雪はそろそろ聞く耳を持たない男三人に本気で切れそうだった。
「おいおい、何勝手に話し進めちゃってるわけ?」
「!――銀さん!」
春雨再来な雪になる前に助け舟が出た。
勿論助け船の行き先は雪ではなく真選組である。
雪は助かった!、と思ったその時――
「雪は俺の奥さんだから!!」
そう高々に断言しやがった。
雪の我慢も銀時の言葉で堪忍袋の緒が切れる。
「だあかあらああああ!!!誰が奥さんじゃボケエエエ!!てめえら全員断崖絶壁に飛び降りて岩に頭ぶつけて死にさらせやアアアアア!!!」
雪は自分の頭のどこかがブチリと切れた音が聞こえ、その瞬間叫んだ。
それはもう木々に止まっていた鳥が一斉に飛んでいくほどに。
それはもう木に隠れ隊長を見守っていた鷹臣の部下達がボトボトと落ちていくほどに。
「もう銀さんも土方さんも近藤さんも知りません!!」
雪は二度に渡りプンスカと怒り男達全員置いて神楽を探しに向かった。
キーン、と雪の大音量の声に耳に指を突っ込む。
小さくなっていく雪の背が消え、銀時は溜息をついた後土方達に振り返り死んだ魚の目で睨む。
「ちょっとちょっと…雪ちゃん怒っちゃったじゃん、どうしてくれるわけよ」
「あ?ありゃお前のせいだろどう見ても。俺らは関係ねえ」
「はあ?関係ないだァ?関係大ありだ馬鹿野郎!お前らが雪を給仕にするとか言いだしたから雪が怒ってんだろ!!激おこなんだろ!!」
「えー?でも俺たち別に変な事言ってないですけどー」
「てめぇはもう黙ってろ!もう口を開くな!頼むから!!大体な雪が苛立ってんのてめぇのせいでもあんだからな!!」
「えっ…そ、そうなんだ…お雪さん…イライラしてたんだ…………そっか……お雪さん、そんなに俺と二人っきりになりたかったのか…」
「そうそう雪はお前と二人っきりになりたくてイライラして――…るわけねえだろぉがあああ!!何なのお前!本当になんなの!?どうしてそんな前向きなの!?人間はさ!ちょっと後ろ向きくらいが丁度いいんだよ!?前向きすぎるとうざがられるだよ!?激おこだけじゃすまされないんだよ!?もういいや…お前もういい…お前ら兄弟は今から空気な?喋んなよ?空気は喋るもんじゃねえし」
「空気はさっきから名前は上がるけど一言も喋らせてくれない兄上の事を言うんですよ」
「うっせええよ!!うっせぇ!!だから黙ってろって言ってんだろ!!人がせっかく気づかないフリしてたのによおお!!」
プンプン、と怒りの表現を具現化するほど怒る雪に銀時は土方を睨んだ。
端から鷹臣は全く相手にしていないようで、銀時の言葉に土方はムッと眉間にしわを寄せ睨み返す。
責任の擦り合いだが、強制的に傍観させられている近藤から見たらどっちもどっちである。
銀時は何も分かっていないような鷹臣の言葉に本気でイラッと来ているのか土方よりも鋭い睨みを鷹臣に向ける。
しかしやはり鷹臣は平然としており相変わらずな優男風を装っていた。
優男風が一番厄介であることを知っている銀時は舌打ちを打ちたいのを我慢しイライラをツッコミに乗せて鷹臣に突きつけた。
近藤が先ほどから喋らない事を指摘されて揚げ足を取られた銀時は頭を掻きむしる勢いで突っ込み、落ち着くように息をついた。
「もうなんでもいいが…おたくら雪を狙ってるようだがもう遅ぇんだよ」
「……どういう意味だ」
溜息をつき銀時はまっすぐ土方を射抜く。
『おたくら』と言っているが当然空気兄弟ではなく、ここにはいない沖田を指していた。
銀時の言葉に土方が纏う空気が一遍した。
しかし何事もなかったように土方は殺気をそのままにしながらもいつものように手に持っていた煙草を咥え直し銀時から顔を逸らして煙を吐きす。
ピリピリとした空気がその場全体に漂い銀時は土方の低い声にニヤリと笑う。
「俺は雪と寝てんだっつー意味だ」
銀時の言葉が更にその場の空気を重くする。
『寝てる』、という言葉に土方はピクリと片眉を上げゆっくりと銀時へ視線を戻す。
