カキン、と何かが折れた音が雄叫びの中に混じって土方の耳に届いた。
「うそオオオオ!!!名刀虎鉄ちゃんが…!うそオオオオ!!トシこれ、虎鉄ちゃんが……うそオオオ!!」
「うるせえな!!言ってる場合かよ!!」
「だってお前これ…!まだローンが…うそオオ!!」
振り返れば近藤が涙目になっており、その手にある刀は綺麗に折れていた。
まだローンが残っていると泣きはじめる上司に土方は相手にするつもりはないらしく折れた刀を見せる近藤を切って捨てる。
「斬っても斬っても湧いて出やがる…!キリがねえぜ!」
同じようなカラクリが湧いて出てくるかのように倒しても倒しても土方達真選組の前に現れる。
幸いなのは将軍はすでに避難している事だろう。
舌打ちを打ち鋭い目でカラクリを睨み付け襲い掛かってくるカラクリを斬りつけようとしたその時、突然カラクリが一人で壊れはじめた。
次々と壊れはじめるカラクリに唖然としていると、崩れ落ちたカラクリのボディ部分を見慣れた人物達が足を乗せているのが見えた。
「祭りを邪魔する悪い子は…」
「だァれだァァ」
その人物こそ、神楽と沖田の暴走コンビだった。
2人はせっかく雪と祭りをまわりあわよくば相手を蹴り落し二人っきりになる計画が台無しにされ怒り狂っていた。
「あ、あれは妖怪祭り囃子!祭りを妨害する暴走族などをこらしめる古の妖怪だ!!」
「いや違うと思う」
次々とカラクリを倒していく2人の祭りへの執念に土方は軽く引き顔を引きつらせていた。
ボケなのか天然なのか…そんな2人を見て近藤は妖怪だと叫ぶ。
「祭りの神が光臨なされたぞ!!勝利は我らの手にあり!!」
そのままのノリで近藤はカラクリに向かっていき、近藤の言葉と次々と倒していく2人に士気が上がったのか隊士達も近藤に習いカラクリに向かっていく。
それを見送った土方は咥えていたタバコを思いっきり吸った後白い煙を吐き出し煙草を落とし足で消す。
「ったく…やるっきゃねえか…」
ノリはどうであれ幕府に楯突く輩を捕まえるのが自分達の仕事。
なら土方がしなくてはならない事は1つしかなかった…ノリはどうであれ。
土方は刀を握り直し戦いの中へ消えていく。
騒がしい光景を前に平賀は三郎の腕を上げさせ微調整する。
「次は実弾だ、よーく狙えよ三郎」
≪御意≫
「もう止めてください!!」
「…!」
白い煙は煙幕で実弾ではなかった。
客が逃げ出したのを見て平賀は三郎の腕に実弾を込める。
だが微調整を済ました平賀の前に雪が立ちふさがり、平賀は調整ていた手を止める。
「将軍様はとっくにお逃げになりましたよ!」
「…そうか…目ぇ悪くなってるもんで見えんかったわ…まあいいさ…だったら今度はあの真選組とかいう連中を…」
「平賀さん!!」
雪の言葉に平賀は驚きもなかった。
平賀は将軍が逃げ出したというのに止めることなく、そして悔しがることなく将軍の次は真選組を狙い始める。
それを見た雪はバズーカの前に立ち平賀を睨む。
「おうおう、随分と物騒な見せもんやってんじゃねえか…ヒーローショーか何かか」
「…!」
雪が前に立ち塞ぎ平賀は動きを止める。
睨み合っていると聞き慣れた声が2人の耳に届き声のした方へ顔を向ければ、そこには銀時がいた。
雪が銀時の名を呼べば銀時はチラリと雪を横目で見た後返事をせず雪の傍に歩み寄り『下がってろ』と言っただけですぐに平賀に向かい合う。
押しのけられた雪は銀時の態度に怪訝とさせたが今は銀時と言いあっている場合ではないためすぐに言いかけた口を閉ざす。
「俺にヒーロー役やらせてくれ」
「てめえじゃ役不足だ、どけ。」
雪の次は銀時と続けざまに邪魔され平賀は溜息をつく。
おちゃらける銀時に付き合うように平賀もポツリと呟き、銀時は目を細める。
「しょうもねえ脚本書きやがって…役者にケチつけられた義理かてめぇ。今時仇討ちなんざ流行らねえんだよ。―――三郎が泣くぜ」
「……どっちの三郎だ」
「どっちもさ」
「…………」
銀時と平賀のやり取りを雪はただ見るしかできない。
悔しいが平賀の事情を知っているらしい銀時に任せるしかないようである。
「こんなこたぁ、誰も望んじゃいねえ…あんたが一番分かってんじゃねえのか?」
「………わかってるさ…だがもう苦しくて仕方ねえんだよ…息子をあんな目に合わせて老いぼれ1人のうのうと生き残ってることが…くだらねえモンばかり眺めて生きていくのは…もう疲れた」
銀時の言葉に平賀は口を閉ざしていた。
仇など馬鹿らしいというのは本人がよく分かっているのだろう。
