(4 / 16) 少年はカブト虫を通して生命の尊さを知る (4)
「カブト狩りじゃーー!!!」


次の日、雪は神楽もいるからと安心し、昼食を終えた後銀時の向かえで新聞を見てのんびりしていた。
銀時もジャンプで顔を覆い眠っている。
そんな2人の前に神楽が現れ、冒頭のセリフを腹から出す。


「カブト狩りじゃアアア!!」


しかし2人は何の反応もせず、神楽は負けじと更に大きな声を出した。
だが、やはり部屋は静まり返るのみだった。


「カブト狩り…」

「うるせエエエ!!!」


余りにも大人たちが相手にしないからと神楽は銀時が被っているジャンプを退かせ思いっきり顔近くで怒鳴る勢いで声を上げた。
その成果からか、銀時は耳元で叫ぶ神楽の顔を手で退かせながら叫ぶ。
グイッと押された神楽はそのまま立っていた元の位置に戻り、銀時は昼寝の邪魔され機嫌が降下していく。


「何なんだよおめえは!さっきからガーガーガーガー!」

「私はこれからカブト狩りに行こうと思います!!どうですか!」

「どうですかって…行けばいいだろ」

「行けばいいだろじゃなァァい!!」


神楽の突然の言葉に聞いてないようで聞いていたようで聞いていない銀時は鬱陶しそうい呟く。
神楽は叫び、雪が新聞から目を外し神楽を見れば、神楽の手には網があり、肩には虫かごが掛かられ、頭には麦わら帽子が被られており、まさにカブト狩りの恰好を身にまとっていた。
そんなやる気満々な神楽の問いに胡坐をかきながら銀時が適当に答えれば、銀時は神楽からビンタを貰い鼻血を拭く。
ポタポタと鼻血を吹く銀時に雪は無言でティッシュ箱を渡し、その渡されたティッシュ箱から一枚ティッシュを取り銀時は止めどなく落ちてくる鼻血を拭った後新しいティッシュを鼻に突っ込む。
何事もなかったようにテレビを見始める2人に神楽は涙目になり目を手で覆い泣いた。


「聞いてヨ!私もう堪忍袋の緒が切れたネ!私の可愛い定春28号が憎いあんちきしょーにやられちまってヨォ…それでさ、曙エックスまでやられちゃってね、みんな持って行かれちゃったアル!……ねえ聞いてる?」

「ああ、聞いてる聞いてるー」

「それでね、私みんなの仇を取ろうと思ってネ………ねえ聞いてる?」

「ああ、聞いてる聞いてるー」

「それでね、デッカくて強いカブトムシ捕まえて野郎のマゾ丸?あれ?サゾ丸?どっちだっけ?ねえどっちだっけ?」

「ああ、聞いてる聞いてるー」

「とにかく野郎のドクサレ丸をやっつけてやろうと思うアル!だからカブトムシの取り方を教えてヨ!」

「カブトムシブーム再燃だとよ…時代は繰り返すね」

「なんかカブトムシ同士で相撲をとらせる遊びが流行ってるらしいですよ。」

「ねえ教えてヨ」

「ああ、聞いてる聞いてるー」

「聞いてるじゃなくて教えてヨ」

「あ?あれだよお前…曙丸はプロレスに転向した方がいいと俺は思う。」

「碌に聞いてねえじゃねえかアアア!!!」


銀時は神楽の話をただ『聞いてる』としか言わず、全く聞いていなかった。
曙エックスが、何故か曙丸に代わり神楽は拳を銀時の顔中央にめり込ませさらには捩じってツッコミを入れた。
そのお蔭で止まった鼻血が再び吹き出し、先ほどより大量の銀時の鼻血が銀時の腕やらソファを汚していく。
神楽はふんころがしの仇を取りたいのだと銀時を睨んだ。


「もういいネ!とにかく一緒に来てよ。私どうしてもカブトムシが欲しいネ!」

「冗談じゃねえよ!いい年こいてなんでカブトムシ採りなんざしなくちゃなんねえんだ!!自由研究は1人でやんなさい!だいたいそんな一銭にもならんことを…」


殴られ鼻を押さえるも深く強く殴られたため銀時の鼻からは血が大量出血していた。
それを見ながら雪は無言でタオルを差し出し、そのタオルを受け取った銀時は上を向き鼻を拭う。
真っ白だったタオルがあっという間に赤に染まっていくにつれタフな銀時はすでに血も止まりかけ先ほど貰ったティッシュ箱からティッシュを取り出し再び鼻に詰める。
雪はそれを見送った後我関せずを決めつけようと新聞を凝視していた。
出不精な銀時は当然神楽の我儘を断り、当然今日も雪とゴロゴロしようと決めていたのだが…


≪えぇ〜!このカブトムシそんなに高いんですかぁ!?車買えますよそんな値段!≫


テレビのアナウンサーの声に銀時と神楽の動きが止まった。
雪がそれに気づき2人が見ている先へ目を移せばテレビがあり、そのテレビの中ではアナウンサーがインタビュー相手の手の中にいるカブトムシを見て驚いていた。


≪ええ、まあ…僕にとっては車より大事なものっすから…≫

≪このように大変高額なカブトムシも登場し、カブトムシブームは大人も巻き込んでの大きなものとなっていくもようです!≫


丁度テレビでカブトムシの特集をしていたのもあり、番組はペットショップも紹介していた。
その中で高額なカブトムシも紹介され綺麗に輝く虹色のカブトムシに頬ずりするインタビュー相手を見つめながら雪はチラリと銀時を見た。
その瞬間、雪は腰を上げた。


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