夜…雪達はテントに敷いている布団で眠っていた。
本当なら寝袋だったのだが、神楽が『それじゃあ雪のおっぱいに顔を埋めて眠れないネ!悪夢見るアル!!』と言いだして布団に変わったのだ。
雪はもちろん『いやいや!私のおっぱいで眠らなきゃいけないって事ないしおっぱいに顔を埋めて寝てたら寝苦しいうえにそっちこそ悪夢見るだろ!!』と突っ込んだが無駄に終わった。
更に銀時が『じゃあ銀さんも雪のおっぱいに顔を埋めて眠ろーっと』と便乗というか…対抗をしてしまい、また来る前にもひと悶着あった。
毎回言うが雪のおっぱいは雪のであって、決して他人のモノではない。
ちなみに布団と言っても立派な布団ではなく、下だけは敷布団を2枚敷き、夏というのもあり掛けはタオルケットだけというものである。
テント類は男である銀時が持ち、布団類は言いだしっぺである神楽が持ってきた。
「雪〜…銀さんもうだめ…誰かさんのせいで腹減って死にそう…」
「寝れば治ります」
「治るわけねえだろ!てめぇには聞こえねえのか!?てめぇの旦那の腹の虫の音を!!」
「旦那じゃねえよ!!」
「突っ込むとこそこォォ!!?」
結局あの喧嘩は引き分けとなりクロスカウンターで銀時と神楽は潰れた。
喧嘩しててもお腹が無駄に減るだけだと気づいた2人は寝ることにし、パジャマに着替えた三人は寝床を整えていく。
勿論、着替えは男女分かれてである。
灯りも消し、雪を真ん中に川の字に眠った矢先に神楽が早速雪の胸に顔を埋めてきた。
もう諦めも入ってる雪は神楽の好きにさせすりすりと擦り寄ってくる神楽の頭を撫でてやる。
するとぽつーん、と一人置いて行かれていた銀時が寝返りを打ちつつ雪を後ろから抱き付く形でくっついてきた。
2人が喧嘩中、飯ごうの米を全部平らげた雪だけはお腹がいっぱいで、雪は正直満腹感からか眠気が襲ってきていた。
うとうととしているのに前からも後ろからもぴったりとくっつき虫のようにくっついてくる2人に雪は正直鬱陶しく思う。
だが眠気の方が勝っているのか斜め上へ突っ込みをしながら適当に銀時の相手をする。
「ねーねー雪、私もお腹すいたネ」
「寝れば治るよ」
「治らないヨ!雪には聞こえないアルか!?愛する娘の腹の虫の音を!」
「娘じゃない!妹だよ!!」
「突っ込むとこそこォォ!!?」
本気でうとうととし、すでに瞼は閉じられている雪は神楽の言葉さえ適当に返していた。
『ねーねー』と煩い2人を雪はもう付き合ってられないと言わんばかりに無視し夢の世界へと誘われた。
くーくー寝る雪に釣られてか、神楽もうとうとと瞼を閉じていった。
どれくらいの時間が経ったか分からない。
時計など森の中にはなく、雪は静かに瞼を開ける。
前にはやはり光が一切ないためか真っ暗だった。
しかし暗闇に慣れたのかうっすらとテントの布や隅に置いている荷物が視界に映っていた。
そのまま視線を落とせば神楽が自分の胸に顔を埋めているはずなのに何故か神楽の足が見え、更に下へと視線を落とせば神楽がいた。
どうやら神楽は眠っているうちに上下反対の体勢で眠る結果となり、雪は『どんだけ寝相悪いの…』と思いながら起き上がろうとした。
しかしポトリと布団に何かが落ち、それに視線をやればそれは銀時の腕だった。
いつの間にか枕が遥か頭上へと転がっており、雪は知らないうちに銀時の腕を枕にしただけではなく銀時が雪を抱き包むような形に眠っていることに気づいた。
雪は銀時に抱き付かれる形で眠っていた事に顔を真っ赤に染めた。