だが、分かっていても息子を亡くした悲しみは癒えることはない。
ますます憎しみが増すばかりである。
平賀は逃げ出した将軍がいた場所を目に移す。
そこは既にカラクリと真選組の争いで泥だらけになっていた。
「将軍の首なんざ本当はもうどうでもいいんだ…死んだ奴のためにしてやれることなんざ何もねえのも百も承知…俺ぁてめえの筋通して死にてえだけさ…だからどけ、邪魔するならお前らでも容赦しねぇ」
「どかねえ…俺にも通さなきゃならねえ筋ってもんがある。」
その泥だらけの床から銀時へ平賀は視線を戻す。
相変わらず死んだような目に見えるが、その目に強い意志が宿っているのが平賀からは見て取れた。
だが、もう平賀は後戻りできない。
「撃てエエエエ!!!」
だから平賀は三郎に命じた。
銀時が立ちはだかろうが息子の仇を討つために。
平賀の命令に三郎はバズーカを構える。
同時に銀時は腰に差していた木刀に手を伸ばし駆けた。
だが、三郎は何故か――バズーカを下げ平賀の命に背く。
銀時はその一瞬の隙を付き、木刀で三郎を斬りつける。
「三郎オオ!!馬鹿野郎!!なんでおめぇ撃たなかったんだ!!」
「……オ、親父…」
「――!!」
煙を上げながら倒れる三郎に平賀は駆け寄った。
命令に背いた三郎に駆け寄った平賀の耳に、機械音の言語が届く。
それは三郎からだった。
遠い昔、亡くした息子からだった。
三郎はギギギと音を立てながら駆け寄った平賀へと顔を動かす。
「カラクリ…テル…アンタ…好キダッタ…マルデ…ガキガ泥ダラケ…ハシャイ、デルヨウナ…好キ、ダ、ッタ…」
振り向いた三郎の言葉は途切れ途切れで繋がらない言葉だった。
しかし三郎が何が伝えたいのか…平賀に、銀時に、雪にも伝わり雪は涙があふれる。
平賀は停止した三郎に縋り付くように項垂れた。
「なんだってんだよ…!!どいつもこいつも!!どうしろってんだ!?一体俺に…っどうやって生きてけっていうんだよ!!!」
項垂れる平賀の言葉は騒動の中にかき消される。
だが雪と銀時には届き…
「さあな…長生きすりゃいいんじゃねえのか」
銀時はただ一言、平賀に向けてそう零す。
騒動は三郎の停止と同時に収まっていった。
「うそオオオオ!!!名刀虎鉄ちゃんが…!うそオオオオ!!トシこれ、虎鉄ちゃんが……うそオオオ!!」
「うるせえな!!言ってる場合かよ!!」
「だってお前これ…!まだローンが…うそオオ!!」
振り返れば近藤が涙目になっており、その手にある刀は綺麗に折れていた。
まだローンが残っていると泣きはじめる上司に土方は相手にするつもりはないらしく折れた刀を見せる近藤を切って捨てる。
「斬っても斬っても湧いて出やがる…!キリがねえぜ!」
同じようなカラクリが湧いて出てくるかのように倒しても倒しても土方達真選組の前に現れる。
幸いなのは将軍はすでに避難している事だろう。
舌打ちを打ち鋭い目でカラクリを睨み付け襲い掛かってくるカラクリを斬りつけようとしたその時、突然カラクリが一人で壊れはじめた。
次々と壊れはじめるカラクリに唖然としていると、崩れ落ちたカラクリのボディ部分を見慣れた人物達が足を乗せているのが見えた。
「祭りを邪魔する悪い子は…」
「だァれだァァ」
その人物こそ、神楽と沖田の暴走コンビだった。
2人はせっかく雪と祭りをまわりあわよくば相手を蹴り落し二人っきりになる計画が台無しにされ怒り狂っていた。
「あ、あれは妖怪祭り囃子!祭りを妨害する暴走族などをこらしめる古の妖怪だ!!」
「いや違うと思う」
次々とカラクリを倒していく2人の祭りへの執念に土方は軽く引き顔を引きつらせていた。
ボケなのか天然なのか…そんな2人を見て近藤は妖怪だと叫ぶ。
「祭りの神が光臨なされたぞ!!勝利は我らの手にあり!!」
そのままのノリで近藤はカラクリに向かっていき、近藤の言葉と次々と倒していく2人に士気が上がったのか隊士達も近藤に習いカラクリに向かっていく。
それを見送った土方は咥えていたタバコを思いっきり吸った後白い煙を吐き出し煙草を落とし足で消す。
「ったく…やるっきゃねえか…」
ノリはどうであれ幕府に楯突く輩を捕まえるのが自分達の仕事。
なら土方がしなくてはならない事は1つしかなかった…ノリはどうであれ。
土方は刀を握り直し戦いの中へ消えていく。
騒がしい光景を前に平賀は三郎の腕を上げさせ微調整する。
「次は実弾だ、よーく狙えよ三郎」
≪御意≫
「もう止めてください!!」
「…!」