銀時の表情は相変わらず気に入らない笑みを浮かべており、その笑みに嘘は見当たらず土方は自分の機嫌が更に落ちていくのを感じた。
「寝てるだ?そりゃどういう意味だ」
「どういう意味ってそういう意味しかないだろ?」
「…てめぇんとこはガキが一匹いんだろ」
「あいつ一度寝たら中々起きねえし」
「雪は否定していたようだが?」
「ありゃ『奥さん』にだろ?」
「……ロリコンかてめぇ」
「それはお互い様だろうが。っていうかてめぇの上司には負けるわ」
「…………」
土方も雪に惚れている。
それは同じ人が好きな男としてすぐに分かった。
沖田も『あの衝撃』がどの衝撃かは分からないが惚れているのは確かだった。
だから銀時は横から掻っ攫われないために『嘘』を言った。
否、嘘はついていない。
銀時の言う『寝る』とは『ただ一緒に眠る事』であり、土方が思う『情事』ではない。
土方が勝手に深読みしているだけである。
だから銀時自身、嘘を言っている訳ではないと心の中で土方にそう呟いていた。
ただ言葉にしないだけで、ちゃんと言ってはいた。
そうとも知らない土方は勝手に勘違いし勝手に銀時に嫉妬している。
それがたまらず愉快でならない。
クツクツと笑う銀時が土方からは彼氏面の余裕を見せられているようで苛立ちを強め舌打ちをついた後煙草を投げ捨て足で踏んで消した。
銀時はこれで土方への牽制は済んだ、と思い次は沖田だな、と土方よりも駆け引きが難しい彼への攻略を考えていた。
しかしその次の瞬間―――
「き、きゃああああ!!!」
雪の悲鳴が銀時の耳に届いた。
「!――雪…!?」
雪の悲鳴に銀時は悪巧みなどよそに走り出す。
それは考えるより身体が動いたからだった。
しかしそれは銀時だけではなく、土方や鷹臣もまた例外ではなく、銀時と同時に2人も走り出した。
三人に続き近藤も、雪の悲鳴をきき駆けつける。
「おいおい、何勝手に話し進めちゃってるわけ?」
「!――銀さん!」
春雨再来な雪になる前に助け舟が出た。
勿論助け船の行き先は雪ではなく真選組である。
雪は助かった!、と思ったその時――
「雪は俺の奥さんだから!!」
そう高々に断言しやがった。
雪の我慢も銀時の言葉で堪忍袋の緒が切れる。
「だあかあらああああ!!!誰が奥さんじゃボケエエエ!!てめえら全員断崖絶壁に飛び降りて岩に頭ぶつけて死にさらせやアアアアア!!!」
雪は自分の頭のどこかがブチリと切れた音が聞こえ、その瞬間叫んだ。
それはもう木々に止まっていた鳥が一斉に飛んでいくほどに。
それはもう木に隠れ隊長を見守っていた鷹臣の部下達がボトボトと落ちていくほどに。
「もう銀さんも土方さんも近藤さんも知りません!!」
雪は二度に渡りプンスカと怒り男達全員置いて神楽を探しに向かった。
キーン、と雪の大音量の声に耳に指を突っ込む。
小さくなっていく雪の背が消え、銀時は溜息をついた後土方達に振り返り死んだ魚の目で睨む。
「ちょっとちょっと…雪ちゃん怒っちゃったじゃん、どうしてくれるわけよ」
「あ?ありゃお前のせいだろどう見ても。俺らは関係ねえ」
「はあ?関係ないだァ?関係大ありだ馬鹿野郎!お前らが雪を給仕にするとか言いだしたから雪が怒ってんだろ!!激おこなんだろ!!」
「えー?でも俺たち別に変な事言ってないですけどー」
「てめぇはもう黙ってろ!もう口を開くな!頼むから!!大体な雪が苛立ってんのてめぇのせいでもあんだからな!!」
「えっ…そ、そうなんだ…お雪さん…イライラしてたんだ…………そっか……お雪さん、そんなに俺と二人っきりになりたかったのか…」
「そうそう雪はお前と二人っきりになりたくてイライラして――…るわけねえだろぉがあああ!!何なのお前!本当になんなの!?どうしてそんな前向きなの!?人間はさ!ちょっと後ろ向きくらいが丁度いいんだよ!?前向きすぎるとうざがられるだよ!?激おこだけじゃすまされないんだよ!?もういいや…お前もういい…お前ら兄弟は今から空気な?喋んなよ?空気は喋るもんじゃねえし」