本気かは不明だが告白された男性と一緒に、しかも神楽を挟むのではなく隣で眠っていた事に恥ずかしくなってしまう。
もしこれを姉に知られればきっと『嫁入り前の雪ちゃんになんてことしてくれたのかしらこの天パは。雪ちゃんが嫁き遅れたらあなた責任もって切腹しろよ?』とニコニコ笑って言うに違いない。
銀時と出会ったときのように小刀をそっと渡すに違いない。
そこまで考え雪は恥ずかしさが一気に消え失せぞっとさせた。
背筋を冷たい何かが走ったのを誤魔化すように雪は神楽を元通りに寝かせタオルケットを掛けてやる。
当然自分に引き寄せるのではなく普通に距離を置いて。
しかし…神楽からゲロの匂いがするのは気のせいだろうか、と雪は肩までタオルケットを掛けながらそう首を傾げる。
気にしちゃいけない気がして雪は神楽にちゃんと肩までタオルケットを掛けてやった後、隣にいる銀時にもタオルケットを肩までかけてやる。
あれほど眠りにつく前では煩かったのに今ではぐっすりと眠っていた。
(そういえば…銀さんの寝顔、初めてみるなぁ…)
雪はそう思いそーっと銀時が起きないように横を向いて眠る銀時に向かい合うような体勢で横になり、向かい合う銀時の顔を覗き込む。
その際また銀時の腕に頭を預ける形となってしまったが、今現在腕枕をしている事に気づかないほど雪は銀時の寝顔を興味津々に見ていた。
たまに万事屋に泊まる雪だが、寝つきがいい方だし、何より一々銀時の寝顔がどうとか神楽の寝顔がどうとかなど考えていなかったため、元々意識していなかった。
今回はふと銀時の寝顔を目に映したため、少し興味が湧いたのだろう。
顔をのぞき込めばやはり眠っているからかあの死んだ目がないだけでちゃんと男性に見える、と雪は思う。
普段はどんな風に見えてんだ、と言いたいが、あのだらけきったダメな男の代表のような普段の銀時を見てしまえばそう思ってしまうのは当たり前かもしれない。
(わ…睫毛まで白い…)
雪は当たり前だがそう思った。
髪の色が様々な人がいることは知っているが、白い髪というのはそうそういない。
雪は普段から気にも留めていなかったが、眉毛や睫毛まで白い銀時に『生まれつきの色なんだなぁ』と心の中で納得す。
ジッと見ているともう見るところがなく、すっかり目が覚めた雪は触れてみたいと思った。
天パだ天パだとみんなに馬鹿にされているが、今の銀時の天パはとても柔らかそうに見えていた。
それは気のせいなのかは置いておき、雪は無性に触りたくなった。
しかし銀時にバレたらネタにされてしまう挙句にそれをネタに更に口説かれるような気がして起こさないようにと怖々と銀時に手を伸ばす。
「わっ!意外と…やわらかい…気持ちいい…」
まず真っ先に手を伸ばしたのは一番気になっていた髪の毛だった。
そっと触れればふわりとした感触が手に伝わり、雪は思わず声に出してしまった。
小声だったが、小声とはいえ静まり返っている夜中では大きく響き、雪は思わず自分の手で口を押えてしまう。
暫くそのまま固まり様子を見ていると神楽も銀時本人もぐっすりと眠っており気づいている様子はなかった。
雪はそれにホッとさせながらもう一度その柔らかさを感じたくてまた銀時の髪へと手を伸ばした。
普段セクハラ発言をしてても滅多に触れない銀時に触れる珍しさもあり、雪は普段触れれない分触ろうと思った。
髪を堪能した後は肌に手を伸ばし、『あ、結構肌触りいい』と女としてちょっぴり嫉妬しながらそれでも指で擦って堪能していた。
(髪の毛、柔らかかったなぁ……眉毛も意外と整ってたし…睫毛も長かった…あ、いや、普通だった?)