白い煙は煙幕で実弾ではなかった。
客が逃げ出したのを見て平賀は三郎の腕に実弾を込める。
だが微調整を済ました平賀の前に雪が立ちふさがり、平賀は調整ていた手を止める。
「将軍様はとっくにお逃げになりましたよ!」
「…そうか…目ぇ悪くなってるもんで見えんかったわ…まあいいさ…だったら今度はあの真選組とかいう連中を…」
「平賀さん!!」
雪の言葉に平賀は驚きもなかった。
平賀は将軍が逃げ出したというのに止めることなく、そして悔しがることなく将軍の次は真選組を狙い始める。
それを見た雪はバズーカの前に立ち平賀を睨む。
「おうおう、随分と物騒な見せもんやってんじゃねえか…ヒーローショーか何かか」
「…!」
雪が前に立ち塞ぎ平賀は動きを止める。
睨み合っていると聞き慣れた声が2人の耳に届き声のした方へ顔を向ければ、そこには銀時がいた。
雪が銀時の名を呼べば銀時はチラリと雪を横目で見た後返事をせず雪の傍に歩み寄り『下がってろ』と言っただけですぐに平賀に向かい合う。
押しのけられた雪は銀時の態度に怪訝とさせたが今は銀時と言いあっている場合ではないためすぐに言いかけた口を閉ざす。
「俺にヒーロー役やらせてくれ」
「てめえじゃ役不足だ、どけ。」
雪の次は銀時と続けざまに邪魔され平賀は溜息をつく。
おちゃらける銀時に付き合うように平賀もポツリと呟き、銀時は目を細める。
「しょうもねえ脚本書きやがって…役者にケチつけられた義理かてめぇ。今時仇討ちなんざ流行らねえんだよ。―――三郎が泣くぜ」
「……どっちの三郎だ」
「どっちもさ」
「…………」
銀時と平賀のやり取りを雪はただ見るしかできない。
悔しいが平賀の事情を知っているらしい銀時に任せるしかないようである。
「こんなこたぁ、誰も望んじゃいねえ…あんたが一番分かってんじゃねえのか?」
「………わかってるさ…だがもう苦しくて仕方ねえんだよ…息子をあんな目に合わせて老いぼれ1人のうのうと生き残ってることが…くだらねえモンばかり眺めて生きていくのは…もう疲れた」
銀時の言葉に平賀は口を閉ざしていた。
仇など馬鹿らしいというのは本人がよく分かっているのだろう。
だが、分かっていても息子を亡くした悲しみは癒えることはない。
ますます憎しみが増すばかりである。
平賀は逃げ出した将軍がいた場所を目に移す。
そこは既にカラクリと真選組の争いで泥だらけになっていた。
「将軍の首なんざ本当はもうどうでもいいんだ…死んだ奴のためにしてやれることなんざ何もねえのも百も承知…俺ぁてめえの筋通して死にてえだけさ…だからどけ、邪魔するならお前らでも容赦しねぇ」
「どかねえ…俺にも通さなきゃならねえ筋ってもんがある。」
その泥だらけの床から銀時へ平賀は視線を戻す。
相変わらず死んだような目に見えるが、その目に強い意志が宿っているのが平賀からは見て取れた。
だが、もう平賀は後戻りできない。
「撃てエエエエ!!!」
だから平賀は三郎に命じた。
銀時が立ちはだかろうが息子の仇を討つために。
平賀の命令に三郎はバズーカを構える。
同時に銀時は腰に差していた木刀に手を伸ばし駆けた。
だが、三郎は何故か――バズーカを下げ平賀の命に背く。
銀時はその一瞬の隙を付き、木刀で三郎を斬りつける。
「三郎オオ!!馬鹿野郎!!なんでおめぇ撃たなかったんだ!!」
「……オ、親父…」
「――!!」
煙を上げながら倒れる三郎に平賀は駆け寄った。
命令に背いた三郎に駆け寄った平賀の耳に、機械音の言語が届く。
それは三郎からだった。
遠い昔、亡くした息子からだった。
三郎はギギギと音を立てながら駆け寄った平賀へと顔を動かす。
「カラクリ…テル…アンタ…好キダッタ…マルデ…ガキガ泥ダラケ…ハシャイ、デルヨウナ…好キ、ダ、ッタ…」
振り向いた三郎の言葉は途切れ途切れで繋がらない言葉だった。
しかし三郎が何が伝えたいのか…平賀に、銀時に、雪にも伝わり雪は涙があふれる。
平賀は停止した三郎に縋り付くように項垂れた。
「なんだってんだよ…!!どいつもこいつも!!どうしろってんだ!?一体俺に…っどうやって生きてけっていうんだよ!!!」
項垂れる平賀の言葉は騒動の中にかき消される。
だが雪と銀時には届き…
「さあな…長生きすりゃいいんじゃねえのか」
銀時はただ一言、平賀に向けてそう零す。
騒動は三郎の停止と同時に収まっていった。
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