(3 / 14) 親子ってのは嫌なとこばかり似るもんだ (3)
平賀がある意味自爆し、気を失っている間に銀時達は平賀を縄で柱に縛り付けた後銀時達にはガラクタにしか見えない山を片づけていく。


「うわあ!カラクリの山だ!これ全部平賀さんが作ったんですか?」


雪はカラクリの山を見て驚いたように声を上げる。
運ぶのを見てみればどうやら全て手作りのようで、返事はあまり期待していなかった雪はそのまま表へと持っていたカラクリを運ぶ。


「てめえら!何勝手に引っ越しの準備進めてんだ!!ちきしょー!!縄ほどけェェ!!」


気が付いた平賀は目の前の光景にまず絶句した。
自分が縛られている事も驚きだが、気を失っている間ほとんどのカラクリが回収されている最中で、喚き散らす。
しかしそんな抵抗も空しく、雪達の手によって丹精込めて作ったカラクリたちはバラバラに分解され運ばれていく。


「おい、茶ァ頼むわ。」

≪御意≫

「三郎ォォ!!てめぇ何こき使われてんだ!助けんかい!」

「いやぁ〜、実にいいモン作ってるじゃねえか、じいさん。このポンコツ君、うちにもひとつくんねえ?」


助けを求めるべく三郎と名付けたロボットを見るも、三郎は何故か作り主の敵である銀時の命令に従い、お茶を汲みに動く。
それに咎めるように叫べば三郎からの声ではなく銀時のニヤついた顔が返ってきた。
しかしその瞬間お茶を汲みに行っていた三郎に頭からお茶を注がれ、熱湯に近いそのお茶に銀時は悲鳴をあげ、熱さで転がる銀時に平賀は『ざまぁみろ!』と笑う。


「三郎はある程度の言語を理解できるんだよ!自分に攻撃的な言葉や行動をとる奴には鉄拳で答えるぞ!―――よし!今のうちにわしを解放しろ!早くしろポンコツ!!」


忠告したのは自分なのに関わらず平賀もまた三郎に『ポンコツ』と言い張り、三郎に文字通り鉄拳を食らった。
そんな2人のやり取りを見ていた雪は呆れたような目線を平賀と銀時に向ける。


「…お登勢さん、あの人本当に江戸1番の発明家なんですか?」

「なんかそうらしいよ。でも私らにはただのガラクタにしか見えないけどねぇ。」


カラクリを組み立てれるというだけで機械音痴の雪からしたら驚きだが、先ほどのやり取りを見てしまうとどうも江戸1番の発明家という肩書が嘘に見えて仕方がない。
知り合いらしいお登勢に聞けば気の抜けた返事が返り、平賀からは『ガラクタなんかじゃねぇ!』と叱られてしまった。


「物を創るってのはてめぇの魂を現世に具現化するようなもんよ。こいつらはみんな俺の大事な息子よ」

「…息子さん、あっちで不良に絡まれてるよ。」

「え」


発明家でも様々な人間がおり、平賀は機械を息子と呼び可愛がっている一人だった。
そんな実の息子と呼び可愛がっているロボットの一体が――神楽という名の不良に絡まれていた。
銀時が指差す方向へと目をやればそこには神楽が楽しそうに笑いながら三郎を持ち上げグルグルと回す姿が映り平賀は2度目の悲鳴を上げた。


「ロケットパンチ発射アルー!!」

「やめ、止めてぇぇ!!そんな機能ないから!腕もいでるだけだからぁ!!」


雪は三郎の腕をもぎ取り楽しそうに投げる神楽を見つめながら『ふふ、神楽ちゃん楽しそう』と微笑み、微笑む雪に銀時も釣られたように笑みを浮かべ『ああ、あいつがあんなに喜ぶとはな…買い与えて正解だったな。』と雪の肩を抱く。
うふふあはは、と娘におもちゃを与え喜ぶ姿を微笑ましそうに見つめている夫婦のような二階の住人にお登勢は『いや、お前ら現実逃避してないで止めてやれよ』と後ろで静かに突っ込んだ。
お登勢に突っ込まれた雪は銀時の手を抓って放しながら神楽の事は放置を選び仕事中は突っ込みは封印したのかカラクリを運んでいき、さっきからぼうっと突っ立っている銀時にもカラクリを持たせ働かせる。
お登勢は文句を言いながらも雪に逆らえない銀時を見て、嫁に尻に敷かれている息子を見る親の気持ちを味わいせめて見ないように目をそらしてやったという。





カラクリは荷台に乗せ、近くの河川敷へと移した。
ガラガラと音を立てながら積み上がったカラクリの山を見て銀時は『これでよし、と。』と腕を回し疲れた体をほぐす。


「ここならいくら騒いでも大丈夫だろ、好きなだけやりな。」

「いや、好きなだけっておめぇ…みんなバラバラなんですけど…なんて事してくれんだてめぇら!」

「大丈夫だヨ、サブは無事アル!」

≪御意≫

「御意じゃねえよ!!なんか形違うぞ!?腕ねえじゃんか!腕!!」


雪も荷台を引っ張るのを手伝ったからか疲れたようにその場にしゃがんだ。
せっかく丹精込めて作ったカラクリが一瞬にしてバラバラになり平賀は頭を抱える。
頭を抱える平賀に神楽は三郎は無事だと三郎に肩車してもらっていたが、三郎の両腕は楽しそうな声を上げて神楽がもいでしまったためない。
唯一形がとどまっている三郎も両腕がないと平賀が蹲る。


「どうすんだ!これじゃ祭りに間に合わねえよ!!」

「「祭り?」」


蹲り嘆く平賀の言葉に雪と銀時は同時に首を傾げた。
祭り、とロボットとどう関係があるのか分からなかったのだろう。


「三日後、鎖国解禁20周年の祭典が行われんだよ…それに珍しく将軍様も出てくるらしくてよぉ…そこで俺のカラクリ芸を披露するよう幕府から命がくだってたんだよ……どうすんだ!間に合わなかったら切腹モンだぞ!?」

「………あ、ヤベ。カレー煮こんでたの忘れてた」

「オイィィィ!!三郎の腕返せェェ!!」


どうやらロボットを製作していたのは趣味ではなく、ちゃんとした依頼だったらしい。
それも幕府からの。
それを聞いた銀時達はそそくさと逃げるようにその場から立ち去り、その際神楽が三郎の腕を持って帰ってしまいせめて腕だけ返せと平賀は叫んだ。


「なんて奴らだ…無茶苦茶だ…」

「…あんた大丈夫なのかい?」

「やるしかねえだろ、徹夜で仕込めばなんとか…」

「そうじゃない、息子さんのことだよ…」

「…………」


壊すだけ壊して逃げていった万事屋に平賀は怒りを通り越して呆れしか出てこない。
頭を抱える平賀にお登勢は銀時達を見送った後声を掛けた。
お登勢の声掛けに平賀は頭を掻きながらため息をつくも、続けられた言葉に動きを止めた。


「あんたの息子、確か幕府に…」

「…お登勢よ、年寄りが長生きするコツは嫌なことはさっさと忘れることだよ……――それに言ったろ?今はこいつらが俺の息子だってよ。」


平賀はそう呟きながら両腕をもがれた三郎に歩み寄り見上げた。


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