確認するようにまた睫毛にそっと触れるもやはり銀時は起きない。
ここまでされて起きないというのも狸寝入りを疑ってしまうが、もしかしたら自分たちは銀時に信頼されていて、だから触っても起きないのかもしれない、と思う。
そう思ってしまえば嬉しくなりニマニマとしてまうが…ふと、雪の視線がある場所で止まった。
(くち、びる…)
そこは唇だった。
雪は銀時の唇から視線を外せなかった。
(この唇が私の唇に触れた……)
雪はキスなど初めてではない。
銀時以外でもいろんな男の人としてきた。
勿論銀時のように向こうからしてくるキスも多いが、時と場合によって雪からしたことだってあった。
だからキス自体は抵抗はない。
望むのならしてやんよ!という意気込みさえあるほどだった。
しかし……それは以前の話。
以前なら何も考えずいくらでもそういう意味ありげの行為に照れずに受け止める事は出来た。
だが環境の違いからか雪は初心のような反応をするようになった。
それに違和感があるのは雪本人だった。
あんなにも男の人と色々な事をしておいて今更何を純情ぶっているんだ、と罵るのは雪本人だった。
それは姉にも神楽にも銀時にも後ろめたさがあるからだろう。
(ここで、私…キス、されたんだ…)
そっと雪は銀時の唇へと手を伸ばす。
指で優しく触れれば、ふに、と柔らかい感覚が指に伝わり、雪は唇からも感じたその柔らかさにキスされた事を思い出したのかボッと顔を真っ赤に染め急に恥ずかしくて慌てて銀時から背を向け、枕を持って思わず神楽に抱き付いた。
(ば、ばれて…ないよね!大丈夫だよね!!だって銀さん身じろいでなかったし!!眉毛だってピクリともしてなかったし!!)
ぎゅっと神楽を抱きしめながら雪は自分の行動がとてつもなく恥ずかしい事に気づき更に羞恥から顔を真っ赤に染めた。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられている神楽は『うーん』とうなっていたが、反省をし言い訳を並べている雪が気づくことはなかった。
暫くして雪は眠ったのか神楽の寝息と共に雪の寝息も聞こえはじめた。
雪に抱きしめられていた神楽もおっぱいを求め抱きしめ返し、お互い抱き合いながら深い眠りについている雪の姿を隣の人物が見つめていた。
「……………」
閉じていた瞼をゆっくりと開き、隣の人物――銀時はむくりと起き上がる。
(な、何なんだ…!あの可愛い生き物は!!)
銀時は起きていた。
あんなにもべたべたと雪が触っていたのだから当たり前だが…銀時は起きるタイミングがなく、仕方なく狸寝入りをしていたのだ。
狸寝入りは神楽対策ですでにプロ級だったため雪は気づかなかったのだろう。
銀時はふにふにと自分の唇に触れた後顔を真っ赤にさせる雪に悶えていた。
雪が眠ったのを確認し、銀時は『うおぉぉ!』と心の中で言葉にならない叫びをあげ顔を手で覆う。
(もう駄目だ…銀さんもう無理…理性が持たない……この際襲っちまおうかな…神楽は一度寝たら朝まで起きねえし……いいよね?これ銀さん犯罪にならないよね?だって自分好みのロリ巨乳が自分の顔をベタベタ触った挙句に唇を凝視してふにふに触るんだよ!?しかも髪の毛だけど『気持ちいい』って言ってんだよ!?銀さんそれだけでご飯3合は軽いよ!!もうこれ誘ってるんだよね!!誘ってなかったら何なの!?天然なの!?小悪魔なの!?雪ちゃんなら銀さん手玉にとられてェェェ!!)
