から見たら嫁の立ち位置だろう。
男装もどきの恰好をしていても雪はただ袴をはいているのは動きやすいからであって本気で男になろうとはもう考えていない。
だから胸だってかくしてないし、周りも当然女と認識している。
動きやすいからと言って袴を穿いている女を世間がどう見ているかは分からないが、身近の人にはすでに『銀時の嫁(予定)』と受け入れられているし神楽には冗談で『マミー』とも呼ばれているのだ。
神楽はほぼ本気なのだが、雪はそれに気づいていない。
そう、確かに雪自身でも万事屋での自分の立場が母親になっているのに気付いている。
だが、だからと言ってこの前で冗談だと思っていた告白が本気だと断言した男と腕を組むというのはどうだろうかと雪は思う。
雪の気持ちはまだはっきりせず、銀時がただ年上の憧れとして好きなのか、異性として好きなのかがまだ分からない。
だから銀時の求めるソレに雪は戸惑っていた。
しかし銀時から『あー肩いたいなー重たいなー甘いもん食べたいなー』と恩着せがましく言われてしまえばどうすることもできず、雪は『わ、わかりましたよ!!』と恐る恐る銀時の腕に手を絡ました。
それに銀時は満足げに笑い、雪は嬉しそうな顔に思わず顔が少し赤くなるのを感じた。
(銀さん…本当に私の事好きなのかな…)
雪は男の人と腕を組むなど初めてで少し緊張していた。
男性の扱いは多少心得ているが、本当に自分を想い自分を愛してくれる人と出会ったのは初めてだった。
だから雪はつい銀時を疑ってしまう。
今まで銀時の告白を本気にしなかったのは今まで自分に告白した男性がいなかったから、というのもある。
それに自分が地味だからというのもあった。
地味だ地味だと人に言われからかわれ時には苛められてきたのだから仕方のない事なのかもしれない。
その度に泣いている自分を姉と姉の友達が助けてくれたのだ。
幼い頃からメガネと地味をネタにされ続けていた雪は恋愛に程遠い人生を歩んできた。
初恋の男性にはすでに両想いの女性がいたし、恋愛などしたことがなかったのだ。
だから銀時の告白を冗談で済ましてきた。
だから本気だと銀時が言っても疑ってしまう。
ふと視線を落とせば銀時が持っている荷物が目に入った。
もう片手にある荷物も見ればすべて重い物が入っており、自分の荷物は割かし軽いのばかり入っているを見て雪は銀時の気遣いに気づいた。
(銀さんも男の人、なんだなぁ…)
雪は重い物を持っても平然としている銀時を見上げながらそう思う。
銀時に対して失礼極まり合いが、今までのぐうたらを見ていた雪は銀時の男性の部分を見てしみじみ感じた。
今までぐうたらすぎて男としてあまり見ていなかった。
しかしなんだかんだ言って頼りになるのは銀時だ。
雪も恋愛うんぬんを引いても銀時を一番頼りにしている。
そうしみじみと思えば雪は銀時を少しずつ異性と見始めた。
(でも銀さん私よりうんと年上だし……16歳なんか本気になるわけがないし…)
本気だから、と言われ意識し始めていた雪だったが、やっぱり信じ切ることが出来なかった。
それは一種の保険のようで、もし本気だと言ったのが嘘で遊びだと分かった時『ああやっぱりね』と思えるように雪は保険をかけてた。
「あれって…神楽じゃねえか?」
「え…?」
会話もなく歩いていると河川敷に差し掛かる。
保険を掛ければ少し気も楽になった雪に銀時の声が届き、雪は銀時を見上げた。
見上げてくる雪い銀時が『ほら、あそこ』と言って荷物を持ったまま指さす。
雪は重い物を持ちながら指をさす銀時の太い腕に見入っていた。
しかし一向に指差した方を見ない雪に銀時が『どうした?』と不思議そうに見れば雪はハッとさせ慌てて『なんでもないです!!』と返し指差していた方へ視線を移す。
「あ…神楽ちゃんだ」
