祭りなんて久々だった。
雪は最後に行った祭りを思い出せばまだ父が健在の頃で幼すぎて全然覚えていない。
何を買ってもらったのか、何をねだったのか…まったく記憶になかった。
否、何を買ってもらったか覚えていないと言ったがただ一つ、覚えている物がある。
それが――リンゴ飴だった。
「雪ーそれ一口くれヨ」
「えー…神楽ちゃんの一口大きいじゃん。新しいの買ってあげるから――」
「いいから寄越すアル!!」
「――あっ!!ちょ、神楽ちゃん!!」
人が食べている物は美味しそうに見えるのはどの人種でも同じだったようで、リンゴ飴を買ってご機嫌にかじっている雪に神楽はどうしてもそのリンゴ飴が欲しくてたまらなくなった。
まだリンゴ飴の店とはそう離れていないからと新しいのを買ってあげようと視線を逸らしたその隙に神楽にリンゴ飴を齧られてしまった。
案の定、神楽の一口は大きくほぼ半分が消えた。
まだ一口しか齧っていなかった雪は先手を打たれた口惜しさに涙目を浮かべる。
それでも神楽は雪の手を放すことはなかった。
「あ、おじちゃんだ。」
「げ…激辛毒舌娘…!」
リンゴ飴をかじり満足げの神楽とリンゴ飴をかじられとぼとぼと歩く雪の前に現れたのは長谷川だった。
長谷川は射的の出店を出しているようで、後ろには雛壇の上に商品がいくつも置いてある。
目ざとく見つけた神楽を見て長谷川は顔を引きつらせていた。
どうやら神楽が苦手らしい。
「長谷川さんじゃないですか!就職先見つかったんだ!おめでとうございます!」
「ま、まあね!!2人は何?銀さんとはぐれちゃったわけ?」
「いえ、別行動です。出不精なあの人がついてくるわけがないですよー」
「そうか?普通について来そうだけどね…――雪ちゃんにおねだりして甘えるために」
「え?」
「ああ!いや!なんでもない!!あ!そうだ!ちょっとやっていかない?サービスするよ!」
マダオ代表・長谷川は雪と神楽ときたら銀時だと、姿の見えない銀時を探すもどこにもいない事に不思議に思った。
逸れたのかと聞けば雪は笑いながら否定する。
あの雪に甘えたな男が絶好のチャンスを逃がすはずがないと思っていたが、どうやら本気で逃がしているらしく、今雪を独り占めしているのは激辛毒舌娘と評した神楽だった。
知り合いだからサービスするよ、という長谷川に意外にも神楽がその気になり早速射的の銃の先にコルク玉を付け神楽はとうもろこしを咥え構える。
「当てれば何でもくれるアルか?」
「ああ!あげるぞ!よーく狙っ―――ぐふっ!」
「寄こせヨ、グラサン。」
しかし狙って当てたのは商品でもなければ雛壇でもなく…何故か長谷川のグラサンだった。
コルク玉が当たり地味に痛がる長谷川を余所に神楽は当てたからと落ちたグラサンを所望する。
「いや、ちょ…狙うのあっち――」
「腕時計ゲーッツ」
落ちたグラサンを掛け直しながら神楽にルールを説明しようと雛壇を指差したその時、腕時計が撃ち抜かれてしまった―――イカの姿焼きを手にする沖田に。
黒い制服姿で現れた沖田に雪は目を丸くするもいつものサボリだと気づいたのか『土方さん可哀想…』と心の中で頼れる常識人のあの人を憐れんだ。
「ちょー!ちょっと待ってって!待てってオイ!!何でもあげるつったっておじさんのは別だよ!!ねえちょっと聞いてる!?」
沖田に神楽。
この2人が揃うともはやそこは戦場と化す。
雪は早くも諦めたのか2人の戦いを見守る事にした。
ここで別行動を取ろうものならまさに警察沙汰になることは必須。
せっかく神楽も浴衣を着て可愛くなったというのに…沖田の登場でボロボロになる未来絵図しか浮かんでこなかった。
雪は『スパッツ穿かせておいてよかった…』、と心からそう思う。
神楽は咥えていた焼きとうもろこしを雪に渡し、沖田はイカの姿焼きを何故か雪の口に咥えさせお互い睨み合いながら長谷川を狙い競うように撃ち続けた。
『ヒゲもーらい!』やら『上着ゲーッツ』やら『乳首取ったり―!』やらが聞こえるたびに雪は脱力感が否めなかった。
雪は最後に行った祭りを思い出せばまだ父が健在の頃で幼すぎて全然覚えていない。