恥じらう年齢ではないが…まあ恥じらってもいないが……銀時は雪に萌えていた。
今、銀時の脳裏に天使の自分と悪魔の自分がいる。
悪魔の自分は『襲っちまえよ!んで既成事実作ってとっとと結婚しちまえよ!!子供さえ作っちまえば親の必要性を知ってるあのメスゴリラも半殺しで許してくれるさ!!お前雪を本気で愛してんだろ!!男を見せろ!!』と突っつき、天使の自分が『駄目だよ!銀さんそれは駄目だ!!ちゃんと手順を追ってゴールインしなきゃ!!だって昨日だって雪は嫌がらなかったし結構いい反応してくれたじゃないか!!ここで襲ったら雪が銀さんを嫌いになるだけじゃなくてあのメスゴリラに本殺しされた挙句に神楽に冷たい目で見られて死んだ自分がいなくなったから神楽が雪のおっぱいを独り占めして更には銀さんがいなくなった事でマヨラーとドS王子が雪を狙ってもしかしたらどっちかと結婚して可愛い雪似の子供作って老衰するまでそいつと末永く幸せになるんだよ!!襲ったら駄目だよ!!』と突っ込み満載に悪魔を突き飛ばした。
2人の意見を聞き、銀時が取ったのは…
(だよ、な…そうだよな…出来ちゃった結婚でも俺は構わないし雪を手放す気はさらさらないが……あのメスゴリラに殺されて雪をNTRだけは勘弁だ!!雪と結婚して雪似の可愛いストレートヘアーの子供を作って老衰するまで末永く幸せになるのは俺だァァ!!!)
天使の方だった。
雪は知らないうちに貞操が守られたのも知らずすやすやと眠っており、そんな雪の背を銀時はチラリと横目で見た後2人が起きないように2人の傍へと移動する。
そして雪の枕を投げ捨て雪が起きないように自分の腕にすり替え、雪と神楽を抱き枕のように抱き込んだ。
(まあ…幸いにも雪は多串くんや沖田くんの好意を冗談だと思ってるようだし……ゆっくり焦らず行けばいいか…)
理性は何とかなるだろう、ともう銀時は何も考えずとりあえずまずは妙に殺されないよう手順を踏んでいこうと決意しながら雪の匂いに包まれながら眠りについた。
本当なら寝袋だったのだが、神楽が『それじゃあ雪のおっぱいに顔を埋めて眠れないネ!悪夢見るアル!!』と言いだして布団に変わったのだ。
雪はもちろん『いやいや!私のおっぱいで眠らなきゃいけないって事ないしおっぱいに顔を埋めて寝てたら寝苦しいうえにそっちこそ悪夢見るだろ!!』と突っ込んだが無駄に終わった。
更に銀時が『じゃあ銀さんも雪のおっぱいに顔を埋めて眠ろーっと』と便乗というか…対抗をしてしまい、また来る前にもひと悶着あった。
毎回言うが雪のおっぱいは雪のであって、決して他人のモノではない。
ちなみに布団と言っても立派な布団ではなく、下だけは敷布団を2枚敷き、夏というのもあり掛けはタオルケットだけというものである。
テント類は男である銀時が持ち、布団類は言いだしっぺである神楽が持ってきた。
「雪〜…銀さんもうだめ…誰かさんのせいで腹減って死にそう…」
「寝れば治ります」
「治るわけねえだろ!てめぇには聞こえねえのか!?てめぇの旦那の腹の虫の音を!!」
「旦那じゃねえよ!!」
「突っ込むとこそこォォ!!?」
結局あの喧嘩は引き分けとなりクロスカウンターで銀時と神楽は潰れた。
喧嘩しててもお腹が無駄に減るだけだと気づいた2人は寝ることにし、パジャマに着替えた三人は寝床を整えていく。
勿論、着替えは男女分かれてである。
灯りも消し、雪を真ん中に川の字に眠った矢先に神楽が早速雪の胸に顔を埋めてきた。
もう諦めも入ってる雪は神楽の好きにさせすりすりと擦り寄ってくる神楽の頭を撫でてやる。