「空気はさっきから名前は上がるけど一言も喋らせてくれない兄上の事を言うんですよ」
「うっせええよ!!うっせぇ!!だから黙ってろって言ってんだろ!!人がせっかく気づかないフリしてたのによおお!!」
プンプン、と怒りの表現を具現化するほど怒る雪に銀時は土方を睨んだ。
端から鷹臣は全く相手にしていないようで、銀時の言葉に土方はムッと眉間にしわを寄せ睨み返す。
責任の擦り合いだが、強制的に傍観させられている近藤から見たらどっちもどっちである。
銀時は何も分かっていないような鷹臣の言葉に本気でイラッと来ているのか土方よりも鋭い睨みを鷹臣に向ける。
しかしやはり鷹臣は平然としており相変わらずな優男風を装っていた。
優男風が一番厄介であることを知っている銀時は舌打ちを打ちたいのを我慢しイライラをツッコミに乗せて鷹臣に突きつけた。
近藤が先ほどから喋らない事を指摘されて揚げ足を取られた銀時は頭を掻きむしる勢いで突っ込み、落ち着くように息をついた。
「もうなんでもいいが…おたくら雪を狙ってるようだがもう遅ぇんだよ」
「……どういう意味だ」
溜息をつき銀時はまっすぐ土方を射抜く。
『おたくら』と言っているが当然空気兄弟ではなく、ここにはいない沖田を指していた。
銀時の言葉に土方が纏う空気が一遍した。
しかし何事もなかったように土方は殺気をそのままにしながらもいつものように手に持っていた煙草を咥え直し銀時から顔を逸らして煙を吐きす。
ピリピリとした空気がその場全体に漂い銀時は土方の低い声にニヤリと笑う。
「俺は雪と寝てんだっつー意味だ」
銀時の言葉が更にその場の空気を重くする。
『寝てる』、という言葉に土方はピクリと片眉を上げゆっくりと銀時へ視線を戻す。
銀時の表情は相変わらず気に入らない笑みを浮かべており、その笑みに嘘は見当たらず土方は自分の機嫌が更に落ちていくのを感じた。
「寝てるだ?そりゃどういう意味だ」
「どういう意味ってそういう意味しかないだろ?」
「…てめぇんとこはガキが一匹いんだろ」
「あいつ一度寝たら中々起きねえし」
「雪は否定していたようだが?」
「ありゃ『奥さん』にだろ?」
「……ロリコンかてめぇ」
「それはお互い様だろうが。っていうかてめぇの上司には負けるわ」
「…………」
土方も雪に惚れている。
それは同じ人が好きな男としてすぐに分かった。
沖田も『あの衝撃』がどの衝撃かは分からないが惚れているのは確かだった。
だから銀時は横から掻っ攫われないために『嘘』を言った。
否、嘘はついていない。
銀時の言う『寝る』とは『ただ一緒に眠る事』であり、土方が思う『情事』ではない。
土方が勝手に深読みしているだけである。
だから銀時自身、嘘を言っている訳ではないと心の中で土方にそう呟いていた。
ただ言葉にしないだけで、ちゃんと言ってはいた。
そうとも知らない土方は勝手に勘違いし勝手に銀時に嫉妬している。
それがたまらず愉快でならない。
クツクツと笑う銀時が土方からは彼氏面の余裕を見せられているようで苛立ちを強め舌打ちをついた後煙草を投げ捨て足で踏んで消した。
銀時はこれで土方への牽制は済んだ、と思い次は沖田だな、と土方よりも駆け引きが難しい彼への攻略を考えていた。
しかしその次の瞬間―――
「き、きゃああああ!!!」
雪の悲鳴が銀時の耳に届いた。
「!――雪…!?」
雪の悲鳴に銀時は悪巧みなどよそに走り出す。
それは考えるより身体が動いたからだった。
しかしそれは銀時だけではなく、土方や鷹臣もまた例外ではなく、銀時と同時に2人も走り出した。
三人に続き近藤も、雪の悲鳴をきき駆けつける。
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