視線を移せばそこには神楽がいた。
夕日に照らされているというのに傘を投げ捨て何かの前に座り込んでいる神楽が見えた。
雪が座り込んでいる神楽を見て『何してるでしょうか…』と呟けば銀時からは『さあな』と返しをされ、銀時が歩き出したため腕を組んでいた雪も歩き出し、2人は神楽のもとへと向かう。
「おー、神楽。どうした?」
「銀ぢゃ〜ん゙!雪〜!」
「うっわ!おま…顔から出るもん全部でてんぞ!」
神楽のもとへと向かえば傍にはいつも神楽と遊んでくれている男の子達がおり、神楽は銀時に声を掛けら2人に振り返った。
しかし振り返った神楽の顔はものすっごいものであり、銀時と雪は思わず一歩後ろへ下がってしまう。
神楽は涙を流し鼻水も流しており、『うわーん!』と泣きながら銀時に抱き付く。
雪と腕を組みさらには荷物で両手を塞がれている銀時は避けることもできず涙と鼻水だらけの神楽に引っ付かれてしまった。
まるでコアラみたいだ、と雪は銀時に両手両足でガッチリとホールドし抱き付く神楽を見ながらそう思う。
夜兎である神楽がここまで泣くというのは珍しく、雪は心配になり『どうしたの?』と問えば泣きすぎて答えられない神楽の代わりに男の子達が答えてくれた。
どうやら神楽は男の子の間で流行っているカブトムシの相撲に参加していたが、割り込んできた人物によって男の子達のカブトムシは没収され、神楽が持ってきていた虫…ふんころがしは死んでしまったのだという。
神楽が座りこでいた場所の前には朝見たふんころがしの墓らしいものがあり、その墓標には『定春28号』と書かれていた。
「私悔しいネ!!定春28号の仇は絶対取るネ!!」
「そうかいそうかい。じゃあ帰るか」
「銀ちゃん酷いアル!!人が悲しみに暮れてるっていうのにどうして軽く流せるネ!!」
「じゃあずっとそこに突っ立って泣いてろ。死んだモンは戻ってこれねえ…泣いてもどうにもならねえだろ…これに懲りたら動物を飼うって思うな。それともあれか?お前夕飯いらねえの?今日カレーだぞ、カレー。」
「カレー!?カレーあるか!?」
「おー、チョコレート入りのカレーだぞー」
定春28号の仇を取ると意気込む神楽をよそに銀時はなんとも素っ気なかった。
少し素っ気なさ過ぎな銀時に神楽が怒り、雪は心配そうい2人を見ていたが…雪は銀時の言葉がずしりと重くのしかかってきた。
泣いても死んだ者は帰ってこない、という言葉に雪は実感しているからだろう。
父の時も、"あの時"も…雪は泣いたが誰一人雪の元には帰ってこなかった。
雪が想いに耽っていると銀時がコアラのように抱き付く神楽をそのままに歩きはじめ、雪は腕を引っ張られる形になりハッと我に開ける。
すぐに我に返ったため怪しまれることはなく、雪は慌てて銀時に続いた。
中に入れば冷房の冷たい風が雪と銀時を歓迎してくれ、銀時が『俺ずっとここにいるわ』と冗談を言えば雪は『何馬鹿なこと言ってるですか』と笑う。
まだ2人の距離が微妙だが、雪が少しだけ警戒を解いてくれたことに嬉しく思いながらも銀時はカートを牽き、雪はカゴをカートに乗せる。
『今日は何しましょう』と雪が銀時に問えば銀時からは『ケーキ』と返され雪は『やっぱカレーにしましょうかね』と無視しながらカレーの材料をカゴに入れていく。
無視された銀時は『………カレーにチョコ入れて』と小さく呟けば雪は苦笑いを浮かべ『はいはい』とチョコをカゴに入れてくれた。
それから他の食材を入れ、雪と銀時は会計を済ませ買った物を袋に入れていく。
「結構重くなりましたね…」
じゃがいもやらニンジンやらその他にも重たい物を買ったからか、三つになった荷物の内二つを持ちながら雪はそう零す。
そんな雪に銀時は雪の手にある一つの荷物を持ってやり、荷物を二つ持ってくれる銀時に雪が慌てて『あ、ありがとうございます…』と気恥ずかしそうにお礼を呟く。