するとぽつーん、と一人置いて行かれていた銀時が寝返りを打ちつつ雪を後ろから抱き付く形でくっついてきた。
2人が喧嘩中、飯ごうの米を全部平らげた雪だけはお腹がいっぱいで、雪は正直満腹感からか眠気が襲ってきていた。
うとうととしているのに前からも後ろからもぴったりとくっつき虫のようにくっついてくる2人に雪は正直鬱陶しく思う。
だが眠気の方が勝っているのか斜め上へ突っ込みをしながら適当に銀時の相手をする。
「ねーねー雪、私もお腹すいたネ」
「寝れば治るよ」
「治らないヨ!雪には聞こえないアルか!?愛する娘の腹の虫の音を!」
「娘じゃない!妹だよ!!」
「突っ込むとこそこォォ!!?」
本気でうとうととし、すでに瞼は閉じられている雪は神楽の言葉さえ適当に返していた。
『ねーねー』と煩い2人を雪はもう付き合ってられないと言わんばかりに無視し夢の世界へと誘われた。
くーくー寝る雪に釣られてか、神楽もうとうとと瞼を閉じていった。
どれくらいの時間が経ったか分からない。
時計など森の中にはなく、雪は静かに瞼を開ける。
前にはやはり光が一切ないためか真っ暗だった。
しかし暗闇に慣れたのかうっすらとテントの布や隅に置いている荷物が視界に映っていた。
そのまま視線を落とせば神楽が自分の胸に顔を埋めているはずなのに何故か神楽の足が見え、更に下へと視線を落とせば神楽がいた。
どうやら神楽は眠っているうちに上下反対の体勢で眠る結果となり、雪は『どんだけ寝相悪いの…』と思いながら起き上がろうとした。
しかしポトリと布団に何かが落ち、それに視線をやればそれは銀時の腕だった。
いつの間にか枕が遥か頭上へと転がっており、雪は知らないうちに銀時の腕を枕にしただけではなく銀時が雪を抱き包むような形に眠っていることに気づいた。
雪は銀時に抱き付かれる形で眠っていた事に顔を真っ赤に染めた。
本気かは不明だが告白された男性と一緒に、しかも神楽を挟むのではなく隣で眠っていた事に恥ずかしくなってしまう。
もしこれを姉に知られればきっと『嫁入り前の雪ちゃんになんてことしてくれたのかしらこの天パは。雪ちゃんが嫁き遅れたらあなた責任もって切腹しろよ?』とニコニコ笑って言うに違いない。
銀時と出会ったときのように小刀をそっと渡すに違いない。
そこまで考え雪は恥ずかしさが一気に消え失せぞっとさせた。
背筋を冷たい何かが走ったのを誤魔化すように雪は神楽を元通りに寝かせタオルケットを掛けてやる。
当然自分に引き寄せるのではなく普通に距離を置いて。
しかし…神楽からゲロの匂いがするのは気のせいだろうか、と雪は肩までタオルケットを掛けながらそう首を傾げる。
気にしちゃいけない気がして雪は神楽にちゃんと肩までタオルケットを掛けてやった後、隣にいる銀時にもタオルケットを肩までかけてやる。
あれほど眠りにつく前では煩かったのに今ではぐっすりと眠っていた。
(そういえば…銀さんの寝顔、初めてみるなぁ…)
雪はそう思いそーっと銀時が起きないように横を向いて眠る銀時に向かい合うような体勢で横になり、向かい合う銀時の顔を覗き込む。
その際また銀時の腕に頭を預ける形となってしまったが、今現在腕枕をしている事に気づかないほど雪は銀時の寝顔を興味津々に見ていた。
たまに万事屋に泊まる雪だが、寝つきがいい方だし、何より一々銀時の寝顔がどうとか神楽の寝顔がどうとかなど考えていなかったため、元々意識していなかった。
今回はふと銀時の寝顔を目に映したため、少し興味が湧いたのだろう。
顔をのぞき込めばやはり眠っているからかあの死んだ目がないだけでちゃんと男性に見える、と雪は思う。
