(8 / 9) ああ やっぱり我が家が一番だわ (8)
ドォン、と爆発音が夜空に響く。
その爆発音によって騒動は収まり、動きを止めた雪達は爆発した方へと視線を送る。
そこにはうつ伏せで倒れている近藤がいた。


「あら近藤さんが爆発したわ。」

「あぁ、暑かったあるヨ」

「そりゃ爆発もするな。」

「んなわけねえだろ。自分で仕掛けた地雷踏んだんだよ。どこに地雷があるか分かんないのにバッカだね〜」


黒焦げの近藤を見て爆発したのは暑さのせいにした。
しかし銀時の否定の言葉に皆同時に笑いだすも雪はハッと我に返り庭の方へと振り返る。


「ってあれ!?ちょっと待って!ひょっとして…地雷どこに仕掛けたか…みんな覚えてないの!?」


ハッと我に返った雪は冷や汗をタラリと流す。
庭は相変わらず何もないが、見渡せば地雷があるという目印が一つもなかった。
雪の言葉に笑っていた全員が笑い声を止める。


「大変だわ…明日新聞配達のおじさんが爆発するわ」

「言ってる場合ですか!?」


これだけの人数がいて誰一人として地雷が埋め込まれた場所など覚えていないようで、雪は顔を引きつらせた。
自分の家なのにこれから地雷への恐怖も伴いながら暮らさなきゃいけないと思うとすでに家に帰りたくなくなった。
ズレたボケをかます姉に雪は突っ込みをいれたその時、笑い声が雪の耳に届く。
顔を上げれば屋根に人影が浮かんでいた。


「光ある所に影がある!一つ人より禿げがある!パンツのゴムに導かれ今宵も駆けよう!男ロマン道!!怪盗ふんどし仮面!ここに見参!!」


月をバックに現れたの待ちに待った泥棒だった。
泥棒は記事の通り赤いふんどしを被りブリーフ一丁で現れた。
恥じるべき姿なのに男が堂々とし過ぎてある意味尊敬してしまう。
泥棒は上から雪達を見下しながら笑い声を上げる。


「滑稽だ!滑稽だよお前ら!!何だか俺のために色々用意してくれたようだが無駄に終わったようだなァ!」

「最悪だァァ!最悪のタイミングで出てきやがったーー!」

「こんな子供騙しに俺が引っかかるとでも?天下の義賊ふんどし仮面も見くびられたものよ…ここまで来れば相手になってやるぞ?ん?」


いつからいたかは不明だが、どうやら泥棒は地雷に気づいているようで、わざわざ屋根に上ったらしい。
屋の上に登られ捕まえたくとも地雷だらけの庭を掛ける勇気は雪にはない。
しかし黙っていても自分のパンツが変態達に渡り………――自分のパンツが変態たちに渡された後の事を想像してしまい雪はぞっとさせる。
地雷が仇となり泥棒を捕まえられなくなった銀時達を見て泥棒は笑みを深めた。


「そこで指を咥えて見ているがいい!!己のパンツが変態!電波男!チェリーボーイ!スケベノビッチ!妄想スキー達の手に渡る瞬間をなァ!!」


泥棒の言葉に雪は今まで曖昧に浮かべて誤魔化してきたパンツの末路に顔を青くする。
例え新品だとしても、洗ったとしても、自分以外の人間に自分のパンツが渡りオカズになると思うとぞっとするというより南極にいる気分にさせられる。
もし警察が捕まえ、泥棒が盗んだこれまでの施しを返されても雪はきっと全力で拒否するだろう。
動くに動けない雪達を泥棒は愉快そうに笑い、そして行動に移した。
一気にパンツを盗もうと泥棒は屋根から駆け下りようとする。
しかし、泥棒の前方を真選組の隊士達が塞ぐ。


「こんな事もあろうかとっていうヤツでさァ」


雪は泥棒の前を塞ぐ隊士達に目を丸くした。
どうやら準備しただけで帰ったと思っていた隊士達は屋根の上に隠れていたようで、泥棒はジリジリと迫る真選組達から逃げるように後ろへと下がっていく。
だが、その後ろにも甲冑姿の山崎が周り、泥棒は前と後ろを塞がれ逃げられなくなった。


「おー!山崎!ブチのめしたれ!!」


土方の言葉に山崎は『はい!』と返事を返しながらギギギと音を立てて腕を振り上げた。
その腕には何故かバトミントンのラケットが握られていた。
山崎は土方の言葉に返事をする。
しかし返事を返した途端に甲冑のマスクが落ち、山崎は視界が塞がってしまう。
そのせいでバランスを崩しコロコロと転がっていく。
転がってくる山崎に泥棒は軽やかに飛んで避けたが、真選組はボーリングのように転がってきた山崎に巻き込まれ屋根から落ちる。
真選組達が庭へと落ちればお約束に地雷が反応し本日二度目の爆発が起こった。
土方は何しに来たのか分からない山崎に呆れたため息を送る。


「フハハ!!愚かなり!真選組!!」


自爆した真選組を笑いながら邪魔者が消えたため泥棒はすばやい動きで屋根から縁側へと移動した。
しかし縁側へと着地したその瞬間――三度目の爆発が起こる。


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