何を買ってもらったのか、何をねだったのか…まったく記憶になかった。
否、何を買ってもらったか覚えていないと言ったがただ一つ、覚えている物がある。
それが――リンゴ飴だった。
「雪ーそれ一口くれヨ」
「えー…神楽ちゃんの一口大きいじゃん。新しいの買ってあげるから――」
「いいから寄越すアル!!」
「――あっ!!ちょ、神楽ちゃん!!」
人が食べている物は美味しそうに見えるのはどの人種でも同じだったようで、リンゴ飴を買ってご機嫌にかじっている雪に神楽はどうしてもそのリンゴ飴が欲しくてたまらなくなった。
まだリンゴ飴の店とはそう離れていないからと新しいのを買ってあげようと視線を逸らしたその隙に神楽にリンゴ飴を齧られてしまった。
案の定、神楽の一口は大きくほぼ半分が消えた。
まだ一口しか齧っていなかった雪は先手を打たれた口惜しさに涙目を浮かべる。
それでも神楽は雪の手を放すことはなかった。
「あ、おじちゃんだ。」
「げ…激辛毒舌娘…!」
リンゴ飴をかじり満足げの神楽とリンゴ飴をかじられとぼとぼと歩く雪の前に現れたのは長谷川だった。
長谷川は射的の出店を出しているようで、後ろには雛壇の上に商品がいくつも置いてある。
目ざとく見つけた神楽を見て長谷川は顔を引きつらせていた。
どうやら神楽が苦手らしい。
「長谷川さんじゃないですか!就職先見つかったんだ!おめでとうございます!」
「ま、まあね!!2人は何?銀さんとはぐれちゃったわけ?」
「いえ、別行動です。出不精なあの人がついてくるわけがないですよー」
「そうか?普通について来そうだけどね…――雪ちゃんにおねだりして甘えるために」
「え?」
「ああ!いや!なんでもない!!あ!そうだ!ちょっとやっていかない?サービスするよ!」
マダオ代表・長谷川は雪と神楽ときたら銀時だと、姿の見えない銀時を探すもどこにもいない事に不思議に思った。
逸れたのかと聞けば雪は笑いながら否定する。
あの雪に甘えたな男が絶好のチャンスを逃がすはずがないと思っていたが、どうやら本気で逃がしているらしく、今雪を独り占めしているのは激辛毒舌娘と評した神楽だった。
知り合いだからサービスするよ、という長谷川に意外にも神楽がその気になり早速射的の銃の先にコルク玉を付け神楽はとうもろこしを咥え構える。
「当てれば何でもくれるアルか?」
「ああ!あげるぞ!よーく狙っ―――ぐふっ!」
「寄こせヨ、グラサン。」
しかし狙って当てたのは商品でもなければ雛壇でもなく…何故か長谷川のグラサンだった。
コルク玉が当たり地味に痛がる長谷川を余所に神楽は当てたからと落ちたグラサンを所望する。
「いや、ちょ…狙うのあっち――」
「腕時計ゲーッツ」
落ちたグラサンを掛け直しながら神楽にルールを説明しようと雛壇を指差したその時、腕時計が撃ち抜かれてしまった―――イカの姿焼きを手にする沖田に。
黒い制服姿で現れた沖田に雪は目を丸くするもいつものサボリだと気づいたのか『土方さん可哀想…』と心の中で頼れる常識人のあの人を憐れんだ。
「ちょー!ちょっと待ってって!待てってオイ!!何でもあげるつったっておじさんのは別だよ!!ねえちょっと聞いてる!?」
沖田に神楽。
この2人が揃うともはやそこは戦場と化す。
雪は早くも諦めたのか2人の戦いを見守る事にした。
ここで別行動を取ろうものならまさに警察沙汰になることは必須。
せっかく神楽も浴衣を着て可愛くなったというのに…沖田の登場でボロボロになる未来絵図しか浮かんでこなかった。
雪は『スパッツ穿かせておいてよかった…』、と心からそう思う。
神楽は咥えていた焼きとうもろこしを雪に渡し、沖田はイカの姿焼きを何故か雪の口に咥えさせお互い睨み合いながら長谷川を狙い競うように撃ち続けた。
『ヒゲもーらい!』やら『上着ゲーッツ』やら『乳首取ったり―!』やらが聞こえるたびに雪は脱力感が否めなかった。
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