普段はどんな風に見えてんだ、と言いたいが、あのだらけきったダメな男の代表のような普段の銀時を見てしまえばそう思ってしまうのは当たり前かもしれない。
(わ…睫毛まで白い…)
雪は当たり前だがそう思った。
髪の色が様々な人がいることは知っているが、白い髪というのはそうそういない。
雪は普段から気にも留めていなかったが、眉毛や睫毛まで白い銀時に『生まれつきの色なんだなぁ』と心の中で納得す。
ジッと見ているともう見るところがなく、すっかり目が覚めた雪は触れてみたいと思った。
天パだ天パだとみんなに馬鹿にされているが、今の銀時の天パはとても柔らかそうに見えていた。
それは気のせいなのかは置いておき、雪は無性に触りたくなった。
しかし銀時にバレたらネタにされてしまう挙句にそれをネタに更に口説かれるような気がして起こさないようにと怖々と銀時に手を伸ばす。
「わっ!意外と…やわらかい…気持ちいい…」
まず真っ先に手を伸ばしたのは一番気になっていた髪の毛だった。
そっと触れればふわりとした感触が手に伝わり、雪は思わず声に出してしまった。
小声だったが、小声とはいえ静まり返っている夜中では大きく響き、雪は思わず自分の手で口を押えてしまう。
暫くそのまま固まり様子を見ていると神楽も銀時本人もぐっすりと眠っており気づいている様子はなかった。
雪はそれにホッとさせながらもう一度その柔らかさを感じたくてまた銀時の髪へと手を伸ばした。
普段セクハラ発言をしてても滅多に触れない銀時に触れる珍しさもあり、雪は普段触れれない分触ろうと思った。
髪を堪能した後は肌に手を伸ばし、『あ、結構肌触りいい』と女としてちょっぴり嫉妬しながらそれでも指で擦って堪能していた。
(髪の毛、柔らかかったなぁ……眉毛も意外と整ってたし…睫毛も長かった…あ、いや、普通だった?)
確認するようにまた睫毛にそっと触れるもやはり銀時は起きない。
ここまでされて起きないというのも狸寝入りを疑ってしまうが、もしかしたら自分たちは銀時に信頼されていて、だから触っても起きないのかもしれない、と思う。
そう思ってしまえば嬉しくなりニマニマとしてまうが…ふと、雪の視線がある場所で止まった。
(くち、びる…)
そこは唇だった。
雪は銀時の唇から視線を外せなかった。
(この唇が私の唇に触れた……)
雪はキスなど初めてではない。
銀時以外でもいろんな男の人としてきた。
勿論銀時のように向こうからしてくるキスも多いが、時と場合によって雪からしたことだってあった。
だからキス自体は抵抗はない。
望むのならしてやんよ!という意気込みさえあるほどだった。
しかし……それは以前の話。
以前なら何も考えずいくらでもそういう意味ありげの行為に照れずに受け止める事は出来た。
だが環境の違いからか雪は初心のような反応をするようになった。
それに違和感があるのは雪本人だった。
あんなにも男の人と色々な事をしておいて今更何を純情ぶっているんだ、と罵るのは雪本人だった。
それは姉にも神楽にも銀時にも後ろめたさがあるからだろう。
(ここで、私…キス、されたんだ…)
そっと雪は銀時の唇へと手を伸ばす。
指で優しく触れれば、ふに、と柔らかい感覚が指に伝わり、雪は唇からも感じたその柔らかさにキスされた事を思い出したのかボッと顔を真っ赤に染め急に恥ずかしくて慌てて銀時から背を向け、枕を持って思わず神楽に抱き付いた。
(ば、ばれて…ないよね!大丈夫だよね!!だって銀さん身じろいでなかったし!!眉毛だってピクリともしてなかったし!!)