お礼を呟く雪に銀時は何故か雪に肘を向け、肘を向けられた雪は銀時を見上げ首を傾げた。
「えっと…」
「腕組んで歩こうや」
「ええ!?」
肘を向けられ雪はどういう意味なのか考えた。
しかし銀時が何が言いたいのか汲み取ることができなかった雪は銀時の言葉に驚きが隠せない。
腕を組もうと言われて驚く雪に銀時は更に笑って『ほら』と雪に催促する。
雪はそんな銀時に困ったように眉を下げる。
「な、なんで…」
「銀さんへのごほーび。」
「ご、ご褒美って…」
「荷物重いし、甘い物一つに絞って我慢したし、神楽の酢昆布も入れてやったし……これぐらいご褒美してくれてもよくね? 」
「で、でも…う、腕組むの…こ、恋人同士がするもので……」
「だから腕を組もうって言ってんの」
「ま、まだ恋人同士じゃありません!」
「似たようなもんだろ?どっちかってーと熟年夫婦だろ、俺ら」
「〜〜〜ッ」
確かに、万事屋にいるときの自分は世間から見たら嫁の立ち位置だろう。
男装もどきの恰好をしていても雪はただ袴をはいているのは動きやすいからであって本気で男になろうとはもう考えていない。
だから胸だってかくしてないし、周りも当然女と認識している。
動きやすいからと言って袴を穿いている女を世間がどう見ているかは分からないが、身近の人にはすでに『銀時の嫁(予定)』と受け入れられているし神楽には冗談で『マミー』とも呼ばれているのだ。
神楽はほぼ本気なのだが、雪はそれに気づいていない。
そう、確かに雪自身でも万事屋での自分の立場が母親になっているのに気付いている。
だが、だからと言ってこの前で冗談だと思っていた告白が本気だと断言した男と腕を組むというのはどうだろうかと雪は思う。
雪の気持ちはまだはっきりせず、銀時がただ年上の憧れとして好きなのか、異性として好きなのかがまだ分からない。
だから銀時の求めるソレに雪は戸惑っていた。
しかし銀時から『あー肩いたいなー重たいなー甘いもん食べたいなー』と恩着せがましく言われてしまえばどうすることもできず、雪は『わ、わかりましたよ!!』と恐る恐る銀時の腕に手を絡ました。
それに銀時は満足げに笑い、雪は嬉しそうな顔に思わず顔が少し赤くなるのを感じた。
(銀さん…本当に私の事好きなのかな…)
雪は男の人と腕を組むなど初めてで少し緊張していた。
男性の扱いは多少心得ているが、本当に自分を想い自分を愛してくれる人と出会ったのは初めてだった。
だから雪はつい銀時を疑ってしまう。
今まで銀時の告白を本気にしなかったのは今まで自分に告白した男性がいなかったから、というのもある。
それに自分が地味だからというのもあった。
地味だ地味だと人に言われからかわれ時には苛められてきたのだから仕方のない事なのかもしれない。
その度に泣いている自分を姉と姉の友達が助けてくれたのだ。
幼い頃からメガネと地味をネタにされ続けていた雪は恋愛に程遠い人生を歩んできた。
初恋の男性にはすでに両想いの女性がいたし、恋愛などしたことがなかったのだ。
だから銀時の告白を冗談で済ましてきた。
だから本気だと銀時が言っても疑ってしまう。
ふと視線を落とせば銀時が持っている荷物が目に入った。
もう片手にある荷物も見ればすべて重い物が入っており、自分の荷物は割かし軽いのばかり入っているを見て雪は銀時の気遣いに気づいた。
(銀さんも男の人、なんだなぁ…)
雪は重い物を持っても平然としている銀時を見上げながらそう思う。
銀時に対して失礼極まり合いが、今までのぐうたらを見ていた雪は銀時の男性の部分を見てしみじみ感じた。
今までぐうたらすぎて男としてあまり見ていなかった。
しかしなんだかんだ言って頼りになるのは銀時だ。
雪も恋愛うんぬんを引いても銀時を一番頼りにしている。