ぎゅっと神楽を抱きしめながら雪は自分の行動がとてつもなく恥ずかしい事に気づき更に羞恥から顔を真っ赤に染めた。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられている神楽は『うーん』とうなっていたが、反省をし言い訳を並べている雪が気づくことはなかった。
暫くして雪は眠ったのか神楽の寝息と共に雪の寝息も聞こえはじめた。
雪に抱きしめられていた神楽もおっぱいを求め抱きしめ返し、お互い抱き合いながら深い眠りについている雪の姿を隣の人物が見つめていた。
「……………」
閉じていた瞼をゆっくりと開き、隣の人物――銀時はむくりと起き上がる。
(な、何なんだ…!あの可愛い生き物は!!)
銀時は起きていた。
あんなにもべたべたと雪が触っていたのだから当たり前だが…銀時は起きるタイミングがなく、仕方なく狸寝入りをしていたのだ。
狸寝入りは神楽対策ですでにプロ級だったため雪は気づかなかったのだろう。
銀時はふにふにと自分の唇に触れた後顔を真っ赤にさせる雪に悶えていた。
雪が眠ったのを確認し、銀時は『うおぉぉ!』と心の中で言葉にならない叫びをあげ顔を手で覆う。
(もう駄目だ…銀さんもう無理…理性が持たない……この際襲っちまおうかな…神楽は一度寝たら朝まで起きねえし……いいよね?これ銀さん犯罪にならないよね?だって自分好みのロリ巨乳が自分の顔をベタベタ触った挙句に唇を凝視してふにふに触るんだよ!?しかも髪の毛だけど『気持ちいい』って言ってんだよ!?銀さんそれだけでご飯3合は軽いよ!!もうこれ誘ってるんだよね!!誘ってなかったら何なの!?天然なの!?小悪魔なの!?雪ちゃんなら銀さん手玉にとられてェェェ!!)
恥じらう年齢ではないが…まあ恥じらってもいないが……銀時は雪に萌えていた。
今、銀時の脳裏に天使の自分と悪魔の自分がいる。
悪魔の自分は『襲っちまえよ!んで既成事実作ってとっとと結婚しちまえよ!!子供さえ作っちまえば親の必要性を知ってるあのメスゴリラも半殺しで許してくれるさ!!お前雪を本気で愛してんだろ!!男を見せろ!!』と突っつき、天使の自分が『駄目だよ!銀さんそれは駄目だ!!ちゃんと手順を追ってゴールインしなきゃ!!だって昨日だって雪は嫌がらなかったし結構いい反応してくれたじゃないか!!ここで襲ったら雪が銀さんを嫌いになるだけじゃなくてあのメスゴリラに本殺しされた挙句に神楽に冷たい目で見られて死んだ自分がいなくなったから神楽が雪のおっぱいを独り占めして更には銀さんがいなくなった事でマヨラーとドS王子が雪を狙ってもしかしたらどっちかと結婚して可愛い雪似の子供作って老衰するまでそいつと末永く幸せになるんだよ!!襲ったら駄目だよ!!』と突っ込み満載に悪魔を突き飛ばした。
2人の意見を聞き、銀時が取ったのは…
(だよ、な…そうだよな…出来ちゃった結婚でも俺は構わないし雪を手放す気はさらさらないが……あのメスゴリラに殺されて雪をNTRだけは勘弁だ!!雪と結婚して雪似の可愛いストレートヘアーの子供を作って老衰するまで末永く幸せになるのは俺だァァ!!!)
天使の方だった。
雪は知らないうちに貞操が守られたのも知らずすやすやと眠っており、そんな雪の背を銀時はチラリと横目で見た後2人が起きないように2人の傍へと移動する。
そして雪の枕を投げ捨て雪が起きないように自分の腕にすり替え、雪と神楽を抱き枕のように抱き込んだ。
(まあ…幸いにも雪は多串くんや沖田くんの好意を冗談だと思ってるようだし……ゆっくり焦らず行けばいいか…)
理性は何とかなるだろう、ともう銀時は何も考えずとりあえずまずは妙に殺されないよう手順を踏んでいこうと決意しながら雪の匂いに包まれながら眠りについた。
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