そうしみじみと思えば雪は銀時を少しずつ異性と見始めた。
(でも銀さん私よりうんと年上だし……16歳なんか本気になるわけがないし…)
本気だから、と言われ意識し始めていた雪だったが、やっぱり信じ切ることが出来なかった。
それは一種の保険のようで、もし本気だと言ったのが嘘で遊びだと分かった時『ああやっぱりね』と思えるように雪は保険をかけてた。
「あれって…神楽じゃねえか?」
「え…?」
会話もなく歩いていると河川敷に差し掛かる。
保険を掛ければ少し気も楽になった雪に銀時の声が届き、雪は銀時を見上げた。
見上げてくる雪い銀時が『ほら、あそこ』と言って荷物を持ったまま指さす。
雪は重い物を持ちながら指をさす銀時の太い腕に見入っていた。
しかし一向に指差した方を見ない雪に銀時が『どうした?』と不思議そうに見れば雪はハッとさせ慌てて『なんでもないです!!』と返し指差していた方へ視線を移す。
「あ…神楽ちゃんだ」
視線を移せばそこには神楽がいた。
夕日に照らされているというのに傘を投げ捨て何かの前に座り込んでいる神楽が見えた。
雪が座り込んでいる神楽を見て『何してるでしょうか…』と呟けば銀時からは『さあな』と返しをされ、銀時が歩き出したため腕を組んでいた雪も歩き出し、2人は神楽のもとへと向かう。
「おー、神楽。どうした?」
「銀ぢゃ〜ん゙!雪〜!」
「うっわ!おま…顔から出るもん全部でてんぞ!」
神楽のもとへと向かえば傍にはいつも神楽と遊んでくれている男の子達がおり、神楽は銀時に声を掛けら2人に振り返った。
しかし振り返った神楽の顔はものすっごいものであり、銀時と雪は思わず一歩後ろへ下がってしまう。
神楽は涙を流し鼻水も流しており、『うわーん!』と泣きながら銀時に抱き付く。
雪と腕を組みさらには荷物で両手を塞がれている銀時は避けることもできず涙と鼻水だらけの神楽に引っ付かれてしまった。
まるでコアラみたいだ、と雪は銀時に両手両足でガッチリとホールドし抱き付く神楽を見ながらそう思う。
夜兎である神楽がここまで泣くというのは珍しく、雪は心配になり『どうしたの?』と問えば泣きすぎて答えられない神楽の代わりに男の子達が答えてくれた。
どうやら神楽は男の子の間で流行っているカブトムシの相撲に参加していたが、割り込んできた人物によって男の子達のカブトムシは没収され、神楽が持ってきていた虫…ふんころがしは死んでしまったのだという。
神楽が座りこでいた場所の前には朝見たふんころがしの墓らしいものがあり、その墓標には『定春28号』と書かれていた。
「私悔しいネ!!定春28号の仇は絶対取るネ!!」
「そうかいそうかい。じゃあ帰るか」
「銀ちゃん酷いアル!!人が悲しみに暮れてるっていうのにどうして軽く流せるネ!!」
「じゃあずっとそこに突っ立って泣いてろ。死んだモンは戻ってこれねえ…泣いてもどうにもならねえだろ…これに懲りたら動物を飼うって思うな。それともあれか?お前夕飯いらねえの?今日カレーだぞ、カレー。」
「カレー!?カレーあるか!?」
「おー、チョコレート入りのカレーだぞー」
定春28号の仇を取ると意気込む神楽をよそに銀時はなんとも素っ気なかった。
少し素っ気なさ過ぎな銀時に神楽が怒り、雪は心配そうい2人を見ていたが…雪は銀時の言葉がずしりと重くのしかかってきた。
泣いても死んだ者は帰ってこない、という言葉に雪は実感しているからだろう。
父の時も、"あの時"も…雪は泣いたが誰一人雪の元には帰ってこなかった。
雪が想いに耽っていると銀時がコアラのように抱き付く神楽をそのままに歩きはじめ、雪は腕を引っ張られる形になりハッと我に開ける。
すぐに我に返ったため怪しまれることはなく、雪は慌てて銀時に続いた。
← | back | →
しおりを挟む